にんじんの保存のコツを知って、
鮮度を長持ちさせよう!
上手な選び方や
イチオシレシピも
和洋中を問わず、さまざまな料理に活躍するにんじん。いつでも手に入ることもあり、日々の食事づくりに重宝する野菜のひとつですが、野菜室の片隅に入れっぱなしで気づけば傷んでいた……なんて経験はないですか?でも、きちんと保存しておけば、にんじんはもっと長持ちさせられるんです。今回は、そんな保存のコツやにんじんのおいしいレシピをご紹介。しっかりマスターすれば、しなしなになったにんじんを発見して、切ない気分になることもなくなります!
にんじんの冷蔵保存は、
乾燥と湿気を避けるのが
ポイント!
乾燥すればしなしなに、湿気が多ければすぐに傷んでしまうにんじん。買ってきたままの状態で冷蔵庫に入れていては、あっという間に鮮度が落ちてしまうので、乾燥&湿気対策が肝心です。
●まるごと一本保存
- 表面を水で洗う。
- キッチンペーパーなどで、水分をしっかり取り除く。
- ラップでぴったり包む。
- 立てた状態にして、野菜室で保存する。保存期間は7日〜10日。
江口さん「にんじんの表面にある溝は汚れがたまりやすく、放っておくとそこから傷み始めるので、指でこすりながらしっかり洗いましょう。泥付きにんじんを洗う場合は、タワシを使うのがおすすめです。水分が残ったままラップで包むと蒸れてしまい、痛みが早くなるので拭き取りは確実にしてください。なお、立てた状態で保存するのは、にんじんが土の中で育っている状態に近付けるため。こうすることでストレスが軽減され、日持ちしやすくなるんですよ」
●使いかけのにんじんを保存
- 使いかけのにんじんを、ラップでぴったり包む。
- ジッパー付き保存袋に入れ、口を閉じて野菜室へ。保存期間は7日〜10日。
江口さん「保存袋に入れるだけだと乾燥が進むので、ラップで包んでから袋に入れましょう。にんじんに限らず、こうした使いかけの野菜は種類を問わずまとめて袋に入れておくと、使い忘れを防げるのでおすすめ!」
●葉つきにんじんを保存
- にんじんを洗ったら、葉の部分を根本から切り落とす。にんじん本体は、まるごと一本保存の方法で冷蔵保存。
- 全体を水にぬらしたキッチンペーパーで包む。
- ジッパー付き保存袋に入れ、野菜室へ。保存期間は2日〜3日。
江口さん「にんじんの葉は、刻んでサラダのトッピングやタルタルソースに混ぜるなど、パセリのように気軽に使えます。おすすめは、にんじんの香りが立ってサクサクした食感も楽しめる天ぷらです。内側の方がやわらかいですが、もし固い場合は、刻んでかき揚げにするとおいしくいただけますよ。にんじんの葉はあまり日持ちしないため、3日以内には食べきってください。冷凍保存もできますが、凍らせるとしなしなになるので炒め物にしたり、刻んでスープにしたりすると良いでしょう」
にんじんを冷凍保存して、
いつでも使える状態に
にんじんをもっと長持ちさせたいなら、冷凍保存がおすすめ。ただし、丸ごとの状態では調理するときに扱いづらいので、切ってから保存しましょう。調理しやすい切り方で保存してあれば、次に使うときにも便利。小さめに切った場合は生のままで、乱切りなど大きめに切った場合は軽く下ゆでをしてから凍らせると、冷凍することで生じる食感の変化も感じにくくなります。
●薄め、小さめにカットして冷凍保存
- にんじんを洗って皮をむく。
- 使いやすい大きさに切る。写真はいちょう切り。
- ジッパー付きの冷凍用保存袋に入れる。
- 平らにして空気を抜いたら口を閉じ、金属トレイに載せて冷凍庫へ。保存期間は約1か月。
江口さん「根菜は生のまま冷凍すると組織が壊れて食感が悪くなりますが、このくらい小さく薄い状態だとそれほど気になりません。調理するときは凍った状態のまま、パキッと折って使いましょう」
●下ゆでして冷凍保存(乱切りのときなど)
- 洗って皮をむいたにんじんを、使いやすい大きさに切る。写真は乱切り。
- 鍋に湯を沸かし、塩ひとつまみを入れる。
- にんじんを入れてゆでる。ゆで時間の目安は、にんじん1本あたり1分〜1分30秒。
- ざるにあげて水を切り、粗熱が取れたらキッチンペーパーなどで水分をしっかり取り除く。
- ジッパー付きの冷凍用保存袋に入れて平らにし、空気を抜いて口を閉じたら冷凍庫へ。保存期間は約1か月。
江口さん「乱切りのように少し大きめのサイズの場合、生のまま冷凍すると、解凍時に食感が悪くなりがち。そのため冷凍するときは下ゆでをしましょう。ゆでることで、味や食感が損なわれにくくなります」
●番外編:すりおろしてドレッシングに
にんじんが余ってしまったときは、ドレッシングにしてストックするのもひとつの方法です。つくり方は簡単で、にんじん1本(約100g)をすりおろしたら、オリーブオイルと酢が各大さじ3、塩小さじ1/2、はちみつ大さじ1を加えて混ぜるだけ。冷蔵庫で約1か月保存できます。
江口さん「長持ちさせるには容器を清潔に保つことが大切なので、取り出すときは清潔なスプーンを使いましょう。また、容器は事前の消毒が必要です。熱湯消毒でもいいですが、消毒用のアルコールを使って拭く方法も手軽ですよ」
おいしいのはどれ?
にんじんの選び方
1年中流通しているにんじんですが、もともとの旬は10月〜12月。品種や産地によって、春夏に収穫されるものもあります。
●選び方
へたの部分から葉が出始めているのは、収穫から時間が経ったサイン。また、キズがあるとそこから傷みやすいので、表面がつるりとして、できるだけキズができていないものを選びましょう。へたやおしりが黒ずんでいるのは、湿気の影響で傷み始めているので避けて。
江口さん「へたから生えてきた葉を放っておくと、栄養が葉に行ってしまい、にんじん本体にすが入ってスカスカになります。もし、葉が出始めたものを手に入れたときは、すぐにへたを切り落とすようにしましょう」
●にんじんの皮、むく?むかない?
一般的に、にんじんはピーラーなどで皮をむいてから調理されますが、皮付きで食べることもできます。ただし、中身に比べて食感が少し劣るので、気になるようならむいてから調理しましょう。むいた皮は捨てずに、もう一品つくると無駄になりません。中身と一緒に食べなければ、食感の違いはほとんどわからないですし、鮮やかなその色で料理に彩りも添えられますよ。
今回は、にんじんの皮とキャベツでつくった浅漬けをご紹介しましょう。キャベツの大きい葉2枚(150g〜160g)を1cm幅に切り、1本分のにんじんの皮、できるだけ細く切った3cm角分の昆布、塩小さじ1/4、しょうゆ少々をポリ袋に入れてよく混ぜ、空気を抜いてから口をしばって30分以上寝かせたら完成です。
江口さん「浅漬けを袋から取り出したら、しぼらずに少々のしょうゆと白ごまをかけていただきます。さらにゆずの皮を入れると、香り良く仕上がりますよ」
にんじんを皮ごとおいしくいただくレシピはこちらもおすすめ!
副菜はもちろんメインにも!
にんじんを使った
おすすめレシピ3選
料理のジャンルに関わらず、にんじんは生で良し、加熱しても良しの万能野菜。上手な保存方法に加え、おいしいレシピも知っておけば、使い忘れてダメにすることも減らせそうです。ここでは、人気の副菜2品と、肉を使ったボリュームある1品をご紹介しましょう。
シンプルな調味料でやさしい味わいに
『にんじんしりしり』
江口さん「溶き卵を入れたときにフライパンの温度が低いと、卵を炒っても全体にきれいに混ざらなくなります。にんじんをしっかり炒めること、調味料を入れた後は温度が上がるまで加熱することを心がけてください。また、にんじんの細切りは太くなってもいいので、幅をそろえるのがポイント。そうすれば火の入り方にムラが出ず、食感が均一になっておいしいですよ」
しょうゆのうま味をプラスして、さらにおいしく!
『ほんのり和風のキャロットラペ』
江口さん「しょうゆを加えたことで和風な味わいになるので、和食の副菜に加えても違和感なくいただけます。時間が経っても水っぽくならず、むしろ味がしみておいしくなるので常備菜にするのもおすすめ。せん切りのときは、包丁よりも断面がザラザラしているスライサーを使うと、にんじんがしんなりしやすくなり、味も早くしみます。生のにんじんのパリパリ感が苦手だったり、スライサーを持っている人は、ぜひ一度お試しください」
にんじんと大根の歯ごたえも心地良い
『彩り華やか!豚肉の紅白巻き』
江口さん「見た目にも華やかなので、お正月などのハレの日にもぴったり。にんじんと大根は、できるだけ細く切ることで食べやすくなります。また、事前に電子レンジ加熱もしているので、フライパンで焼くときは肉に火が通ったかだけをチェックすれば大丈夫です。焼くときにはがれにくくするコツは、豚バラを巻いた後に手でギュッと握って形を整えること。また、焼くときに巻き終わりの部分を下にして、焼き目が付くまでは触れないようにすることです」
にんじんの栄養素をおいしく摂取できる副菜レシピも!
にんじんの鮮度を
長持ちさせて、
ムダなくおいしく
使い切ろう!
江口さん「いつでもどこでも手に入ると言えるくらい、ポピュラーなにんじん。栄養が豊富で色味もキレイなので、カレーやシチューなどの定番だけでなく、いろいろな調理法で食べていただきたい野菜のひとつです。入手してすぐに使い切れない場合は、上手に冷蔵・冷凍保存して最後まで食べきりましょう。特に、カットした状態で冷凍保存しておくと、次に使うときの下ごしらえが時短できます。出番が多い野菜をすぐに使える状態でストックしておけば、何かと便利なので、ぜひご活用ください」
教えてくれた人 江口恵子さん
料理家、フードスタイリスト、 All About「家事」ガイド 。雑誌や広告、Webなどでレシピ提案やスタイリングを行うほか、企業のレシピ開発など、幅広く活躍。料理教室「 ナチュラルフードクッキング 」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナー。著書に『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)などがある。
撮影/金田邦男
公開:2023年10月15日
ホームクッキング編集担当より
栄養の点でも、彩りの点でも魅力のある定番野菜、にんじん。意外と扱いに気を配ってなかったなと、今回の記事を制作して思いました。個人的には江口さんの教えてくれたドレッシングにしてしまう方法、これ、いいですね~! ふだんの名もなきサラダに、にんじんの栄養を手軽にプラスすることができます。そして、皮をつかったレシピ!こちらもおいしくって無駄にもしなくていいことしかありません。にんじんの魅力を再発見した今回でした。(編集長・杉森)