家庭でも本格的な仕上がり!
ハンバーグのレシピ・焼き方
【しっかりとふわふわの
作り方2選】
ハンバーグといえば、家庭でつくる洋食の定番メニュー。専門店のように本格的な味わいも、自宅で再現できたらうれしいですよね。そこで今回、ホームクッキング編集部は「肉マニア」の呼び声も高いライター・編集者の松浦さんに、家庭で作れる本格ハンバーグのコツを伝授してもらいました。松浦さんのメソッドがたっぷり詰まったこのレシピ、読んだらすぐに試してみたくなること間違いなし!
家庭でも本格的な
ハンバーグに
仕上げる3つのポイント
料理工程には、それぞれ意味や理由があります。松浦さんが教えてくれたハンバーグのつくり方には、さまざまなメソッドが満載!その中でも、特に意識したいポイントをまとめました。
牛ひき肉と豚ひき肉を別々に用意するのがポイント。赤身の牛ひき肉が多いと肉のうまみが強くなり、豚ひき肉が多いとジューシーな仕上がりになります。自分で混ぜ合わせることで、牛と豚の割合を自由に変えられるというメリットも。牛肉と豚肉の割合は、7:3~6:4がおすすめですが、好みで調整してみてください。
また、飼育期間が短い牛の肉は色が薄く、味自体も薄くなりがちです。一方でやわらかいというメリットもありますが、ハンバーグのように肉の味をしっかりさせたい料理の場合は、色の濃いものを選ぶようにしましょう。なお、冷凍肉は結着しにくく、解凍時にドリップが出てうま味が抜けやすくなるので、冷凍していないひき肉を使うことをおすすめします。
肉を十分に結着させることで保水性が高まり、肉汁をしっかり抱え込むことができます。ジューシーなハンバーグに仕上げたいなら、ぜひとも押さえておきたいポイント。肉の結着には、塩、10℃以下の低温、摩擦の3つが必要ですが、脂肪分が多いと結着しにくいため、まずは脂の少ない赤身の牛ひき肉を十分に練った後、豚ひき肉を入れて混ぜ合わせましょう。炒めた玉ねぎも、しっかり冷やしてから加えるようにしてください。
なお、混ぜるときは素手だと体温で温まってしまうので、温度が伝わりにくい木べらを使うのがおすすめ。ゴムべらでも良いですが、木製のほうがしなりにくいので混ぜやすくなります。もし、うまく使えないときは、氷水に浸して十分に冷やした手でこねるのもひとつの方法です
玉ねぎは全体があめ色になるまで炒めてしまうと、ハンバーグにして焼いたとき、表面に出た部分だけ余計に焦げてしまいます。逆に、玉ねぎに残った水分はハンバーグを焼くときに割れる原因のひとつ。成形後に水分が出ることのないよう、ある程度はしっかり炒めて水分をとばしましょう。
火加減は、最初に強火で水分をとばし、水が出てきたところで徐々に火を弱め、パチパチと音がしてきたら弱めの中火に。この段階まではあまり混ぜません。水分が出なくなり、ところどころ茶色くなったら火から外すタイミングです。
本格ハンバーグの
レシピ・作り方
(しっかりとふわふわ、
それぞれの焼き方を解説)
続いては実践編!松浦さんのレシピにならって、2種類のハンバーグを実際につくっていきましょう。
つなぎを入れる前までの工程は共通していますが、その後の混ぜ方や焼き方は変わってきます。どちらのハンバーグも1人分として2個つくっているのは、小さいほうが成形時や加熱時に扱いやすいから。冷凍保存しておけば、お弁当にも助かりますよ。
肉のうまみをダイレクトに感じるしっかりハンバーグ
つなぎなしでつくるハンバーグです。お肉のワイルドな食感を楽しめるので、肉々しさが欲しい人にはぴったり!焼くときににんにくを入れることで、さらにガツンとした味わいが楽しめます。
材料(2人分)
- 牛ひき肉
- 200g
- 豚ひき肉
- 100g
- 玉ねぎのみじん切り
- 150g
- バター
- 20g
- 塩
- 小さじ1/2
- こしょう
- 小さじ1/3
- ナツメグ(あれば)
- 少々
-
油
(オリーブオイル、米油など) - 大さじ1
- にんにく(皮付き)
- 1かけ
つくり方
【1】
フライパンにバター、みじん切りにした玉ねぎを入れ、強火で炒める。
玉ねぎは細かいほうがひき肉となじみやすく、口当たり良く仕上がります。ひき肉と混ぜるときの大きさは、ひき肉に近い2〜3mmがベスト。炒めると水分が抜けて縮むので、みじん切りにする際は1辺5mmほどの大きさを目指しましょう。
【2】
水分が出てきたら徐々に火を弱め、パチパチと音がしてきたら弱めの中火にする。ところどころ茶色くなったら火を止め、バットなどに移す。
弱めの中火にしたら、混ぜずにしばらくそのままで。“焦げてしまうのでは”と思うかもしれませんが、水分があるうちは焦げにくいので、それほど心配する必要はありません。
【3】
粗熱が取れたら、冷蔵庫もしくは冷凍庫で冷やす。
肉の結着を邪魔しないために、10℃以下まで冷やしましょう。冷やす時間の目安は、冷蔵庫なら20分、冷凍庫なら10分。バットの底に触れてみて、冷たくなっていたらOKです。
【4】
冷やしておいた赤身の牛ひき肉、塩をボウルに入れる。
【5】
木べらで練り上げる。肉がひとかたまりになり、重くなったら結着した目安。
【6】
豚ひき肉と(3)の玉ねぎを入れ、全体を混ぜ合わせる。
【7】
ナツメグ、こしょうを入れ、肉とたまねぎがひとかたまりになるまで練り上げる。
【8】
手に油(分量外)を塗って(7)を4等分にし、ひとつずつ小判型に整える。片方の手のひらにたたきつけるようにして5回〜10回、行き来させて空気を抜いたら、中央を指で押さえてくぼみをつくる。
肉だねの中に空気が残ったままだと、焼くときに割れやすくなるので、しっかり抜きましょう。つなぎを使わない分、水分が少なくてふくらみやすいので、中央は厚さが1cmくらいになるまで深めにへこませて、焼きムラができないようにしてください。
【9】
フライパンに油、にんにくを入れ、弱めの中火でゆっくり加熱する。
【10】
にんにくの端の油がフツフツしてきたら手に油を塗り、肉だねを入れる。
水分が少ないと焼き目がしっかり付くため、焦げそうで心配になるかもしれません。でも、弱めの中火をキープしておけば焦げることなく、肉汁も流れ出にくくなりますよ。
【11】
約5分焼き、ひっくり返す。
【12】
裏面も約5分焼き、器に盛る。
【13】
好みのつけ合わせ、ソースを添える。
やわらか食感!みんな大好き、ふわふわハンバーグ
つなぎ入りのハンバーグは、やさしい食感で誰からも好まれる味わい!つなぎが入った分、かさが増しているので、満腹度もアップします。
材料(2人分)
- 牛ひき肉
- 200g
- 豚ひき肉
- 100g
- 生パン粉
- 20g
- 牛乳
- 100ml
- 玉ねぎのみじん切り
- 150g
- バター
- 20g
- 塩
- 小さじ2/3
- こしょう
- 小さじ1/3
- ナツメグ
- 少々
-
油
(オリーブオイル、米油など) - 大さじ1
つくり方
【1】
しっかりハンバーグの工程7まで同様に済ませておく。別のボウルに生パン粉を入れ、牛乳を加えて浸す。
パン粉は乾燥したものよりも生パン粉のほうが、牛乳を含む時間が短くなるので時短に。もし生パン粉がない場合は、食パンでも代用できます。食パンを使う場合、分量は8枚切りを1/2枚で。牛乳をしっかりとしみわたらせれば混ぜ合わせたときに全体になじむので、ちぎる必要はありません」
【2】
練り上げた肉のボウルに(1)を加え、木べらで混ぜ合わせる。
【3】
全体がまんべんなく混ざり合うように、しっかりと練る。
牛乳の水分が加わることで、肉だねはかなりやわらかくなります。混ぜ足りないと肉の結着効果が及ばない部分ができてしまうので、全体の質感が均等になるまで混ぜるようにしてください。
【4】
フライパンに油を入れて中火で熱し、手に油(分量外)を塗って(3)の肉だねを4等分にし、ひとつずつ小判型に整える。中央を指で押さえてくぼみをつくったら、そのままフライパンに入れる。
肉だねがゆるいと空気が抜けやすくなります。あえてたたきつけて空気抜きをする必要はありません。それよりも、かなりゆるくてくずれやすいので、ていねいに扱うようにしましょう。中央のくぼみは浅めにすると割れにくくなります。また、成形後に時間をおいても、くずれやすくなります。あらかじめフライパンを火にかけておき、成形したらその都度フライパンに入れていくのがおすすめです。
【5】
弱めの中火にして片面を焼き、約5分たったら上下を返す。
焼き目が付いたらひっくり返すイメージですが、とにかくやわらかいのでちょっと返しづらいです。フライパンの側面を使うなどして、ていねいに扱うようにしましょう。
【6】
裏面も約5分焼き、器に盛る。
【7】
好みのつけ合わせ、ソースを添える。
いつもの調味料で
手軽にできる!
おすすめソース2種の作り方
松浦さんには、本格ハンバーグに合うソースのレシピも教えてもらいました!
ご紹介するのは2種類で、洋風ソースは濃厚な
「デルモンテ リコピンリッチ トマトケチャップ」
を使うことで、深い味わいに。一方のしょうゆソースは、ウスターソース+しょうゆというスパイシーな味わいで、肉のうまみを引き立ててくれます。
洋風ソース
ハンバーグを焼いた後のフライパンを軽く拭き、余計な油を取り除いたら、フライパンを弱火にかけ、 「デルモンテ リコピンリッチ トマトケチャップ」 と 「キッコーマン デリシャスソース 中濃」 を大さじ4ずつ入れて混ぜ合わせる。ソースがひと煮立ちしたら完成。
しょうゆソース
フライパンにかけずそのまま混ぜるだけの簡単ソース。 「キッコーマン デリシャスソース ウスター」 大さじ2と、 「キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ」 小さじ2を混ぜ合わせる。お好みで和辛子を添えても。温める場合は洋風ソースと同様、フライパンにかけてひと煮立ちさせてください。
相性も抜群!
ハンバーグのつけ合わせ
レシピ2種
つけ合わせも、たまには新しいレシピにチャレンジしてみませんか?ここでは、松浦さんに教えてもらった『ハーブポテト』と『キャベツのポリヤル風』のレシピをご紹介します。
ハーブポテト
外側はカリッと、内側はねっとりとした食感が楽しめるフライドポテトです。ハーブが加わることで、味も見た目もワンランクアップ!
材料(2人分)とつくり方
【1】
たわしなどでしっかりと洗ったじゃがいも2個を、皮付きのままくし形に切り、表面が乾くまでしばらくおく。
【2】
小さめのフライパンに底面が浸るくらいの油を入れ、じゃがいも、皮付きにんにく2かけ、タイムなどのハーブ2本ほどを加え、弱めの中火にかけて揚げ焼きにする。
【3】
約15分~20分揚げ、油を切り、軽く塩をふる。
時間をかけて揚げることで、でんぷん質の糖化がゆっくりすすんで甘みがアップ。切った後に乾燥させるとでんぷん質が表面に残るので、パキッと揚がります。油は米油やオリーブオイルがおすすめ。ハーブはセージやローズマリーなども合います。
キャベツのポリヤル風
シャキシャキ食感を残しながら、ジューシーな仕上がり。キャベツの新しいおいしさが味わえる一品です。少し苦みのあるマスタードシードのプツプツとした食感もユニーク。
材料(2人分)とつくり方
【1】
キャベツ1/8玉を洗い、約1cm幅のせん切りにする。
【2】
フライパンにオリーブオイル大さじ1、マスタードシード大さじ1を加え、弱めの中火にかける。
【3】
マスタードシードからパチパチと音がしはじめたら火を止める。キャベツを加えて、全体をしっかり混ぜたら、再度点火して、ごく弱い火加減にする。
【4】
ときどき上下を入れ替えるように混ぜながら20分~30分加熱し、しんなりしてかさが半分ほどになったらでき上り。
インド料理のポリヤルは、カレーのつけ合わせなどに使われるもの。今回はハンバーグに添えるので、塩味フリーに仕上げました。いかにキャベツから水分を出さないかがポイントなので、とにかく弱火でじっくり加熱するようにしましょう。
みんなの「あるある!」は
ここで解決!
ハンバーグの作り方に
関するFAQ
レシピ通りにつくっているのに、生焼けだったりパサパサだったり……。一体、どこに原因があるの?そんな悩めるあなたの疑問に、松浦さんがお答えします!
Q.生焼けになってしまった……。見極め方法はある?
A.
生焼けの原因の多くは、火力が強すぎること。ハンバーグの場合は最大でも中火、できれば弱めの中火にして、それぞれの面を5~6分ずつ焼けば中までしっかり火が通るはずです。もし生焼けなら、500Wのレンジで、様子を見ながら15秒ずつ加熱を。なお、大きさや厚さが違えば加熱時間も変わるので、最初はレシピどおりの時間で焼いてみてくださいね。
Q.焼き上がりがパサパサで固い!ふっくらジューシーに仕上げるには?
A.
今回のレシピで言うと、パサつきの理由は結着が甘いか、焼きすぎかが大きいと思います。まずは基本通りに両面を5~6分ずつ焼いて、生焼けなら焼く時間を少し延ばし、パサパサなら時間を短縮していきましょう。そうやって次につなげることで、失敗の確率も減らしていけます。
Q.ふたをして蒸し焼きにすれば、焦がさず中まで火を通せそうだけど?
A.
個人的に、蒸し焼きはもったいないと思っています。最初から蒸すと焼き目が付かなくなりますし、返した後に蒸すのもせっかく付いた焼き目が蒸されることで、食感や香ばしさが失われてしまいやすいから。火加減をレシピのとおりにキープするのと、どんな料理にも言えますが、条件をできるだけそろえること。同じ鍋とコンロ、分量で、レシピを微調整してみてくださいね。
コツとセオリーを実践して、
本格的なハンバーグを食卓で
楽しもう!
松浦さん「ひき肉を結着させる工程までがんばれば、あとはそれほど難しいこともなく、本格的なハンバーグがつくれます。個人的に、つなぎのあるものはごはん、ないものはお酒が合うと感じていますが、それぞれにおいしさがあるもの。つなぎの量を変えるとまた違う味が楽しめるので、自分の好みを探るのもおすすめです」
教えてくれた人 松浦達也さん
ライター、編集者、プランナー、フードアクティビスト。「調理の仕組みと科学」「大衆食文化」「食から見た地方論/メディア論」といった食まわりをテーマに、食専門誌や新聞、雑誌、Webなどで活躍中。著書に『教養としての「焼肉」大全』(扶桑社)、『大人の肉ドリル』(マガジンハウス)などがある。
撮影/金田邦男
公開:2024年11月12日
ホームクッキング編集担当より
撮影では松浦さんがたくさんハンバーグを焼いてくれました。社内に持ち帰り試食したところ、しっかりはお店の本格味、ふっくらは家で食べるおなじみの味と、どちらも大人気!そして人気と言えば、以前、 松浦さんにご紹介いただいた「ステーキの焼き方」 も編集部イチオシの記事です。ぜひあわせてご覧ください♪(編集担当 市川)