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じゃがいもの芽の取り方・保存方法!
おすすめレシピ3選も紹介

じゃがいもの芽の取り方・保存方法!おすすめレシピ3選も紹介

カレーに肉じゃが、コロッケ、ポテトサラダなど、季節を問わず活躍するじゃがいも。便利で保存が効くことから常備することの多い定番の野菜ですが、意外と知らないこともあるものです。「芽は取るけど、どこまで?」「冷凍保存は何が何でもダメ?」なんて思いながらも、何となく使っている方もいるのでは?ここでは、そんな疑問にお答えするとともに、保存方法やゆで方のコツをご紹介します。おすすめのじゃがいもレシピもあるので、ぜひご活用ください!

体に悪いと
聞いたけれど……。
じゃがいもの芽は
なぜ取り除く?

じゃがいもの芽を取り除く理由は、ずばり、ソラニンなどの毒素が含まれているから。摂取することで食中毒の症状を引き起こすことがあるため、しっかり取り除く必要があります。また、皮が緑色になっているじゃがいもも要注意。芽と同様に毒素が含まれているので、皮は厚めにむいて、緑色の部分を必ず取り除いてください。

写真:緑色になったじゃがいもと芽の出たじゃがいも

左側が緑色になったじゃがいも、右側が芽の出たじゃがいも。

写真:緑色になったじゃがいもの断面

緑色になったじゃがいもの断面。皮だけでなく、中まで緑になっています。

Point

江口さん「時々、芽の周囲が緑色に変わっていることがありますが、この部分にも毒素が含まれているので、確実に取り除きましょう。皮が緑色のじゃがいもは、調理の前に皮をむくことが大切。ゆでてからだと皮は薄くしかむけず、しっかり取り除けなくなるのでご注意ください」

包丁やピーラーを使って、
じゃがいもの芽をきれいに
取る方法

じゃがいもの芽を取るときは、包丁、もしくはピーラーを使います。まずは皮をむき、残った芽の部分をきれいに取り除きましょう。

●包丁で


芽の部分に刃元の角を斜めに入れ、ねじるようにして取り除きましょう。じゃがいもと包丁を少しずつ回せば、芽の周囲を取ることができます。

写真:包丁で芽の周囲を取る

●ピーラーで


たいていのピーラーに備わっている小さな突起は、「芽取り」と呼ばれるもの。この部分を芽の根元に差し込み、すくいながらえぐり取るときれいに取り除けます。

写真:ピーラーの「芽取り」で芽の周囲を取る
Point

江口さん「芽に差し込むときに少し力を入れれば、あとはぐるりと回すだけでOK。私はピーラーで大半の皮をむいた後、芽と残った皮は包丁で取り除いていますが、各自で使いやすい道具を選ぶと良いでしょう」

芽の生長を抑える意味でも
おすすめの冷蔵保存

じゃがいもの保存に適しているのは、暗くて涼しい場所。常温でも良いですが、20℃くらいで発芽しやすくなるため、冷蔵したほうが安心です。保存の際は、サッと洗って水分を取り除き、乾いたキッチンペーパーに包んでからジッパー付き保存袋へ入れて野菜室へ。

写真:乾いたキッチンペーパーに包んでからジッパー付き保存袋へ入れて野菜室へ
Point

江口さん「じゃがいもは水分が残っているとカビが生えやすく、乾燥するとシワシワになります。保存の際は、不要な水分を吸うキッチンペーパーと、乾燥を防ぐジッパー付き保存袋を使いましょう。冷蔵室では温度が低すぎるので、野菜室で保存すると、1か月~2か月ほど持たせることができます。なお、キッチンペーパーと保存袋がない場合は、じゃがいもを紙袋などに入れ、口を閉じた状態で保存するのもひとつの方法です。ちなみに、りんごが発生するエチレンガスにはじゃがいもの発芽を抑える働きがあるので、じゃがいもが大量にあるときに試してみてもいいかも」

じゃがいものゆで方と
ゆで時間は?
コツをつかんで
おいしくゆでよう

料理の工程にあるのはもちろん、じゃがいもはゆでただけでもおいしくいただけるので、上手にゆでるコツを知っておくと便利です。ここでは、まるごとの状態と切った状態のゆで方と、電子レンジ加熱の方法をご紹介しましょう。

Point

江口さん「皮付きでまるごとのじゃがいもをゆでると、甘みがあってホクホクとした食感が楽しめます。皮をむき、切ってからゆでたものは、ホクホク感をそれなりに残しながら、熱々の状態で皮をむく手間を省けるのが利点。また、時短重視なら電子レンジが最も優秀なので、状況や好みに合わせて使い分けてください」

●まるごとの状態でゆでる

写真:じゃがいもを水で洗う
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じゃがいもを水で洗う。皮ごと食べる場合は、タワシでこすって土をしっかり取り除くと良い。
写真:じゃがいもに十字の切れ目を入れる
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皮をむいて食べる場合は、深さ1mmくらいの十字の切れ目を入れる。
写真:十字の切り目が入った状態
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十字の切り目が入った状態。
写真:鍋にじゃがいもと水を入れる
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鍋にじゃがいもと、じゃがいもが8割浸かるくらいの水を入れ、ふたをして20~25分ゆでる。
写真:串を刺し、ゆで具合を確認する
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串を刺し、ゆで具合を確認する。スッと通らない場合は、様子を見ながら30秒~1分ゆでる。
写真:熱いうちに皮をむく
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熱いうちに乾いたキッチンペーパーや清潔な布で包み、十字の切れ目から指をすべらせるようにして皮をむく。
写真:芽が残っている場合は取り除く
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芽が残っている場合は、フォークなどで取り除く。
Point

江口さん「じゃがいもなどの根菜は、水からゆでることでじっくり火が通り、しっとりとしたゆで上がりになります。水を少なめにするのは、時短のため。全体が水に浸っていなくても、ふたをして火にかければ水蒸気で火を通すことができますよ。十字の切り込みは、皮をむくときの取っかかりとなるもの。必須ではありませんが、入れた方がスムーズに皮がむけるので、広い面に1箇所だけ、1mm程度の深さで入れるのがおすすめです。

なお、ゆでてから時間が経つとでんぷん質が固まるため、たとえ包丁を使っても皮がむきづらくなります。皮むき作業をするときは、火傷に注意しながら熱いうちにすませましょう」

●切った状態でゆでる

写真:一口大に切ったじゃがいと水を鍋に入れる
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洗って皮をむいたじゃがいもを一口大に切り、水と一緒に鍋に入れる。
写真:塩をひとつまみ入れる
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塩をひとつまみ入れて火にかける。
写真:串を刺し、ゆで具合を確認する
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沸騰後、中火で6分~8分ゆでたら串を刺し、ゆで具合を確認する。スッと通らない場合は、様子を見ながら30秒~1分ゆでる。
写真:ゆで上がったらざるにあげ、水を切る
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ゆで上がったらざるにあげ、水を切る。
Point

江口さん「皮をむいたじゃがいもは、塩を入れてゆでるとおいも本来の甘みや旨みが感じやすくなるうえに、味付けの際の味なじみも良くなります。塩味を付けるわけではないので、使う量はほんの少し。じゃがいも4個分くらいなら、ひとつまみで十分です」

●まるごとの状態で電子レンジ加熱

写真:じゃがいもをラップで包み、電子レンジで加熱する
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洗ったじゃがいもをラップでゆるく包み、耐熱皿に置いて電子レンジで加熱する。加熱時間はじゃがいも1個なら600Wで3分30秒~4分、2個なら600Wで4分20秒が目安。
写真:串を刺して熱の通り具合を確認する
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加熱後、串を刺して熱の通り具合を確認する。スッと通らない場合は、様子を見ながら追加で10秒ずつ加熱する。
Point

江口さん「ラップでぴったり包むと、加熱後にラップがじゃがいもに密着して真空状態になりじゃがいもの身が縮んでしまうので、ゆるく包むのがコツ。また、電子レンジの場合は加熱しすぎると固くなりやすいため、様子を見ながら少しずつ加減してください。なお、複数のじゃがいもを串で刺して確認をするときは、小さいものから順に確かめるのがおすすめ。そうすることで、大きい方はちょうどいいのに小さい方だけ加熱しすぎ……というミスが防げます」

じゃがいもは冷凍保存してもいいってホント?
味や食感に変化は?

「冷凍すると食感が変わっておいしくない」と言われるじゃがいも。でも、実は保存方法や使い方を工夫すれば、味や食感の違いを最小限に抑えることができるんです。

●カットして冷凍保存

写真:じゃがいもの皮をむき、薄切りにする
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じゃがいもの皮をむき、薄切りにする。
写真:5分ほど水にさらす
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5分ほど水にさらす。
写真:水分をしっかり取り除く
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キッチンペーパーなどで抑え、水分をしっかり取り除く。
写真:保存袋に入れ、金属トレイにのせて冷凍庫へ
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ジッパー付き保存袋に入れ、空気を抜いたら平らにして口を閉じ、金属トレイにのせて冷凍庫へ。保存期間は約1か月。
Point

江口さん「じゃがいもをそのまま冷凍すると食感が悪くなりますが、小さくカットすれば凍るまでにかかる時間が短縮され、食感の劣化がある程度抑えられます。みそ汁や炒め物、グラタンなどに使えば、違いはほとんど気にならないはず。凍ったまま調理可能で、火が通る時間も短縮できるので、常備するのもおすすめです。なお、皮をむいたじゃがいもは、空気に触れると変色が進むので、この工程は省かないようにしましょう」

●つぶして冷凍保存

写真:ゆでたじゃがいもをつぶし、ラップに包む
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ゆでたじゃがいもをつぶし、平らな状態にしてラップで包む。
写真:保存袋に入れて金属トレイにのせて冷凍庫へ
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ジッパー付き保存袋に入れて空気を抜き、口を閉じたら金属トレイにのせて冷凍庫へ。保存期間は約1か月。
Point

江口さん「じゃがいもをゆですぎたときや、つぶしたものが余ったときは、この方法で冷凍を。使う料理はコロッケやポタージュ、ラザニアなどがおすすめです。平らな状態にするのは冷凍ムラを避けるためで、金属トレイにのせると冷凍までにかかる時間が短縮できますよ。なお、じゃがいもは冷めると固くなるので、つぶすときも熱いうちに作業することが肝心。ゆで上がりがやわらかければゴムべら、固めならめん棒などを使ってつぶしましょう」

気になっていた疑問を解消!
じゃがいもにまつわるFAQ

じゃがいもに対して抱きがちな疑問を、専門家の江口さんに聞きました。料理の出来に関わる回答もあるので、ぜひご一読ください。

Q. 芽が出る部分は、発芽していなくても取るべき?

A. 江口さん「まだ芽が出ておらず、緑色にもなってないなら、他の箇所と同じように皮をむくだけで大丈夫。えぐり取る必要はありません。くぼんでいて皮がむきにくい場合は、包丁の刃を寝かせて、じゃがいもの形に添って少しずつむきましょう」

Q. やわらかくなったじゃがいもは、まだ食べられる?

A. 江口さん「じゃがいもがブヨブヨになるのは、水分が抜けたから。カビが生えていたり、腐ったりしていなければ食べられますが、食感はよくありません。カレーなどに入れ、煮溶かす手前までじっくり火にかけるのがおすすめです」

Q. じゃがいもの品種によって、合う料理は変わる?

A. 江口さん「身がやわらかな男爵は、コロッケやポテトサラダ、じゃがバターなどに向いています。メークイーンは煮くずれしにくいので、肉じゃがやポトフなどの煮込み料理に使うのが良いでしょう。また、新じゃがは皮ごといただくのが断然おすすめ。皮をむかず、くし形にカットしてポテトフライにするなど、旬のおいしさを存分に味わってください」

Q. 煮物にすると煮くずれてしまいがち……。対策は?

A. 江口さん「まずは煮込み料理向きのメークイーンを使うこと。また、切った後に面取りをすることで、より煮くずれを抑えることができます。面取りした切れ端は、みそ汁などに入れればムダになりません。このほか、煮込んでいるときに混ぜすぎたり、強火でグラグラさせたりするのも避けましょう」

写真:左側が切ったままのもの、右側が面取りをしたもの

左側が切ったままのもの、右側が面取りをしたもの。包丁やピーラーで角部分を取り除くと、煮くずれを抑えられて美しく仕上がります。

人気の3品を厳選!
じゃがいもを使った
おすすめレシピ

こちらでご紹介するのは、じゃがいも料理の基本とも言える肉じゃが、ポテトサラダに加え、キッコーマンレシピで人気のジュワッと焼きと、全3品のレシピ。普段からつくっている定番料理も、レシピが変われば新たな発見もあるはずなので、ぜひお試しください。

多めに使ったみりんが醸し出す上品な甘さ
『肉じゃが』

写真:肉じゃが

肉のうま味をまとったじゃがいもや玉ねぎも、主役級のおいしさ!大きめにカットしているから、食べ応えも十分です。

江口さん「豚肉は後から加えることで、しっとりやわらかな食感に。煮込む時間が短くても、下味を付けているうえに落としぶたを使うので、味はしっかり染みています。肉の脂肪分が多いとさらにしっとりするので、お好みで豚バラ肉を使うのも良いでしょう」

さっぱりしているのに、うま味たっぷりの大人味
『ポテトサラダ(基本の和食、おうちの和ごはん)』

写真:ポテトサラダ(基本の和食、おうちの和ごはん)

じゃがいも以外の具材は、きゅうりと玉ねぎだけの潔さ!辛子の刺激も心地良く、大人向けの味わいです。

江口さん「ゆでた後、粉吹きいもにするのは面倒に思うかもしれませんが、しっとり感を残しながら余計な水分が飛ばせる大切な工程。味付けにはみりんを使うものの甘さはなく、うま味となめらかな食感だけが感じられます。隠し味に使われた練りからしは、味をボケさせない重要な存在ですね」

食欲をかき立てる、バターしょうゆの香ばしさ
『焦がし生しょうゆ香る!じゃがいもブロッコリーとチキンのジュワッと焼き』

写真:焦がし生しょうゆ香る!じゃがいもブロッコリーとチキンのジュワッと焼き

鶏肉のうま味とバターしょうゆ味をしっかり吸ったじゃがいもは、味わい深くしっとりとした食感に。

江口さん「じゃがいもを皮ごとおいしくいただける一品。大きめにカットした鶏もも肉は、下ごしらえの際に塩とこしょうを多めに振ると、より食べ応えがアップします。生の状態から焼くブロッコリーの、シャキッとした歯ごたえも魅力です」

何かと便利なじゃがいもは、
上手に保存しながら
使いこなそう

江口さん「供給量と価格が年中、安定しているじゃがいもは、家計のお助け食材。おいしい食べ方を知っておけば、飽きることなくさまざまな料理に使うことができます。最近は男爵やメークイーン以外の品種も増えてきたので、試しに使ってみるとまた新しい味に出会えるかも。意外とビタミンやミネラルも多く摂れる食材でもあるので、上手に使いこなしてくださいね」

ホームクッキング編集担当より

どのくらいえぐれば良いのか判然としなかった芽の取り方を詳しく教えてもらってすっきり。これで無駄にしないで使い切れそうです。保存がきく野菜こそ、正しい扱い方をマスターして、しっかり無駄にせず使い切りたいですね。薄切りにして冷凍保存してみたら、使い勝手の良さにおどろきです。(編集長・杉森)

写真:江口恵子さん

教えてくれた人 江口恵子さん

料理家、フードスタイリスト、 All About「家事」ガイド 。雑誌や広告、Webなどでレシピ提案やスタイリングを行うほか、企業のレシピ開発など、幅広く活躍。料理教室「 ナチュラルフードクッキング 」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナー。著書に『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)などがある。

撮影/金田邦男
公開:2023年11月13日 最終更新:2024年4月19日

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