鶏の照り焼き

焼くのは片面だけ。
たれを煮絡めたら、
あとは余熱で火を通します

肉を焼いて、煮汁を絡める。鶏の照り焼きは、この2ステップでつくるシンプルな料理ですが、煮汁を絡める前の肉の火の入れ方にコツがあります。裏表の両面をしっかり焼いては火が通り過ぎてしまいます。そこで片面(皮の面)だけをしっかり焼いて7割ほど火を通し、肉を返してからは、たれを絡めて余熱で火を通します「肉は片面(皮の面)だけをしっかり焼く」と心得ておきましょう。

「焼き物」のポイントは、素材にムラなく火を通すことにあります。鶏肉の筋切りをするのもそのためです。筋は焼き縮みが大きいため、そのまま焼くと肉がそり返り、焼きムラの原因になります。太ももなど分厚い部分には包丁を入れ、肉の厚みを均一にして焼きましょう。

忘れてはならないことがもうひとつ。「鶏肉料理」で重要なのは、皮の下や肉の間にある余分な脂肪を取り除くこと。黄色みを帯びた脂肪は臭みの原因になります。「肉の掃除(トリミング)」をていねいにすることで、ぐっと味がよくなります。

  • ●火を通し過ぎない
  • ●火通りを均一にする
  • ●余分な脂肪を取り除く

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、ひと手間の理由も解説していきます。

材料・2人分

鶏もも肉…大1枚(250g)
小麦粉…大さじ1
サラダ油…小さじ2
ピーマン…2個
〈A〉
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ…大さじ1と1/2
マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん…大さじ2

つくり方

1. 肉の下処理をする

鶏もも肉は、余分な脂肪を除き、筋を切り、太もも部分の厚みを均一にして、4等分に切る。ペーパータオルをかぶせ、余分な水分を取る。下処理をする20分ほどで肉を室温に戻す。

まずマイナスの要素を取り除きます

皮の下や肉と肉の間に点在する黄色っぽくブヨブヨした脂は、臭みの原因になる余分な脂肪です。これらを取り除くことで臭みが減り、味なじみもよくなります。脂肪は肉が冷えているほうが取り除きやすいので、冷蔵庫から出してすぐに取ってしまいましょう。

筋を切り、厚みを均一にするのは、肉にムラなく火を通すためです。肉を切り分ける時には皮目を下にすると包丁が入りやすくなります。余分な水分をペーパータオルに吸わせる理由は、水分から出る臭みを取るためです。

これらの下処理をしている間に肉全体が室温に戻り、肉の中心まで均一に火を通す準備ができます。

2. 小麦粉をまぶす

肉に小麦粉をまぶす。余分な粉をはたく。

「小麦粉まぶし」は利点多し

小麦粉をまぶす理由はいくつもあります。フライパンの熱が直接食材にあたらず火当たりがやわらかくなる、肉のうまみが出ていかないよう閉じ込める、たれの絡みを助ける、仕上がりにツヤが出る、など利点はいろいろ。おいしくなる有効なひと手間です。

余分な粉をていねいにはたいて薄くまぶすことで、焼きムラがなく、見た目もきれいに仕上がります。和食は仕上がりの美しさも大事にしたい点です。

3. ピーマンを切る・調味料を合わせる

ピーマンは縦半分に切り、種を除いてさらに縦半分に切る。〈A〉の調味料は合わせておく。

ピーマンの切り方にもコツがあります

ピーマンは、お尻のほうから縦に包丁を入れると種が飛び散りません。

4. 肉とピーマンを焼く

フライパンに油を入れ中火で2分ほど熱し、鶏肉は皮目を下にして置き、ピーマンは外側を下にしてフライパンの余白を埋めるように入れる。

野菜を一緒に入れるのはよい工夫です

しっかり焼き色をつけて焼きたい時には、フライパンを1~2分熱してから肉を入れます。火が通りにくい皮目を下にし、皮全体がフライパンにつくように並べます。

野菜を一緒に焼く利点は、野菜から出る水分で「蒸す」効果を得られ、肉がふっくら焼けること。また、フライパンに余白がないほうが温度にムラがなく、焼きムラも防げます。

照り焼きには、とくに苦味や香りのある野菜が合います。パプリカよりピーマン、玉ねぎより青ネギ、キノコ類ならば、えのきよりしいたけがおすすめです。野菜のうま味がたれに加わり、肉のうま味が引き立ちます。

5. ピーマンを先に取り出す

そのまま中火で4~5分焼く。ピーマンは焼き色がついたら、上下を返し、ひと焼きして取り出す。

肉にはさわらずグッと我慢

焼き始めたら肉にさわらないことが肝心です。少なくとも3分はそのままで。肉の側面から見て、下の面から5mmくらいまで色が変わり、皮に焼き色がついてきたら火がほどよく入った合図。ここで初めて肉を返します。

6. 肉を返して調味料を入れる

肉の上下を返し、余分な脂をたたんだペーパータオルで半分程度拭き取り、フライパンの中央をあけて、合わせておいた〈A〉を注ぐ。

火の入れ方がおいしさの分かれ目

肉を返してから調味料を注ぐまではできるだけスピーディに。もう片面も同じように時間をかけて焼いてしまうと、火が通り過ぎてしまいます。ここからは「焼く」のではなく「煮る」ようなイメージで火を通していくのがポイントです。

フライパンの中央をあけて調味料を直接注ぐ理由は、短時間で調味料の温度を上げるため。しょうゆを焦がすことで、香ばしさが加わり、味わいが深まります。

7. 肉にたれを煮絡める

たれが煮立たち、とろみが出てきたら、火加減を調整しながら3~4分、肉とたれを絡める。たれが大さじ2~3残るくらいで火を止める。ピーマンとともに器に盛って、残ったたれをかける。

フライパンの中の様子を見守りながら

水気が足りない時には、酒か水を足して調整します。酒のほうが、そのうま味によってコクが出て味に深みが加わります。

(1人分熱量346kcal/塩分2.0g/調理時間約20分)

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ヘルシーポイント

余分な脂肪を取り除くことで、臭みだけでなく、摂取するカロリーも減らせます。2~3カ所(15~20g)取り除くだけで80~100kcal(鶏皮換算)減と効果大。

監修・料理/小田真規子 
撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時(2022年5月)のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。