豆あじの南蛮漬け

しょうゆ、みりん、酢、水=1:1:1:1
南蛮漬けのたれの黄金比率です

おいしいたれをつくること。魚を丸ごと食べられるようにカラリと揚げること。この2点が南蛮漬けの成功を握るカギです。

南蛮漬けのたれのベースは、しょうゆ:みりん:酢:水=1:1:1:1。ここに、味のアクセントとなる旨み、甘み、唐辛子の辛みを加えていきます。水の代わりにだし汁でもいいのですが、だしをとらずにかつお節を調味料のように加えても、風味と味わいを簡単に足すことができます。砂糖は甘みだけでなく、旨みのつなぎ役にもなります。玉ねぎは、旨みと甘みをもたらしてくれる、南蛮漬けにはもってこいの食材です。

頭や骨までカラリと揚げる秘訣は、魚からしっかり水分を抜くことにあります。最後に揚げ油を高温にして2度揚げのような効果を狙いましょう。また、揚げている途中であじをすくって油から上げ、水分を飛ばすという方法もあります。丸魚は想像以上に水分があり、揚げ時間もかかります。ゆっくり長めに揚げるものと心得ておきましょう。

しっかり揚げているうえに、酢の効いたたれに漬け込む南蛮漬けは、保存性が高く、常備菜にも適しています。

  • ●南蛮漬けのたれの基本を押さえる
  • ●揚げながら空気にふれさせて水分を飛ばす
  • ●最後に高温の油でカラリと揚げる

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・2人分

豆あじ(小あじ)…250~300g
小麦粉…大さじ3
玉ねぎ…1/2個(80g)
赤唐辛子の小口切り…1本分
揚げ油…適宜
〈A〉
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ…大さじ3
マンジョウ 国産米こだわり仕込み 本みりん…大さじ3
酢…大さじ3
砂糖…小さじ1
水…大さじ4
かつお節…1パック

つくり方

1. あじをさばく

まな板の上に新聞紙などをしいてあじをのせる。ぜいごを取り、うろこがあれば取る。内臓をかきだす。

すべては口あたりよくおいしく食べるため

小さくてもぜいごやうろこをしっかり取り除くことで、口あたりよく仕上がります。ていねいに処理しましょう。ぜいごは尾の付け根に包丁の刃先を入れ、刃を前後に動かしながらそぎ切りにします。うろこは尾から頭に向かって包丁の刃先でこそげ取ります。裏面も忘れずに。内臓はえらの下の部分から腹に三角形に切り込みを入れ、刃先を使ってかき出します。

2. あじをきれいにする

冷水で腹の中をよく洗い、ペーパータオルで腹の中も外側も水気をしっかりふき取る。

冷たいまま、手早くきれいに

流水ではなく、氷を入れた冷水で洗います。流水や手指の温度では、海水にいた魚にとってはかなりの高温になるため、触れるほどに傷みがすすみます。冷たいまま、手早くきれいにしましょう。

3. 玉ねぎを切る

玉ねぎは厚さ3mmに切る。

仕上がりの食感を想像して切りましょう

食感を残すためにやや太めに切ります。しんの部分には雑味があり火の通りも悪いので取り除きます。

4. 南蛮漬けのたれをつくる

〈A〉を小鍋に入れ、中火で1分煮立てる。キッチンペーパーでこし、熱いうちに玉ねぎ、赤唐辛子と合わせる。

熱々のたれが玉ねぎの甘みを引き出します

魚料理の甘みづけには、みりんをベースにするのがおすすめです。魚のたんぱく質とみりんは相性が良く、身くずれも防ぎます。1分間煮立てる理由は、みりんのアルコールを飛ばすためです。かつお節を加えるのは、さらにうま味を引き上げるため。これでだしをとらなくても手軽に味わい深くなります。熱いたれを玉ねぎと合わせることで、甘みと味わいがたれに移り、玉ねぎが媒介して全体の味なじみも良くなります。

5. 小麦粉をまぶす

揚げる直前に、あじに小麦粉を薄くまぶす。余分な粉をはたく。

素揚げではなく薄衣のひと手間を

素揚げではなく、薄く衣をつけるのは、たれをしっかりまとわせるためです。また、衣をつけることで身の縮みも少なくなり、香ばしく揚がります。腹の中まで一尾ずつ、薄くていねいに小麦粉をつけ、最後にかるくはたいて余分な粉を落とします。粉が魚の水分を吸ってべったりとした衣になってしまう前に、つけたらすぐ揚げましょう。

6. あじを揚げる

170℃の油で揚げる。5~6分したら火を強め、高温でさらに3~4分揚げる。

カラリと揚がる理由は魚の水分が抜けるから

油に小麦粉を落として、ゆっくり広がったら適温(低温)の170℃。パッと一瞬で広がったら温度が高過ぎる証拠なので注意して。まずは低温で揚げていきます。途中であじを網ですくって持ち上げ空気にふれさせると、あじの水分が水蒸気となって抜けていきます。揚げるという調理は、食材から水分を抜く行為です。油の中と空気中の両方で水分を逃していくことで、カラリと揚がります。そして最後には、揚げ油の温度を上げます。これで2度揚げのような効果があり、より軽やかに香ばしく揚がります。

7. 漬け込む

冷えていくことで味がなじみます

さっと油をきったら、揚げ立てのあじを漬けだれの中へ。あじの余熱で玉ねぎにも熱が入り、甘みと旨みが出てきます。2時間以上置くことで、冷めながら味がしっかりなじんでいきます。保存は冷蔵庫で約5日くらいです。

(1人分熱量377kcal/塩分2.3g/調理時間約40分)※あじを漬ける時間は含まず。栄養価計算はたれを50%摂取したときの値。

豆あじの南蛮漬けのレシピだけ見る

ヘルシーポイント

魚を丸ごと食べることは、健康な食につながります。まず、骨ごと食べるのでカルシウムをたっぷり摂取できます。そして、適度に噛みごたえがあるので噛む回数が増えて、満腹感を感じやすくなり、食べすぎを防ぎます。あじ、かつお節、玉ねぎなどの多彩な旨みが合わさっているので、少なめの塩分でも満足感があるのも魅力です。

料理/小田真規子 
撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時(2022年4月)のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。