さばのみそ煮
酒とみりんは少しぜいたくに
これがおいしさの秘訣です
生臭い、パサつく、味が入らない。そんなさばのみそ煮の悩みを解消してくれるのが酒とみりんです。さばは血合いや脂が多く、それらが酸化すると臭みになります。また、脂が多いがゆえに味も入りにくいものです。「酒洗い」などの下処理で臭みを取る方法(「ぶりの照り焼き」参照)もありますが、酒とみりんをたっぷり使って調理すれば、臭みを取りながら下味も入り、ふっくら仕上げることができます。酒は沸点が約78℃と低く煮立ちが早いため、食材に火が通り過ぎることなく味が染み込み、やわらかく仕上がるのです。
さばやイワシなどの青背魚の煮つけは、濃い目のしっかり味がおすすめ。そこで味付けを2段階でしていきます。はじめに、酒とみりん、しょうゆの煮汁で味を染み込ませ、その後に、みそを加えて仕上げます。みそを最後に加える理由は、加熱によってみその香りとうま味が変化してしまうので、火を入れ過ぎないようにするためです。また「煮魚は10分以上加熱しない」が鉄則。煮込み時間は合計10分を目安にしましょう。
なお、みその種類はお好みですが、西京みそ×仙台みそなど、2種類のみそを組み合わせるのも味わいに変化がでておいしいものです。また、煮込みに向いている八丁みそを使う場合は、薬味のしょうがを入れなくてもおいしくできます。
- ●酒とみりんをぜいたくに使う
- ●みそとしょうがは最後に加える
- ●煮込み時間は10分以内
この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。
材料・2人分
さば…2切れ、または、半身分(200~250g)
長ねぎ…1/2本
みそ…大さじ3
しょうが…1かけ
〈A〉
マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん…1/2カップ
マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒…1/4カップ
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ…大さじ1
砂糖…大さじ1
酢…大さじ1
つくり方
1. さばの下処理をする
さばはペーパータオルで水気をしっかり取り除く。半分に切り、皮に1cm間隔で1cm深さの切り目を入れる。
切れ目は皮が破れないように入れます
煮魚に切り目を入れる理由は火通りのムラをなくすため。魚は肉と違って厚みを均一にできません。そのため身の厚い部分に切れ目を入れて火を通りやすくするのです。煮上がりの見た目もよくなります。切れ目は〆型に入れると皮が破れることがあるので、斜めに数本入れるのが安全策です。余分な脂や血はペーパータオルでていねいに取っておきましょう。
2. 薬味食材を切る
しょうがはせん切りに、長ねぎは4~5cm長さに切る。
これらも立派な具材のひとつです
しょうがや長ねぎの役割は臭み消しだけではありません。ひとつの食材としてもしっかり味わうことを想定して切りましょう。
3. 煮る
直径20cmのフライパン(または、鍋)に〈A〉を加えて中火で煮立て、さばと長ねぎを入れる。※2人分の煮魚の場合、フライパンは直径20cmを使うと煮汁がほどよく対流して煮汁がよく絡むのでおすすめ。
1杯の酢がいい仕事をします
脂が多く味が入りにくいさばは浸透性の高い酒やみりんで調理することで、しょうゆ味がよく染み込みます。煮汁に酢を加える理由は、臭みを消し、うま味や塩味を引き立て、味わいにキレをもたらしてくれるから。日持ちもよくなります。煮汁は一度しっかり煮立ててアルコール分を飛ばすことをお忘れなく。煮立てが十分でないと酒の苦味が残ります。そして、さばを入れる時は身が崩れないよう注意します。一度火を止めてから入れても問題ありません。
4. 煮込む
スプーンで煮汁を10回ほどかけ、煮汁の対流を促す。キッチンペーパーの中央に切り込みを入れ水で濡らし、表面に広げてのせる。煮立たせたまま中火で6~7分煮る。
濡らしたペーパータオルで落としぶたを
ペーパータオルは濡らしておくと、煮汁を必要以上に吸い上げることがなく、切り身の上面まで煮汁が届いて対流をスムーズにします。オーブンシートやアルミホイルでも代用できます。煮汁が半分くらいになるまで煮ていきましょう。
5. みそを加える
器に大さじ2~3の煮汁をとってみそを溶く。火を止めてペーパータオルを取り、溶いたみそとしょうがを加える。再び中火にかけ、煮汁をスプーンでかける。煮立ってから1~2分、とろみが出るまで煮る。
みそを入れてからは加熱し過ぎない
みそには火が通り過ぎてほしくないけれど、さばにはみそがしっかりと絡んでほしい。だから、煮る時間を短くして、煮汁をていねいにかけ続けます。しょうがを最後に入れる理由は、最初に入れるとしょうがのインパクトが強すぎて引き算することが難しいから。薬味感覚で後から加えれば風味付けに失敗しません。切り身魚の加熱は合計10分以内を目安に。しょうがに火が通り、みそと煮汁が混ざってさばになじんできたところを狙って火を止めましょう。
(1人分熱量371kcalカロリー/塩分2.4g/調理時間約20分)
ヘルシーポイント
酢を入れることで、うま味や塩味を感じやすくなり、必要以上に調味料を使わなくても味が決まって減塩に。認知症予防や記憶力向上を助けるDHA、血液をサラサラにするEPAなどを含むさばは、積極的にとりたい食材です。
使った調味料はこちら
監修・料理/小田真規子
撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時(2022年5月)のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。