みょうがの切り方と保存方法、
みょうがの風味を活かす
おすすめレシピ3選
みょうがの魅力は、さわやかな香りとシャキシャキの食感。その風味から、料理の薬味として大活躍する香味野菜です。特に暑い時期には欠かせませんが、常備していたら使い切れずに乾燥させてしまった……なんてこともあるのでは?そんなみょうがをおいしく食べ切るために、風味を活かす切り方や選び方、保存のコツをご紹介!簡単にできる副菜や、おすすめのレシピとともにまとめました。
みょうがの切り方は2種類。
それぞれの使い分け方は?
みょうがの切り方は、一般的に「輪切り(小口切り)」と「せん切り」のふたつ。どちらにするかで食感や味の強さが変わってくるので、料理によって使い分ければおいしさを格上げすることができます。
黒田さん「細かく仕上がる輪切りは具材とからみやすいため、和え物や混ぜご飯など、みょうがを全体に合わせたい料理に。一方、せん切りは長さがあるぶん、存在感が増すので、みょうがの風味を感じたいときにおすすめです。はしでつまみやすく、細長いものと合わせやすいのも特徴ですね。なお、切ってから時間が経つとみょうが特有の香りが飛んでしまうので、できるだけ食べる直前に切ると良いでしょう」
●みょうがはどこまで食べられる?
茎が地中に埋もれた状態で育つみょうが。店頭でよく目にするものは「花穂(かすい)」と呼ばれるつぼみの部分で、基本的にすべて食べられます。ただし、切り口や穂先が汚れていたり、乾燥していたりする場合は、その部分を取り除いて使いましょう。
●輪切り(小口切り)の切り方
- みょうがを水で洗い、根元を2mmほど切り落とす。
- そのまま端から、約1mm幅で切っていく。
- 水を張ったボウルに切ったみょうがを入れ、菜箸でほぐしてさらす。時間の目安は20秒〜30秒。
- ざるに上げて水を切る。
- キッチンペーパーで包んで押さえ、水分をしっかり取り除く。
黒田さん「みょうがはコロンとしていて不安定なので、包丁を持たないほうの手でしっかり押さえながら切りましょう。幅1mmほどで切るのがおすすめですが、包丁に慣れていなかったり、不安だったりする場合は無理のない幅で大丈夫。切った後に水にさらすのは、アクを抜きながらパリッとした食感に仕上げるため。さらす時間が長いほど風味は抜けていきますが、辛いと感じるときは長めにさらしても良いでしょう」
●せん切りの切り方
- 洗って根元を切り落としたみょうがを、縦半分に切る。
- 断面を下にして、できるだけ細く切る。切り終えたら、輪切りの手順と同じように水にさらし、水気を取り除く。
黒田さん「2等分にしたみょうがは、断面を下にすることで安定して切りやすくなります。せん切りは細ければ細いほど食べやすく、見た目にも美しくなりますが、無理はせずにゆっくり切りましょう。芯を切り落とす場合は、V字型の外側1mmほどを切って。それほどバラバラにはならないので、せん切りがしにくくなることはありません」
形よりも光沢が大事!
新鮮なみょうがの選び方
薬味として生で食べることが多いだけに、みょうがの鮮度はおいしさに大きく関わってきます。収穫から時間が経つと乾燥してくるため、先端までピンとして、ハリとツヤがあるものを選びましょう。
黒田さん「みょうがの形は個体差があり、収穫時期などでも変わるため、形状よりもハリとツヤに注目を。乾燥した部分は見た目も食感も良くないので、むいたり切り落としたりしてから使うのがおすすめです」
最長で約1か月も長持ち、
みょうがの保存方法
乾燥に弱いみょうがの保存は、水分を適度に保つのがポイント。パックに入った状態のままではなく、ひと手間かけてから冷蔵、もしくは冷凍保存すれば、より長くおいしさをキープできます。
●生のまま冷蔵保存
- 流水で洗ったみょうがを、水に濡らしてしぼったキッチンペーパーで包む。
- さらにラップできっちり包み、冷蔵庫の野菜室で保存する。保存期間の目安は約3日。
黒田さん「適度に水分を与えながら保存する方法です。濡らしたキッチンペーパーが扱いづらいなら、乾いたキッチンペーパーにみょうがを包んでから水をかけても。3つパックに入ったものを購入し、ひとつだけ余ってしまった場面などにおすすめ」
●水にさらして冷蔵保存
- 保存容器に洗ったみょうがと、かぶるくらいの水を入れる。ふたをして冷蔵庫の野菜室に入れ、2〜3日に1度、水を替えながら保存する。保存期間の目安は約1週間。
黒田さん「水の量が少ないと鮮度が保てないので、水にしっかり浸しましょう。切った状態だと、香りが水に逃げていってしまうので、丸ごとの状態で保存してください」
●切ってから冷凍保存
- 切ったみょうがを冷凍用のジッパー付き保存袋に入れ、平らな状態にしてから空気を抜いて口を閉じ、金属トレイに載せて冷凍庫へ。保存期間の目安は約1か月。
黒田さん「輪切り(小口切り)やせん切りにした状態で冷凍すれば、すぐに料理に使えて便利。解凍に時間はかからないので、凍ったままそうめんなどのつゆに入れていただくのもおすすめです。凍らせることで風味は少し抜けますが、使い切れずにムダにするよりよっぽどいいですよね」
●『みょうがの甘酢漬け』で保存しながら調理
調理を兼ねた保存方法としてご紹介するのが、黒田さんが教えてくれた『みょうがの甘酢漬け』です。みょうがの色素が酢に反応して鮮やかな赤色に仕上がり、簡単にできて目にもおいしい一品。常備菜にしておけば、食卓に彩りを与えてくれますよ。
- 洗って根元を切り落としたみょうがを、縦4等分に切る。
- 沸騰した湯にみょうがを入れ、5秒〜10秒、湯通しをする。
- 湯から引き上げ、粗熱が取れたらキッチンペーパーで水分を取り除く。
- みょうがを保存容器に入れ、甘酢(みょうが3個に対して酢50ml、水50ml、砂糖大さじ2、塩小さじ1/4)を注いだら、ふたをして冷蔵庫で保存する。保存期間は5日が目安。
黒田さん「そのまま食べてもいいですし、焼き魚などの添え物としても。さっと湯通しすることでアクが抜け、味が入りやすくもなります。甘酢に漬けてから、1日後には食べられます。漬かりが浅いと歯ごたえがしっかり残り、漬ける時間が長くなるほどやわらかく、色が濃くなっていくので、変化を楽しむのもおすすめ。甘酢をひと煮立ちさせると酢のツンとした香りが和らぐので、苦手な方はお試しください」
みょうがのこと、
もっと知りたい!
気になる疑問を解消するFAQ
Q. みょうがの苦味が苦手なんですが……。
A.
みょうがにはアクがあり、独特の苦味も強めですが、水にさらしてアク抜きをすることで食べやすくなります。ただし、さらす時間が長くなると栄養素や風味が抜けてしまうので、少しずつ様子を確認してください。
Q. みょうがの旬はいつ?
A.
1年を通して流通していますが、旬は夏と秋。収穫が6月〜8月のものは「夏みょうが」、9月〜11月のものは「秋みょうが」とも呼ばれます。ちなみに、形状は夏みょうがのほうが長めで、秋みょうがはふっくらとしています。
Q. みょうがたけとみょうがって、関係ある?
A.
みょうがの若い茎を2週間〜3週間、光を当てずにやわらかく育てたものがみょうがたけ。旬は3月〜5月で、天ぷらや甘酢漬けにするのが定番です。
香りや食感が活かせる、
みょうがを使った
おすすめレシピ3選
冷奴やそうめんの薬味にトッピングとして使うだけでなく、みょうがの香りと食感をより味わえるレシピも多く存在しています。ここでは、そんなレシピの中からおすすめの3つをご紹介しましょう。
プチプチごまと、ザクザクみょうがの食感が楽しい
『みょうがご飯』
黒田さん「温かいご飯に、みょうがをしっかり混ぜることで味がよくなじみます。漬けたみょうがは混ぜる前に軽くしぼっておけば、ご飯がべちゃっとすることはありません。おにぎりにして青じそで包むと、さらに彩りが豊かになるので、お弁当にもぴったりです」
かつおだし+みょうがの香りと味わいは相性抜群!
『なすとみょうがの和クルス【白だしの和風ピクルス】』
黒田さん「なすはレシピ通りに半月切りにすると食べやすく、写真のようにみょうがに合わせて細長く切ると端正な仕上がりになります。どちらにするかは、お好みで。なすのアクが気になるなら、さっと湯通しして水気を絞ってから漬けると良いでしょう。酢を入れても入れなくても良いレシピですが、入れた方がみょうがの色味はより鮮やかになります」
しっとりしたむね肉に、たっぷりの薬味をのせて。
『ゆで鶏の薬味のせ』
黒田さん「酒と砂糖、塩をもみ込んでからじっくり熱を通すことで、鶏むね肉のパサつきがなくなります。冷やしてもおいしくなるので、みょうがの旬となる暑い時期にもぴったり。沸騰したお湯に入れたら火を止めて放っておけるので、忙しい日は前日に仕込んでおくと助かることでしょう」
みょうがの使い方を
身につければ、
料理の幅がさらに広がる!
黒田さん「一見、地味にも思えるみょうがですが、唯一の味と香りで存在感は主役級。上記のレシピ3選も、みょうががなければ物足りなく感じることでしょう。もし、使い切れないことが多いなら、今回、ご紹介した冷蔵・冷凍保存の方法をぜひ実践してください。もちろん、生でもおいしいので、輪切りにしてねぎやちりめんじゃこなどと和え、”もう一品”にしてもいいでしょう。
ちなみに、みょうがは火を通すと、またひと味違ったおいしさが楽しめます。油との相性も良く、個人的には半分に切って天ぷらにするのがイチオシ。夏ならビールのお供にもぴったりですよ」
教えてくれた人 黒田民子さん
料理研究家。 All About「ホームメイドクッキング」ガイド 。主婦業の経験を生かした簡単に作る保存食や家庭料理のレシピが、幅広い世代に支持されている。『やさしい保存食と自家製レシピ(主婦の友社刊)』『いちばん簡単な手作り燻製レシピ(河出書房新社)』など、著書多数。
撮影/金田邦男
公開:2024年7月8日
ホームクッキング編集担当より
あるとないとで料理の味わいが大きく変わって「薬味って偉大だなあ」と感じさせてくれる食材、みょうが。みずみずしいまま保存してあるみょうがは、使ってみると香りがしっかりしている気がしました。黒田さんの教えてくれた「ねぎとちりめんじゃこ和え」、試してみました。しぼりたて生しょうゆをちょろっとたらしたら、極上のお酒のアテになりました。これもおすすめです。(編集長・杉森)