わが家の「すき焼き」
レシピ大研究!
とことんおいしく
食べるコツ教えます
シンプルな定番料理こそ本当においしいつくり方を知りたいと思いませんか? そこで今回は「すき焼き」を大研究! 地域によってつくり方や具材が異なり、楽しみ方もさまざま。実はとっても奥が深~い「すき焼き」。おうちでとことんおいしく食べるためのレシピを探ります。つくり方のコツだけでなく、なぜそれが大事なの?といったおいしさの理由も紹介。知ってなるほど「すき焼き」の豆知識&基本レシピをお届けします。
おいしくなるには
理由がある
「すき焼き」を
もっと知ろう!
ねぎやしらたきなど、定番の具を入れる理由、つくり方の基本、そして大事な「鍋」。それぞれに詳しくなったらぐっとおいしいすき焼きがつくれるようになります!
具材には「役割」があります
「とりあえず、ねぎ、しいたけ、豆腐……」と牛肉以外の具材を何気なく選んでいませんか? 実はそれぞれの具材には大切な役割があります。3つの役割を知っておくだけで、具材を入れる順番や追加する時のコツ、具材を変えたアレンジもうまくいくこと間違いなし。代表的な食材と一緒に知っておきましょう。
香りとうま味を出す役
ねぎ、しいたけは「香り・うま味を出す」具材です。煮汁にとろみを出す役割も担っています。とくに、しいたけはすき焼きの味の要で、ほかのきのこに変えると味わいが変わります。
代役食材:
●ねぎ→玉ねぎ
●しいたけ→エリンギ、しめじ
水分調整とうま味を吸う役
しらたき、豆腐は「煮汁の水分を調整し、うま味を吸う」具材です。鍋の中で水分を出しながらどんどんうま味を吸いこんでおいしくなり、煮汁全体のバランスも整えます。
代役食材:
●しらたき→糸こんにゃく
●豆腐→厚揚げ、お麩
香りのアクセントになる薬味役
春菊は、香りと食感のアクセントを出す「薬味」具材です。薬味は最後に入れるべし、と覚えておきましょう。とくに葉は、半生でも大丈夫。入れたらすぐに食べるのがおすすめです。
代役食材:
●春菊→水菜
「2段階入れ」と「食べ終わってから2回目」が鉄則です
すき焼きは、いわゆるお鍋のようにグツグツ煮込むものではなく、肉や具材そのものをそれぞれの絶妙な加熱加減で楽しむもの。具材を一気に鍋に入れてしまうのはNGです。1段階目はねぎとお肉、2段階目はほかの具材を楽しむという「2段階入れ」が基本です。そして、途中で肉や具材を追加せず、1回目の肉や具材をできるだけ食べ終わってから、2回目をスタートしましょう。
「鉄鍋」がいい仕事をします
フライパンやホットプレートですき焼きをつくると、肉豆腐のようになってしまったことはありませんか? それはそれでおいしいものですが、本当においしいすき焼きをつくるには「鉄鍋」を強くおすすめします。高火力と鉄鍋の蓄熱力による加熱がすき焼きのおいしさのカギ。最初に入れる牛脂の溶け方や香りからして違います。鉄鍋の温度をいっきに上げ、牛脂、ねぎ、調味料の香ばしさを味方にしましょう。
ポイントを押さえて
基本の「すき焼き」を
つくろう!
せっかくのごちそうです。ていねいにコツをおさえてつくってみましょう。おうちでおいしくつくる手順を徹底的に解説します。
きちんとつくる「すき焼き」
鉄鍋を使って牛肉と5つの具材でつくる関東風すき焼きの基本レシピ!
すき焼きの味付けといえば「割り下」ですが、実はほかにも味付けのカギとなるポイントがあります。それぞれの工程で味を重ねていくことをイメージしながら、とびきりおいしい「すき焼き」をつくりましょう。ごはんもお酒もすすむ家族みんなのごちそうです!
材料(2~3人分)
- 牛すき焼き用(ロースまたはバラ肉)
- 300~400g
- ねぎ
- 2~3本
- 生しいたけ
- 8枚
- 木綿豆腐
- 1丁
- しらたき
- 300g
- 春菊
- 200g
- 牛脂
- 20g
- 砂糖
- 大さじ2~3
- (A)割り下
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- キッコーマン 特選丸大豆しょうゆ
- 1/2カップ(100ml)
- マンジョウ 濃厚熟成 本みりん
- 1/2カップ(100ml)
-
マンジョウ 国産米こだわり仕込み
料理の清酒 - 1/2カップ(100ml)
- (B)昆布水
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- 昆布(5cm角)
- 2枚
- 水
- 1/2カップ(100ml)
- 米麹こだわり仕込み清酒
- 1/2カップ(100ml)
つくり方
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具材や調味料を準備する
ねぎは斜め2~3cmに切る。しいたけは縦半分に切る。しらたきは食べやすく切り、熱湯で3分ゆでてざるにあげ、水を切る。豆腐は8等分に切りペーパータオルに置いておく。春菊は葉をちぎり、茎はざく切りにする。調味料は計っておく。
ねぎはじっくり焼いて香りを出すため大きめに切ります。豆腐は煮崩れしないよう大きめにカットし、水気が出ないよう水分をかるく切ります。春菊は茎と葉を入れるタイミングが違うので分けておきます。
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割り下と昆布水をつくる
鍋に(A)のみりん、酒を入れ煮立ててアルコールを飛ばす。火を止めてからしょうゆを加える。カップに(B)を入れ、30分以上置いておく。
(B)の昆布水は煮詰まってきた時に使います。ただの水で薄めると味がぼけてしまいますが、昆布水はうま味を補填しながら薄めてくれるすぐれもの! 酒を加えることで沸点が下がるので肉がかたくなりにくいうえ、味のつながりもよくなります。
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牛脂でねぎを焼く
鉄鍋を中火で熱し、牛脂を入れて溶かす。ねぎ(1回目用の1/2量)を焼く。
【味つけ1】牛脂とねぎでうま味と甘味のベースをつくる!
牛脂でねぎをしっかり焼くことですき焼きらしい香りが出て、味が深みを増します。
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砂糖と牛肉を焼き付ける
ねぎを片方に寄せ、空いたところに砂糖を広げる。その上に牛肉(1/2量)をのせて砂糖と絡めながら焼きつける。
【味つけ2】砂糖を絡めて、甘み・苦み・香りを出す! 砂糖だけを焦がすようなイメージで、肉と砂糖が少し色づくように焼きつけていきます。
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割り下を注ぐ
肉がひたるくらいに割り下を注ぐ。牛肉の色が変わり始めたら、肉をねぎの上にのせる。
【味つけ3】 割り下で味を調える! 鉄鍋の中に、牛脂と糖分と水分が混ざり合い乳化した状態をつくるイメージで肉と割り下を絡めていきます。牛肉をねぎの上に避難させるのは熱が入りすぎないようにするためです。
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具材の半量を加えて煮る
具材の配置を考えながら、しいたけ、豆腐、しらたき、春菊の茎(各1/2量)を加え、5~10分煮る。途中、上下を返して味をなじませる。最後に春菊の葉を加えて、煮えたところから卵をつけていただく。味が濃く感じたら(B)の昆布水を加えて調整する。
お酒とみりんは、浸透性が高く食材への味なじみが早いだけでなく、沸点が水より低いので見た目に沸き立っていても鍋の中が100℃を超えません。肉が硬くならないのはそのおかげです。
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2回目を楽しむ
2回目は、鍋の中の肉と具材をすべて食べ切ってから。鍋に残っているタレに残りの1/2量の肉と具材を加え、ひたるくらいの割り下を入れ、お好みの煮え具合になったらいただく。
(1人分616kcal、塩分4.0g)※3人分で割り下65%摂取とした場合の値です。
すでに香ばしくてうまみたっぷりのすき焼きの煮汁が出来上がっています。ここで豚肉や鶏肉など肉を替えるのもひとつのアイデア。また地域による様々なすき焼きの良さもわが家流でとり入れてみて。
すき焼きといえば、このペア!
「キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ」と「マンジョウ 濃厚熟成 本みりん」の組み合わせがおすすめ。コクとうま味の合わせ技でガツンとくるおいしさのすき焼きに仕上がります!
足したり、引いたり!
アレンジ「すき焼き」を
楽しもう!
しょうゆやみりんを合わせて割り下をつくるすき焼きは、味わいをわが家好みにアレンジできるのが魅力。割り下のバリエ―ションや味わいが変化するプラス食材を紹介します。
「割り下」の配合を変えてみる
あっさり味
お酒のうま味を感じる、あっさり味に仕上がります。卵をつけずにわさびやからしを好みでつけて食べてもおいしい仕上がりに。
●キッコーマン 特選丸大豆しょうゆ 1/2カップ(100ml)●マンジョウ 濃厚熟成 本みりん 1/3カップ(約65ml)●マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒 2/3カップ(約130ml)
甘めの味
甘めが好きな方や、脂の少ない肉で物足りなく感じた時におすすめの味つけです。
●キッコーマン 特選丸大豆しょうゆ 1/2カップ(100ml)●マンジョウ 濃厚熟成 本みりん 2/3カップ(約130ml)●マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒 1/3カップ(約65ml)●砂糖 大さじ2
しょうゆとみりんを替えるのも良いアレンジ!
「キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ」「マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん」を使うと食べ飽きることのないすっきりとしたおいしさに。牛肉はもちろん、鶏肉とエリンギと水菜で「鶏すき焼き」にアレンジするなど楽しみ方も広がります。
「個性派食材」をプラス
ひと味違う食材を加えて変化を楽しむのも、おうちのすき焼きならでは。最初に紹介した具材の3つの役割を参考にしながら、お好みの味を探してみてください。おすすめはにんにく、トマト、ごぼう。1つ加えても全部加えてもOKです。にんにくは1cm角くらいにして加えると具材として楽しめます。このほか、食べる直前に黒こしょうをひとふりするのもおすすめ。
それぞれの役割は?
●にんにく:香りを出す、コクをプラス、スタミナ感をアップ
●ミニトマト:うまみを出す、酸味・彩りをプラス
●ごぼう:香り・うまみを出す、食感の変化を楽しむ
「関西風」すき焼きで肉を堪能
割り下でひたひたにせず、最初に肉、砂糖・しょうゆ・酒を絡めて焼いて食べるすき焼きが関西ではポピュラーです。これにならって先にねぎと肉を砂糖で絡めるように焼き、少量の割り下(もちろんしょうゆと酒でも)で味つけして食べ、その後に具材と割り下を加えて食べるという合わせ技もおいしそう!
教えてくれた人 小田真規子さん
料理家・フードディレクター・栄養士。スタジオナッツを主宰し、徹底的な研究と試作による検証で、誰でもおいしくつくれる料理レシピを数多く生み出す。雑誌、テレビ、新聞などのメディアで活躍するかたわら、その信頼感から企業のメニュー開発などのアドバイスを依頼されることも多数。近著に『レンジでおいしい! 1人分の定番おかず』(扶桑社)、『今日から料理を始める人の61レシピ』(KADOKAWA)などがある。
スタジオナッツ http://studionuts.com インスタグラムID studionutsnuts パプリカマキコの料理のパプリ科/foodshot_kusudama 料理フォトくすだま
撮影/高杉 純 文/峯田亜季
※商品情報は本記事公開時点のものです。公開後にリニューアル、
販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2021年11月26日 更新:2024年4月19日
ホームクッキング担当ライターより
目からウロコの知識が満載だった今回。具材たちの重要な役割や鉄鍋の重要性などを知って感動しました。味の設計図を理解すると料理がグッと面白くなりますね。すき焼きって本当に奥深い! そして本当においしい!! しょうゆ・みりん・お酒でつくる割り下は配合次第でおうちの味が出せるのが魅力ですが、もっと手軽に専門店のような味が楽しめる「キッコーマン わが家はすき焼屋さん 熟成仕込み割下」もあります。食べ比べを楽しみながらわが家史上最高のすき焼きレシピを探してみてください。
「キッコーマン わが家はすき焼屋さん 熟成仕込割下」はこちら