ぶりの照り焼き

ぶりの臭み取りには「酒洗い」を
火は通しすぎず、
ふっくら照りよく焼きましょう

甘辛で香ばしいにおいが食欲をそそる、ぶりの照り焼き。照り焼きをふっくら仕上げるには、肉でも魚でも火を通し過ぎないことが最大のポイントです。そして、魚の場合は下処理で「臭み」と「水分」をしっかり取り除くことが重要になります。

魚の臭みの元になるのは、皮、身、血合いの3カ所。なかでも海水に触れていた皮の部分の雑菌が臭みの原因になるので皮はしっかり焼くようにします。また、身の脂と血合いの鉄分も、空気に触れると酸化しやすく臭みの要因に。さらに、身から出る水分(ドリップ)も臭みのもとになります。下処理でこれら臭みの元をていねいに取り除くことが肝心です。

ぶりのように脂肪分の多い魚の下処理には「酒」が効果的。このような魚には味が入りにくいため、固体である塩よりも液体である酒を使った「酒洗い」が向きます。臭みを取りながら下味としてのうま味も浸透して合理的です。

煮汁にも酒やみりんを多めに使いましょう。酒は沸点が約78℃で煮立ちが早いため、ぶりに火が通り過ぎないうちに、十分に味が染み渡ります。

  • ●火を通し過ぎない
  • ●臭みの原因を取る
  • ●「酒洗い」をする

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・2人分

ぶり…2切れ(約200g)
マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒…小さじ2
サラダ油…小さじ2
小麦粉…大さじ1
大根おろし…適宜
〈A〉
マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん…大さじ2
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ…大さじ1
マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒…大さじ1

つくり方

1. 酒洗いをする

ぶりはドリップを取り除き、酒をふって絡め、5~10分おく(酒洗い)。キッチンペーパーで水分を拭き取る。〈A〉を合わせておく。

拭き取ることを忘れずに

「酒洗い」では、ぶりの側面や皮面までまんべんなく酒を絡めます。しばらく置いて、水分をペーパータオルで拭き取るまでが一連の工程です。身を崩さぬようやさしく、しっかり拭きましょう。きちんと拭き取ることで臭みの元を取り去り、粉をムラなくまぶす準備が整います。また、焼く前に室温になじませるのは、表面と身の中の温度差をなくし火通りを均一にしたいからです。

2. 小麦粉をまぶす

小麦粉をまぶし、余分な粉を払う。

「小麦粉まぶし」に多くの利点

小麦粉は焼く直前にまぶします。まぶしたまま時間をおいてしまうと、ぶりから出た水分で表面がベトついてしまいます。小麦粉をまぶすことでフライパンの熱が食材に直接あたらず、火の当たりがやわらぎ、たれの絡みもよくなるので仕上がりにツヤが出ます。利点が多いので、このひと手間をお忘れなく。余分な粉をていねいにはたいて薄くまぶせば、焼きムラがなく見た目もきれいに仕上がります。和食は仕上がりの美しさにもこだわりましょう。

3. 壁に寄せて焼く

フライパンに油を入れ中火で熱し、1分ほど温めたら、フライパンの縁の壁に皮を寄せるようにぶりを入れ、2分半ほど焼く。

壁を利用しない手はありません

フライパンが熱くなり過ぎる前にぶりを入れます。置いてすぐに「ジュッ」と音がしては熱し過ぎ。置いてから「パチパチ」音がしはじめるくらいが適温です。このときフライパンの縁の壁に皮が当たるようにぶりを置き、火の当たる面を増やして焼いていきます。焼き始めたらさわらないことが肝心。魚に蓄熱させるように見守りましょう。身の下1/3~1/2が白く変わってきたら裏返します。

4. 皮を焼いて裏返す

身を立てて皮を30秒ほど焼いてから、裏返す。

皮をしっかり焼くこともぬかりなく

皮をしっかり焼くことで臭みがなくなるだけでなく、香ばしく仕上がるので一石二鳥です。身が崩れないようフライ返しやヘラを使い、フライパンの縁の立ち上がりも利用しながら皮を焼きます。皮を焼いている間に、もうひと切れの身に火が入りすぎるようであれば、フライパンを火から少し外しましょう。

5. 脂を拭き取る

フライパンに出た脂を、たたんだペーパータオルで拭き取る。

魚から出た脂はうま味ではなく臭みです

出てきた脂は臭みの元です。ていねいに拭き取りましょう。肉の照り焼きではうま味を残すために半分ほど脂を残しますが、魚の場合はすべて拭き取ります。

6. 調味料を入れて煮絡める

フライパンの中央を開けて、合わせておいた〈A〉を注ぎ、中火のまま煮立たせる。煮汁をスプーンですくい、ぶりにかけながら2分ほど絡める。器に盛って残ったたれをかけ、大根おろしを添える。

煮立っても魚がかたくならないのは酒のおかげです

酒は約78℃で煮立ってくるので食材への火通りがやわらかくなるのが利点。魚が硬くならずに仕上がります。調味料をフライパンに直接注ぐ理由は、調味料の温度を上げるのを早めて食材に火を通しすぎないうちに風味づけをするためです。しょうゆを焦がして香ばしさをつけることで、味わいも深まります。

(1人分熱量333kcal/塩分1.3g/調理時間約20分)

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ヘルシーポイント

ぶりは認知症予防や記憶力向上を助けるDHA、血液をサラサラにするEPAなどを含む食材。塩分を控えたい時は、煮汁のしょうゆを小さじ2にすることでよりヘルシーになります。

監修・料理/小田真規子 
撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時(2022年5月)のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。