カリフラワーの
上手なゆで方・ゆで時間!
保存のコツとおいしい食べ方

ブロッコリーと形は似ているものの、登場頻度が少なくなりがちなカリフラワー。旬は10月から2月ごろで、ほんのりした甘さとほろ苦さ、ホクホクした食感が魅力の野菜です。このおいしさを引き出すなら、上手なゆで方をマスターしておきたいところ。下処理や、ムダにせず使い切るための保存のコツとともにご紹介します。さらに、もっといろいろなメニューに使いたい!」そんな声にお応えして、「ゆでる」以外の調理法でカリフラワーをより楽しむレシピもまとめているのでぜひチェックを!
カリフラワーをゆでる前に。
下処理のコツ
カリフラワーのこんもりとした部分はつぼみに当たり、「花蕾(からい)」と呼ばれています。このつぼみと茎が、カリフラワーの可食部。葉も食べられますが、葉の中央にある芯はしっかりとした繊維質なので、好みが分かれるところ。ざく切りにしてしっかり火を通すなど、調理方法次第でおいしくいただけます。
●ゆでる前にまずは下処理

- 葉をはがすようにして取り除く。

- 手ではがしにくい葉は、根元に包丁で切り込みを入れてから取り除く。

- 茎が細かく分かれる手前の部分に包丁を入れ、茎を切り離す。

- ボウルに水を張り、つぼみ側を下にして水中で動かしながら洗う(ふり洗い)。

江口さん「カリフラワーのつぼみはブロッコリーよりもギュッと密集していますが、ちりやほこりなどが入ることもあるので、ふり洗いできちんと落としましょう。葉の根元に切り込みを入れるときは、包丁の刃先を使って。こうした細かい作業をするときは刃先、力を入れたいときは刃元というように、刃の上から下まで使うことで包丁はいろいろなことができますよ」
●茎の下処理

- 茎を立て、皮の部分を切り落とす。断面の輪(すじ)の部分ごとそぎ落とすと食べやすい。

- 食べやすい大きさに切る。

江口さん「切り離した茎部分は、つぼみと一緒においしくいただけます。ただし、皮が硬いうえにその付近も筋張っているため、厚めにむいて取り除きましょう」
カリフラワーのゆで方
ここでご紹介するのは、「まるごとゆでる」「小房に分けてゆでる」「電子レンジ加熱」の3通り。それぞれに利点があるので、好みや状況に合わせて使い分けてください。
●まるごとゆでる

- 鍋にカリフラワーが半分以上浸かるくらいの量の湯を沸かし、水およそ2リットルに対して大さじ1の塩を加える。

- 下処理を終えたカリフラワーの茎側を下にし、そっと入れてゆでる。ゆで時間の目安は約1分。

- 上下をひっくり返し、約1分を目安に再びゆでる。

- ざるに取り、水気を切って冷ます。

- 房の根元に包丁の刃先を入れて切り離す。

- 茎部分は一口大にカットする。

- 大きな房は茎側からつぼみの手前まで包丁を入れ、切れ込みから裂くようにして分ける。

江口さん「カリフラワーの「花蕾(からい)」に上から包丁を入れるとポロポロとくずれてしまうため、小房に分けるときは茎側から切り込みを入れ、そこから裂くのがおすすめです。
丸ごとゆでるメリットは、切りやすさ。ブロッコリーよりも硬いカリフラワーですが、ゆでてやわらかくすることで力をそれほど入れずに切ることができるんです。また、生のときよりつぼみがくずれにくくなり、ボロボロ落ちてくる量を抑えられるのも利点。ゆで時間はカリフラワーの大きさによって変わるので、1分はあくまで目安です。サイズが大きめで心配なら、竹串を刺して硬さをチェックしましょう。なお、ゆで上がってから水にさらすと、つぼみが水分を含んで水っぽくなるので避けてください」
●小房に分けてからゆでる

- フライパンに高さ1cmほどの湯を沸かし、水500mlに対して小さじ1/2の塩を加える

- 小房に分けたカリフラワーを入れる。

- ふたをして約1分、蒸し煮をする。

- 上下を返したら、再びふたをして約1分、蒸し煮をする。

- ざるにあげ、水分を切りながら冷ます。

江口さん「野菜全般に言えることですが、少量の水で蒸し煮にすることでうま味が引き出されます。味が濃く感じられるおすすめの調理法で、カリフラワーもしっとりして甘みが増した仕上がりに。水の量が少ないため、沸騰までの時間を短縮できるのもポイントですね」
●電子レンジで加熱

- 小房に分けたカリフラワーを耐熱皿に並べ、塩少々をふって軽く混ぜる。

- ラップをふんわりかけて、電子レンジ600Wで加熱する。加熱時間は、カリフラワー100gにつき1分が目安。

- 硬さを確認し、まだ硬い場合は、10秒ずつ様子を見ながら加熱する。

江口さん「最も時短できる電子レンジ加熱は、栄養素が流出しにくいとも言われています。つきっきりで見ておく必要がないので、忙しいときも大助かり。食材によっては水分が失われやすいこともありますが、カリフラワーはおいしさをキープできますよ」
●ゆで方のコツ
実は、カリフラワーはゆでるとクリーム色に仕上がりがち。ゆでるときに塩だけでなく、酢やレモンを加えることで白さがグンと際立ち、色味良くゆで上がります。

酢またはレモン汁を入れる量は、それぞれ湯量の約1%程度が目安。

左が酢を入れたもの、右が入れなかったものですが、左側の方が白く仕上がっています。
カリフラワーの保存方法
カリフラワーのおいしさをできるだけ長く保ち、ムダにせず使い切るために、保存のコツも知っておきましょう。すぐに使うなら冷蔵、使い切れないときは冷凍で。冷凍すると食感が多少変わりますが、それでも十分おいしく食べられます。
●カリフラワーをまるごと冷蔵保存

- 水で軽く湿らせたキッチンペーパーを茎に巻く。

- ラップでぴったり包み、冷蔵庫の野菜室で保存する。保存期間の目安は1週間から10日。

江口さん「カリフラワーは小分けにすると乾燥が進みやすいので、まるごとの状態で冷蔵しましょう。湿らせたキッチンペーパーは、乾燥を防ぐためのもの。水分が多すぎるとカビの原因となるので、茎だけに巻くようにしてください」
●カリフラワーを小分けにして冷凍保存
カリフラワーを冷凍保存するときは、次に使うときに調理しやすいように小房の状態で。ジッパー付き保存袋に入れて平らな状態にしたら、空気を抜いて口を閉じ、金属製のトレイに載せて冷凍庫に入れましょう。保存期間は約1か月です。


江口さん「カリフラワーは生の状態でも、ゆでたものでも冷凍できます。サイズが小さいほど凍るまでにかかる時間を短縮でき、食感を損ないにくいので、小房に分けたものをさらにカットしてもいいでしょう。次に使うときは解凍せず、そのまま炒めたり、スープに入れたりするのがおすすめです」
カリフラワーの選び方
ギュッと身が詰まって見えるのが、おいしいカリフラワー。手に持ってみても、ずしりとした重さが感じられます。シャキッとしてみずみずしいものは、鮮度が高い印。また、つぼみ部分が茶色くなっているものは、鮮度が低いか、どこかにぶつかった可能性があるので避けましょう。

つぼみの一部が茶色くなったカリフラワー。気になる場合は、包丁で表面を削り取りましょう。
ブロッコリーとどう違う?
カリフラワーに関するFAQ
素性や食べ方など、カリフラワーの「あるある」な疑問を一問一答方式でご紹介。カリフラワーに対する疑問は、ここで解消しましょう!
Q. カリフラワーとブロッコリー、何が違うの?
A.
姿形が似ているカリフラワーとブロッコリー。どちらも原産地はイタリアを中心とする地中海沿岸で、キャベツなどと同じアブラナ科の植物です。カリフラワーはブロッコリーが突然変異したものと言われますが、前者が淡色野菜に対して後者は緑黄色野菜。ビタミンCの含有量はブロッコリーの方が豊富な一方で、カリフラワーのビタミンは水に溶けづらいため流出しにくいのだそう。
Q. カリフラワーは生でも食べられる?
A.
江口さんによると、生のカリフラワーはカリカリした食感で青臭さもなく、おいしくいただけるのだとか。おすすめは、薄くスライスしてサラダにする食べ方。カレー粉とマヨネーズを混ぜたディップとの相性が抜群で、どんどん食べられちゃうそうですよ。
Q. つぼみが黄色や紫のものも、カリフラワー?
A.
前述のとおり、カリフラワーにはカラフルで見た目にも楽しい品種があります。このほか、幾何学的模様がユニークなロマネスコ、茎が長くてやわらかいスティックカリフラワーなども。カリフラワーとはひと味違ったおいしさなので、見かけたら試してみては?

左側がスティックカリフラワー、右側がロマネスコ。色とりどりのカリフラワーは、食卓をパッと明るくしてくれます。
カリフラワーを使った
おすすめレシピ3選
手軽だからと、つい同じ食べ方が続いてしまいがちなカリフラワーですが、焼いたり、生で食べたりと、違う調理法にしてみれば今までとは一風変わった一皿に仕上がるんです。そんな気になるレシピ3品を、江口さんのアドバイス付きでご紹介します。
ホクホク&カリカリの食感にもう夢中!
『カリフラワーのカリカリチーズ焼き』

ホクホクのカリフラワーとチーズの相性が抜群!焦げ目までごちそうです。
江口さん「チーズ×しょうゆは、シンプルなのに味わいが何倍にもなる絶妙な組み合わせ。チーズを焦がすのも重要で、カリカリの食感と香ばしさがあることで、よりおいしく仕上げることができます。フライパンひとつでできる手軽さも魅力」
生で食べたことがないなら、まずはこれ!
『カリフラワーの無敵漬け』

しょうゆのおいしさを活かす無敵漬け。シンプルな味付けだからこそ、カリフラワーの生食感が際立ちます。
江口さん「火を通したカリフラワーにはない、カリカリの食感が魅力。生のカリフラワーならではのおいしさが楽しめます。しょうゆとオリーブオイルの味わいで、和食にも洋食にも合う1品。ステーキなど肉料理の付け合わせにもぴったりですね」
カレー風味で食欲がさらにアップ!
『カリフラワーとウィンナーのカレーバター炒め』

スパイシーなカレー粉の風味が食欲をそそります。ウインナーが入ることで食べごたえも十分。
江口さん「カリフラワーと相性のいいカレー味。さらにめんつゆを組み合わせることで、和の味わいもプラスされています。子どもから年配の方まで、万人受けするメニューですね」
カリフラワーの栄養素をおいしく摂取できる副菜レシピも!
ゆでるのはもちろん、生でも焼いてもOK、
いろんな食べ方でカリフラワーを楽しもう
江口さん「その色の淡さから、栄養価が低いと思われがちなカリフラワー。でも実は、ビタミンCやカリウム、食物繊維など、さまざまな栄養素を豊富に含んだ優秀な野菜なんです。きちんと保存すれば日持ちするうえに、味のクセが少ないからいろいろな料理に合わせられるのも魅力。何をつくろうかと悩むなら、まずは今回、ご紹介したレシピを試してみては?生でサラダにしたり、クリームシチューや天ぷらに使ったりするのもおすすめですよ」

教えてくれた人 江口恵子さん
料理家、フードスタイリスト、 All About「家事」ガイド 。雑誌や広告、Webなどでレシピ提案やスタイリングを行うほか、企業のレシピ開発など、幅広く活躍。料理教室「 ナチュラルフードクッキング 」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナー。著書に『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)などがある。
撮影/金田邦男
公開:2024年1月22日 最終更新:2024年9月30日
ホームクッキング編集担当より
カリフラワーはあんまり……という方は大抵「あのぐずぐずとした感じがね……」、といいます(個人の印象)。でも今回紹介した3つのレシピはどれも程よい噛み応えがあって、印象がかわること間違いなし。このおいしさを知ってしまったら、保存もきちんとしようと思っていただけることもまた間違いなし、です。(編集長・杉森)