いんげん(さやいんげん)の
ゆで方・ゆで時間と保存方法、
おすすめレシピ3選も
鮮やかな緑色で、料理の彩りとしても活躍するさやいんげん。上手にゆでるとみずみずしく、シャキシャキとした食感が楽しめますが、「ちょうどよいゆで加減にゆでられない」なんて声も聞こえてきます。そこで今回は、さやいんげんのおいしいゆで方を解説。選び方や保存方法のほか、おすすめレシピとともにご紹介します。
さやいんげんの
下ごしらえと、
ゆで方・ゆで時間
今回、ご紹介するゆで方は2通り。鍋でゆでる方法と、フライパンで蒸し煮にする方法です。その前に済ませておきたいのが、「筋取り」と「塩もみ」。最近は筋のない品種が主流ですが、気になる場合は下ごしらえの段階で取っておきましょう。
●下ごしらえ
- さやいんげんをボウルにためた水、または流水でサッと洗う。
- 筋が気になる場合は、筋取りを行う。へたから4~5mm下に、筋のない側から包丁を入れ、筋の手前で刃を止める。
- 切り取った部分を親指で押さえながら、さやいんげんのお尻に向かってゆっくり引っ張り、筋を取る。お尻側も同様に。
- ボウルにさやいんげんを入れ、塩をまぶす。分量はさやいんげん100gに対して塩小さじ1程度。
- しんなりするまで軽くもむ。
黒田さん「筋の有無は見ただけではわかりにくいので、最初に2~3本、試してみましょう。筋がなければ、ヘタを切り落とすだけで大丈夫。お尻の先端にある細くなった部分も、黒ずんでいたり、口の中で引っかかって気になったりする場合は一緒に取り除きましょう。
筋取りは手でポキッと折ってもいいのですが、量が多いと指が痛くなるので、包丁を使う方法がおすすめ。ペティナイフのように小さめの包丁を使うと、細かい作業もしやすいですよ。もちろん、包丁に不慣れで心配なら、手で取り除いてください。
塩もみは省いても構いませんが、色よく仕上げるのと同時に、うま味を引き出しながら下味もつけられます。時間に余裕がある人はぜひやってみてください」
●鍋でゆでる
- 鍋に湯を沸かし、沸騰したら中火にして、下ごしらえを終えたさやいんげんをそっと入れる。水の分量は、さやいんげん100gに対して500mlが目安。塩もみをしていない場合は、小さじ半分程の塩を入れる。
- 菜箸でときどき混ぜながら、約2分ゆでる。
- さやいんげんがしんなりし始め、色が鮮やかになったらざるに上げるか、氷水にとって冷まし、粗熱が取れたら水けをきる。
黒田さん「さやいんげんの量が多い場合は、フライパンよりもたくさんゆでられる鍋を使いましょう。冷ます方法はざるにあげたままの”陸(おか)上げ”と氷水の2通りがあり、陸上げはうま味が逃げにくく、しっとりした食感に。一方、氷水にとった場合は急冷されることで身が締まり、シャキッと仕上がります。陸上げのほうが、いんげん独特のキュッとした食感は抑えられるので、好みで使い分けるのがおすすめ。なお、陸上げをするときは、さやいんげん同士が重ならないようにすると冷ます時間が短縮でき、余熱でやわらかくなるのも防げます」
●フライパンで蒸し煮する
※さやいんげん100g(15~18本)が目安
- フライパンに下ごしらえをしたさやいんげんと、水を入れる。水の分量は、さやいんげん100gに対して50ml。塩もみしていない場合は、塩小さじ1/4を入れる。
- ふたをして中火にかけ、1~2分、蒸し煮をする。
- さやいんげんがしんなりし始め、色が鮮やかになったら完成。ざるに上げるか、氷水にとって冷まし、粗熱が取れたら取り出して水けをきります。
黒田さん「フライパンでの蒸し煮は水の量が少ないため、塩もみをしたときの塩味が多く残ります。また、お湯を沸かす時間が必要ないうえに、蒸気だと熱が伝わりやすいため、加熱時間が短縮できるのもいいですね」
新鮮でおいしい
さやいんげんの選び方
さやいんげんをおいしくゆでたいなら、選び方のコツも知っておきたいところ。ここでは、鮮度が高いさやいんげんの特徴をご紹介します。何本かまとめた状態で販売されていますが、できるだけ状態のよいさやいんげんが入ったものを選びましょう。
黒田さん「さやいんげんは両端から傷んでくるので、へたやお尻の部分が黒ずんでいないものを選びましょう。全体的には緑色が濃く、ぴんとしているものを。乾燥が進むと、さやにシワが出たり黒ずんできたりするので、ふっくらとしてハリのあるものがおすすめです」
冷蔵&冷凍でもっと長持ち!
さやいんげんの保存方法
鮮度が落ちたさやいんげんは、ハリもなくしんなりとし、風味も落ちてしまいます。できるだけ早めに使い切りたいですが、難しい場合は冷蔵、もしくは冷凍で保存しましょう。
●冷蔵保存
食品用ポリ袋に向きをそろえたさやいんげんを入れ、くるっと巻いて口を閉じます。保存は冷蔵庫の野菜室に立てた状態で。保存期間は4~5日です。
黒田さん「乾燥に弱いさやいんげんですが、ラップでぴっちり包まなくても大丈夫です。保存用のポリ袋に入れ、軽く口を閉じるだけでも日持ちします。ただ、冷えすぎは良くないので、冷蔵庫ではなく野菜室に入れてください」
●ゆでる前に冷凍保存
食べやすい大きさに切ったさやいんげんをジッパー付き保存袋に入れ、空気を抜いて口を閉じたら金属トレイに載せて冷凍します。保存期間は約1か月。
黒田さん「冷凍することで細胞が壊れ、火が通りやすくなります。ゆでてから冷凍すると、使うときにやわらかくなりすぎるので、生の状態で冷凍するのがおすすめ。冷凍前にカットしておけば、冷凍庫から出してすぐに料理に使えるので便利ですよ」
意外と知らない!?
さやいんげんに関するFAQ
他の野菜と比べると登場回数は控えめかもしれない、さやいんげん。何気なく口にしているけれど、実はよく知らないという方もいるのでは?そんなさやいんげんのFAQをまとめました。読めば今まで以上に、さやいんげんが身近に感じられるかも?
Q.いんげんとさやいんげん、違いは何?
A.
どちらも同じ野菜を指します。正式名称は「インゲンマメ」で、豆が未成熟で、若いうちにさやごと食べるのがさやいんげん、完熟した豆がいんげん豆です。こちらは煮豆や和菓子のあんとしてよく使われる食材で、さまざまな種類があります。
Q.さやいんげんの旬は?
A.
北は北海道、南は沖縄と、全国的に生産されているさやいんげん。ハウス栽培などもあるため、1年を通じて流通していますが、本来の旬は6~9月となります。
Q.さやいんげんにも種類があるの?
A.
サヤの形状によって、筒状のさやをもつ「丸さや」と、平らな「平さや」の2つに大別されます。店頭でよく見かけるのは、「ケンタッキーワンダー」とも呼ばれる「どじょういんげん」や「衣笠」といった、つるありタイプ。近年は、幅広で平たい平さやの「モロッコいんげん」なども人気です。
彩りの良さもおいしい要素!
さやいんげんを使った
おすすめレシピ3選
さやいんげんの人気レシピの中から、定番の副菜やお弁当にぴったりの一品をピックアップ!下ゆでなしで調理できるものもあるので、忙しいときにもきっと重宝するはずです。
味がよくなじむ、しっとり食感。
『いんげんの胡麻和え(基本の和食、おうちの和ごはん)』
黒田さん「ごま和えは、さやいんげんのゆで加減がポイント。歯ごたえがあるとおいしいので、ゆですぎに注意しましょう。ごまはすった状態でも販売されていますが、調理時にするほうが香りは断然、良くなります。シンプルな料理だからこそ、こだわってみては?」
青じその香りがさわやか!
『彩り野菜の豚肉巻き』
黒田さん「小麦粉をまぶした豚肉は冷めてもやわらかく、時間が経ってもおいしくいただけるので、お弁当にもぴったり。彩りもいいので、カットして断面を見せるのがおすすめです。しょうゆとみりんの味わいはいろいろな食材と相性がいいので、さやいんげんにプラスして、ヤングコーンやアスパラ、スティックチーズなどを巻くのもいいですね」
下ゆでなしでもおいしくできる!
『いんげんとハムの焼きびたし』
黒田さん「さやいんげんを生のまま使って、適度な食感に仕上げるレシピ。焼いてから炒める手順ですが、最初の段階で焼き色を付けておくと香ばしくなり、よりおいしくなります。盛り付けた後、さやいんげんと相性がいいごまをのせることで、さらに味わいがアップしますよ」
いんげんの栄養素をおいしく摂取できる副菜レシピも!
旬の時期なら
さらにおいしく!
さやいんげんを
もっと活躍させよう
黒田さん「さやいんげんは季節を問わず手に入りますが、旬のものは特に味が濃く、甘さも感じられます。塩ゆでしただけでもおいしいので、6~8月は存分に味わっていただきたいですね。目立たない存在と思われがちかもしれませんが、料理の彩りとしても大活躍。もちろん、今回ご紹介したレシピでもさやいんげんのおいしさを堪能できるので、ぜひつくってみてください」
教えてくれた人 黒田民子さん
料理研究家。 All About「ホームメイドクッキング」ガイド 。主婦業の経験を生かした簡単に作る保存食や家庭料理のレシピが、幅広い世代に支持されている。『やさしい保存食と自家製レシピ(主婦の友社刊)』『いちばん簡単な手作り燻製レシピ(河出書房新社)』など、著書多数。
撮影/金田邦男
公開:2024年6月17日
ホームクッキング編集担当より
ちょうどよいゆで加減が把握しにくいさやいんげん。今回のゆで方でゆでみると、シャキッとした食感もキープしていておいしく仕上がりました。独時の「キュッ」としたのが苦手な方は、小さく切るのもおすすめ。あまり気にならなくなくなりますよ。料理の彩りにもちょうどよい食材なので、もっと活用したいですね!(編集長・杉森)