おはぎ

こっくりしたおいしさの秘密は
しょうゆの隠し味

おはぎは、あんこを味わう素朴な和菓子です。手間はかかりますが、手づくりするとひと味違います。あんこの甘さの基本は「小豆(乾燥):砂糖=1:1」。ここにしょうゆの隠し味で甘さを引き締めます。多めでつくるほうがおいしく仕上がるので、200g以上でつくってください。他の豆とは異なる小豆の特徴を理解して調理していきましょう。

小豆は皮の表面からはたくさんの水を吸わないので、水に浸してもどすことはせず初めから「下ゆで」をして、胚座(白い部分)からの吸水を促します。一度ゆでこぼすことで「渋きり」(皮に含まれる渋み成分を除く)をし、雑味を除きます。ただ、自家製のあんこは多少の雑味も味わいのうちなので、小豆本来の味わいを逃してしまわないよう、下ゆでは1回にとどめます。続く「本ゆで」で豆をやわらかく煮ていきます。砂糖を加えるのは、そのあとです。砂糖を加えるまでは、小豆をつぶさないように気をつけます。小豆がつぶれると煮汁にとろみがつき火通りが悪くなり、やわらかくなりにくうえ、えぐみも出て味のまとまりが悪くなります。

あんこで包む米は「もち米:うるち米=1:1」を混ぜるのがおすすめです。程よい甘さともちもち感がありながら重くなりすぎません。炊き上がったら半つぶしにしてあえて食感にむらをつくります。

  • ●200g以上の小豆でつくる
  • ●「下ゆで」と「本ゆで」でやわらかくする
  • ●「もち米:うるち米=1:1」のご飯を半つぶしにする

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・16~20個分

  • 小豆(乾燥)…200g
  • 砂糖…200g
  • キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ…小さじ1/2
  • うるち米…1合
  • もち米…1合
  • 砂糖…大さじ1~2

つくり方

1. 「下ゆで」する

小豆はさっと洗い、水けをきる。鍋に4~5カップの湯を沸かし、小豆を入れる。煮立ったら弱火にし、20分ゆでる。ざるにあけて汁けをきり、軽く水洗いする。割れている豆は取り除く。

沸騰した湯に入れて吸水させます

小豆は皮から水分を吸わないので、沸騰した湯に入れてゆでて胚座(へそ)から一気に吸水させてもどします。下ゆでには2つの意味があります。小豆を戻すことと、雑味を取り除く「渋きり」です。最後にサッと水洗いをし、表面のアクやえぐみを洗い流しながら豆を冷まします。割れた豆があったら取り除きます。

2. 「本ゆで」する

小豆を鍋に戻す。豆の上に2~3㎝程かぶる量の水を加える。強火にかけ、一度煮立たせたらアクを取る。豆が踊らない程度の弱火にして40~50分煮る。豆が湯面から出たときは差し水をする。

豆が顔を出さないように差し水をしながら

ゆで汁は豆に吸収される水分であると同時に、豆に熱を伝える役目もしています。すべての豆を同じようにゆで上げたいので、常にすべての豆がゆで汁の中にある状態をつくります。差し水はゆっくり回し入れ、1カップずつ加えていきます。

3. 砂糖を加えて、30分置く

親指と薬指で小豆をはさみ、つぶれるくらいになったら火を止める。砂糖を加えて、混ぜる。30分~60分置く。

置いておくことで甘みが浸透します

やわらかさを確かめるときに薬指と親指を使って、力を入れなくてもつぶれるくらいがちょうどいいやわらかさです。砂糖を加えたあとはやわらかくなりにくいので、加える前までに十分にやわらかく火を通しておきます。砂糖を加えるとゆで汁が増えてさらっとした感じになります。甘みがすぐにはしみ込まないので、最低でも30分、時間があるときは1時間以上おいて味を行き渡らせます。

4. 練るように煮る

再び中火にかける。煮立ったら、絶えず混ぜながら7~8分煮る。

豆をつぶさないようヘラで混ぜ続けます

焦げやすいので必ず混ぜ続けます。豆をつぶさないよう気をつけながら、大きく練るようなイメージです。全体がもったりと固まり、すくっても流れずゆっくり落ちていくようになったら練り上がりです。冷えると固くなっていくので少しゆるめを目標に。

5. しょうゆを加える

火を止める。しょうゆを加える。

しょうゆの塩みとコクが大事な隠し味

しょうゆの香りを生かすため、火を止めてから加えます。全体にひと混ぜして、塩みとこっくりと仕上がるコクをあんこになじませます。

6. 半日以上置く

バットに4~6等分して広げ、濡らしたペーパータオルをかぶせ、粗熱をとる。ジッパー付き保存袋に平らに入れる。常温で半日以上置く。

甘みを安定させるために寝かせます

あんこが乾燥しないよう濡らしたキッチンペーパーで覆いながら、粗熱をとります。バット一面に広げてしまうと、中央と端に乾燥むらや温度むらができてしまいます。均一にはやく冷ますために小分けにします。粗熱がとれたら、全体を混ぜ合わせ、空気を抜きながら保存袋に平らに入れて、常温に置きます。半日以上寝かせることで甘みが落ち着き、しっとりします

7. 米を炊く

うるち米ともち米を混ぜる。炊く30分前にとぎ、ざるに上げる。水350ml(分量外)で炊く。

2種の米を炊飯器で普通に炊きます

2種の米を混ぜ、一緒にといで、ざるにあげておきます。30分ほど置いておく間に水分がじんわりと米粒にしみ込みます。炊飯器で普通炊きします。

8. 半つぶしにする

熱いうちにボウルにあける。砂糖を加えて半つぶしにする。

熱々のうちにお好みのつぶし具合に

ご飯の熱さで砂糖を溶かしながら、麺棒などを使って半つぶしの状態にします。砂糖を入れることで、もち米とうるち米がまとまって、冷めてもやわらかさを保ちます。つぶし具合はお好みで。熱々のうちにつぶしましょう。麺棒にご飯がくっつくときは、水で濡らしながら作業します。

9. 丸める

16~20等分し、丸める。

大きさも形もお好みで

ご飯とあんこをそれぞれ等分に分けます。16〜20等分くらいが食べやすい大きさです。楕円に仕上げたいときは、ご飯を楕円に丸めておきます。

10. 包む

あんこを平らに広げ、ご飯をのせる。上下を返して、上からあんこを少しずつ広げる。再び上下を返して、下からあんこを広げながら、包む。

上面はしっかり覆います

あんこでご飯を覆いきれないときは、上面の見える部分だけはしっかり覆い、底面にご飯が多少出ていても構いません。また、あんこが手についてしまい作業しにくいときは、水に濡らして固く絞ったふきんや厚めのキッチンペーパーなどを手に広げてくるみながら包むと楽です。

(1人分熱量498kcal/塩分0.1g/調理時間約90分)※調理時間にあんこを寝かせる時間、炊飯時間は含まれません。栄養計算値は5人分とした場合の値です。

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ヘルシーポイント

あんこに入れる砂糖を120〜150gに減らして、甘さ控えめのおはぎにすると糖分を抑えられます。小ぶりにつくっておくと、1回に食べる量をコントロールできます。

料理/小田真規子 撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2024年3月12日