差は歴然!
知らなきゃ損な「なす」の
保存方法や選び方、
人気レシピ3選も紹介

初夏から秋にかけて旬を迎える夏野菜「なす」。でも1年中見かけるので、家庭でもおなじみの野菜のひとつでしょう。煮ても焼いても揚げてもおいしいなすですが、おいしく食べるために知っておきたいのが正しい保存方法。やりがちなのが店頭にあった状態のまま冷蔵庫へ入れてしまうこと……これはNG。そこで、料理家の江口恵子さんに、基本の保存方法や見分け方、おすすめレシピを詳しく教えてもらいました!
意外と知らない、
なすの保存のコツ

なすの保存でまず気をつけたいポイントは温度です。インド原産と言われるなすは、寒い場所が苦手。売られているときの袋のまま冷蔵庫に入れると、低温障害を起こしてしまう可能性があるのです。乾燥にも弱いので、風が当たる場所も避けて保存するのもポイントです。

江口さん「なすは何もせずに1日置いておくだけですぐシワシワになってしまいます。大量に入手して使い切れず、しばらく保存が必要な場合などは冷凍保存が良いでしょう。今から紹介する保存方法ごとに保存期間が異なるので参考にしてぜひ使い分けてみてください」
おいしさに差が出る、
なすの保存方法
(冷蔵、冷凍、常温)
【冷蔵保存】
冷やしすぎないのがポイント
(保存は1週間程度が目安)

- 1本ずつ、ペーパータオルで包む。

- ジッパーつき保存袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存する。保存期間は1週間程度。

江口さん「ペーパータオルで包むのは、冷えすぎないようにするためです。さらにジッパーつき保存袋に入れることで、乾燥を抑える効果があります。なので、野菜室がいっぱいの場合は、野菜室以外の場所で冷蔵保存しても大丈夫です。
もし、1本だけ半端に残った場合などは、ラップで包んでそのまま冷蔵するだけでも違います。ただし、この場合の保存期間は3~4日が目安なので、早めに使い切れるものだけにしてください」

【冷凍保存その1】
カットした生の状態で冷凍庫へ
(保存は1か月が目安)

- なすのへた(上の部分)を切り、がく(身にくっついたスカート状の薄い部分)を取り除く。

- 輪切りや乱切りなど、使いやすい切り方で切る。

- 冷凍用保存袋に入れ、金属製のバットに載せる。平らに整えてから冷凍庫へ。保存期間は1か月程度。
【冷凍保存その2】
加熱後冷凍でとろとろ食感に
(保存は1か月が目安)
- 生で冷凍保存する際の工程1と同様に切る
- 素揚げする。もしくは多めの油で、軽く色付くまで炒め粗熱を取る。

- 冷凍用保存袋に入れ、金属製のバットに載せる。平らに整えてから冷凍庫へ。保存期間は1か月程度。

江口さん「冷凍保存したなすは、解凍せずにそのまま調理できるので、ストックしておくと便利です。冷凍すると水分が抜けて組織が壊れ、火が通りやすくなるのでとろとろの食感になります。揚げたり炒めたりで加熱してから冷凍したものだと、より短時間でとろとろに。なので、例えば揚げ物をしたときに保存用のなすも一緒に素揚げするなど、“ついで”に加熱すると合理的ですね」
【常温保存】
時短&冷蔵庫にスペースがない場合
(保存は1~2日が目安)
- ジッパーつき保存袋にそのまま入れる。
- 常温で保存する。保存期間は1~2日。

江口さん「ジッパーつき保存袋に入れるのは乾燥を防ぐため。新聞紙で2~3本まとめて包んでも、同じ効果が得られます。すべての野菜は実っているときと同じ状態で保存する方が長持ちするもの。立てた状態で置いておくのがいいでしょう」
保存の結果……
見た目に大きな差が出た!

左が「ペーパータオル+ジッパーつき保存袋で冷蔵保存」したもの、右が「売られていたときの袋に入れたまま冷蔵保存」したもの。
異なる食感が楽しめる、
干しなす


- なすのへた、がくを取り除き、縦4等分に切る。

- ボウルに水と小さじ1/4程度 の塩を入れて塩水をつくり、切ったなすをくぐらせる。

- ペーパータオルで水気を拭き取る。

- ザルなどにのせて2~3日干す。

江口さん「なすを干すとシコシコした食感に変化します。ナムルや炒め物にすれば歯ごたえが出て、また別のおいしさが楽しめるでしょう。今回は天日で2日間、室内で1日干してみましたが、半日くらいでも十分違いがわかるはず。
切った後に塩水にくぐらせるのは、味付けではなく色止めとアク抜きのため。最近の野菜はアクが強くないので、水にずっと浸ける必要はなく、水にさっとくぐらせる程度で十分です」
新鮮でおいしい、
なすの選び方
江口さん「なすは鮮度が落ちると水分が抜け、皮が固くなるので、皮がぷるんと張っていてツヤツヤしたものを選びましょう。さらに、へたにも注目を。黒っぽい色のへたは、なす自身がしっかり成長していることを表しています。



なすの人気レシピ3選
食べた瞬間、煮汁がジュワッ!
『なすのあっさり煮びたし』

江口さん「夏は冷やして食べてもおいしい煮びたし。食欲がないときも、これなら喉を通りそうです。なすはアクが強く、切った瞬間から色が変わっていくので、すぐに水につけることが大事。特にこういった皮をむくレシピでは、色をきれいに仕上げたいので、アク抜き用の水は切る前から用意しておきましょう」
さわやかな酸味が食欲をそそる
『なすとズッキーニのマリネ』

江口さん「切って炒めてマリネ液につけるだけで、手軽につくることができます。コツは野菜のサイズを揃えて切ること。どんな料理にも当てはまることですが、同じ大きさなら火の入り具合を合わせられるし、見た目も美しくなります」
なすの定番料理と言えばこれ!
『焼きなす』

江口さん「皮がものすごく焦げて不安になるかもしれませんが、焦げなければむきにくいので、強火でしっかり焼きましょう。竹串で穴をあける工程は、中まで火を通しやすくするためなので省かないように。しょうゆだけでなく、ポン酢やめんつゆをかけてもおいしくいただけます」
江口さん「焼きなすや煮びたしなど、冷たくして食べるとおいしい料理もたくさん。なすは水分が豊富で口当たりがよく、体の中にこもる熱を冷ます働きもあるので、夏の食欲がないときにもいいと思います。生でもおいしいのも特徴的ですね。
薄切りにしたなすときゅうりを塩もみして、大葉とごまを混ぜ合わせたりすると、つい山盛りにして食べちゃいます。特に、旬のなすは水分が多くジューシーで、皮もやわらかくておいしいので、いろいろな料理で楽しんでみてはいかがでしょうか」

教えてくれた人 江口恵子さん
料理家、フードスタイリスト、 All About「家事」ガイド 。雑誌や広告、Webなどでレシピ提案やスタイリングを行うほか、企業のレシピ開発など、幅広く活躍。料理教室「 ナチュラルフードクッキング 」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナー。著書に『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)などがある。
撮影/金田邦男
公開:2022年7月14日 最終更新:2025年1月17日
ホームクッキング編集担当より
なすはホームクッキングでも人気の野菜のひとつ。特に炒めたり揚げたりといった油と合わせるメニューが人気です。家庭菜園でたくさん収穫できたので大量消費したい、というケースも多いようなので、きちんとした保存法をチェックしておけば、無駄なくおいしく使い切れますね!