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自分の心が満たされる
食体験とは?
キッコーマン おいしさ未来研究センターが伝えたい考え方

自分の心が満たされる食体験とは?キッコーマン おいしさ未来研究センターが伝えたい考え方

おいしいものを食べると、幸せな気持ちになれますよね。人によっては料理をすることや、つくった料理を食べてもらうことに幸せを感じるかもしれません。もちろん、何を食べ、何をつくることで幸福感を得られるのかは、人によって変わるもの。そんな多様な「食」と「幸福」の関係を、キッコーマン おいしさ未来研究センターのリサーチャー(研究員)3名に教えてもらいました。幸せ度アップを助けるおいしいレシピとともに、さっそくお伝えしましょう。

体と心の健康を支える
「食」と幸福の関係性

「おいしさ」や「食にまつわる人々の暮らしと気持ち」、そして「人々を取り巻く社会の変化」を研究している部署、それがキッコーマンのおいしさ未来研究センターです。その研究の中から、今回、ご紹介するのが「私たちの心をもっと豊かにする食体験」のヒント。リサーチャーの一人、宮田さんによると、このヒントは生活者へのインタビューを分析することで見えてきたのだそうです。

写真:リサーチャー(研究員)の宮田さん

リサーチャー(研究員)の宮田さん。食は、栄養を取るためだけでないさまざまな側面があると語ってくれました。

「生活者や社会の変化を分析する中で実感しているのが、近年、医療の発達や平均寿命の延伸などにより、体が健康な状態を手に入れやすくなってきたということ。さらに、その次の段階として、体だけでなく心の健康も含めて、トータルで満たされた状態が求められているとも思っています。そこに対し、食品メーカーとして“食でどのようなサポートができるか”を考えたいと思い、始めたのが今回の取り組みです。

気分を上げたいからとボリュームたっぷりの料理を食べたり、ホッとしたいときに和食の家庭料理を選んだりと、“食”と心には密接なつながりがあるもの。では、食と幸福はどのように結びつくのか、ということで、まずは生活者にとっての満たされた状態や多様な幸せの形について理解するために、さまざまなタイプの人の生の声を聞いてみました」(宮田さん)

写真:研究資料

「食」ってどんなもの?
調査で見えてきた
その人それぞれの価値観

今回のインタビューで対象となったのは、20代〜50代の男女4名。それぞれのプロフィールを見ると、「ストレスの多い生活の中で食を楽しんでいる30代女性」「お菓子を食事代わりにする20代女性」「ひとりで食を楽しんでいる50代男性」「料理が好きな20代男性」と、まさに多種多様です。お話を聞くにあたり、この方々を選んだ理由はあるのでしょうか?

「おいしさ未来研究センターとして、これまであまり見てこなかった人や、見ていたけれど違う面を見つけられそうな人という基準で決めました。私たちは調味料を主としたメーカーということもあり、これまでは料理機会の多い女性の意見を聞くことが多くなっていたんです。ただ、“幸福”を考えるにあたっては、幸せの感じ方や基準はとても多様なので、できるだけいろいろなタイプの方に話を聞いたほうがいいと考えました」(野尻さん)

写真:リサーチャー(研究員)の野尻さん

リサーチャー(研究員)の野尻さん。今回のインタビューを通じて、料理にはいろんな価値観が含まれていると、あらためて感じたとのこと。

そうやって選ばれた4名の方に尋ねたのは、「生活の満足・不満は何によって左右されるのか」「自分を整えるためにどんなことをしているか」「どんなことによって心の安らぎが阻害されるのか」といったことだとか。

「普段の生活の実態や、その中で感じていることなどの話を通して、対象者の方と一対一のインタビューで深掘りしていきました。また、一日のスケジュールとポジティブな気持ちを感じるシーンや、これまでの過去~現在~未来のライフイベントに対する自分の気持ちのアップダウンとその理由などを、事前に宿題として作成してもらったので、それらも参考に、対象者の人となりやその人が感じる幸せとの関係を考えていきました」(野尻さん)

このインタビューを終えて、リサーチャーの3名にはさまざまな気づきがあったと言います。

「お菓子とごはんの区別をつけない方、おいしいものは体に悪いと知っているけど、それで良いと思っている方など、まさに今までの私たちが見てこなかった方に出会うことができました。食と幸福を考えたとき、人それぞれものさしが違うんだと実感しましたね」(荒井さん)

写真:リサーチャー(研究員)の荒井さん

リサーチャー(研究員)の荒井さん。「たとえば手間に感じる料理の工程なども、見方を変えてみると、それが価値になることに気づかされた」

「さまざまなタイプの方からお話を聞くことができ、視野が広がったと思います。中でも印象的だったのが、時間にとらわれずに好きなタイミングで好きなお菓子を食事として食べ、それにより心が満たされるという意見。食や幸せに客観的な正しさというものはなく、主観的な満足感をいかに感じるかが大事だと改めて感じました」(宮田さん)

「こういう生活を送っているのであればこうなのだろう、という固定観念をもってしまっていたのだと気づかされるインタビューでした。“不規則な生活を送っていても、それが自分に合っていていい”と感じていたり、“結婚していたころより、独り身の今の方が食生活が自由になって楽しい”ということだったり。そういった考えを聞くと、自分の見方が偏っていたことに気づきますね。

もうひとつ見えてきたのが、日常の暮らしの中でも、自分がいいと感じるちょっとしたことを組み込んでいけば、満足感や幸せにつながるということ。大げさなものではなく、そういう些細なことをいかに見つけて積み重ねていくかが大切なのかなと感じました」(野尻さん)

写真:日常の暮らしの中の満足感や幸せ

心を豊かにする
「食」について、
おいしさ未来研究センターが
おすすめする4つのヒント

今回のインタビューを経て、リサーチャーの面々が取りまとめたのが、「食」で心を豊かにする方法。その中でも特に注目したのが、「達成」「没頭」「ポジティブな人間関係」「ありのままでいること」という、幸福と深く関わる4つの要素でした。

▼食で心を豊かにする4つのヒント

写真:食で心を豊かにする4つのヒント

「幸福を構成する要素、幸福につながる要素の研究は数多くありますが、私たちは実際に生活者へのインタビューを通して感じられた要素を取り上げたいと考えたんです。そこから食品メーカーとして、生活者の普段の暮らしを食で良いものにつなげていけないか、と突き詰めていき、食体験のひとつとして重要な“料理”という観点からも行動に起こしやすい要素として、これら4つを選びました」(野尻さん)

野尻さんの言葉通り、各ヒントにおすすめのレシピが提案されているので、それぞれの内容とあわせてさっそくご紹介しましょう。

●ヒント1:達成

「何かを達成することはもちろん、達成のために努力している、一所懸命がんばっている状態も含めて指すのが“達成”です。インタビューの中では、“断捨離をすることで理想の暮らしに近づき、達成感を得ている”という声もありました。

写真:達成感のイメージ

そんな達成感を得られるレシピとして提案したいのが、『いなりずし』と『豚の角煮』。どちらも、目に見えて結果がわかる料理です。『いなりずし』は、油揚げを煮る、すし飯をつくる、詰めると、工程が多いからこそできたときの達成感もひとしお。おすそ分けにも向いているため、相手がよろこんでくれる様子を見られる点も選んだ理由です。

一方の『豚の角煮』を選んだ理由は、何といっても料理時間の長さ。私も家でよくやるのですが、焼いて、下ゆでして、洗って、最後に煮込んで全部で約3時間。これはかなりの達成感が得られると思います」(荒井さん)

「達成」のためのレシピ

写真:いなりずし
写真:豚の角煮

●ヒント2:没頭

「時間を忘れて何かに没頭すること、のめりこんで没頭している状態を指すのが“没頭”です。映画やドラマといった好きなコンテンツを見ることやジムで運動することなど、日々の生活の中で他のことを忘れ、ただそのことだけに集中して没頭する時間をもっているという声は、インタビューでも聞かれました」(野尻さん)

写真:没頭のイメージ

「“没頭”に対して提案したいのは、ひたすら作業に没頭するレシピです。ひとつは、『ぎょうざ』。キャベツ、ねぎ、にらなどをひたすらみじん切りにしていく工程、皮を包む工程などには、きっと没頭することになると思います。ぎょうざがきれいに包めたときは、“達成”も味わえるかもしれません。

もうひとつのレシピが、『肉まん』です。肉まんは生地を手づくりする点、特に手で生地をこねる作業はそのやわらかさを確かめることなども含め、“没頭”につながるのではないかと選びました。また、あんづくり、包む工程はぎょうざと同じく“没頭”があると考えます」(荒井さん)

「没頭」のためのレシピ

写真:焼きギョウザ
写真:肉まん

●ヒント3:ポジティブな人間関係

「他者との愛情、信頼、共感といったポジティブな関係を築いていることや、他者に受け入れられていると感じることを指す要素。インタビューの中でも、自分が安心して受け入れてもらえるという気持ちをもって話せる人との関係を築いている人は、何かネガティブなことがあってもその関係性に支えられて回復している様子がうかがえました。

人との関係は単発的なものではなく継続的なものなので、何かこれをすればすぐそういう間柄になれる、というものではないでしょう。だからこそ、何か小さな行為でも、積み重ねながら関係性を築いていくということが大事なのだと思います」(野尻さん)

写真:みんなで囲む食卓のイメージ

「“ポジティブな人間関係”に対しては、みんなで食卓を囲んで楽しめるような食を考えました。ひとつめの『手巻き寿司』は、“ご飯とって”とか“卵をもう少し欲しい”“のりちょうだい”“しょうゆとって”なんて、みんなで声をかけながらつくるイメージ。必然的に会話が盛り上がりますね。

もうひとつの『ホットプレートで!簡単ビビンパ』は、子供がよろこびそうなメニューとして考えました。みんなでご飯の上に絵を描くようにして具材を配置するのは楽しいですし、うまくできたら、スマホでパシャッと撮影して、SNSにみんなの笑顔を上げるのもいいかもしれません。また、焼けてくる音もみんなの気持ちを盛り上げてくれそうです」(荒井さん)

「ポジティブな人間関係」のためのレシピ

写真:手巻き寿司
写真:簡単ビビンバ

●ヒント4:ありのままでいること

「独立性と自分らしさを保つこと、自分を他者と比べ過ぎずしっかりとした自分らしさをもつことを指す要素です。いろいろな人との中で生きていると、どうしても他者の目を気にしてしまったり、自分の中に“世の中的にこうあるべき”といったルールを内在化させてしまうことも多いかと思うのですが、それが行き過ぎれば自分自身を縛ってしまい、窮屈に感じてしまうもの。そういったことから少し自分を解放し、他者と比べずに自分がいいと思うとおりに行動することが大事だと考えています」(野尻さん)

写真:自分を解放するイメージ

「“ありのままでいること”のメニューは、人と比べないという方向性で考えました。ひとつめに提案するのは、『卵かけご飯』。卵かけご飯は、言うなれば自分のためにつくるごはんです。そこにどんなアレンジを加えるかは人それぞれ。皆さんも、ちょっとしたこだわりがあるのではないでしょうか?ちなみに、私のこだわりは混ぜすぎないこと。賛否両論あるかもしれませんが(笑)、白身が残った状態で食べるのが好きなんです。

もうひとつの『ジュワッと焼き』は、用意するものも手間も少なく、とてもシンプル。味付けはしょうゆだけなのでちょっと茶色いですが、素材も調味料もありのままなら、味もありのまま。“それでいい”と感じてもらえるのではないでしょうか?」(荒井さん)

「ありのままでいること」のためのレシピ

写真:卵かけご飯
写真:ジュワッと焼き

4つのヒントを参考に、
心を豊かにする食体験を

食で心を豊かにするために、おいしさ未来研究センターのリサーチャーたちが提案してくれたヒントとメニューは、どれもユニーク。それでいて、「なるほど!」と思わずひざを叩いてしまう説得力も感じられます。彼らの話を聞いて、「ひたすらみじん切りにする作業が、幸せに感じるなんて」とか、「そんな視点で見る食体験もおもしろそう!」なんて思った方もいるのでは?

「もし、そう感じていただけたなら、最後にご紹介した“ありのままでいること”の観点から食を楽しんでいただくのはいかがでしょうか。難しく考えたり、人と比べたりする必要はないので、まずは、いつもの自分の食生活を“これでいいんだ”と肯定してあげて、ポジティブな気持ちになれることが重要だと思います。そのうえで、ここまでにご紹介した中で興味がある、気になると感じるものがあったら、ぜひ気軽に実践していただけるとうれしいです」(宮田さん)

「自分に合っていると思うものをやってみて、合わなかったらやらなくても良いと思います。そんな感じで、自分に合ったものを選択することが、食を通じて幸福度アップにつながるのかと思います。ただ、いくら幸福度アップにつながるからと言っても、ジャンクフードなどの食べ過ぎにはご注意くださいね」(荒井さん)

記事の始めでもお伝えしたように、食を通じて感じることは人それぞれ。どんな人にも、自分の中に「いい」「好き」と感じるものを測る「ものさし」が存在しています。3度の食事を決められた時間に摂ることも大事、栄養バランスも大事。でも、その一方で、時には自分のものさしで「いい」と思えることを存分に楽しむのも、大事なことなのかもしれません。皆さんも、荒井さんの言う「食べ過ぎ注意」を守りつつ、食を通じた幸せをぜひ追求してみてください。

写真:荒井さん、野尻さん、宮田さん

おいしさ未来研究センターでは、今後も独自の視点で食を取り巻くさまざまな事柄を研究していきますので、皆さま、乞うご期待!

ウェルビーイングに特化したメディア「Welulu」にて「おいしさ未来研究センター」のメンバーがインタビューを受けました。

ホームクッキング編集担当より

ホームクッキング通信では、おいしさ未来研究センターのメンバーが登場するのは2回目です。キッコーマンとしての幸せな食の提案のために、日々いろいろなこと、いろいろなテーマをリサーチしているリサーチャーは、つねに新しい気づきをもっているので、社内でもひっぱりだこなんですよ。ぜひこちらの記事もご覧ください!(編集長・杉森)

撮影/金田邦男 文/石川由紀子
公開:2024年2月15日

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