卵焼き
卵は「2つの素材」と考えて
卵焼きは、和食の王道のひとつといえる料理です。和食は見た目もおいしさのうち。卵焼き器できれいにつくれたら堂々たる仕上がりになります。卵には脂肪の多い「卵黄」と、水分の多い「卵白」があり、いわば2種類の素材で成り立っている食材です。火通りや色のムラなく、美しくおいしく仕上げるために、まずは卵黄と卵白をしっかりと混ぜ合わせます。ただし泡立ててはいけません。空気がまだらに入ると焼きムラの元になるからです。
卵焼きを失敗しないコツは2つ。1つ目は砂糖の力を利用すること。砂糖を加えることで卵液に粘性が生まれ、破れずまとまりやすくなります。砂糖を溶かすためには水分が必要になりますが、ここは水ではなく酒を使うことで風味よく仕上げましょう。2つ目は卵を多めに使うこと。一般的な卵焼き器なら3~4個がよいでしょう。量があれば3~4回折り畳めるので、途中で失敗してもリカバーできます。
- ●卵黄と卵白をよく混ぜる
- ●砂糖を加える
- ●卵は3~4個使う
この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。
材料・2~3人分/卵焼き器1台分
卵…4個
サラダ油…大さじ1~適宜
〈A〉
砂糖…大さじ2
マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒…大さじ1
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ…小さじ2
つくり方
1. 卵をよく混ぜる
ボウルに卵を割り入れ、卵黄をつぶす。箸先をボウルの底につけて30~40回ほど左右に動かし、泡立てないようによく混ぜる。〈A〉を加えてさらに混ぜ合わせる。
卵の混ぜ方にもコツがあります
脂肪分の多い卵黄を先につぶし、細かくほぐすようにして卵白と混ぜると、よく混ざります。このとき箸先はボウルの底に当てたままにして泡立てないのがコツ。泡立てない理由は、卵液に空気をなるべく含ませず、火の通りを一定にしたいため。なお、酒が苦手な人は水を加えても構いません。
2. 卵焼き器に油を薄く塗る
折り畳んだペーパータオルに、油を吸わせる。卵焼き器を強火にかけ、ペーパータオルの油を薄く塗り、角までなじませる。さらに強火で熱する。
十分熱くなったことを確認します
少ない油を薄くまんべんなく塗るようにします。卵液を一滴落として「ジュッ」といったら焼き始めの温度になった合図です。
3. 1杯目を焼く
おたま1杯分の卵液(50ml)を流し入れ、卵焼き器を動かして全体に広げる。表面が乾くまで焼く。卵液が膨らんできたら箸でつついて穴をあける。
穴から熱を逃します
穴を開けるのは火の通り過ぎを防ぐためです。卵液を何度かに分けて焼いていきますが、固まり具合を一定にするよう火力は最後まで変えません。火加減が強いと感じたら、火は弱めず卵焼き器を火から少し外して遠ざけます。
4. 手前に折り畳む
箸やへらを使って、卵を手前に向かって三つ折りに畳む。
卵焼き器の持ち手は下から握りましょう
上手に折り畳むには動作のイメージをもつことが大切です。卵焼き器を上下にふってリズミカルに畳んでいきましょう。卵焼き器の持ち手は下から持つと上下にふりやすく(写真下)、卵を畳みやすくなります。何度も折り畳むのが難しい場合は、1~2杯分はスクランブルにして手前に寄せ、3~4杯目から形をととのえるつもりで仕上げるという選択肢もあります。
5. 卵をずらし再び油を塗る
畳んだ卵を、卵焼き器の先へスライドさせる。油を吸わせたペーパータオルで表面の焦げを拭き取りながら油を塗る。
一連の動作をリズミカルに繰り返します
卵液を流し入れるたびに、元の作業に戻ります。ていねいに油を塗り、一滴落として「ジュッ」というまで熱くなっていることを確認してから、次の1杯を注ぎます。一連の動作は体全体を使うようにリズミカルにおこないましょう。
6. 残りの卵液を焼く
卵液を入れ、スライドさせた卵の下や脇にも行き渡らせ、全体に広げて焼く。卵液がなくなるまで一連の作業を繰り返す。最後は表面にほんのり焼き色をつける。
火力を変えずに火加減を調整
卵が重くなってくるとうまく畳めず時間がかかってしまいます。焦げそうな時には卵焼き器を火から外しましょう。火力はあくまでも中火のままで。
7. 冷ましながら形をととのえる
アルミホイルの上に卵をのせる。しっかり包んで形をととのえながら、粗熱が取れるまで置く。
冷ましながら形をととのえます
焼き上がったら卵焼き器を裏返すようにして、アルミホイルの上に卵を取り出します。熱々のうちに包むことで余熱で卵が固まり、しっとりした仕上がりになります。冷ます時間の目安は20~30分。温かいのはもちろん、冷めてもおいしい卵焼きになります。
(1人分熱量162カロリー/塩分0.8g/調理時間約20分)
ヘルシーポイント
砂糖の入った卵焼きは、だし巻き卵に比べてやや高カロリーになるものの、日持ちの良さが利点。冷蔵庫で1週間ほどもちます。そのまま食べるだけでなく、チャーハンや炒め物の具材に使えば、料理の栄養バランスを良くしてくれます。
監修・料理/小田真規子
撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時(2022年5月)のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。