手づくりに挑戦!家庭のおせち
林 亮平 先生(「てのしま」店主)





2025年12月14日KCC食文化と料理の講習会は、「てのしま」店主の林亮平先生をお招きし、「手づくりに挑戦!家庭のおせち」をテーマに開催しました。
講習会のレポート
林先生は、大学卒業後、京都の料亭「菊乃井」で17年間修業。国内外の和食普及イベントに参加し、独立後の2018年に東京・青山で「てのしま」を開店しました。店名は自身のルーツである瀬戸内海の離島に由来。日本料理の技法と海外経験を生かし、新しい時代の和食を探求しています。 また、家庭で和食を楽しめるよう、簡単でつくりやすいレシピの開発にも力を注いでいます。
今回はプロの経験を生かし、味のポイントはしっかり押さえながら、手間を減らしたおせち4品のつくり方をご紹介いただきました。初心者でも安心して挑戦できるレシピです。
- 黒豆 ~ まめに働く、まめに暮らす 子孫繁栄、五穀豊穣
難しそうに思われがちですが、つくり方はいたってシンプルです。ポイントは調味料を加えて煮る前に、豆を指で簡単につぶせるくらいまでやわらかくゆでること。重曹を入れるとゆで時間が短縮できます。豆がやわらかくなったら、調味料を加えてしばらく煮て、そのまま冷ませば完成です。
- ごまめ (五万米) ~ 五穀豊穣
サクサクした食感にするため、ごまめは揚げます。煎るより簡単で苦みが出ず、香ばしさも増します。焦げやすいので油の温度に注意しましょう。さらに、たれに少量の油を加えると、くっつかずパラパラに仕上がります。仕上げに粉山椒をふると味のアクセントに。好みでくるみやピーナツを加えてもおいしいです。
- きんとん ~ 金運、勝負運に恵まれる
さつまいもはゆでず、皮つきのままオーブンでじっくり焼くと、甘みが増して風味も損なわれません。裏ごしをしなくても、フードプロセッサーで簡単になめらかにできます。牛乳やブランデーを加えたリッチな味わいです。きんとんだけでもおいしくいただけますが、さらに栗を添えれば、ぜいたくな栗きんとんになります。
- 煮しめ
だしを使わず、野菜本来のうまみを生かした煮しめです。野菜を飾り切りや型抜きにすれば、お正月らしさを演出できます。煮る前に軽く油で炒めてコクをつけました。煮物の味つけのポイントは、具材の重さに合わせて調味料の量を決めること。そうすれば、味に迷うことがありません。落としぶたをして煮汁を循環させ、強火で一気に煮上げます。
前回(2023年)の講習会で紹介したおせち4品(根菜鴨ロース、蕪と金時人参 金柑なます、袱紗玉子、海老の甘酢漬け)も加えて、お重に詰めていただきました。
※前回のレポートとレシピはこちら「料理人が伝える 家庭でつくるおせちの魅力」2023年
講習会ダイジェスト動画
講習会のレシピ
黒豆
| 黒豆(乾) | 250g |
|---|---|
| 塩 | 小さじ1/2 |
| 重曹 | 小さじ1/2 |
| 砂糖 | 150g |
| キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ | 大さじ2 |
- 1黒豆は洗って水けをきる。鍋に水を入れ、塩と重曹を溶かし、黒豆を入れて一晩おく。 (6時間以上)。
- 2(1)の鍋をそのまま火にかけて、沸騰しかけてきたら、弱めの中火にする。
- 3ことこと沸いているくらいの火加減で、ふたはせず4~5時間ゆでる。時々アクを取り、豆がゆで汁から出ないように気をつける。途中でゆで汁が蒸発し、豆が汁から出そうになったら、豆がかぶるくらいに湯を足す。
- 4黒豆を指でつまんで、つぶれるくらいにやわらかくなったら、砂糖、しょうゆを加えて中火を保ちながら、さらに10分煮る。
- 5火を止めてそのまま冷ます。
※保存:煮汁ごと密閉容器に入れ、冷蔵庫で約1週間
ごまめ
| 田作り(ごまめ) | 60g |
|---|---|
| A | |
| マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒 | 60ml |
| 砂糖 | 大さじ1 |
| キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ | 大さじ1 |
| マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん | 大さじ1 |
| 米油 | 小さじ1 |
| 粉山椒 | 少々 |
| 揚げ油 | 適量 |
- 1鍋に揚げ油を2cm深さくらいに入れ、170℃に熱し極弱火にする。
- 2 ごまめを入れて2分30秒揚げる。油の温度が高いと焦げやすいので、火加減に気をつける。すぐに油から上げ、キッチンペーパーなどを敷いた上にのせて油をよくきる。
- 3表面加工のフライパンにAの材料を入れて中火にかけ、泡が立って半量くらいになるまで煮詰め、とろっとしたたれをつくる。
- 4(2)のごまめを(3)に入れてたれをからめ、火を止めてバットなどに移し、バラバラになるようにする。好みで粉山椒をふる。
※保存:冷蔵庫で約3日間
きんとん
| さつまいも | 大1本(400g) |
|---|---|
| くちなし(実) | 2個 |
| 牛乳 | 170ml |
| 砂糖 | 170g |
| ブランデー | 大さじ1 ※必要であれば煮きってアルコール分を飛ばす |
- 1さつまいもは洗い、切らずに皮つきの濡れた状態でアルミホイルに包み、180℃のオーブンで約1時間ほど焼く。竹串を刺してスッと通れば焼き上がり。粗熱を取ったら皮をむく。
- 2くちなしはポリ袋に入れて、麺棒などでたたき、細かくする。
- 3鍋にくちなし、牛乳、砂糖を入れて火にかける。へらなどで混ぜながら、黄色に色づくまで弱火で煮て、茶こしでこす。
- 4(1)のさつまいもをフードプロセッサーにかけ、途中(3)を加えてなめらかになるまで回す。
- 5ブランデーを加えて香りづけをし、さらになめらかになるまで回す。
※保存:冷蔵庫で約3日間
煮しめ
| 里いも | 3個(200g) |
|---|---|
| こんにゃく | 1/2枚(130~140g) |
| れんこん | 1節(170g) |
| ごぼう | 1本(90g) |
| 金時にんじん | 1本(130g) |
| 干ししいたけ | 12枚(34g) |
| 結び昆布 | 6個 |
| A | |
| 砂糖 | 大さじ3 |
| マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒 | 大さじ3 |
| キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ | 大さじ2 |
| キッコーマン うすくちしょうゆ | 大さじ2 |
| マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん | 大さじ2 |
| ゆず(皮・せん切り) | 適量 |
| 絹さや(ゆでたもの) | 適量 |
| 米油 | 適量 |
- 1
下ごしらえ
干ししいたけは軸を取り、水340mlに1時間以上浸して戻す。浸し汁は残す。 - 2結び昆布は水300mlに10分以上浸して戻す。戻し汁は残す。
- 3里いもは皮をむいて一口大に切る。
- 4こんにゃくは5mm厚さに切り、中央に決めを入れて端をくぐらせて、手綱形にする。
- 5鍋に湯を沸かし、(3)、(4)を8~12分ゆでて水けをきる。
- 6れんこんは皮をむいて1cmの半月切りにする。
- 7ごぼうは良く洗って、皮がついたまま乱切りにする。
- 8にんじんは皮をむいて乱切りにする。
- 9
煮る
鍋に油を入れて強中火に熱し、里いも以外の材料を入れて全体に油がなじむように炒める。 - 10水500mlと(1)と(2)の戻し汁、里いもを加えて落としぶたをする。沸騰したら里いもがやわらかくなるまで約7分間煮る。
- 11Aの調味料を順に加え、落としぶたをして強火で煮汁が少し残るくらいまで煮て、そのまま冷ます。
- 12器に盛りつけ、ゆず、絹さやを添える。
保存:煮汁ごと密閉容器に入れ、冷蔵庫で約3日間

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