さばの竜田揚げ

「むらのあるころも」が
味わいのひとつです

「竜田揚げ」は魚や肉にしょうゆベースの下味をからめ、片栗粉をまぶして揚げた料理で、その名は小倉百人一首の在原業平が和歌に詠んだ「竜田川」に由来するという説があります。片栗粉は小麦粉に比べてグルテンが少ないため油の中で適度にまばらになる部分ができて、むらのある白っぽい姿でさっくりと揚がるのが特長です。揚げ上がりのしょうゆで赤くなったところに白い片栗粉のころもが散った表面を紅葉が浮かぶ竜田川に見立てたというものです。

しょうゆと砂糖にしょうがを効かせた甘辛味は、和食の王道ともいえ、さっくりとした軽いころもも魅力です。しょうがをすりおろしてから、しぼり汁にして使うことでえぐみが半減し、すっきりした上品な味になり、焦げにくく美しく揚がります。

切り身魚を揚げた油は汚れるので、繰り返して使いにくいもの。そこで今回は、さばを小ぶりに切り、小さめのフライパンで少ない油で揚げていきます。しょうゆの下味をつけた揚げ物は焦げやすいので、短時間で揚げるのがコツです。

  • ●さばは小ぶりに切る
  • ●しょうがはしぼり汁にする
  • ●少ない油で手早く短時間で揚げる

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・2人分

  • さばの切り身…2切れ(200g)
  • 〈A〉
    • キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ…大さじ1と1/2
    • 砂糖…小さじ2
    • しょうがのしぼり汁…1かけ分(約6g)
    • 片栗粉…大さじ4~5
    • 揚げ油…1カップ
    • すだち…適宜

つくり方

1. さばを切る

さばは2~3等分に切る。

切り方とボリューム感も大切です

斜めに包丁を入れて、表面積を増やすことで下味も入りやすく、ころもも多くつきます。これがさっくりとした食感につながります。揚げ具合がそろうように、見た目のボリュームをそろえて切りましょう。切ったあとは、キッチンペーパーで水けと血を取り除きます。

2. 下味をつける

しょうがはすりおろして、しぼる。大きめのボウルに(A)を合わせる。さばを加えて絡め、ラップをして冷蔵庫に入れて20分~60分ほど置く。

多めの調味料を絡めて味をつけながら、くさみも取ります

下味つけは、切り身に味をしみ込ませるだけでなく「くさみ取り」の意味もあるので、調味料はやや濃いめ、量も多めに。しょうがはすりおろしてから、キッチンペーパーで包んで絞ります。

3. 粉をつける

片栗粉をバットに広げる。さばの水けを軽くふいてから片栗粉をつける。

粉をつけたらすぐに揚げます

漬けだれの水けを軽くペーパータオルで拭き、片栗粉をつけて下味を閉じ込めます。多少ムラがあったほうが竜田揚げらしい表情に仕上がります。片栗粉をつけて長く置くと水分となじんで、ころもが厚づきになり、ベタっとした揚げ上がりになります。片栗粉をつけたら水けが出ないうちに揚げるのがコツです。

4. 揚げる

フライパンに油を入れ、中火で約3分熱し170℃前後にする。さばを入れる。少し火を強め、1〜2分揚げる。

小さいフライパンを使い少ない油で揚げます

直径20cmほどの小さめのフライパンを使い、少ない油で揚げていきます。熱した油に片栗粉を落としても沈まず、上面で散って泡が広がるくらいが170度前後です。さばは粉を軽くはたいてから油に入れます。油面から出ている部分があれば、油をスプーンなどですくって上からかけてください。

5. 上下を返す

さばの上下を返す。さらに2〜3分揚げる。とり出す。

揚げ時間はトータル約4分を目途に

さばを入れ、上下を返して、揚げ時間はトータル約4分が目安です。箸ではさんでみて、表面が硬く、竜田揚げらしい白っぽいころもになってきたら揚げ上がりです。

(1人分熱量387kcal/塩分2.1g/調理時間約20分)※漬け込む時間含まず。

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ヘルシーポイント

アスパラやピーマンなど揚げ時間の少ない野菜を素揚げして、一緒に食べるのもおすすめ。さばを揚げる前の油で素揚げしましょう。

料理/小田真規子 撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
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公開:2023年12月12日