ゴーヤの苦みを取る
下処理の方法から、
保存のコツや
おすすめレシピまで紹介!
独特な苦みが特徴の夏野菜、ゴーヤ。炒め物やサラダなど、さまざまな料理に活用されていますが、苦味ががちょっと苦手、という人もいるのでは?そこで今回は、ゴーヤの苦味をやわらげるテクニックに注目。下処理の方法に加え、新鮮なゴーヤの選び方や保存方法も併せてご紹介します。これを読めば、ゴーヤをもっとおいしく味わうことができるはず!
程よい苦みがおいしさに!
ゴーヤの苦みを抑える下処理
ゴーヤの苦みはおいしさのひとつですが、強すぎると食べづらいことも……。でも、ご安心を。苦みをやわらげる下処理があるんです。方法はいくつかありますが、苦みの得意・不得意や、状況に応じて使い分けることで、ぐんと食べやすくなりますよ。
●まずは基本の下処理・わたの取り方
- ゴーヤを水で洗い、両端を切り落とす。
- 縦半分にカットする。
- スプーンなどを使い、種とわたを取り除く。
野口さん「縦にカットするときは、包丁を少し立てるとまっすぐ刃が入ってきれいに切れます。ゴーヤが大きかったり、包丁に不慣れだったりする場合は、先に横半分に切ると良いでしょう。種とわたを取り除くスプーンは、小さい方が扱いやすくなります。わたに味はないので、力を入れて削り取る必要はありません。ただ、食感がふわふわしているので、おひたしのように生で食べるときはしっかり取るのがおすすめです」
●苦みを抑える下処理(1):塩をまぶす(風味を残した苦み取り)
- 料理に合わせた幅の薄切りにする。
- ボウルにゴーヤと塩を入れる。塩の量はゴーヤ1本に対し、小さじ約1/3~1/2(ゴーヤの重量の1~1.5%)が目安。
- 手でかき混ぜ、塩を全体になじませる。5~10分経ったら、水分を取り除いてから調理に使う。
野口さん「塩の量が少なめなので、調理前に洗い流す必要がなく、手軽にできる方法です。口に入れてすぐの苦みが抑えられ、後味に感じるくらい。塩は行き渡らせる程度で良いので、力を入れてゴーヤをつぶさないようにして。5分おいた後、味見をしてまだ苦さが気になるなら、塩の量を2%にして調理前に洗い流すと良いでしょう」
野口さん「ゴーヤの厚さは、料理ごとに使い分けましょう。苦みが抜けやすい揚げ物なら1cm弱、炒め物には約5mm、火を入れない和え物などは約3mmが目安。また、薄いほど苦みが抑えられるので、苦手な人は薄めにカットするのがおすすめです」
●苦みを取る下処理(2):塩+砂糖をまぶす(苦みをしっかり取りたいときにおすすめ)
- 料理に使うサイズに切ったゴーヤをボウルに入れ、塩、砂糖をまぶす。ゴーヤ1本に対し、塩は小さじ約1/3?1/2、砂糖は小さじ2(ゴーヤの重量の3%)が目安。
- 手でかき混ぜ、塩、砂糖を全体になじませる。
- 5~10分経つとしっかり水分が出てくるので、水気を取り除き、調理に使う。
野口さん「塩だけでなく砂糖も加えることで、苦みを含んだ水分がより抜けやすくなります。塩味が強くならないので、調理前に洗う手間がいらないというメリットも。口に入れると苦みはほとんど感じず、砂糖の影響でほのかな甘みも感じるので、苦手な人でも食べやすいのでは?」
●苦みを取る下処理(3):湯通し(時間をおかず、しっかり苦みも取りたいとき)
- 鍋に湯を沸かし、塩を入れる。塩の量は水1リットルに対し、大さじ1が目安。
- 料理に使うサイズに切ったゴーヤを静かに入れ、さっとゆでる。ゆで時間の目安は、薄切りなら約20秒、厚切りなら約1分。
- ざるにあげて粗熱を取り、調理に使う。
野口さん「湯通しすることでえぐみや雑味が抜け、味が入りやすくなります。ゴーヤの緑色が、より鮮やかになるのもポイントですね。水に取らず、ざるにあげるだけの”陸(おか)上げ”にするのは、水分が入ることで必要以上に風味が抜けるのを防ぐため。火を通す時間が長いと食感が落ちてしまうので、ゆですぎに注意しましょう」
●苦みを取る下処理(4):電子レンジで加熱(手軽にしっかり苦み取り)
料理に使うサイズに切ったゴーヤを耐熱容器に入れる。ゴーヤ100gに対し、小さじ約1/4の塩をまぶしたら、ラップをかけずに電子レンジの600Wで加熱する。加熱時間は薄切りなら約30秒、厚切りなら約1分が目安。
野口さん「苦みがかなり抑えられ、時短もできる方法です。レンジ加熱は水分が抜けやすくなりますが、ゴーヤの食感にはそれほど影響しません。火を入れる時間が短縮でき、調味料も入りやすくもなるので、炒め物におすすめ。薄切りだと苦みがほとんど抜けるので、かつお節としょうゆをかけるだけでおひたしとして食べることもできますよ」
下処理だけじゃない!
ゴーヤの苦みを抑える調理法
下処理だけでなく、調理の仕方によってもゴーヤの苦みは和らげることができます。
●油と合わせる
油でゴーヤの周囲をコーティングするのも、苦みを抑える方法のひとつ。天ぷらや唐揚げにしたり、マヨネーズと和えたりすることで、苦みを感じにくくなります。
●うま味のあるものと合わせる
うま味が加わることで味がまろやかになり、苦みも抑えられます。めんつゆで味付けをする、かつお節やとろろ昆布といった食材を使うなど、うま味を意識して取り入れてみましょう。
●加熱時間を長くする
ゴーヤにしっかりと火を通すことでも、苦みを抑えられ食べやすくなります。ただし、長すぎると食感が落ちてしまうので、薄切りにしたときはより注意が必要です。
野口さん「ゴーヤの苦みが苦手なら、下処理に加えて上記3点にも留意したいところ。調理中に味見をして苦みが強いと感じたら、油を足したり、加熱時間を長くしたりして調整しましょう。なお、うま味を加えるなら肉、それもバラ肉のように脂のある食材を組み合わせるのもおすすめです」
おいしくて新鮮な
ゴーヤの選び方
野口さん「新鮮なゴーヤは表面にハリがあり、突起もぷっくりしています。選ぶときは、手に持ったときに適度な重みのあるものがおすすめ。両端がしなびているのは、収穫から時間が経っていることを示します。鮮度が落ちればその分、苦みも弱まりますが、おいしさや栄養素も損なわれてしまうので避けて。また、緑色が濃いほど生育期間が長く、苦みも強くなる傾向があるので、お好みで選びましょう」
さらに長持ちさせるために。
ゴーヤの保存方法
2~3日程度は常温保存できるゴーヤですが、おいしく長持ちさせたい場合は冷蔵保存、もしくは冷凍保存がおすすめです。
●冷蔵保存
より長持ちさせたい場合や、一部残った場合は、以下の手順で野菜室に入れましょう。
- 種とわたを取り除いたゴーヤの水分を拭い、キッチンペーパーで包む。
- ラップで包み、冷蔵庫の野菜室で保存する。保存期間は3~4日。
野口さん「次の使い道が決まっていないなら、ひとまずこの方法で。キッチンペーパーが余分な水分を取り除き、ラップが乾燥を防ぎます。わたの部分は水分が多く、傷みやすいため、取り除いてから保存するようにしましょう」
●下処理をしてから冷蔵保存
苦みを抑える下処理で紹介した、切ったゴーヤに塩、もしくは塩+砂糖をまぶしたものは保存容器に入れて冷蔵保存できます。保存期間は3~4日ほど。
野口さん「調理の際、一度に食べきれない場合はこのようにあらかじめ下処理をしておき、余ったものを保存すれば、次に使うときに手間が省けて便利です。寝かせることで味もなじむので、そのまましょうゆをたらしておひたしにするのはもちろん、炒め物にもおすすめです」
●下処理して冷凍保存
- 湯通しなど、苦みを抑える下処理をしたゴーヤの水分を取り除く。
- ジッパー付き保存袋に入れる。
- 空気を抜き、平らな状態にして口を閉じ、金属トレイに載せて冷凍庫へ。保存期間は約1か月。
野口さん「ゴーヤは冷凍しても食感を損ないにくいので、長持ちさせたいときは冷凍保存を。湯通ししておけば、解凍するだけですぐに使えて便利です。下処理せず、生のゴーヤをスライスしたものも冷凍保存できますが、苦みも残ったままなので使うときに湯通し、または加熱調理しましょう。下処理を保存前にするか、保存後にするのか、どちらの手間を減らしたいかで使い分けてください」
知っていれば役に立つ!
ゴーヤに関するFAQ
古くから沖縄で食べられてきたゴーヤ。今では全国的にもすっかり定着しましたが、意外と知らないこともあるものです。気になる疑問は、こちらで解決しましょう!
Q.わたも食べられると聞いたけれど……?
A.
ゴーヤのわたはウリ科特有の青臭さはあるものの、苦みはまったくありません。わただけで食べるというよりは、取り除かずに調理するというイメージで、天ぷらなどの揚げ物なら気にならないはず。ただ、食感がふわふわしているので、苦手な場合は取り除くようにしましょう。
Q.ゴーヤに含まれる栄養分は?
A.
ゴーヤにはビタミンCやカリウムなどが多く含まれています。特にビタミンCは豊富で、みかんの2倍以上。ゴーヤのビタミンCは熱で壊れにくい性質があるため、炒め物や揚げ物にしてもしっかり吸収できます。
Q.「ゴーヤ」と「にがうり」って、同じもの?
A.
呼称の違いだけで、どちらも同じものを指します。和名は「ツルレイシ」。沖縄では主に「ゴーヤー」と呼ばれますが、全国的には「ゴーヤ」で浸透しています。
にがおいしい!
ゴーヤを使った
おすすめレシピ3選
ゴーヤの人気レシピの中から、特におすすめのものをご紹介!定番の「ゴーヤチャンプルー」はもちろん、唐揚げ、おひたしという意外なおいしさが味わえる一品もご用意しました。野口さんのワンポイントアドバイスを参考に、ぜひお試しを!
苦みを程よく抑えるコツが満載!
『ゴーヤチャンプルー(基本の和食、おうちの和ごはん)』
野口さん「夏バテ対策に効果が期待できそうな一品。塩水をまぶす、卵を全体にからめる、脂の多い豚バラを使うなど、さまざまなテクニックで苦みをほどよく抑えています。最初に豆腐を焼くことで水分が飛び、全体が水っぽくならないので、この工程は省かないようにしましょう」
フワッとして、皮はシャキシャキ!
『ゴーヤのから揚げ』
野口さん「これは意外なおいしさ!油との組み合わせに加え、下味に『いつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ』を使ったことで、味にいっそう深みが出ています。輪切りしたゴーヤのわたを取り除くときはスプーンが手軽ですが、テーブルナイフを使っても簡単・きれいに仕上がりますよ」
まろやかで子どもも食べやすい
『ゴーヤのおひたし』
野口さん「薄切りにしたゴーヤをさっとゆでることで、見た目は涼やか、味わいもすっきりします。食べる直前までしっかり冷やして、ガラスの器に盛り付ければ、夏のおもてなしにも喜ばれそう。おひたしというと青菜を使いがちですが、これでまたバリエーションが増やせますね」
ゴーヤの栄養素をおいしく摂取できる副菜レシピも!
適度な苦みがおいしさに!
ゴーヤ料理をもっと楽しもう
野口さん「店頭にたくさんのゴーヤが並ぶと、夏の到来を実感しますよね。ゴーヤ料理の定番と言えばゴーヤチャンプルーですが、和え物や揚げ物など、さまざまな料理に活用できる汎用性の高い野菜。私は麻婆なすの要領で麻婆ゴーヤをつくったり、素揚げにしてカレーにトッピングしたりしています。
料理によっては苦みもおいしさのうちとも言えるので、苦手でなければゴーヤの苦みは適度に残しておくのもおすすめです。薄さ、下処理の方法、調理の仕方と、さまざまな方法を試して、自分がもっともおいしいと思える好みの苦さを見つければ、ゴーヤ料理はさらにおいしくできますよ!」
教えてくれた人 野口英世さん
料理研究家、フードスタイリスト、 All About「簡単スピード料理」ガイド 。無理や無駄のない、つくり手重視の効率的なレシピとスタイリングアイデアにファンも多く、テレビや雑誌、新聞、広告などで活躍中。近著に『turk フライパンクックブック』『使いやすい台所道具には理由がある』(ともに誠文堂新光社)などがある。
撮影/金田邦男
公開:2024年8月7日
ホームクッキング編集担当より
この季節、スーパーで個性的なフォルムを見かけると、その風味を求めて無性に買いたくなってしまうゴーヤ。一緒に食べる人の好みやつくりたい料理に合わせて最適な下処理を選べば、さらに旬の味覚を楽しめそうですね。冷蔵と冷凍、いずれの保存もうまく活用することで、常備できる野菜としても重宝しそうです。今年の夏は、ホームクッキングのレシピとともに、新鮮でほろ苦なゴーヤを楽しんでみてください♪(編集担当・市川)