焼き豚
焼かずにまず「ゆでる」のが
しっとり仕上げる秘訣です
和食の焼き豚は「ゆで」てから「焼く」の2ステップでつくります。オーブンなどで焼いてつくる方法よりもしっとり仕上がるうえ、簡単です。
「ゆで」工程では、たっぷりの湯に肉を沈めることが肝心です。湯に沈んでいることで、全方向からまんべんなく熱が伝わります。そして、火から下ろしてそのまま湯の中で1時間置くことで、余熱でさらにじんわり熱が入り、しっとり仕上がります。「焼く」工程では、肉の表面をまんべんなく焼きます。香ばしさで下味をつけるようなイメージです。
肉は肩ロースのかたまり肉を使います。脂と赤身のバランスが良く、焼き豚に最適です。さらに中心にまで脂身のあるものを選ぶと旨みが濃くておすすめです。味つけは和食らしくシンプルな調味料と香味野菜のみで。スパイスなどで香りづけせず、素材の持ち味をいかします。最後にフライパンの中で肉の脂としょうゆ、みりんが混ざり合い香ばしい風味を放ちます。この香ばしさこそがおいしさの決め手です。
- ●焼く前にゆでる
- ●湯の中で1時間置く
- ●香ばしさをしっかりまとわせる
この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。
材料・つくりやすい量(4人分)
- 豚肩ロース(かたまり)…400~500g
- ごま油…大さじ1
- きゅうり(細切り)…適宜
- 〈A〉
- キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ…大さじ3
- マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん…大さじ3
- 砂糖…大さじ3
- しょうが(すりおろし)…1かけ分
- にんにく(すりおろし)…1かけ分
つくり方
1. 肉を常温に置く
豚肉を常温で30分置き、表面の水分をふき取る。
赤身から出る水分をふき取ります
冬場は約1時間置いておきます。置いておくと肉から水分が出てきます。水分が残っていると、くさみの原因になるうえ、ゆでるときに温度が上がりにくくなるのでふき取っておきます。
2. 肉をゆでる
鍋に6~7カップの水を入れて沸かす。沸騰したら肉を入れ、弱火で30分ゆでる。途中で上下を返す。
大切な熱源なので湯量は減らさないように
湯は肉に火を通すための熱源になるため、むやみに減らさないこと。鍋の深さによりますが、6カップはしっかり計量してください。肉に均一に火を通したいため途中で上下を返すことも忘れずに。鍋は直径20cmでしっかりふたのできるものがおすすめです。かたまり肉を扱うときにはトングが活躍します。
3. 湯の中でそのまま置く
鍋を火から外し、ふたをして1時間置く。
湯の中でじんわりしっとり
湯に入ったまま休ませるのは、余熱で火を通しながら、水分を与えてしっとり柔らかくするためです。
4. 調味料を絡めて置く
肉の水気をふき取り、ファスナーつき保存袋に入れる。〈A〉を加えて混ぜ、絡める。空気を抜きながら閉じ、30分以上置く。
調味料は袋の中で一体化
肉に味がなじむように表面の水気を軽くふき取ります。調味料はそれぞれ直接入れていきます。袋の外から調味料を混ぜるようにもむことで、肉の熱で砂糖も溶けて、肉に味がなじみます。肉全体に調味液がふれるようにして、空気をしっかり抜き保存袋の口を閉じます。真空に近い状態にすることで味がよりなじみます。
5. 焼く
フライパンにごま油を熱し、肉を転がしながら中火で2~3分かけて焼く。
香ばしさをつける大切な工程です
保存袋から肉を取り出し、軽く調味液をきってから焼きます。焼けた風味と香りをつける大切なステップです。転がしながらまんべんなく全面に焼き目をつけましょう。肉を立てて両サイドもしっかりと。焼き焦げた肉のかけらや焦げた調味液はふき取っておきます。フライパンは直径20cm程度の小さめのものがおすすめです。
6. 煮絡める
袋に残った調味液を加え、強火で煮立てる。肉を転がしながら、水分が半量になるまで約5分煮絡める。すぐに食べる場合は10分置いてから好みの厚さに切って、好みできゅうりとともに盛る。
タレをつくりながら煮絡めていきます
肉の表面の脂と調味液を合わせ、タレをつくりながら煮絡めます。タレの煮詰まり具合を見つつ、焦げつかないよう常に転がしながら味を絡めていきます。タレが半分になったら出来上がりです。すぐに切ると肉汁が流れ出てしまうため、10分以上置いて肉を落ち着かせてから切りましょう。保存する場合はタレごと保存容器に移します。冷蔵庫で約1週間保存できます。
(1人分熱量396kcal/塩分2.0g/調理時間約80分)※調理時間に豚肉を常温に戻す時間、豚肉をゆでて鍋に置いておく時間は含まず。
ヘルシーポイント
肩ロースをヒレ肉などに替えると焼き豚のおいしさが出ないためおすすめしません。肉は替えずに、たっぷりのきゅうりと一緒に食べたり、葉野菜やのりを巻いたりしてカサ増しをするとよいでしょう。
料理/小田真規子 撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.) 編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2023年4月28日