毎日のごはんづくりに
活かしたい、
【五大栄養素】について
知ろう!
「日々の食事づくりで、栄養バランスについてはどう考えればいい?」なんて悩みを抱える人は少なくないはず。バランスのとれた食事が大切なのはわかっていても、実践するのはなかなか大変。そこで今回は、「五大栄養素」の基本と、それを生かしたバランスの良い食事のポイントを専門家の方にお聞きしました。おすすめの献立とレシピも紹介するので、日々の食事づくりにぜひお役立てください。
生きていくうえで
不可欠な五大栄養素の内訳
今回、お話をうかがったのは、管理栄養士でフードコーディネーターの北嶋佳奈さん。まずは五大栄養素の内訳から教えてもらいましょう。
北嶋さん「五大栄養素とは、人が生きていくうえで必要な栄養素を種類別にまとめたもの。具体的には炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル(無機質)を指しています。このうち、炭水化物、脂質、たんぱく質はカロリーがあってエネルギー源となることから、三大栄養素と呼ばれることも。残りのビタミン、ミネラルは三大栄養素から摂取したエネルギーを代謝し、調整するなどの役割を担っています」
それぞれの栄養素は
具体的にどんな働きをする?
五大栄養素の働きは
大きく3つ
生きていくうえで欠かせないだけあって、五大栄養素の働きはいずれも重要なもの。先ほどもふれましたが、もう少し具体的に、私たちの体にはどう作用するのかを聞いてみましょう。
北嶋さん「エネルギーのもととなるのが、炭水化物と脂質です。先ほどお話しした通り、たんぱく質もエネルギー源となりますが、それよりも大きい働きは体をつくるということ。そしてビタミンとミネラルには、体の調子を整える働きがあります」
それぞれの栄養素を
さらに深掘りすると…
北嶋さん「炭水化物には糖質が含まれており、これがエネルギー源となります。燃焼が早いため、すぐにエネルギーとして使えるのが特徴。脂質は効率良くエネルギーを生み出す栄養素で、生命機能を維持するホルモンの材料としても使われます。
筋肉をはじめ、皮膚や髪、爪など、体のあらゆる細胞をつくるのがたんぱく質。病原体などの異物に対抗する免疫細胞も、たんぱく質が主成分となっています。
ビタミンとミネラルは、骨や血液の元となる成分。さらに、エネルギーの代謝を助ける働きももっています。どちらも種類が多く、ビタミンはビタミンB1、ビタミンCなど全13種類。ミネラルはナトリウムやカルシウム、鉄、亜鉛など、全16種類が人の体に必要と言われています」
どんな食物に
多く含まれている?
1日に必要な摂取量の
目安は?
体に必要な栄養素を摂取するには、どのような食事をすれば良いのでしょうか?以下では、三大栄養素の代表的な食品と含まれる量の目安をまとめました。厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)』に掲載された1日に摂りたい栄養素の目標値も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
北嶋さん「なお、ビタミン、ミネラルは1日に多量に摂る必要はないので、不足しがちなものや、多く含まれる食品を知っておくと良いと思います。ビタミンで意識して摂りたいのは、ストレスを感じると消費されるビタミンC。紫外線を多く浴びる人、喫煙する人も不足しがちで、成人の場合は1日に100mgの摂取が推奨されています。ビタミンCと言うとレモンが連想されがちですが、実は果物全般に含まれる栄養素。ビタミンCは加熱すると減ってしまうので、生の果物から摂ることは損失も抑えられておすすめです。
ミネラルでは、鉄、カルシウム、マグネシウムなどが不足しがち。鉄はレバーのほか、赤身肉やマグロなどにも多く含まれます。カルシウムを豊富に含むのは乳製品。ただし、乳製品を摂るとおなかの調子が悪くなったり、苦手だったりする場合は、骨ごと食べられる小魚などを摂りましょう。また、マグネシウムを多く含む食品としては、アーモンドが代表的です」
三大栄養素で不足しがち・
摂り過ぎがちなものは?
北嶋さん「最近の調査では、脂質の摂取量が増えてきていることがわかっています。脂質の摂りすぎは肥満につながるのに加え、長い目で見れば動脈硬化などの疾患につながる可能性も高まるので気を付けたいですね」
この要因のひとつが、食生活の欧米化。また、共働き家庭の増加に伴って外食の頻度が上がったことも、一因と言えそうです。
北嶋さん「脂質の多い食事はおいしいと感じやすいため、外食で提供されることも多いもの。朝はコーヒーとパンだけ、昼は麺や丼などの1品だけ、夜はお酒が中心といった食生活も、栄養バランスが大きく崩れるのでご注意ください。
最近では、ダイエットで炭水化物を減らす人もいますが、やりすぎると糖質の摂取量も減って脳の栄養が足りなくなり、思考力が落ちてしまいます。また、あまりに足りていないと、人の体は筋肉を分解して糖に変えようと作用するので、筋力が落ちてやせにくくなることも。摂取エネルギーの半分程度は糖質から摂った方が良いとも言われるので、過剰に減らすのはやめましょう」
五大栄養素、効果的・
効率的な摂り方はあるの?
いろいろな食品を食べて
栄養素のかたよりを減らそう
北嶋さん「肉と魚の場合、同じ脂質でもその種類が異なるもの。肉に含まれる飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを増やすのに対し、魚から多く摂取できる必須脂肪酸は体内で合成できませんが、動脈硬化や血栓のリスクを下げる大切な栄養素です。一方で、肉はたんぱく質が豊富という面も。また、血液をつくる働きをもったビタミンB12のように、植物性食品から摂れない栄養素もあるので、ひとつの栄養素だけに注目するのではなく、いろいろな食品を食べることが大切なんです。と言っても難しく考えず、今日は肉を食べたから明日は魚、くらいでいいと思いますよ」
主食・主菜・副菜を
揃えた食事がおすすめ
北嶋さん「主食で炭水化物と糖質、主菜でたんぱく質と脂質を摂り、副菜には野菜を使って他の栄養素を補うというのが、おすすめしたい1食の内容。いわゆる定食スタイルですね。これなら深く考えずにさまざまな食品が摂れ、栄養バランスが偏りにくくなります。副菜に使う野菜は3種類が目安。ざっくりした考え方ですが、1種類あたり40g程度入れれば、1日の野菜摂取量で推奨されている350gもクリアできます。面倒なときは、余っている野菜をみそ汁に入れてみては。かさが減り、たくさん食べられるのでおすすめです」
マイルールをつくって、
もっとバランスアップ!
北嶋さん「1食抜けば栄養も足りなくなるもの。眠っている間にも摂取した栄養素は使われていくので、時間がないときもせめて糖質とたんぱく質だけは摂っていただきたいですね。メニューはバナナとヨーグルトの組み合わせや、具だくさんのサンドイッチなどがおすすめです」
丼や麺などを食べるときは、野菜の小鉢を付けるのもいいでしょう。
北嶋さん「定食がベストではありますが、たまには丼ものやラーメンも楽しみたいですよね。こうした単品になりがちなメニューのときは、副菜で野菜を摂るようにしてはいかがでしょう。野菜不足が補えるのに加え、最初に野菜から食べれば血糖値の急上昇も抑えられて一石二鳥です」
なお、たまにかたよった食事をしたとしても、それほど気に病む必要はありません。少し長めのスパンを取り、その中で帳尻を合わせることを心がけましょう。
北嶋さん「毎日暴食しているならいざ知らず、1日、2日くらいなら体への影響はほとんどありません。だいたい3日、長くて1週間くらいの間に食生活を立て直せば大丈夫。飲み会で肉を食べすぎたから、明日は野菜を中心に、とか、揚げ物を食べすぎた翌日は脂質の少ない白身魚に、くらいの軽い気持ちで実践するといいでしょう」
五大栄養素を意識した、
定食スタイルのおすすめレシピ
豚肉と野菜の炒め物献立
副菜:レンジで!きのこの無敵漬け
彩り野菜のおかか炒め
ぶりの照り焼き献立
副菜:えのきのピリ辛ナムル
トマトと玉ねぎのサラダ
鮭のホイル蒸し献立
副菜:もやしの卵炒め
小松菜の煮びたし
まとめ
北嶋さん「あの食材を何g摂らなきゃ、なんて難しいことは考えず、主食・主菜・副菜をそろえることをベースにしましょう。私は栄養士なので栄養のことをいろいろとお話ししますが、やはり食事は楽しくおいしく食べるのが一番。1日3回もあることなので、栄養バランスを意識しつつも楽しい時間を過ごしていただきたいですね」
教えてくれた人 北嶋佳奈さん
管理栄養士、フードコーディネーター。All About「 きれいになれる簡単レシピ 」ガイド。「こころもからだもよろこぶごはん」をテーマに美容・ダイエット・健康に関する料理本の出版、雑誌でのレシピ開発やコラム執筆、ラジオ・テレビ・イベントへの出演などで活動中。
撮影/金田邦男
公開:2022年11月9日
ホームクッキング編集担当より
毎日の食生活で何をどう食べるか、五大栄養素、ということを頭の片隅においておいたら、だいぶメニューのチョイスが変わりそうです。ちなみに、食材カットの集合の中にデデンと当社の豆乳を入れました。豆乳は牛乳と比べるとタンパク質量は多く、糖質は半分以下、飽和脂肪酸は約1/4、そして鉄分が含まれます。ぜひ特徴を知って、いろいろな食材とともに日々の食生活でご活用ください!(編集長S)