ふくさ寿司

和食の知恵と工夫をこらした
きれいなうす焼き卵で包みます

ふくさは、ご祝儀袋などを包む小さな風呂敷のこと。ふくさに見立てたうす焼き卵でかやく入りの酢飯を包む、華やかな寿司です。うす焼き卵は、できるだけ焼き色をつけず、なめらかでしっとりと焼き上げます。そのために、卵液をつくる際には塩、砂糖と片栗粉を多めに加えます。塩が卵のたんぱく質をほぐし、保水力の高い砂糖が卵液をなめらかにし、片栗粉のでんぷんがつなぎ役になることで、卵はきれいな色でやぶれにくく丈夫になるのです。火をしっかり入れなくても卵生地がつながってくれるので、焼き色がつく前に裏返すことができ、鮮やかな黄色のまま焼き上げることができます。

かやく入りの酢飯の味わいの決め手は干ししいたけ。必ず入れたい具材です。細かくちぎったのりは、具材や合わせ酢の水分を吸ってくれるほか、香り、味わい、彩りとしても欠かせません。合わせ酢は、通常のすし酢よりもやや甘めにつくると、うす焼き卵との味わいのバランスがよくなります。具材はやや多め、米の半量ほど加えるとボリュームもあり華やかに仕上がります。

  • ●塩・砂糖・片栗粉を入れて卵液をつくる
  • ●かやくには干ししいたけとのりを入れる
  • ●合わせ酢はやや甘めに

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料(8個分)

  • 〈A:うす焼き卵〉
    • 卵…8個
    • 塩…小さじ1/2
    • 砂糖…大さじ4
    • 片栗粉…大さじ2
  • 〈B:かやく〉
    • のり…全型2枚
    • 干ししいたけ…2枚(30g)
    • にんじん…50g
    • れんこん…50g
  • 〈C:かやくの煮汁〉
    • 水…1と1/2カップ
    • キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ…大さじ1と1/2
    • マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん…大さじ1と1/2
    • 砂糖…小さじ2
  • 〈D:酢飯〉
    • 米…2合
    • 酢…大さじ3
    • 砂糖…大さじ3
    • 塩…小さじ1
  • 〈E:仕上げ用〉
    • 三つ葉…8本(またはのり適宜)

つくり方

1. 卵液をつくる

卵は箸先をボウルの底につけ約50回ほぐす。塩、砂糖の順に加え、そのつどよく混ぜる。片栗粉は水大さじ4と混ぜて水溶き片栗粉をつくり、卵液に加えてよく混ぜ、濾す。

なめらかでやぶれにくい卵液をつくります

卵を割りほぐしたら、まず箸で黄身をしっかりとつぶします。ボウルの底に箸先をつけて50回ほど行き来させてほぐします。塩を入れると卵のたんぱく質がほぐれなじみやすくなるので、先に塩を加えます。よく混ぜたら、砂糖を加え、さらに混ぜます。砂糖を入れると卵液がなめらかになります。水溶き片栗粉は片栗粉に水を加えながら混ぜてつくります。水溶き片栗粉のおかげでやぶれにくいしなやかな卵液になります。全体を再びよく混ぜてから、万能こし器で濾します。最後はゴムべらなどで押し出すようにします。

2. うす焼き卵を焼く

フライパンに薄く油をぬり広げ、中火で熱する。卵液の1/8(60~70ml)を流し入れる。フライパンを回しながら卵液を広げる。火を弱める。表面が乾いたら、火を止める。裏返す。弱火で約30秒、焼く。これをくり返し、計8枚焼く。

焦がさず破らず1枚ずつ

直径26cmのフライパンを使って焼いていきます。油はキッチンペーパーに含ませて薄くぬります。卵液を流し入れる前に、フライパンを1分〜1分半熱しておきます。卵液は片栗粉が沈みやすいので、流し入れる前にひと混ぜすることを忘れずに。計量カップで計ってから流し入れるとスムーズです。フライパンは火から離して作業すると、あわてずに卵液を広げられます。裏返すときは、ゴムベラなどで卵の端を少しはがしてから、ゆっくりと返します。手を使う場合は必ず火を止め、やけどしないよう注意してください。焼けた卵焼きは、最初にフライパンに接していた面が上にくるように、お皿などに重ねます。ラップをふんわりかぶせておき、蒸気をほどよく逃しつつ乾燥を防ぎます。

3. しいたけを切る

干ししいたけは、たっぷりの水(分量外)に3~4時間つけて戻す。小鍋にしいたけとたっぷりの水(分量外)を入れて中火にかけ、煮立ったら15~20分ゆでる。水にとって冷やし、水けを絞り、5㎜角程度の粗みじんに切る。

しいたけの風味の強さをやわらげます

干ししいたけの味わいは欠かせないのですが、ほかのかやくに比べて風味が強いため一度ゆでて独特の香りをやわらげます。ゆでることでしんなりとして、食感もほかのかやくとなじみやすくなります。ゆでた後に水にとると、冷めて扱いやすくなります。石づきは切り落とし、かさの部分だけを使います。

4. にんじん、れんこんを切る

にんじんとれんこんは、それぞれピーラーで皮をむき、5㎜角程度に切る。

かやくをすべて同じ大きさにします

かやくを同じ大きさにそろえたいので、しいたけと同じく5mm角に切ります。れんこんは、まず縦二つに切り、輪切り方向に幅5mmの半月にし、数枚重ねて細い拍子切りに。それを5mm角に刻みます。にんじんは、縦に幅5mmに切り、細い拍子切りにしてから5mm角に刻みます。

5. かやくを煮る

小鍋に〈C〉としいたけを入れて中火にかけ、煮立ったら7~8分煮る。にんじん、れんこんを加え、再び煮立ったら弱火にし、汁けがなくなるまで約12分煮る。

しいたけを先に煮る理由

味がなじみづらいしいたけを先に煮ることで、味のしみ込みが均一になるうえ、しいたけからだしが出て、煮汁のうまみが増します。煮汁が半分くらいになったところで、にんじんとれんこんを加えます。温度がいったん下がるので再び煮立て、最後は弱火で汁けが少なくなるまで煮て、味をじっくり含ませます。

6. のりをちぎる

指で細かくちぎる。

酢飯とかやくをつなげるために細かく

4等分にして重ね、端から小さくつまむようにしてちぎっていきます。ポリ袋に入れて軽くもむようにしても構いません。のりには香りと彩りだけでなく、かやくとごはんをつなげる役目もあり、細かい方がまんべんなく混ざり一体感がでます。

7. 酢飯をつくる

〈D〉の米は普通に炊飯する。調味料を合わせてよく混ぜ、合わせ酢をつくる。炊き上がった白飯をボウルに入れて合わせ酢をかける。粗熱をとりながら、切るように混ぜる。

粘りが出ないように混ぜます

合わせ酢は全体にまんべんなく行き渡るようにかけ、30秒ほどおいて合わせ酢を吸わせます。手早く粗熱をとって水分を飛ばしたいので、しゃもじを立たせて切るように均一にほぐします。うちわであおぎ、冷ましていきます。

8. 合わせる

粗熱が取れたら、かやくを加えて混ぜる(のりは2回に分けて加える)。均等に混ざったら8等分して丸める。

のりは2回に分けて加えます

のりは水分で固まりやすいので、半量ずつ、2回に分けて加えていきます。ここでも粘りが出ないように気をつけます。かやくとご飯が均等に混ざればかやく入り酢飯は完成です。

9. 包む

うす焼き卵をまな板に広げる。中央よりやや手前に、かやく入り酢飯をのせて名刺大の四角に広げる。卵を左→右→手前→奥の順に折りたたみ、包む。

きれいに焼けている面が表にくるように

うす焼き卵は、焼くときに最初にフライパンに接していた面を表にするときれいです。その面を下にして置き、包みます。かやく入り酢飯を中央よりやや下に置いて巻き始めることで、包み終わりがぴったりきれいに収まります。卵を破かないようにやさしく包んでいきましょう。

10. 結ぶ

約30分、置く。ゆでた三つ葉を巻いて、結ぶ。

薄焼き卵を留めながら見栄えよく結んで完成

かやく入り酢飯と卵がなじみ、形が落ち着くまで30分ほど置いておきます。三つ葉はお湯でさっとゆで、冷水にとって水けをきり、結びます。幅2cmに切ったのりを巻いてもいいアクセントになります。のりの場合は巻き終わりを下にして押さえます。

(1人分熱量533kcal/塩分3.2g/調理時間約30分)※調理時間に炊飯時間、干ししいたけを戻す時間は含まれません。

ふくさ寿司のレシピだけ見る

ヘルシーポイント

具だくさんなのですし酢の塩を半量にしてもいいでしょう。中身のかやく入り酢飯を控えるとその分カロリーも減らせます。

料理/小田真規子 撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2024年6月12日