アボカドの切り方・
皮のむき方を詳しく解説!
食べ頃の見極め方も紹介

なめらかな口当たりで栄養たっぷり、「森のバター」とも呼ばれているアボカド。市場にあるものは輸入品が多く、通年出回っていて入手しやすい食材です。和洋問わず、さまざまな料理で楽しめるのも魅力のひとつ。そんなアボカドをもっとおいしく味わうために、この記事では種の取り方や切り方、選び方のコツをご紹介します。人気レシピもあわせてお伝えするので、ぜひお試しを!
アボカドの皮の
むき方・種の取り方
中央に大きな種をもつアボカド。種がなかなか取れなくて身がくずれてしまったり……なんてことを避けるために、種の取り方のコツも知っておきましょう。コツをつかめば簡単にできますよ。
●まずは半分にカットして種を取りのぞく

- 縦に包丁を入れ、中心にある種に当たったらそのままぐるりと一周、切り込みを入れる。

- 両手で半分ずつ持ち、種を起点にそれぞれを逆方向へずらし、ねじるようにして2つに分ける。


- 片方に残った種に包丁の根元を刺し、ひねるようにして種を取る。このとき、アボカドと包丁は左右逆の方向で小刻みに動かすと外しやすい(やじるしは例です)。


江口さん「縦半分にカットするときは、包丁の位置は固定してアボカドだけを回しましょう。種までしっかり届くように、柄に近い方の刃を使ってください。また、包丁の刃が種に対して常に垂直になっていると、切り込みがずれることなく一周できます。種を取るときは、包丁の角をしっかり突き刺しましょう。種は硬いので、くれぐれもケガをしないように気を付けて。熟していなくて種が取りづらい場合は、スプーンですくうようにして外すといいですよ」
●皮のむき方
半分にカットしたアボカドの皮をむくときは、外側から徐々にはがしていくようにするときれいにむけます。4等分にカットしたアボカドなら、バナナの皮のように上から下にむいていきましょう。


1/2のときは上から下へ、ではなく、周囲から少しずつはがすときれいにむける。

1/4カットのアボカドなら、手で簡単に皮がむける。

実が硬くてうまくはがれないときは、包丁を使って。
【種類別】
アボカドの切り方
アボカドの切り方は、レシピによってさまざま。ここではよくある角切り、スライス、くし切り、輪切り、ペーストの5種類のコツをご紹介します。
●角切り

- 縦半分にカットして種を取り除いたら、刃先で縦に切り込みを入れる。カットしたときのサイズがそろうよう、切り込みの数で調整する。※今回は縦2本、横3本

- 横にも切り込みを入れる。

- 皮をめくるようにはがして実を外す。


江口さん「角切りは、和え物などをつくるときの切り方。皮をむいてから切る方法でももちろん良いですが、ご紹介した方法だとまな板が汚れにくいのがメリットです」
●スライス

- 半分にカットし、種を取って皮をむいたアボカドをまな板に載せ、縦方向に薄く切る。写真は幅4〜5mm。

江口さん「サンドイッチなどをつくるときは、スライスしたアボカドを少しずらして重ねると見映えが良くなります。まな板に対して包丁の刃を垂直に入れると、1枚の厚さが均一に切れますよ」
●くし切り

- 半分にカットし、種を取って皮をむいたアボカドを縦半分に切る。さらに半分に切り、4等分にする。

江口さん「くし切りにしたアボカドは、サラダやフライなどに使いましょう。アボカドは実に比べて皮が硬いので、むかずに切ろうとすると実がつぶれてしまいがち。先に皮をむいてから切るのがおすすめです」
●輪切り

- 包丁とアボカドが直角になるように、包丁をたてて切る。

- 種があるところはアボカドを回しながら種にあたるようにぐるりと一周刃をいれる。種から外しづらい場合はアボカドをひねるようにまわすと身が離れる。

- 身に種がくっついてきた場合は、種を下からそっとおしあげて外す。

- 皮をむいていく。

江口さん「熟したアボカドであれば、かんたんに種や皮と身をはずすことができますが硬いアボカドだとちょっと外しづらいときも。その場合は、アボカドをまわしながらやさしい力で引っ張るようにしましょう」
●ペースト

- アボカドを半分にカットしたら、スプーンで身をすくいボウルなどにうつす。

- スプーンやシリコンのヘラなどで、アボカドをボウルの壁に当ててつぶしていく。

江口さん「ペーストにしておくとすぐに使えて便利ですね。冷蔵庫で1日程度日持ちします。なお、すぐに食べない場合は、色止めとしてレモン汁やオイルをアボカド1個の量に対して小さじ1ほど加えて混ぜておくと色味を保てますよ」
アボカドの変色、
予防するには?
切ってから時間が経つと、酸化して黒っぽくなってしまうアボカド。すぐに食べないときは、以下のような方法で変色を防ぎましょう。

左が時間の経ったアボカド。切ったばかりの右側に比べ、茶色くなり始めています。
●レモン汁を塗る
カットしたアボカドの表面にレモン汁を塗ることで、調理中の変色を抑えられます。サラダや和え物など、レモンの風味が合う料理に向く方法。酢にも同じ効果が期待できるので、香りが気にならないならこちらを使っても。

●オリーブオイルを塗る
カットした表面にオリーブオイルやサラダ油を塗っても、酸素に触れにくくすることができます。酸味が欲しくない料理には、こちらの方法を利用しましょう。

●電子レンジで加熱する
アボカドの酸化を促す酵素の働きは、電子レンジで加熱することで抑えられます。半分に切ったアボカドを耐熱皿等に乗せ、ラップをせず電子レンジの600Wで15〜20秒加熱を。


江口さん「これらはいずれも、保存時ではなく調理中の変色を抑える方法。それでも、半日も経てば色は少しずつ変わってきてしまうので、できるだけ食べる直前に切るのがおすすめです」
●保存の際に変色を防ぐ方法
切ったアボカドが余ったときは、酸素に触れる面を減らすためにできるだけ大きいサイズで保存します。同じ理由で種も残しておき、レモン汁やオリーブオイルなどを塗ってからラップでぴっちり包み、冷蔵庫へ。



江口さん「切ったアボカドの長期保存は難しいので、翌日には食べきるようにしましょう。ちなみに、変色したからといってその部分が食べられないわけではありません。それでも多少風味は落ちてしまうので、できるだけ早く食べきりたいですね」
食べ頃アボカドの見極め方
中の状態がわかりづらく、食べ頃が過ぎるのも早いアボカド。江口さんによると、おいしいタイミングを見極めるには、へたの有無がひとつのポイントになるそうです。

江口さん「店頭で選ぶときはアボカドを押さえたりはせず、へたが残り、実から少し浮き気味のもの、皮にツヤとハリがあるものを見極めてください。へたが取れているのは、かなり熟している印。さらに、へたの周囲に空気が入った状態なら熟れすぎなので、急いで食べる必要があります。家で追熟させている場合に限り、指で軽く押さえて確かめてみるのもひとつの方法。なお、品種の違いなどもあり、皮が黒ければ食べ頃とは一概に言えません。すぐに食べるのでなければ緑色のものを買い、自宅で常温保存して様子を見ながら追熟させると良いでしょう」

左がへたの取れたアボカド、右がへたの残ったアボカド。

左に比べると、右のほうが皮にハリとツヤがあります。
食べ頃じゃなかったら
どうする?
アボカドに関するFAQ
気になるアボカドのあれこれを、FAQ形式でご紹介!カットして食べ頃じゃなかったときの対処法や、そもそも「アボカドって何者?」なんて疑問にもお答えします。
Q.カットしてみたらまだまだ硬かった……。おいしく食べる方法はある?
A.
江口さん「包丁を入れた瞬間から、硬さがわかってガッカリしますよね。そんなときは、電子レンジで加熱を。味はいつもよりあっさりしますが、やわらかくなるので食べやすくなります。加熱時間は硬さによっても変わるので、まずは600Wで30秒加熱してみて、まだ硬かったら10秒刻みで様子を見てみてください。また、オリーブオイルでサッとソテーして、サンドイッチやサラダのトッピングにするのもおすすめですよ」
Q.カットしてみたら黒い点や線が入っていた……。これは何?食べてもいいの?
A.
江口さん「アボカドの果肉にある黒い筋は、維管束(いかんそく)と呼ばれるもの。熟しすぎたことで現れますが、おいしくないし、繊維が口に残るので、スプーンですくって取り除きましょう。それでも熟れすぎているので、残った部分はつぶしてディップにするのがおすすめです」
Q.アボカドって、果物なの?
A.
農林水産省では、「果実を食用とするものを果樹または果物という」と定義しています。一方、アボカドは2年以上栽培する必要のある樹木で、果実は食用。野菜と言えそうな見た目で、甘くもありませんが、実は果物に分類される植物なのです。ちなみに、文部科学省の「日本食品標準成分表」でも、アボカドは「果実類」に分類されています。
生でも加熱してもおいしい!
アボカドを使った
おすすめレシピ3選
わさびしょうゆで、あるいはサラダでと、割とマンネリになりがちなアボカド料理。「もっといろんな食べ方をしてみたい!」という方は、こちらの3品をぜひお試しください。
アボカドとろん、まぐろはごま油でつるん!
『まぐろとアボカドのポキ丼』

とろりとしたアボカド、マグロの酸味、そして昆布だししょうゆのうま味が好相性!ごま油のコクも利いています。
編集長・杉森「まぐろとアボカドを漬けにすると、だししょうゆの旨みが入るとともに食感が少しトロッとして、これがご飯によく合うんです。さっとつくれるからランチにもおすすめ。青ねぎは好みでどっさりとのせてもおいしいです」
うま味の相乗効果で、あっという間にペロリ完食!
『アボカドとのりの無敵漬け』

やわらかくなったのりをまとって、おいしさ倍増!1人1皿も行けちゃいそうです。
編集長・杉森「シンプルを極めたメニューは、アボカド1個があまったときにもおすすめ。生しょうゆと合わせてしばらくおくと、よりやわらかな食感になり、アボカドのクリーミーなおいしさをしっかり楽しめます。お酒のアテにもいいですね」
アツアツ、とろりの新体験を召し上がれ
『とろとろアボカドエッグ』

チーズと卵がからんで、まるでグラタンのよう。アツアツのアボカドを試したことがないなら、今晩にでもぜひ!
編集長・杉森「チーズを加えたアボカドは、コクと旨みがガツンときて絶品。卵の火の入り加減を見極めることだけはお忘れなく。とろんとしたところで混ぜながら食べたら、それはもう極上のごちそうです。アウトドアでもつくりやすいのでお試しを」
おいしいアボカドを
見極めて、
新しいレシピにも
チャレンジを!
江口さん「皮がむきやすく、調理の手間がかからないアボカドですが、カットしてみたら黒かった……なんてこともあります。でも、色やツヤ、へたの周囲の状態など、見た目だけでもかなり判断できるので、今まで注目していなかった方は選ぶときの参考にしてみてください。生は生でおいしいですが、火を通したアボカドのねっとり感もぜひ味わっていただきたいところ。フライやグラタンなどもおすすめなので、今回ご紹介したレシピの他にも、いろいろチャレンジしてみては?」

教えてくれた人 江口恵子さん
料理家、フードスタイリスト、 All About「家事」ガイド 。雑誌や広告、Webなどでレシピ提案やスタイリングを行うほか、企業のレシピ開発など、幅広く活躍。料理教室「 ナチュラルフードクッキング 」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナー。著書に『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)などがある。
撮影/金田邦男
公開:2024年3月18日 最終更新:2024年11月27日
ホームクッキング編集担当より
アボカドはその昔(昭和のころです)まだまだ物珍しい食材で、サラダに使うとか、わさびしょうゆで刺身のように食べるくらいしか知られていなかった気がします。でも今や「映え」のムーブメントも手伝って、すっかりメジャーな存在になりました。ホームクッキングでもいろいろなレシピを紹介していますが、「しぼりたて生しょうゆ&わさび少々」との組み合わせはテッパンです!簡単副菜としておすすめ。(編集長・杉森)