HACCP対応、準備できていますか?
素材のちからとは

トマトだけ、トマトそのままのおいしさだけを詰め込んだイタリア伝統の「パッサータ」をご存知だろうか?
このフレッシュな濃厚感には驚かされた。

デルモンテ パッサータ・ハイブリックス

フレッシュなトマトの
〝濃厚感〟の秘密は、
減圧による低温濃縮にあった。

イタリアの家庭では自家製の
〝パッサータ〟を料理に使う

トマトが熟しはじめる夏、イタリアの田舎の家庭では1年分の〝パッサータ〟をつくる。〝パッサータ〟とは、大きな括りとしてはトマトピューレーだが、販売されているトマトピューレーと比べるとトマトの果肉感が残るあらごしタイプだ。 
つくり方はシンプル。大きな鍋でトマトを軽く煮て、皮と種を機械を使って取り除き、これを瓶に詰め蓋をして煮る。甘みが強くフレッシュな酸味もある。このまま保存して1年間旬のトマトのおいしさを料理に使う。今でこそ家庭でつくられることは少なくなったそうだが、これこそマンマの味だ。
マンマの味を家庭料理と侮ってはいけない。イタリア料理はユネスコの無形文化遺産に登録されているが、特徴のある各地のイタリア伝統料理はマンマがつくったレシピが継承されたもので、イタリア料理の原点と言えよう。イタリアにもトマトを加工した商品があるが、その中で〝パッサータ〟はもっとも多く使われると聞く。

トマトソースにパッサータを

日本のイタリアンでは、トマトソースづくりに〝ホールトマト〟や〝ダイストマト〟が使われる。〝ホールトマト〟を潰して一からつくるソースへのこだわりも大切だし、少し効率を上げるために〝ダイストマト〟を使うのもいいだろう。ただ、余分な皮や種を除くために最後に漉して仕上げるために仕込みには時間がかかる。ならばパッサータを使ってはいかがだろうか。あらごししたトマトを煮詰めて濃縮するためトマトの濃厚感が手軽に使えるのだ。もっとパッサータを知ることで効率的に納得のいくトマトソースがつくれると思う。

トマトソースのベースとなる素材

加熱されて濃縮されるのに
フレッシュ感が強いのは?

さて、ご紹介するデルモンテ「パッサータ・ハイブリックス」を試食して一番に感じるのは、やはりトマトの濃厚感だ。甘くて味が濃い。シンプルというか、素材そのものの素朴な味がする。さらにこのフレッシュ感はどうだろう。トマトが煮詰められて濃縮されると旨みが増すのは分かるが、香りや甘み、酸味や色などは熱によって失われていくはずだ。
実は、この〝フレッシュなトマトの濃厚感〟つまり、〝トマトそのままの素朴感〟こそ「パッサータ・ハイブリックス」の特長なのだ。減圧された真空状態で低温濃縮することによって、あらごしされたトマトへ熱のダメージを与えずに水分を飛ばすのだそうだ。
なるほど、それならこの〝フレッシュなトマトの濃厚感〟も理解できる。日本でも〝パッサータ〟商品は販売されているが、低温濃縮されたものは他には少ないと聞いた。さらにこの仕上がりは原料の品質によるところも大きいだろう。実に興味深い。それでは「パッサータ・ハイブリックス」のおいしさをもっと知るために、キッコーマン食品(株)を訪ねることにしよう。

開発取材

イタリアの田舎でつくられる
素朴なパッサータをつくりたかった。

「パッサータ・ハイブリックス」にはあらごし感が強く、トマトらしいシンプルな味わいがある。その秘密は低温低濃縮だけではなかった。原料の選別、厳しい品質管理、そしてあえてあらいメッシュを選ぶあらごし作業から最後の充填まで、こだわりの工程が〝トマトそのままの素朴な味わい〟をつくりあげていた。

商品コンセプトは〝ルスティカ〟
〝トマトそのままの素朴な味わい〟

イタリア語に〝Rustica (ルスティカ)〟という言葉がある。〝田舎風の〟や〝素朴な〟という意味だそうだが、「パッサータ・ハイブリックス」は、イタリアの田舎の家庭でトマトを夏場に収穫して皮をむき、あらごししてこれを煮込み、ソース用としてまとめてストックしたマンマの作るパッサータをイメージしているそうだ。まさに〝トマトそのままの素朴な味わい〟が商品コンセプトだと説明された。
果たして気になっている〝低温濃縮〟という技術はこの〝トマトそのままの素朴な味わい〟の実現とどんな関わりがあるのだろうか。教えていただいた低温濃縮の原理はこうだ。
通常、水は100℃で沸騰するが、富士山の頂上で水を沸かすと100℃にならなくても沸騰する。気圧が低いと水の沸点は下がるのだ。つまり減圧することによって低い温度でも水分が蒸発するため、低温で濃縮できるのだそうだ。
「パッサータ・ハイブリックス」も同じ原理で濃縮される。減圧により70℃くらいで低温濃縮するため、熱によるダメージがないのだ。熱によって失われるものはトマトのフレッシュ感。香りと色が最もダメージを受けやすい。
しかし、低温濃縮の技術が短時間で水分を蒸発させ、効率よく〝トマトそのままの素朴な味わい〟を手に入れることを実現した。
最初に「パッサータ・ハイブリックス」を試食して濃厚なフレッシュ感に驚かされたのはここに秘密があったのだ。

原料へのこだわりと厳しい
品質管理の徹底

さらに、〝トマトそのままの素朴な味わい〟をつくり出すのは低温濃縮の技術だけではなかった。食品づくりの基本、まずは厳しい品質管理からはじまる。原料は北イタリアのトマト。まず工場への受け入れ検査で「パッサータ・ハイブリックス」に合った原料であるか、果実の形、傷、糖度や熟度がチェックされる。1台のトラックから無作為に15㎏程度サンプリングし、その中に真っ赤なトマトが何%、黄色いトマトが何%、緑のトマトが何%という厳しい基準があり、それをクリアしたものが「パッサータ・ハイブリックス」の原料として使われ、満たさないものはピューレーなどの原料に仕分けられる。
湯むきされたトマトは、皮がむけきれなくて残っているものや、見過ごされた黄色いトマトなどを再度選別し、綺麗に皮がむけた赤いトマトだけを次の工程に送る。
〝パッサータ〟はトマトをあらごしするメッシュのサイズによって仕上がりの状態に違いがある。細かいメッシュでやればやるほど具材感は弱くなりピューレーっぽい感じになる。「パッサータ・ハイブリックス」はあらごし感を強く出すために少し大きめの6ミリのメッシュサイズを使う。
こうしてあらごしされたトマトは低温で糖度が7・5~8・5になるまで低濃縮されて〝トマトそのままの素朴な味わい〟を持つ濃厚な「パッサータ・ハイブリックス」ができあがるのだ。

  • 原料はまず無作為にサンプリングチェック 原料はまず無作為にサンプリングチェック
  • あらごし感を強く出す少し大きめの6ミリメッシュ あらごし感を強く出す少し大きめの6ミリメッシュ

「パッサータ・ハイブリックス」は
トマトがまるごと入っている

一般的にホールトマトやダイストマトは充填の際に、果肉の他にトマトピューレーを加える。だいたい果肉60%で残り40%がトマトピューレーの割合だ。ピューレーは糖度と濃度を上げるために濃縮には時間がかかる。長時間熱が加わることにより、トマトの煮込み感は出るがフレッシュ感は失われていくはずだ。このように前もって別の工程で準備されたピューレーは果肉と一緒に充填されるが、トマトがまるごとそのまま入っているというフレッシュ感は損なわれる。また、粘度を高める調整をするためにパッサータもホールトマト、ダイストマトと同様にトマトピューレーを加えられているのが一般的だ。こうなるとせっかくのあらごし感もなくなり、素材との絡みも弱くなる。「パッサータ・ハイブリックス」は生のトマトを湯むきして、果肉の部分だけをあらごしし低温濃縮したものをそのまま充填する。このシンプルな工程が〝トマトそのままの素朴な味わい〟をつくりあげるのだ。
さて、こうしてつくられる「パッサータ・ハイブリックス」はシェフの皆さんにどう評価されるだろうか。イタリアン、ホテル、ダイニングで料理をつくっていただき、その感想をお伺いした。

パッサータ・ハイブリックス」はトマトがまるごと入っている イメージ

事例

イタリアン
これほど可能性が広がるとは、
目から鱗が落ちる思いがしました。
  • オーナーシェフ 柿沼 匡志 さん

    オーナーシェフ柿沼 匡志 さん

  • トラットリア・コッレ
  • トラットリア・コッレ

    東京都中央区日本橋浜町2010年の3月開店。屋号の“コッレ”はイタリア語で“丘”の意味。両親が料理人だったこともあり迷いなく料理の世界へ。浅草のジャルディーノでは3年間、石崎幸雄シェフに師事。その後イタリアのトスカーナへ渡り2年間修業する。豊洲へは毎日通い食材を吟味。食材にはあまり手を加えすぎないよう心がけながら新しい調理法も取り入れ、食材のよさを引き出すよう心掛けている。

ホールやダイスにはない
濃厚なフレッシュ感に驚かされた
ホールやダイスにはない
濃厚なフレッシュ感に驚かされた

「パッサータ・ハイブリックス」を使ってみると、今まで使っていたトマトホールに比べて甘みも酸味もしっかりとしていて、〝ハイブリックス〟の名前の通り、その味の濃さとフレッシュ感に驚きました。
まず、北海ダコを軽く煮込んだものをつくってみました。芽キャベツとボッコンチーニのモッツァレラ、じゃがいもとプチトマトをジェノベーゼで和えて添えました。うっすらとピンクの泡は「パッサータ・ハイブリックス」と牛乳を合わせて泡立てたものですが、トマトの味がしっかりしています。
トマト煮は、水ダコから水が出ますしトマトホールにも水分がありますから、1時間くらい煮込んで水分を飛ばさないとしっかりとした味になりません。
今回は「パッサータ・ハイブリックス」を火にかけて味を調えておいて、さっとボイルした水ダコをカットして、あとは合わせているだけなんです。ですから水ダコはやわらかいし、旨みもあります。今まではこんな料理はつくれませんでしたね。日本人が好きな水ダコのお刺身のような感じで食べられますから、煮込みでありながらカルパッチョみたいですね。
次に、「パッサータ・ハイブリックス」を練りこんだ〝キタッラ〟をつくってみました。トマトを入れたパスタはありますがトマトの味はほとんどしません。「パッサータ・ハイブリックス」を練り込むとトマトの風味がパスタに残っています。酸味がちゃんと立つのには驚きましたね。
キタッラをパルミジャーノと生クリームだけで味を決めたソースで和えて皿に盛り、「パッサータ・ハイブリックス」を沸かしてミキサーで回したシンプルなソースを流しました。生クリームとパルミジャーノの濃厚な味わいにはトマトの酸味がとても合います。キタッラを覆うチュイルは「パッサータ・ハイブリックス」とパルミジャーノを混ぜ合わせて薄く伸ばして焼きました。これにもトマトの焼けた香ばしい甘みとフレッシュな酸味がしっかりとあります。
それにしても、あらごしのトマトを低温濃縮した「パッサータ・ハイブリックス」がこんなに料理の可能性を広げてくれるとは、目から鱗が落ちる思いがしました。

水ダコのトマト煮
水ダコのトマト煮
トマトのキタッラ フレッシュなトマトソース
トマトのキタッラ フレッシュなトマトソース
ホテル
まるで今、トマトを
あらごししたようなフレッシュで
濃厚な味わいです。
  • エグゼクティブシェフ 道家 義之 さん

    エグゼクティブシェフ道家 義之 さん

  • グランドニッコー東京 台場
  • グランドニッコー東京 台場

    東京都港区台場グランドニッコー東京 台場は、東京タワーやレインボーブリッジなど東京ベイを一望できる都会のリゾート。バンケットルームでは数々のレセプションやパーティーが催され、ボールルームは立食で3200人、正餐で1600人強と、その規模は東京都内でも1、2を争う広さ。宴会調理のセクションには、お客様を満足させる料理のクオリティとともにスピードも求められる。

「パッサータ・ハイブリックス」は料理のクオリティを保ち手間も省く
「パッサータ・ハイブリックス」は料理のクオリティを保ち手間も省く

私どもでは常に新たなコンセプトを取り入れながら、お客様の心をつかむ料理をご提供するよう心がけています。毎日、小、中、大と数多くの宴会を約25名の宴会調理スタッフでお迎えしますが、そのためには効率的なオペレーションを実現しなくてはなりません。使う食材の中には料理のクオリティを保ちながら同時に手間も省ける、そうしたものも積極的に使うことも必要だと思います。
たとえばブイヨン。仕込み時間を短縮するのならできあがったものがありますが、ブイヨンは料理の基本ですから自分たちで工夫してつくります。本来は鶏ガラを掃除してそのまま使いますが、私どもではミンチにしてもらった鶏ガラを使うことで抽出を早め、今までと変わらないクオリティを保っています。今回の「パッサータ・ハイブリックス」のフレッシュで濃厚感のあるトマトの素材は、私どものようなキッチンには最適です。

新鮮で濃厚なトマト感が
新たな料理を発想させてくれる

最初の料理は〝仔牛のピカタ〟です。ニンニクとオニオン、エシャロットをソテーして「パッサータ・ハイブリックス」をそのまま加えるだけで、トマトのフレッシュな酸味と濃い甘みの中に旨みのあるソースができました。加熱してもトマトの赤色は鮮やかで、華やかな宴会料理になります。ホールやダイスと違ってそのまま使えるところがいいですね。
次に〝魚介のパスタパエリア〟をつくりました。茹でずにソテーしたフジッリに、そのまま加えた「パッサータ・ハイブリックス」、魚のだし汁、アサリのだし汁の味を入れながら茹でていく感じです。「パッサータ・ハイブリックス」はちょうどいいあらごしになっていますし、濃厚で水分が少ないので、そのまま使っても魚とアサリのだし汁がたっぷり使えてフジッリにおいしさがしっかりと染み込みます。トマトの色も風味もすべての具材に綺麗に絡んでいますね。トマトのグルタミン酸と魚貝のイノシン酸がしっかりと重なって、旨みが何倍にも感じられて味に深みが増します。
「パッサータ・ハイブリックス」の新鮮で濃厚なトマト感はいろいろな料理を発想させてくれますね。

仔牛のピカタ トマトソース添え
仔牛のピカタ トマトソース添え
魚介のパスタパエリア
魚介のパスタパエリア
ダイニング
手間のかからないコスト面と品質面の両方を評価して導入しました。
  • 料理長 高橋 勇貴 さん

    料理長高橋 勇貴 さん

  • サンシャイン クルーズ・クルーズ
  • サンシャイン クルーズ・クルーズ

    東京都豊島区東池袋地上210m、都内有数の夜景を一望できるモダンダイニングスペース。最大400名が利用できるキャパシティを持つ。13の個室も用意され、スカイレストランとしてのランチ、ディナーをはじめ、記念パーティーやウエディング、企業の懇親会など利用されるシーンもフレキシブル。料理のコンセプトは“コンテンポラリーキュイジーヌ”、フレンチやイタリアンに和の技法を取り入れている。

コスト面ではトータルで
大きなメリットがある
コスト面ではトータルで
大きなメリットがある

「パッサータ・ハイブリックス」の最大のメリットは手間がかからないことです。私どもではトマトソースを1回に20㎏仕込みますが、「パッサータ・ハイブリックス」の濃さなら詰める必要がありませんから短い時間で仕込めます。トマトを漉して種や皮、筋などを取り除く手間もないのでコスト面ではトータルで大きなメリットがあります。仕込む量が多いだけにとてもありがたいと感謝しています。
最初の料理は〝ホタテと季節野菜のマリネ〟です。クスクスにトマトの味を入れたものの上に、ホタテとカラフルチェリートマト、ロマネスコ、カリフラワー、インゲンなどのマリネを盛り付けたものです。手前に敷いたトマトソースに絡めてお楽しみいただきます。トマトソースは「パッサータ・ハイブリックス」に唐辛子をきかせてアラビアータに近い感じに仕上げました。クスクスを戻す時にお湯を控えめにしてこのソースを一緒に吸い込ませて味を入れます。クスクスの中に酸味がほどよい感じで入っていて、マリネのフレッシュ感に繋がりますね。

低温濃縮によりつくられる濃厚感が
パスタによく絡むソースをつくり出す

次は〝ペスカトーレ〟です。スパッカテッレというマカロニを半分に割ったようなショートパスタを使っています。もちもちした食感で内側の窪みにソースがよく絡み、魚介との相性がとてもいいのです。私は「パッサータ・ハイブリックス」のあらごしの状態がとても気に入っています。さらっとしたトマトソースよりもパスタによく絡むし、海老やムール貝、アサリに絡んでもトマトの果肉感を感じておいしいと思います。
トマトソースはニンニクとカラブリアの小さい唐辛子、ペペロンチーノ・ピッコロだけで仕上げますが、「パッサータ・ハイブリックス」の濃厚なトマト感に辛みを加えると、ただピリッとするのではなく、辛みが奥から立ち上がってくるような深みのあるソースになります。この適度な粘性と濃厚感は低温濃縮によってつくられるのですね。
「パッサータ・ハイブリックス」の手間のかからないコスト面と今までになかった品質面、両方を評価して導入しました。

ホタテと季節野菜のマリネ
ホタテと季節野菜のマリネ
ペスカトーレ
ペスカトーレ

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デルモンテ パッサータ・ハイブリックス

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