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過去の展示

四季を巡る江戸庶民の行事と暮らし
秋 芝明神社
秋 芝明神社 芝神明町の大神宮の祭礼は旧暦9月11日から21日までの10日間も長く続くことから「だらだら祭」ともいわれる。
「生姜の市が立ち、参詣の人は葉生姜を求めて帰り、家の糠漬の中へ入れ、これを食せば風邪の予防となる。俗に生姜祭という」(『改正月令博物筌』―文化5年・1808年)とある。生姜だけでなく、千木笥(箱)といって小判型の曲物に、藤の花を赤、緑、青などの胡粉で画いたものに飴を入れて売っていた(『東都歳時記』)。
笥は大中小の三つ重ねでくくってあり、現在は大豆の煎ったものが数粒入れてある。この豆を食べると魔除け、雷除けになるといい、又、箪笥の中に入れておくと着物が増えるといわれ、婦女子には今も人気がある。
生姜は熱帯アジア原産で、わが国へは中国から渡来したものであろう。奈良時代にすでに栽培されていたらしい。料理書研究の権威川上行蔵博士(1898~1994年)によれば、当時、山椒を「ナルハジカミ」、生姜は「クレノハジカミ」といい、共に「薑」の字が当てられていて、「クレノハジカミ」は「生薑」と書いて「ショウキョウ」と読み、鎌倉時代には「ショウゴウ」とも読んだようである。生薑から生姜の字になり、「ショウガ」と読むようになったのは『四条流包丁書』(延徳元年・1489年)からである。
江戸時代、生姜の産地として有名であった谷中(現台東区)から、東京では今も葉生姜を「谷中」と呼んでいるが、関西方面では古名のハジカミといい、ショウゴウと呼ぶ地方もあると聞く。
飯倉明神祭礼
葉生姜/飯倉明神祭礼
芝神明社