“濃縮ワイン”でもっとワイン風味をメニューに取り入れたい。
”減圧濃縮”が実現した
熱のダメージがない濃縮ワインの品質
今回はワインのアルコールを飛ばして煮切り、さらに濃縮したマンズワイン「濃縮ワイン」シリーズをご紹介したい。
ご存知の通り、ワインの煮切りには手間と時間がかかる。仕込みでは少しの時間も惜しいから、ワインの煮切り作業がないことは大いに助かる。さらにこれを濃縮したものがあれば、ワインソースなど料理に濃厚なワイン風味が欲しい時にはすぐに対応できて便利だ。
さて、「濃縮ワイン」シリーズには、煮切り(加熱濃縮)の工程に大きな特徴がある。“減圧濃縮”である。
ワインを入れたタンク内の気圧を下げて加熱することで約50℃の低温で水分を蒸発させることができる。
これによりワインの色、香り、酸味、甘みなど、ぶどうの持つフレッシュな風味を熱のダメージによって失うことなく煮切ることができるのだ。
このためテイスティングしてみると、ぶどう果実が持つナチュラルな風味が強く残っているのだ。
実はこの「濃縮ワイン」シリーズはマンズワイン「ワイン系調味料」シリーズとして、弊誌昨年の春号でご紹介し注目されたものだ。“煮切りタイプ”の10ℓという大容量を使いやすい1.8ℓの紙パックにし、“超濃縮タイプ”はさらに小さな1ℓの紙パックに詰め込み、ネーミングを新たに発売された。キッチンでの使い勝手を最重視したのだ。
ビーフハンバーガーのパティに「超濃縮ワインタイプ」と「デルモンテ リコピンリッチ トマトケチャップ」を混ぜ合わせて敷いてみた。そのおいしさは“ちょい足し”のレベルを超え、本格的な赤ワインソースとしてハンバーガーをグレードアップさせている。ワインの風味はメニューを魅力的にするのだ。
もっとどんどんワインの風味をメニューに取り入れてはどうだろうか。もし今まで、ワインの煮切りや濃縮にかかる手間と時間がそれを阻んできたのなら、もうその必要はない。
さぁ、マンズワイン「濃縮ワイン」シリーズを使って、さまざまな角度からメニューを攻めてみよう。
「煮切りタイプワイン」と「超濃縮ワインタイプ」を上手に使い分ける。
マンズワイン
「 濃縮ワイン」シリーズ
-
煮切りタイプ
煮切りタイプワイン(赤)
濃縮・低アルコールタイプなので、煮切り工程を短縮できる調理用ワイン。「色の濃い」煮込み料理はもちろん、菓子類の調理にも適している。
内容量:1.8ℓアルコール分:2% エキス分:7.8%煮切りタイプワイン(白)
濃縮・低アルコールタイプなので、煮切り工程を短縮できる調理用ワイン。「色の淡い」煮込み料理はもちろん、菓子類の調理にも適している。
内容量:1.8ℓアルコール分:2% エキス分:7.7% -
超濃縮タイプ
超濃縮ワインタイプ(赤)
赤ワインを4倍濃縮した濃暗赤色で煮切りワインの風味があり、通常の赤ワインの約4倍の渋味、酸味、コク味を持つしっかりとした赤ワイン濃縮物。
内容量:1ℓアルコール分:1%未満超濃縮ワインタイプ(白)
白ワインを4倍濃縮した濃褐色で煮切りワインの風味があり、通常の白ワインの約4倍の酸味、コク味を持つしっかりとした白ワイン濃縮物。
内容量:1ℓアルコール分:1%未満
「濃縮ワイン」シリーズの特徴を知る
メニューに飲料用ワインを使うか、調理用ワインを使うかは提供するメニューの原価計算によって決められるが、その選択肢の中に「煮切りタイプワイン」、「超濃縮ワインタイプ」をぜひ加えたい。
重要なのはコストパフォーマンス。選択肢それぞれのコストパフォーマンスを比べてみたいが、飲料用ワインは種類も価格もさまざまで標準の設定が難しいため比較から外し、今回は調理用ワインを実際に煮切ったものと「煮切りタイプワイン」を比べた。
テイスティングしてみると煮切った調理用ワインは、酸味はあるが全体的に風味がフラットな印象だ。
一方「煮切りタイプワイン」はナチュラルで風味が強く、香り、酸味、甘みなど、ぶどうの果実感が明らかに違う。調理用ワインは鍋で沸かして煮切ったため熱のダメージがあったのだと思うが、それにしても〝減圧濃縮〟の効果は風味の違いに出ている。
ワインの濃さを示すタンニンの1ℓ当たりに含まれる量をそれぞれ見てみると、「煮切りタイプワイン(赤)」は一般的な調理用ワインの赤よりも2. 5倍濃いため、煮切った調理用ワインの約3分の1の使用量で同じ効果を発揮することになるらしい。これはあくまでも数値的な見方だが、どうやら低価格の調理用ワインのコストパフォーマンスが極めて高いとは言いにくくなる。
こうしてみると「濃縮ワイン」シリーズという〝減圧濃縮された煮切り不要のフレッシュなワイン〟という新たなコンセプトを持つこの商品を使えば、コストの面でも、手間や時間の面でもスムーズにワイン風味をメニューに取り入れることができると思う。
「濃縮ワイン」シリーズをどう使う?
さて、それではメニューを試作してみる。まずはオーソドックスにハンバーグだ。「超濃縮ワインタイプ(赤)」をデミグラスソースに加えて濃厚な赤ワインソースをつくって敷いた。〝赤ワインソース〟を強調することで高級感を出したかったのだ。「超濃縮ワインタイプ(赤)」がソースに深みを持たせている。〝減圧濃縮〟によって熱のダメージもない。赤ワインの色、香り、酸味、コク、甘みが綺麗に濃縮されて純粋でフレッシュな感覚が残っている。赤ワインをこの濃度まで詰めていくには通常なら相当な時間がかかるだろう。
仕上げの際にデミグラスソースに加えるだけでこの赤ワインソースができるのだ。ポルト酒やマデラ酒など濃厚な酒が風味づけに使われるが、赤ワインの風味をつけるには「超濃縮ワインタイプ(赤)」がいかに便利か分かる。また、あくまでもデミグラスソースの脇役として軽いフレーバーを感じて欲しいと考えるならば「煮切りタイプワイン(赤)」を加えてもいい。
ビーフシチューやハヤシライスなどにも赤ワインを加えるが、お客様にどういうタイプで召し上がっていただきたいのか、どちらを加えるかは料理人のイメージ次第だ。
次に〝アサリの白ワイン蒸し〟を試してみたい。仕上げに貝の旨みに濃厚感を出したかったからだ。白ワインを煮切らずに加えると、アルコールが飛ぶまでに時間がかかって貝に熱が入ってしまうため硬くなる。こんな時には「煮切りタイプワイン(白)」が便利だ。強火でサッと短時間で熱を入れアサリの口が開いたらできあがり。余分な熱は加えたくない。もっとアサリの旨みを表現したいなら「超濃縮ワインタイプ(白)」を使う。〝減圧濃縮〟で綺麗に詰まった酸味と甘みが、アサリの風味をグッと持ち上げてくれる。
さらに、「煮切りタイプワイン」はドリンクメニューに使ってもおもしろいと思う。フルーティーで自然な風味は赤も白もノンアルコールのカクテルやホットドリンクに使えるはずだ。こうした飲むメニューへの可能性は「煮切りタイプワイン」の味わいがいかに純粋かを表していると思う。
「濃縮ワイン」シリーズの実力
マンズワイン「濃縮ワイン」シリーズは〝減圧濃縮〟することでワインに熱のダメージを与えずにアルコール分を飛ばし、フレッシュな成分を凝縮するという、今までにない商品だ。この商品のメリットをいかせば、魅力のあるワイン風味のメニューで攻めることができるはずだが思い込みだろうか。その可能性を確かめるために、いくつかのお店で使ってみていただいた。
- 料理長 小川 勝哉 さん
-
赤坂 エクセルホテル東急
東京都千代田区永田町東京メトロ赤坂見附駅より徒歩1分。永田町駅より徒歩2分という抜群のロケーション。外資系企業も多くビジネスマンが行き交う街としての顔と、夜には大人の街赤坂の顔を持つ多様性が求められる立地にある。多様性に応える料理、サービスとは。
新たな時代の予感に料理人としての感覚を研ぎ澄ます。
事例を見る
「濃縮ワイン」シリーズは思わぬ
レシピを生み出すかもしれない
「煮切りタイプワイン(赤)」で〝牛バラ肉の赤ワイン煮〟をつくってみました。まず牛バラ肉とジュドブッフを真空包装し長時間低温加熱します。これを切り、ジュドブッフをブールマニエでつなぎ「煮切りタイプワイン(赤)」を加えたものに浸してさらにヴァプールしてやわらかくします。肉を取り出した後のジュドブッフは漉して、「煮切りタイプワイン(赤)」をもう一度回し入れて味を決め、盛り付けのソースに仕上げます。
「煮切りタイプワイン(赤)」は香りもあるしコクもあって、とてもフレッシュな感じがします。安価なワインを詰めると雑味がいろいろ出てきますが、それがまったくありません。熱のダメージをワインに与えないという〝減圧濃縮〟の安定感は凄いですね。私たちがキッチンで大量に赤ワインを煮切ろうと思ったら、もっと濃かったり苦かったり酸っぱかったりえぐかったりしてなかなか安定しません。大量の料理を提供する時に味がブレないのは大きなメリットです。
〝フレッシュ野菜の白ワイン漬け〟は、「煮切りタイプワイン(白)」がワインビネガーに比べて酸がとてもやわらかくフルーティーなので、野菜を漬けたらいったいどうなるのだろうとおもしろ半分でつくってみました。するとどうでしょう、ピクルスでもなくグレック(ギリシャ風ピクルス)でもない、何か新しいマリネの可能性を見つけた気がします。
ピクルスの場合、水、白ワインビネガー、砂糖、塩が基本のマリネ液に漬けますが、水と白ワインビネガーの代わりに「煮切りタイプワイン(白)」を使ってみました。普通はここに黒粒胡椒とかコリアンダーとかタイムなどを入れますが、〝そんなことしたらもったいない〟みたいなとても素直な味わいでみずみずしく仕上がりました。
もっと素敵なのは、酸が強いと野菜の色が変わってきたりするのですが、逆に野菜の色がいきいきとして鮮やかな色が出る感じなのです。とても驚きました。
これならサーモンをマリネしても、フルーツのマリネやコンポート、グラニテなど、今までになかった思わぬレシピができるかもしれませんね。
事例を見る
- シェフ 山本 雄造 さん
-
ピッツェリア ピッキ
東京都江東区冬木450℃にも達する燃える薪の火で焼き上げるナポリピッツァは、ピザ生地の持つ水分と火力でふっくらと焼き上がる。調理する火の原点として薪の火にこだわり、料理にも高温でパリッと焼けた絶妙な焼き上がりのニュアンスを表現する。パスタをはじめテリーヌなど手の込んだ料理も提供する下町のトラットリア。
事例を見る
風味のレベルアップとキッチンの
効率化を「濃縮ワイン」シリーズが両立させる
一度にたくさんのワインを煮切ると相当時間がかかりますし、火口を長時間独占することになり他の加熱作業ができません。それがなくなるのですから作業は大幅に効率化されます。今、調理用ワインは1.8ℓの瓶のものを使っていますが、煮詰めた状態を比べると「超濃縮ワインタイプ」は赤も白もえぐみが少なく果実感が強いですね。酸味もあってとてもまるい感じです。1ℓの紙パックなので保管場所にも困りませんし、購入頻度も減って発注作業の軽減になります。
それでは、いつもの〝ボローニャ風ミートソース〟のパスタを「超濃縮ワインタイプ(赤)」とトマトは「デルモンテ パッサータ・ハイブリックス」でつくってみました。水分を飛ばす時間が短くてすみ、とても能率的ですし、ぶどうの果実感もあってソースにコクが出ます。使用量も少なくてすみますからコストメリットがありますね。手づくり感のある「デルモンテ パッサータ・ハイブリックス」のシンプルな味わいとも相まってフレッシュなソースに仕上がりました。
次に、「煮切りタイプワイン(赤)」を使ってサングリアに挑戦してみました。レシピも簡単で、オレンジジュースと「煮切りタイプワイン(赤)」を1対1で合わせ白桃を入れ、半日漬け込むだけです。甘みが足りなければガムシロップを加えます。お酒がそんなに強くない方にもサングリアをお楽しみいただけます。おいしいですよね。夏は白のサングリアもいいと思います。
レシピを見る「超濃縮ワインタイプ(白)」は〝真鯛のアクアパッツァ〟に使ってみました。魚をまるごと使わず、こうした切り身を煮る場合、あっという間に火が入ってしまいますが、そのスピード感に通常のワインは蒸発がついていきません。ですから一旦切り身を取り出して煮詰めてからまた戻します。「超濃縮ワインタイプ(白)」ならそんな必要はありません。じっくり熱を入れると身から旨みが全部流れ出てしまいますから、強火でガッと熱を入れてふっくらさせるのが僕の好きな火入れなんです。
今回使わせていただいた「濃縮ワイン」シリーズは最少人数のスタッフで切り盛りする私どものようなレストランには本当に助かる商品です。
事例を見る
- 料理長 佐伯 英佑 さん
-
富士屋本店 日本橋浜町
東京都中央区日本橋浜町朝から仕込みをしているが店は夕方5時からしか開けない。その時期にしか手に入らない食材を積極的に選び手間をかけて料理をつくるスタッフの姿を地元のお客様は知っている。店内には名前を見ただけで注文したくなるおいしそうなメニューが並ぶ。どれもリーズナブルだ。5時開店、店はすぐに満席になる。
事例を見る
加熱してもぶどう果実の酸味が残る
鴨のひき肉でつくったハンバーグにオーブンで焼いた鴨のむね肉をのせ、さらにその上にソテーしたフォアグラをのせた、〝鴨のつくねハンバーグとフォアグラ〟をつくってみました。照り焼きソースはみりん、醤油、砂糖、「超濃縮ワインタイプ(赤)」を合わせたものにコーンスターチでとろみをつけました。
フォアグラと鴨の脂を楽しむ料理で、こうしたメニューはあまりこってりとした印象にしたくないのでソースには少し酸味が欲しいのですが、ワインは詰めると酸味は飛んでしまいます。ですから最後にちょっとビネガーを足したりすることもあります。「超濃縮ワインタイプ(赤)」は、加熱してもぶどう果実のフレッシュな酸味はちゃんと残りますから、醤油やみりんなど発酵した素材が混ざり合って思い通りの軽い照り焼きソースに仕上がります。
ワインをソースに使えるようにするまでには、だいたい1時間くらいは詰めます。つくるメニューによっては2時間くらい詰めることもあります。ですから、スタートが「超濃縮ワインタイプ(赤)」からだとすると、すでに4倍濃縮されているので時間的に大きなメリットがあります。
「超濃縮ワインタイプ(白)」の第一印象は、〝この濃厚な白ワインの風味は魚介の出汁の味をいかす〟でした。このコクのあるフレッシュな甘みがとても気に入りました。そこで、今までにない新しいメニューをと思い白いカレーをつくりました。
カレーのスパイスはクミン、コリアンダー、カルダモン、ホワイトペッパー、それと魚貝に合うフェンネルシードを入れています。カレーの甘みは炒めた玉ねぎと「超濃縮ワインタイプ(白)」だけの甘さですが、甘さに奥行きがあります。この深い甘さがハマグリの旨みをグッと持ち上げてくれる感じです。
カレーというとカレー味に支配されてしまいがちですが、このメニューはちゃんとハマグリ風味が主役になっています。このカレー自体がソースになるので、焼いた魚や海老に添えたり、タイ風のカレーにもできるし、いろいろメニュー展開できそうです。
パスタやカレーにも使いますし結構ワインを使う頻度は高いので、こうしたアルコールを飛ばした濃縮タイプのワインはとても便利です。
事例を見る
- 本店料理長 六川 健 さん
-
日比谷 松本楼
東京都千代田区日比谷公園日比谷 松本楼は、明治36年日比谷公園が日本で初めての西洋式公園として開園されると同時にオープン。100年以上に渡り日本の歴史とともに歩んできた。訪れる客層は年配の方から小さなお子様をつれた家族連れ、昼はサラリーマンと多種多様だ。公園の中にある誰でも気軽に入れるレストランがコンセプト。
事例を見る
フレッシュなワインのおいしさを
手軽に風味づけできる
松本楼のデミグラスソースは歴代の料理長から引き継がれ、長年継ぎ足してつくられています。そしてこれをハヤシライスやビーフシチュー、ハンバーグのソースや宴会で出す牛ヒレ肉のソースなどに派生させます。
今回は、これをベースにビーフシチューをつくりました。いつもはポルト酒やマデラ酒でさらに風味を少し強化するイメージですが、「超濃縮ワインタイプ(赤)」を使い、赤ワインの風味を香りづけしてみました。
ソースの中に赤ワインのフルーティーな香りと酸味、渋みをしっかりと感じてとてもおいしく仕上がりました。「超濃縮ワインタイプ(赤)」はこうして最後の香りづけにちょっとふるにはとても使い勝手がいいですね。通常の場合はワインを凄く詰めて使いますから仕込む時間がかなり短縮されます。
「超濃縮ワインタイプ(赤)」はさらに詰めても酸味が飛びません。〝減圧濃縮〟というのは凄いですね。赤ワインの持っているぶどうの果実感をこんなに守っている。こうしたものは初めて見ました。これを液面に自分が映り込むくらいのミロワール(鏡)状まで詰めて使えば、コックオーヴァンなどはとてもおいしくできるでしょう。
おいしいワインの風味を手軽に風味づけができるということが「超濃縮ワインタイプ(赤)」最大の特長ですね。
〝手作りクリーミーカニコロッケ〟には「超濃縮ワインタイプ(白)」を香りとコクづけに使ってみました。このメニューで白ワインは脇役ですが、「超濃縮ワインタイプ(白)」の凝縮されたワイン風味がカニの旨みをグッと引き立たせています。通常は白ワインを濃度がつくくらいまでとことん詰めて使いますから、時間がかかります。その点「超濃縮ワインタイプ(白)」はとても便利です。
「超濃縮ワインタイプ(白)」のフルーティーな酸味は、ドレッシングにとてもいいと思います。果物のコンポートにも使えそうです。今までになかった「濃縮ワイン」のおかげで、新しいメニューがたくさんつくれそうです。
事例を見る