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刺し身をさくから切るコツと
基本の切り方を詳しく解説
【初めてでも簡単&きれい!】

ちょっとしたごほうびに、あるいはハレの日に、昔から日本の食卓を飾ってきた刺し身。「きれいにつくるのは難しそうだから」と、すでに切られたものをお店で買う人も多いでしょう。でも実はコツさえ知っておけば、いつもの包丁でも意外と簡単に切ることかできるんです。しかもさくで買ったほうが家計にやさしいとくれば、ぜひとも自分で挑戦したいところ。そこで、基本の切り方、刺し身を活用したアレンジレシピを、料理家の江口恵子さんに教えてもらいました!

まずはここが重要!
刺し身を切る時の
基礎知識

まずは最初に刺し身の切り方に関する基礎知識をお伝えします。これを知っているかどうかが、上手に切るための最初のコツです!

刺し身を切る時はいつもの包丁でも大丈夫!
でも切れ味がすごく大事

刺し身を切る包丁となると、プロの職人さんが使っているような柳刃包丁をイメージする人もいるかもしれませんが、ご家庭ならふだん使いの包丁でもOK。ただし、切れ味が大事です。刃は薄い方が切れ味が良く、刃先はとがっている方が最初に刃を入れやすくなります。刃渡りも長い方が良く、三徳包丁より牛刀の方がおすすめです。

刺し身を切るのに向いているのは手前のような包丁。奥のものに比べると刃が薄く、先端は尖っているのが一目でわかります。

いつもの包丁なら、いつもの持ち方でOK!

刺し身を切るときでも、包丁はいつもの基本の持ち方で。柄の付け根を親指と人差し指で持ち、残り3本の指を添えます。

Point

江口さん「刃渡りの長い柳刃包丁は刃が安定しにくいため、背の部分に人差し指を置いて切りますが、いつもの包丁を使うなら持ち方を変える必要はありません。大切なのはよく切れる包丁を使うこと。切れ味が鈍いと魚の身がつぶれたり断面が荒れたりして、見た目も味も落ちてしまいます。簡易的な包丁研ぎ器で構わないので、包丁は切る前にしっかり研いでおきましょう」

のこぎりのようにギコギコ切るのは厳禁!

刺し身を切るとき、包丁の刃は一方通行にするのが基本。前後に動かしたりすると断面がなめらかではなくなり、舌触りがざらつくなど食感も悪くなるので注意しましょう。

右がギコギコと切ったもの。一気に引き切った左側の断面と違って、線のようなものが入ってしまいます。

かるく冷凍すると切りやすくなる!

魚の身はやわらかくて切りにくいので、不慣れだったり、包丁の切れ味が良くなかったりするときなどは、表面をかるく冷凍させてから切るのもひとつの方法です。冷凍する時間は20分~30分程度を目安に。

かるく冷凍するときはさくをラップで包み、金属トレーに乗せて冷凍室へ。

切り方は魚の種類や食べ方で使い分けて

刺し身の切り方は、魚の身の厚さや固さなどによって変わってきます。今回は覚えておくと重宝する「平造り」「そぎ切り」「細造り」「角造り」の4つの切り方をご紹介。普段何気なく食べていたお刺身料理でよく使われる切り方ばかりなので、「これがそうだったんだ!」となるはず。

それでは、いつもの包丁を使った初心者でも簡単な切り方をご紹介していきます。

ポピュラーな刺し身の切り方“平造り”

包丁を手前に引いて切る方法。刺し身の切り方としてはスタンダードで、まぐろやかつお、ぶり、サーモンなど、厚みがある魚によく使われます。今回は、王道のマグロ赤身を使って手順をご紹介します。

平造りの手順と盛り付けのコツ

1
さくの目(筋肉の筋、繊維)の向きが左下から右上になるよう、まな板の中央に置く。
2
切るのは右側から。さくの奥側の角に刃先を当て、奧にスライドさせて軽く切れ目を入れる。
3
さくの奥側に切れ目を入れたところ。刃が3mmほど入っている。
4
そのまま腕を手前に引き、刃元の方から刃先まで使うようにして一気に切る。
5
さくの途中で包丁を止めないように、さくの外まで包丁をしっかり引く。
6
切り身を包丁で右側の方に寄せながら切り進める。
Point

江口さん「筋を断つようにして切ることで、口当たりが良くなります。ただ、たいていのさくはそのことを考慮してつくられているため、短辺の端からまっすぐ包丁を入れて切っていきましょう。

基本的には筋に対して直角に包丁を入れますが、そこまで厳密に考えなくて大丈夫です。特に今回のような筋が斜めに入ったさくの場合は、さくに対して斜めに包丁を入れることになり、切れ端のような刺し身になってしまうので。

最初の切れ目は、さくに包丁を入れやすくするためのもの。ほんの少しの切り込みがとっかかりになり、スムーズに刃が入るので、いきなり切るよりも美しく仕上がりますよ。

盛り付けるときは一切れずつ交互にずらすと動きが出て、立体感が生まれます」

マグロの平造りの盛り付け

独特な食感を生かす
“そぎ切り”

鯛やヒラメなど、身の締まった白身魚を刺し身にするときの切り方。独特の弾力を生かすために、包丁の刃を斜めにして、断面を広く薄くそぐように切ります。

今回は、鯛を使って解説します。包丁使いに加え、手の添え方もポイントになります。

そぎ切りの手順と盛り付けのコツ

1
そぎ切りはさくの左側から切る。左手を軽く添えながら、包丁を斜めにして刃元の方から入れる。
2
そのままの角度で刃を引きながら切る。切り身はそのまま左の方へ重ねていく。
Point

江口さん「手を添えないと刃が入っていかないのですが、強く押さえつけると身にダメージを与えてしまいます。力がかかりやすい人差し指は使わず、中指と薬指の2本を添えましょう。また、さくに厚みがあると、刃を一度引いただけでは切れないことも。そのときもギコギコ切ろうとはせず、もう一度刃を入れ直してから引き切ってください。

お皿に盛り付けるときのコツは、まず刺し身をまな板の上などでずらして重ねます。その真ん中あたりに箸を入れて持ち上げて折り返し、見映えよく盛り付けましょう」

一度で切れない場合は、もう一度同じように刃を入れなおして引く。

そぎ切りした鯛の盛り付け。折り返して盛り付ける。

しっかりとした食感を生かす“細造り”

さより、いかといった身の薄いものを刺し身にするときにおすすめの細造り。いかそうめんなどがおなじみですね。糸造りとも呼ばれ、包丁の刃先だけを使って切っていきます。

今回は、いかを使って解説します。幅およそ5mmで切ることで、食べやすくもなります。

細造りの手順と盛り付けのコツ

1
刃先を立て入れ、奥から手前へ一気に引いて切る。
2
1の手順を繰り返す。
Point

江口さん「身が薄い刺し身をそのまま盛ると、ペタンとして貧相に見えがち。切り終わったら、上から1/3ほどの位置に箸を入れてすくい上げ、上側を折り返すようにして盛り付けると立体感が出せます」

切ったイカを箸ですくう。

細切りしたイカの盛り付け。折り返して盛り付ける。

見た目のボリュームも出る“角造り”

まぐろやかつおなど、身がやわらかく厚みがある魚をサイコロ状に切る方法。刺し身のほか、和え物、ハワイの漬け料理のポキなどにも見られます。

約1.5cm角のサイコロ状に切る方法は、サーモンを使って解説。角造りのサーモンは、この後にご紹介するレシピでも活躍しますよ。

角造りの手順と盛り付けのコツ

1
平造りと同じ要領で、約1.5cm幅の拍子木状に切る。
2
1の手順を繰り返して切る。
3
2で切ったものを、約1.5cm角になるよう、包丁を引いて切る。
Point

江口さん「角造りを盛り付けるときは、積み重ねるようにしましょう。1.5cm角は食べやすくて食べ応えもある、ちょうどいい大きさです」

しょうゆとの相性抜群!
刺し身のアレンジレシピ3選

しょうゆとわさびでシンプルに食べるのがおいしい刺し身ですが、たまには気分を変えてアレンジしてみてはどうでしょうか。ここでは、数あるレシピの中からおすすめをピックアップしてご紹介!和風以外のレシピもあるので、意外なおいしさにも出会えるはず。

しょうゆが味を左右する!
「無敵漬け まぐろユッケ」

完成度を上げるポイントは、おいしいしょうゆを選ぶこと!

江口さん「ごま油としょうゆで、おつまみとしてはもちろん白ごはんもすすむ味わいに。ごま油をオリーブオイルに変えると、白ワインともよく合います。余った卵白は玉子焼きなどの卵液に追加したり、冷凍保存して後日、お菓子作りに使ったりすると無駄なく使い切れますよ」

食卓を華やかに演出する
「アボカドとサーモンの無敵漬け」

しょうゆのうま味とサーモンの脂が溶け合った、おいしい相乗効果

江口さん「味付けが『いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ』だけとは思えない味わい深さ!アクセントをつけたいときは、わさびやオリーブオイル、刻んだハーブなどを少し加えてみると、また違ったおいしさが楽しめます。サーモンの代わりにまぐろを使うのもおすすめ」

しょうゆとオリーブオイルが好相性!
「まぐろのカルパッチョ」

紅白の美しい彩りで、食欲アップは間違いなし!

江口さん「まぐろとチーズの組み合わせと聞くと意外に思うかもしれませんが、思った以上によく合います。野菜をもっと摂りたいなら、スライスしたトマトを一緒に並べるのもいいです。また、お好みでにんにくを少し足してアクセントをつけるのもおすすめです」

コツがわかれば簡単!
刺し身の切り方を
マスターして食卓を彩ろう

江口さん「さくで買うのを躊躇するというお話はよく耳にしますが、ポイントを押さえれば刺し身にするのはすごく簡単。店頭の刺し身盛り合わせと違って、自分の好きな魚だけを選べるのもうれしいですよね。最初のうちは漬けやポキなど、見た目がそれほど気にならない料理にして、慣れてきたらきれいなお造りに挑戦するのもいいと思います。よく切れる包丁を用意して気軽に挑戦してください!」

ホームクッキング編集担当より

和食のプロのように美しく、とはいかなくても、自分なりにさくを上手に切れたら……という声にお応えして、初歩レベルでとお願いして江口さんに教えていただきました。習うより慣れろという感じで、まずはトライしてみてください。すーっとうまく切れたら、どんどん楽しくなってきます!(編集長S)

写真:江口恵子さん

教えてくれた人 江口恵子さん

料理家、フードスタイリスト、 All About「家事」ガイド 。雑誌や広告、Webなどでレシピ提案やスタイリングを行うほか、企業のレシピ開発など、幅広く活躍。料理教室「 ナチュラルフードクッキング 」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナー。著書に『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)などがある。

撮影/金田邦男
公開:2022年11月24日 最終更新:2024年4月20日

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