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菜の花のゆで方と
ゆで時間が丸わかり!
おすすめレシピ3選と
保存方法も紹介

1月~4月頃に旬を迎える菜の花。ほろ苦い味わいはおひたしや和え物、炒め物などにぴったり。調理前に下ゆですることで色よく仕上がりますが、固い茎とやわらかい葉では火の通り方が異なるため、ゆで時間を調整するといった工夫が必要です。そこで、茎も葉も最適にゆで上げるコツを、料理家の江口恵子さんに教えてもらいました。生の状態やゆでた後の菜の花を保存する方法や、おいしいレシピのポイントと共にお伝えします。

おいしい菜の花の選び方。
どこで見分ける?

つぼみから15~20cmの部分をカットし、束になった状態で販売されていることが多い菜の花。この切り口がみずみずしければ収穫からそれほど時間が経っておらず、新鮮な証拠です。一方、内側が空洞になった、いわゆる「す」が入った状態は、成長しすぎて固いことが多いので注意しましょう。また、つぼみが開いて花が咲いたものも、すが入りやすい傾向にあります。

切り口は、すが入っていたり乾いたりしているもの(左)ではなく、できるだけみずみずしいもの(右)を選びましょう。

つぼみがしっかり閉じているものを選ぶと、花が開いたものよりやわらかい食感が楽しめます。

Point

江口さん「菜の花の茎の太さは個体差がありますが、太いからといって成長しすぎというわけではありません。むしろ噛みごたえや甘みがあるので、好みで選んでください。また、一束の中に茎の太いもの、細いものが混在しているものもありますが、そのままだと火の入り具合が変わってくるので、ゆでるまえに同じ太さに切りそろえるのがポイントです」

菜の花をゆでる前の
下ごしらえ。
水揚げ・洗い方・切り方
を解説

菜の花はゆでる前に水揚げして洗うこと。最初に水揚げを行うのは、菜の花を上手にゆで上げるコツ。しばらく水につけておくと、葉がピンと立ってみずみずしく元気な状態に戻ります。

水揚げの手順

1
切り口から5mmほど切り落とす。
2
ボウルに水を張り、切り口から立てるようにして入れる。
3
そのまま5分~15分おく。

約15分経過した状態。張った水の量が減り、菜の花は葉が広がって全体的にボリュームがでています。

Point

江口さん「最初に切り口をカットするのは、水をスムーズに吸い上げるようにするため。水揚げして水分をたっぷり含むことで火の入るスピードがゆるやかになるため、ゆですぎを防げます。食感が良くなり、色もきれいに仕上がるので、ぜひお試しを」

洗い方

1
水を張ったボウルに菜の花を広げながら入れ、全体をすすぐように洗う。
2
つぼみ部分を水に浸け、ふりながら洗う。
Point

江口さん「最初に切り口をカットするのは、水をスムーズに吸い上げるようにするため。水揚げして水分をたっぷり含むことで火の入るスピードがゆるやかになるため、ゆですぎを防げます。食感が良くなり、色もきれいに仕上がるので、ぜひお試しを」

切り方

1
茎の太さが混在しているときは、太いものだけを選んで葉と茎を切り分ける。
2
茎の太さは、どれも同じくらいの太さになるように縦に切る。
Point

江口さん「菜の花の茎は太さをそろえるときだけでなく、料理に合わせて細く切ることもあります。たとえばスパゲティは細い方が麺との一体感が生まれて食べやすくなるので、料理によって使い分けると良いでしょう」

菜の花のゆで方とゆで時間。
基本(鍋)と
時短(レンジ)の
両方を紹介

菜の花は茎部分と葉・花部分とで火の通り方が異なるため、時間に差をつけてゆでる必要があります。切らずに鍋でゆでる場合は、先に茎部分だけを湯に入れ、太さによって5秒(ひと呼吸)~30秒ほどおいてから全体を入れるようにしましょう。 電子レンジを使う方法なら、湯を沸かす時間が省けます。ただ、レンジ加熱は鍋でゆでるよりも水分を失いがちなので、食感が悪くなる可能性も。どちらの方法を選ぶかはメニューによりけりです。いろいろ試してみてください。

基本のゆで方(まずは茎を5秒~30秒、そのあと全体30秒~40秒)

1
鍋でお湯を沸かす。沸騰したら、水1リットルに対して小さじ1の分量の塩を入れる。
2
向きをそろえた菜の花のつぼみ側を握り、茎部分を湯に入れてそのまま5秒~30秒キープ(太さによって加減する)。
3
菜ばしで葉の部分を沈め、全体をさらに30秒~40秒ゆでる。
4
ゆで上がった菜の花を菜ばしで引き上げ、冷水に取って冷やす。
5
根本をそろえて持ち、絞る。
Point

江口さん「塩を入れるのは、えぐみを抑えてうまみを引き出すため。湯から引き上げてそのままだと余熱で火が通りすぎてしまうので、冷水でしっかり冷やしましょう。これらふたつの工程には、ゆで上がりの色を鮮やかにする働きもあります。また、絞るときの目安は“もう1回絞ると水が出るかな”くらい。絞ったときに出る水にはアクが含まれているので、残りの菜の花が入ったボウルの上でしぼるのは避けましょう。ちなみに、菜の花の茎の太さもいろいろなので、太さによってゆで時間を調整してみてくださいね」

<茎の太さごとのゆで時間(茎+全体)の目安>
直径5㎜くらいの太さなら 35秒
直径1㎝くらいの太さなら 1分
直径1~1.3㎝くらいの太さなら 1分10秒

時短なら電子レンジで加熱(600Wでわずか1分半!)

1
菜の花を洗い、半分の長さに切る。
2
茎、葉の順で耐熱容器に入れる。
3
菜の花1束(200g前後)に対し、ふたつまみ分の塩を全体にまぶす。
4
ラップをふんわりかけて電子レンジへ。加熱時間は600Wで1分30秒が目安。
5
冷水にとり、しっかり冷ます。その後、水気を絞る。
Point

江口さん「できるだけ水分を失わないよう、洗った後の水切りは最小限で。ゆでた後の冷水にとる工程でも、水分が補えます。また、電子レンジは下にあるものの方が火の通りが早いため、耐熱容器の下側に火が通りにくい茎を入れて加熱ムラを抑えましょう」

ゆでた菜の花を使う、
簡単おすすめレシピ3選

ゆでた菜の花はおひたし、和え物にしてもいいですし、炒め物や汁物、揚げ物にも活用できます。ここでは、相性抜群のしょうゆを使った和え物と炒め物、そしてパスタのレシピをご紹介。鮮やかな緑で彩りを与えてくれるので、さまざまな料理にご活用ください。

菜の花料理の定番!
『菜の花の辛子じょうゆ和え』

ゆでた菜の花を和えるだけ。使う調味料の種類も少ないシンプルな一品です。

江口さん「辛子としょうゆの味わいが、菜の花の食感、香り、味の個性を引き出します。私も大好きな菜の花の代表的な食べ方。この味付けはアブラナ科の野菜に合うようで、小松菜を使ってもおいしくいただけます。ひと手間かけて、ゆでた後に “しょうゆ洗い”をするレシピ でつくると、さらにおいしくなりますよ」

オリーブオイルで意外なおいしさに!
『菜の花のあっさり炒め』

しょうゆの香りとみりんのほのかな甘さが、ほろ苦い菜の花の味わいによく合います。

江口さん「ゆでた菜の花を使うので、火が通りすぎには注意を。手早くつくれるよう、調味料は炒める前に合わせておきましょう。調味料は鍋肌から回し入れると、みりんのアルコール分が飛びやすくなり、しょうゆの香りがさらに引き立ちます」

レモンをしぼってさわやかに。
『菜の花と生ハムのパスタ』

つぼみの部分がたっぷりとドレッシングを含んで、ジューシーな仕上がりに。

江口さん「レモンを使ったドレッシングは、さっぱりとした味わい。薄切りの玉ねぎや生ハムも加わった、サラダ感覚でいただける一品です。菜の花のシャキシャキした歯ごたえも大切なので、ゆですぎないように気をつけましょう」

菜の花の保存方法。
生なら冷蔵、
ゆでたら冷凍がおすすめ

他の葉物野菜と同様、菜の花は買ったときの状態のまま保存すると、水分を失ってしなびてしまいます。すぐに調理できない場合は、適切な方法で冷蔵保存しましょう。また、まとめてゆでて冷凍保存しておくのもおすすめです。

生の状態で冷蔵保存

1
水で湿らせたキッチンペーパーで、全体を包む。
2
ポリ袋に入れ、口を軽く閉じる。
3
容器に入れるなどして、立てた状態で冷蔵庫の野菜室に保存する。保存期間は約1週間。
Point

江口さん「輪ゴムなどでまとめられ、束になった状態ならそのまま保存した方が扱いやすいですよ。湿らせたキッチンペーパーで包むのは、乾燥を防ぐため。ムレを抑えるために、ポリ袋の口はゆるく閉じましょう。野菜室の中では、育っていたときと同じように立った状態で保存すると、菜の花にストレスがかかりにくくなるのでおすすめです」

ゆでたものを冷凍保存

1
ゆでて水分を絞った菜の花を、1/3に切る。茎と葉がかたよらないようにして小分けし、ラップで包む。
2
シッパー付き保存袋に入れて口を閉じ、金属トレイに載せて冷凍庫で保存する。保存期間は約1か月。
Point

江口さん「冷凍した菜の花は、自然解凍して料理に使います。使うときのことを考えて、茎と葉をまんべんなく混ぜてから冷凍しましょう。金属トレイに載せると凍るまでの時間を短縮できるので、味や食感が落ちにくくなります。なお、生の菜の花を冷凍したいときは、洗ってから切った状態で保存を。丸ごと冷凍すると扱いにくく、解凍時にグズグズになるので避けましょう」

菜の花のゆで方のコツは、
茎と葉をゆで時間に
差をつけること!

江口さん「菜の花をゆでるときは、歯ごたえを残して加熱しすぎないのがコツ。茎と葉の部分のゆで時間に差をつけたり、茎の太さをそろえたりすることで均一においしくゆでられるので、ぜひお試しください。水揚げなどの工程は省いてもゆでられますが、こうした下処理をすることで確実においしくなります。ほうれん草のように1年中、手に入る青菜と違って、菜の花はまさに春限定の野菜。ほろ苦い野菜のおいしさを十分に楽しんでください」

ホームクッキング編集担当より

季節を感じる野菜として人気の菜の花。ホームクッキングでも1月をすぎるころからぐっと閲覧数が伸びてきます。菜の花って、硬すぎるのもイヤですが、ゆですぎてコシがまったくないやわやわになるともっとがっかりしませんか? ゆで方のコツをつかめば、絶妙の食感で料理が仕上がります。ぜひ今回の方法で好みの加減をつかんでください!(編集長・杉森)

写真:江口恵子さん

教えてくれた人 江口恵子さん

料理家、フードスタイリスト、 All About「家事」ガイド 。雑誌や広告、Webなどでレシピ提案やスタイリングを行うほか、企業のレシピ開発など、幅広く活躍。料理教室「 ナチュラルフードクッキング 」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナー。著書に『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)などがある。

撮影/金田邦男
公開:2023年2月16日

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