寿司屋直伝!
失敗知らずの基本の
酢飯(すし飯)の作り方
【合わせ酢(すし酢)の
割合早見表も】

お祝いごとや来客などでちらし寿司や手巻き寿司をつくること、ありますよね。おいしい酢飯をつくることができたら、おうちの手作り寿司がワンランクアップすること間違いなしです!そこで今回は、お寿司屋さんに教えてもらった基本の酢飯のつくり方をご紹介。家庭でも実践しやすい料理ビギナーでも失敗しない方法や酢飯を使った簡単「映え」レシピ、余った酢飯をおいしくいただくアレンジレシピとともにお届けします。
酢飯(すし飯)づくりに
必要な材料と道具
今回、ホームクッキング編集部に教えてくれたのは、東京・谷中で三代続く「谷中松寿司」の店主、野本やすゆきさんです。料理家としても活躍する野本さん直伝の酢飯レシピ、まずは材料と使う道具からご紹介しましょう。
材料(約2合分)
- 米
-
320g
※2合分より少し多めの量
- 水
- 炊飯器の2合の目盛りまで
- 【合わせ酢(すし酢)】
- 酢
- 大さじ4
- 砂糖
- 大さじ1と1/2
- 塩
- 小さじ1と1/2
道具
- バット(なければボウル)
- しゃもじ
- うちわ
- ふきん(または厚手のキッチンペーパーかラップ)

合わせ酢のお酢は米酢を使用。

「酢飯が少し硬いと、寿司にしたときにおいしく感じます」と、野本さん。硬めに炊き上げるには、「水の量より米の量を調整したほうが、家庭でつくる場合はわかりやすい」と、米の量を増やすことで対応しているそうです。合わせ酢の材料は酢、砂糖、塩のみ。伝統的な江戸前寿司だと砂糖は使いませんが、野本さんによると「ご家庭でつくるなら入っていたほうが断然おいしいし、砂糖の保水効果で冷めてもパサつきにくくなる」そうです。
酢飯を混ぜ合わせるとき、お寿司屋さんで使われるのが「飯台」と呼ばれる木製の寿司桶。余分な水分をとばしつつ保水をして、同時に乾燥も防ぐために使われますが、家庭では飯台がないことも多いので、バットかボウルを使いましょう。できればご飯を平らにならせるバットのほうが、蒸気をとばしやすいのでおすすめです。

今回、2合分の酢飯をつくる際、バットは大きめの長辺32cmのサイズを使用しました。
酢飯(すし飯)の
作り方・レシピ
手順
- 酢飯用のご飯を炊く。(材料にあるとおりの分量で、少し硬めに炊き上げる)

- 合わせ酢(すし酢)の材料を混ぜ合わせる。塩が溶けにくいので、先に混ぜ合わせておくのがおすすめ。しっかり溶けきるまで混ぜるのがポイント。

- 炊き上がったご飯をバットにあける。ご飯はあつあつのほうが合わせ酢の味が入りやすいため、内釜でほぐしたりせず、そのままあけてOK。

- 合わせ酢をかけてから、しゃもじでご飯をほぐす。


- しゃもじで混ぜ合わせながら、合わせ酢を全体になじませる。途中で一度引っくり返し、下の方にたまった合わせ酢をまんべんなくいきわたらせる。


- ご飯を平らにならし、うちわで軽くあおいで冷ます。途中で一度引っくり返し、再びあおぐ。※この段階ではご飯は混ぜ合わせない

- 湯気が出なくなり、人肌程度まで冷めたら完成。目安はご飯に手をかざし、ほんのり温かいくらい。

- すぐに使わない場合は、清潔なふきんや厚手のキッチンペーパーなどを湿らせてかけておく。

混ぜるときはご飯をつぶさないように、しゃもじを斜めに入れ、きるようにしながら混ぜましょう。ムラになるのを防ぐため、先に合わせ酢をしっかり混ぜ、それからうちわで軽くあおいでご飯を冷まします。ご飯を平らにすることで自然に冷めていくので、力いっぱいあおぐ必要はありません。あおぐことで蒸気がとび、ご飯にツヤも出ます。
ふきんなどをかぶせるのは、そのままおいておくと酢飯が乾燥するから。キッチンペーパーは薄手でも良いのですが、すぐに乾いて飯粒がくっついてしまうので、その場合は数枚重ねるようにしてください。酢飯が冷めているなら、ふきんやキッチンペーパーではなくラップを使っても良いでしょう。
ご飯の分量別・
合わせ酢(すし酢)との
割合早見表
多めの酢飯をつくりたいときの参考になるよう、野本さんが教えてくれた分量をご飯の量ごとに一覧表にしました。なお、合わせ酢(すし酢)の割合はご飯と混ぜ合わせる前に味見をして、お好みで調整してください。

酢飯(すし飯)でおいしい!
簡単・手ごね寿司レシピ
野本さんから、酢飯を使ったレシピとして『まぐろの手ごね寿司』を教えてもらいました。手早くできて彩りがキレイなので、おもてなしシーンでも活躍します!
まぐろの手ごね寿司

ハレの日にもぴったり、まぐろの赤が映える一品。貝割れ菜の食感や、みょうがと青じそのさわやかな風味も楽しめます。
材料
- 酢飯
- 2合分
- まぐろの刺身
- 1さく(200g)
- 貝割れ菜(かいわれ大根)
- 1/4パック
- 青ねぎ
- 6本
- みょうが
- 3個
- 青じそ
- 5枚
- 白ごま
- 小さじ2
- (A)
- しょうゆ
- 大さじ3
- わさび
- 適量
手順
- (A)を混ぜ合わせる。貝割れ菜は根元を切って半分に切る。青ねぎは小口切り、みょうがは縦半分に切って小口切りに、青じそは粗みじんに切る。

- キッチンペーパーでまぐろの水けをとり、食べやすい大きさに切る。まぐろをバットに並べ、(A)を加えて表面にぴったりをラップをして、2〜3分漬ける。


- 酢飯に青ねぎ、みょうが、青じそ、白ごまを加えて混ぜ合わせる。

- まぐろの汁けを軽くきり、2に混ぜ合わせる。器に盛って貝割れ菜を散らす。


魚のさくは切る前にキッチンペーパーなどで押さえ、余分な水分を取り除きましょう。いろいろな魚をのせるときは角切りでも良いですが、今回はまぐろのみなので存在感が出るよう斜め切りにしました。表面積が広くなり、味が入りやすい効果もあります。使う魚はかつおやあじ、サーモン、白身魚などもおすすめ。かつおとあじは、しょうがじょうゆもよく合います。
混ぜるときに力が強いと薬味の水分が出てきてベチャッとするので、やさしく混ぜるのもコツです。薬味は混ぜる前に少し取り分けておき、盛りつけのときにちらすとよりきれいに仕上がります。
酢飯(すし飯)が余っても
大丈夫!
酢飯アレンジレシピ
手巻き寿司をしたときなど、酢飯がちょっと余ってしまった経験はありませんか?そこで野本さんに教えていただいたのは、余った酢飯をおいしくいただくレシピ。酢飯を炒める、チャーハン改め『焼きちらし寿司』です。
焼きちらし寿司

加熱すると酢の風味がまろやかになり、ほんのり感じる酸味がさわやか。いつものチャーハンとは一味違うおいしさに、きっと驚くはずですよ。
材料(2人分)
- 酢飯
- 300g
- 鮭フレーク
- 30g
- 卵
- 2個
- ごま
- 小さじ1
- 青じそ
- 6枚
- サラダ油
- 大さじ1
- しょうゆ
- 小さじ1/2
手順
- 卵を割りほぐす。青じそは粗みじん切りにする。

- フライパンに中火でサラダ油を熱し、卵を流し入れる。

- 卵が半熟になったら、酢飯を加えて炒め合わせる。

- 酢飯と卵が全体に混ざってほぐれたら、鮭フレーク、青じそ、ごまを加えて炒め合わせる。

- 鍋はだからしょうゆを加え、炒め合わせたら器に盛る。

具は鮭フレークだけでなく、さばの缶詰やハム、チャーシューなどもおすすめ。それこそ冷蔵庫の余り物で十分おいしくつくれます。酢飯や鮭フレークに味が付いているので、仕上げのしょうゆは少量で十分です。香ばしさを出すために、入れた後に煮立たせて少し焦がすのもコツ。食べるときにのりを巻いてもおいしいですよ。
気になる疑問に
野本さんが回答!
酢飯(すし飯)に関するFAQ
「酢飯(すし飯)」を家庭でつくるときに気になる、ちょっとした疑問について野本さんに答えてもらいました。
Q.酢飯(すし飯)のつくり置きはできる?
A.
つくり置きは可能ですが、時間が経つにつれて酢の風味が弱まっていくので、できるだけ早めに食べてほしいです。もし、保存する場合はラップに包み、涼しい場所に置いて一晩程度で食べましょう。このとき冷蔵庫に入れると、食感も味も落ちてしまうので、気温の高い季節や一晩で食べきれない場合は冷凍するほうが良いですね。食べるときは電子レンジで解凍し、ご紹介した『焼きちらし寿司』にするのがおすすめです。
Q.早めにつくりすぎて、酢飯が固まってしまった。元のような状態に戻せる?
A.
固まってしまった酢飯は電子レンジで人肌くらいの温度まで温めると、できたてほどではないもののおいしくなります。あつあつにする必要はありません。
Q.炊きたてのご飯がないときは、冷凍ご飯やパックご飯でもよい?
A.
つくれないこともないのですが、炊飯器で炊いたごはんがおすすめです。冷凍やパックのご飯を使う場合は、あつあつに温めてからつくりますが、少しやわらかく仕上がる可能性も。また、合わせ酢の分量も調整が必要なので、味見をしながらつくってみてください。
Q.酢の種類におすすめはある?
A.
店では赤酢を使っていますが、ご家庭では米酢がいいでしょう。赤酢を混ぜると本格的なシャリになるので、慣れてきたら試してみても。なお、米酢がない場合は穀物酢を使いますが、酸味が立っている分、さっぱりしすぎる傾向にあります。
Q.炊飯器にすしめし用の水位目盛があるが、米と水の量はどうすればよい?
A.
炊飯器にすしめしの水位線があったり、すしめしモードがある場合は、お米も水も、分量どおりに炊きましょう。お米を増やしたり、水を減らしたりする必要はありません。その場合、今回紹介したすし酢(あわせ酢)の分量は、味にそこまで影響はありませんが、気になるようであれば、すし酢をほんの少し減らして作ってみてください。
意外と簡単!
基本の酢飯をマスターして、もっと気軽に楽しもう
「酢飯はハードルが高めだったり、高級なイメージがあったりするかもしれませんが、ご飯に合わせ酢(すし酢)を混ぜるだけでおいしくできますよ」と、野本さん。だからこそ、もっと身近なものとして、気軽につくってもらいたいそうです。また、ひじきの煮物やきんぴらごぼうといったお総菜の余りに、刻んだ油揚げなどを足して混ぜてもおいしく食べられるとか。スーパーで買ったお刺身の盛り合わせがあれば、おいしい海鮮丼もすぐにできるので、みなさんも気軽に試してみてくださいね。

教えてくれた人 野本やすゆきさん
料理家、東京・谷中で三代続く「谷中松寿司」店主。大学卒業後、調理師学校にて調理師免許を取得。家業の店で修業するかたわら、フードコーディネータースクールに通い、卒業後、同校講師を経て独立。料理家、寿司屋の二刀流で料理雑誌へのレシピ提供、テレビ番組や広告のフードコーディネート、飲食店のメニュー開発など、食にかかわるジャンルで幅広く活躍中。
Instagram:https://www.instagram.com/nomotobase/
YouTube:https://www.youtube.com/@nomotochannel
撮影/金田邦男
公開:2025年2月18日
ホームクッキング編集担当より
私自身、酢飯はハードルが高い……と正直思っていましたが、こんなにも手軽においしくつくることができ、ある種の感動を覚えました。野本さんのアレンジも最高!特に『焼きちらし寿司』の発想は斬新!お酒もすすむ、抜群の味わいです。みなさんにもぜひ試していただき、お祝い事やごちそうとしての活用だけでなく、日常で使えるレシピとして、レパートリーに追加していただけたらうれしいです♪(編集担当・大津)