鶏のから揚げ

小麦粉と片栗粉
2つの衣でふっくらカリッと

目指すのは、中はふっくらジューシー、外はカリッと香ばしいから揚げです。「肉の水分」「2種類の粉の衣」「低温と高温の2度揚げ効果」という大事な点を押さえた、から揚げの黄金レシピをご紹介します。

ふっくらジューシーな食感に欠かせないのが「肉の水分」です。肉は大きめに切り、肉汁を蓄えておきます。そして、下味つけの段階で卵などの水分をしっかり肉にもみ込んでおきます。水分を抱き込む砂糖の保水力も利用します。

肉が含んだたっぷりの水分と旨みを、1つ目の粉・小麦粉の衣でコーティングして閉じ込めます。小麦粉は吸水性があり、水分が加わると粘り気のあるグルテンを生成し、衣の壁をつくってくれます。このおかげで低温から時間をかけて揚げてもジューシーさが失われず肉がふっくらしたまま火が通ります。また、じっくりと揚げられるので肉が大きくても生焼けの心配がありません。2つ目の粉・片栗粉は、逆に水分を放出する働きがあり、カリッとした衣に仕上げてくれます。

揚げ油の温度を最後に高温にすることで、2度揚げするのと同様の効果があり、中はジューシーで外はカリッとしたから揚げができあがります。今回はフライパンを使って少ない油で揚げていきましょう。油の温度を調整しやすく、落ち着いて調理でき、油はねも避けられます。順に揚げなくても一気に全部揚げられます。

  • ●肉に水分を含ませる
  • ●2種類の粉の衣をまとわせる
  • ●低温から揚げ始めて、最後は高温で

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・2~3人分

  • 鶏もも肉…2枚(450~500g)
  • 小麦粉…大さじ4
  • 片栗粉…1/2カップ
  • 揚げ油…適宜
  • 〈A〉
  • キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ…大さじ2と1/2
  • 砂糖…小さじ2
  • しょうがのすりおろし…1かけ分
  • 卵…1/2個

つくり方

1. 鶏肉を切る

鶏肉は余分な脂を取り除き、筋切りをする。1枚を6等分に斜めに切る。

斜めに切って表面積を増やします

黄色っぽい余分な脂はくさみにつながるため、取り除きます。やわらかい身に比べて筋がある部分は火が通ったときに縮みやすいため、縮みむらができないよう筋切りしておきます。肉を斜めに切る理由は、表面積を大きくして衣をたくさんまとったから揚げにするためです。

2. 調味料をもみ込む

鶏肉に〈A〉を加える。水分が少なくなるまで1分ほどもむ。

それぞれの調味料に意味があります

鶏肉に下味をしっかりともみ込むことは、短時間でおいしくやわらかく仕上げるための大切なステップです。しょうがは鶏肉のくさみ消しと味のアクセント。しょうゆは塩けと旨みが味のベースに、加熱されたときの香ばしい香りが味わい深さにつながります。砂糖は味の奥行を出すほかに、水分を抱き込むため、しょうゆなどの水分をたっぷりと肉にまとわせます。卵はそれ自体が旨みと水分になるだけでなく、たんぱく質が衣と肉とのつなぎ役にもなります。

3. 小麦粉をまとわせる

小麦粉をふり入れて、よく混ぜる。10分ほどおく。

水分と旨みをグルテンの力で閉じ込めます

小麦粉をまとわせる理由は、旨みを閉じ込めるためです。肉にもみ込んだ調味料たちを小麦粉で固めるようなイメージです。水分によってグルテンが形成され、粘りが生まれ、肉の表面にしっかりと衣の下地をつくります

4. 片栗粉をまとわせる

片栗粉をふり入れて、ざっくりと絡める。

不均一な衣で大丈夫です

カリッと揚げるための片栗粉です。全体にふりかけて、ざっと表面に絡めるくらい、不均一な状態で十分です。

5. 低~中温で揚げる

油をフライパンに1cmほど入れる。中火で5分ほど熱し、170℃くらいになったら、(4)をすべて入れて揚げる。強めの中火にして、触らずそのまま2~3分揚げる。上下を返してさらに2~3分揚げる。

肉を一度に入れることで上手に揚げられます

油に落とした衣が表面で小さく広がったら170℃くらいになった合図です。肉を入れる直前にかるくギュッとひと握りし、衣を定着させます。肉を全量入れると一度油の温度が下がるので、火を少し強めます。ここからじっくりと揚げ、衣が硬くなってくるまでは肉にさわらないようにしましょう。全体に色づくように途中上下を返します、油の泡が小さくなってきたら次のステップへ。

6. 高温で揚げる

火を強めて、1~2分揚げる。時々、肉を持ち上げて空気にふれさせる。油をきって網に取り出す

高温で水分を飛ばしてカリッと揚げます

最後に高温で揚げるとカリッと揚がります。揚げるという調理は、食材から水分を抜く行為です。肉を持ち上げ空気に触れさせることで、表面の水分が水蒸気になって抜けます。油の中と空気中の両方で水分が抜けることで、カラッと揚がります。高温の油はサラっとしているので、油切れもよくなります。

(1人分熱量552kcal/塩分2.4g/調理時間約30分)

鶏のから揚げのレシピだけ見る

ヘルシーポイント

むね肉を使う、皮をまるごと取り除くなどで大幅にカロリーカットできます。余分な脂肪を2~3カ所取るだけでも80~100kcal(鶏皮換算)減できるので、ていねいな下処理もおすすめです。

料理/小田真規子 
撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2022年12月1日