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減塩・適塩をはじめよう!
調理の際の減塩テクニックと、
塩分控えめでも
おいしくつくれるレシピ

減塩・適塩をはじめよう!調理の際の減塩テクニックと、塩分控えめでもおいしくつくれるレシピ

健康のために塩分を控えようと思いながらも、「減塩は面倒」「なかなか続けられなさそう」と感じてはいませんか?そんな人の思いに答えるべく、これまでにもキッコーマンは減塩・低塩しょうゆのラインナップを充実させ、 おいしく塩分を控えられる『レスソル・ライフ』 を提案するなど、さまざまな取り組みを行ってきました。そして今回、あらためて発信するのが、家庭でも無理なく塩分を控えられる「調理時のコツ」です。教えてくれたのは、料理研究家の小田真規子さん。難しく考えずに続けられる減塩テクニックと、塩分控えめなのに大満足のおいしいレシピが目白押しです!

家庭でできる減塩調理のコツ

小田さんによると、ダイエットのように目に見える成果があまりないのが減塩。「健康診断の数値が改善されても、ほめてくれるのはお医者さんくらいかも」と話すように、なかなかモチベーションにはつながりません。

「味を薄くして塩分量を減らすのが手っ取り早いとしても、そこで”おいしくない”と不満に思うなら、減塩を続けるのは難しいですよね」と小田さん。無理のない減塩を続けるため、物足りなさを感じにくく、簡単にできる調理時の減塩テクニックをたくさん教えてくれました。

写真:料理研究家の小田真規子さん

小田さん直伝!減塩調理の基本の考え方

減塩テクニックはさまざまあるものの、考え方をまとめると以下の5つに。特別な調味料などは必要ありません。

  • 1. ひと口めに味を感じさせる
  • 2. 水分を減らす(脱水)
  • 3. うま味のある食材と組み合わせる
  • 4. やわらかく仕上げる
  • 5. 塩味以外の感覚を先に感じさせる
  • 順番に、それぞれの考えが取り入れられた減塩レシピとあわせて、小田さんに説明してもらいました。

    家庭でできる減塩調理のコツ

    1. ひと口めに味を感じさせる

    小田さん「食べた瞬間にしっかり味を意識できると物足りなさを感じにくくなるため、外側にだけ味をつけてトータルの塩分を下げる方法です。

    表面積が増えると味が絡みやすくなるため、煮物のじゃがいもならいつもの切り方を替えて薄切りにしたり、細長い形に切るようにしましょう。ごぼうやにんじんなどの根菜類は、斜めの薄切りにしたり、縦四つ切りなどにして表面積を増やします。せん切りにするなら長めにして細く切ると、調味料がよくからみ、口にしたときに一度にザッと入ってきて味を意識しやすいですね。さらにサクサク噛めて早めに飲み込めるので、唾液の出る時間が短くなり、味が薄まりにくくもなります」

    写真:ひと口めに味を感じさせる

    食材は薄めに切って表面積を増やしましょう。しっかり焼き色を付けるのも、後述する減塩テクニック。

    写真:熱いうちに調味料をまとわせる

    調味料は、調理の最後、できあがりのあつあつの状態でまとわせることで味を感じやすく。

    「また、口の中全体に広がる時間が長ければ味を感じやすいので、料理自体に小麦粉や片栗粉でとろみをつけるだけでなく、調味料もみりんやケチャップのように粘性のあるものを使うと、味が食材に長くとどまってくれます」

    2. 水分を減らす(脱水)

    小田さん「素材に水分が残っていると、素材の味も調味料の味も薄まります。そのため、調理前にしっかり水けを拭き取る、肉や魚なら塩を軽くふって脱水させるなど、水分を抜く工夫が必要。ゆでたときは水に取らず、ざるに上げたまま冷ます(陸上げ)も水分がとぶので良いでしょう。

    調理法としては、水分が抜けやすい「揚げる」「焼く」が減塩向き。香ばしさと食感を出すこともできるので、ほんの少し塩をかけたり、レモンを絞ったりするだけでもおいしくいただけます。炒め物をするなら、フライパンに素材を入れてすぐにかき混ぜるのではなく、1〜2分焼き付けて香ばしさを出してから。このとき、フライパンの温度が高すぎると肉や魚は固くなってしまうので、フライパンを30秒から1分くらい温めた程度で焼きはじめ、徐々に温度を上げていくようにしましょう。

    また、せっかく脱水した食材の水分を増やさないために、調味料も煮詰めることが大事。フライパンなどの中央をあけて煮立たせれば、全体に味が絡み、水っぽくなることもありません」

    写真:水分を減らす

    調味料を入れる際はフライパンの中央をあけ、煮立たせて水分をとばしてから具材と絡めます。

    3. うま味のある食材と組み合わせる

    小田さん「トマトやじゃがいも、かぼちゃはうま味成分が多く含まれており、減塩しやすい食材です。同じようにきのこも、グアニル酸といううま味成分が豊富なので、これらをうまく取り入れるようにしましょう」

    写真:うま味のある食材と組み合わせる

    トマトはうま味成分たっぷり!塩分控えめでも味をしっかり感じられ、物足りなく感じません。

    「豚肉は薄切りなら肩ロースがおすすめ。加熱すると少しくるんとなって調味料が絡みやすくなりますし、赤身と脂身のバランスが良く、適度な脂肪分でうま味があり、いろいろな味わいが楽しめます。脂肪分はやわらかさとうま味が減塩向きですが、味が入りにくいため、脂の多いバラ肉なら先にゆでたり焼いたりして適度に脂を落とし、取り除いてから調理しましょう。鶏の場合は、適度な脂肪分が含まれるもも肉や、手羽先、手羽中が減塩向き。特に、手羽先や手羽中は骨に近く、うま味が多く出る部位のため、比較的少ない塩分でも満足できる味わいに」

    4. やわらかく仕上げる

    小田さん「噛む回数が多いほど唾液が出て、口の中で料理の味が薄まって物足りなさを感じてしまうため、スムーズに噛める状態をつくることが大事です。その第一歩が、やわらかく仕上げること。肉や魚は低温からゆっくり火を通し、時には余熱を利用しましょう。

    パサつきを抑えるために、小麦粉や片栗粉をまぶすのも効果的。こうすることで調味料も素材にしっかりからむので、やわらかさも相まって、より味を感じられるメリットもあります。肉は下ごしらえのときにたたいて繊維をほぐしたり、下味に卵を絡めたりするのも、やわらかく仕上げるコツですね」

    写真:やわらかく仕上げる

    鶏むね肉はしっかりたたいて繊維をほぐし、やわらかくします。

    5. 塩味以外の感覚を先に感じさせる

    小田さん「香ばしさや酸味、食感など、塩味の濃さとは別のところに意識を向けさせると、味が薄いと感じにくくなります。香ばしいミックスナッツ、レーズンなどのドライフルーツをサラダや炒め物の仕上げに使うのもひとつの方法。同様に、スパイスもアクセントがつくので効果的です。これは七味や山椒、わさび、カレー粉、ブラックペッパーといった、身近なものでも十分。酸味をプラスするなら、ちょっとレモンやすだちをしぼるだけでも味の感じ方は変わってきます」

    写真:塩味以外の感覚を先に感じさせる

    香ばしさを料理にプラスしたり、やわらかい面を残したりと食感にメリハリを持たせるのも物足りなさを感じにくくなる減塩のコツです。

    「また、料理の温度も中途半端だとフラストレーションがたまり、塩分に意識が行きがち。熱いものはあつあつで、冷たいものはしっかり冷やして食べることも大事ですね」

    調味料選びで
    気をつけたいこと

    減塩・適塩を考えるなら、知っておきたいのが調味料の特性です。どう使えば減塩につながるのかを理解すれば、ただ使う量を減らすよりも上手に塩分を抑えられるはず。ここでは小田さんに聞いた、基本的な調味料の特徴と使い方のコツをご紹介します。

    しょうゆ

    「しょうゆには、基本的にだしのようなうま味成分が含まれています。しょうゆをベースに味つけすれば、だしの味わいを活かすことにつながり、たくさんの調味料を加えなくても味が決まりやすくなります。意外とスパイスとの相性が良く、カレー粉やこしょうと組み合わせるのもおすすめ。スパイスを減塩に役立てるなら、慣れ親しんだしょうゆと一緒に使うとよいですよ」

    みりん

    「煮汁が多い和食の煮物は、減塩にはあまり向いていない料理のひとつですが、塩分をある程度コントロールするなら砂糖よりもみりんを使うのがよいですね。魚のくさみが抜けやすいほか、適度なとろみでやわらかく仕上がるので、料理のパサつきを抑えやすくもなります。また、甘みと香りがあるので、アルコールをとばしてはちみつや三温糖のように使えばコクが出て、塩分を減らしても満足感が得られるでしょう」

    ケチャップ

    「適度な酸味と甘みがあるケチャップは、トマトのうま味であるグルタミン酸を含み、とろみもあって減塩向きの調味料。食材と絡んで流れ落ちないので、味が薄まりにくいのが特徴です。デルモンテの『リコピンリッチ トマトケチャップ』のようにうま味が強いものは、減塩におすすめですね」

    豆乳

    「コクが出せる豆乳は汁物に少し加えると口の中に味わいが留まりやすくなり、もの足りなさを感じにくくします。例えばみそ汁に入れると、みその量を減らしても満足感が出せますね。みそは塩分量が気になる調味料のひとつですが、みそ汁の代わりに一品の汁物として、温めた豆乳に青のりやごまをふったり、こしょうやからしを加えたりするのも手です。塩けはなくても、みそ汁代わりに飲むことができます」

    豆乳の減塩効果を深堀り!


    豆乳に含まれるアミノ酸は、料理に使用した際にうま味・コク・まろやかさなどを増強する一因であると言われています。特に、和風の料理などのコク出しなどにおすすめ。

    みそ汁では、水の約半量を豆乳に置き換えることで、みその量を2/3に。白だしを使った寄せ鍋の場合も同様に、水のおよそ半量を豆乳に置き換えれば、白だしの分量を30%ほど減らしてもおいしくいただけて減塩になるという調査結果も!(2024年キッコーマン調べ)

    豆乳で減塩

    ソース

    「スパイシーで甘くて酸っぱい、トロッとしたところが減塩向き。何かにかけるという一般的な使い方だけでなく、スパイス感や、フルーツのような甘酸っぱさが欲しいときの料理用調味料と考えると料理で使いやすくなります。しょうゆとソースを2:1〜1:1で合わせ、和食に使うのも意外なほどマッチします。しょうゆにはない酸味やスパイシーさ、フルーティ−さが加わり、少量でも味わい深く感じますよ」

    キッコーマン商品

    減塩を意識した
    献立づくりのコツ

    続いてお聞きしたのは、塩分を控えた献立をつくるときのポイント。「意識や習慣をちょっと変えれば、意外と塩分は減らせます」と、小田さん。

    「切っただけ」の野菜を副菜に加える

    「難しいことを考えずに減塩するなら、副菜の一品を、切っただけで調味をしない野菜に変えること。切った野菜にはレモンを絞ったり、削り節をのせたり、ごま油を少しかけたりするのも良いでしょう。すべての料理で減塩するとなるとつくる人も大変ですが、献立全体で考え、こうした割り切りの一品を加えて調整していけば続けやすいですね。トマト、きゅうり、サラダ菜などがおすすめです」

    みそ汁は1日1食にする

    「みそ汁の塩分量は1杯あたり約1.2gほどなので、減塩したいなら1日のうちの1食だけにしてじっくり味わう、としたいところ。汁物の代わりに飲むならお茶やお湯に。ほうじ茶や玄米茶といった香ばしさのあるものなら満足感は得やすいと思います」

    同じ調味料を避ける

    「たとえばメインが甘辛味の角煮のとき、副菜に酸味を生かした小鉢を選ぶとメリハリがついて減塩できますが、味のトーンが同じきんぴらごぼうを合わせると片方の味の薄さを感じやすくなり、塩分は減らせません。メインもサブも同じ調味料をベースに味つけするような食生活が続くと、それに慣れすぎていて味のトーンを変えられなくなることもあるので、メインにしょうゆやみそを使うなら、副菜には別の調味料を使って味にメリハリをつけるようにしましょう」

    小田さん直伝!
    減塩テクニックを活用した
    おすすめレシピ10選

    小田さんに教えてもらった減塩テクニックや調味料選びなどをふんだんに活用した、減塩おすすめレシピをご紹介!それぞれのレシピの減塩ポイントも確認すれば、無理なくおいしい減塩料理ができますよ。

    輪切り肉じゃが
    【ヘルシーな新レシピ】

    輪切り肉じゃが

    小田さん「じゃがいもはうま味成分のひとつであるグルタミン酸が非常に多く、塩分を抑えても焼いたり揚げたりしただけで満足感が出せる食材。このレシピでは厚さ1.5cmほどの輪切りにして表面積を大きくし、断面にしっかり焼き色をつけて生まれる香ばしさを味のベースにしています。甘みに砂糖を使うことで、パンチのある味つけにしているのもポイントですね」

    鶏もも肉とブロッコリー、にんじんのから揚げ

    鶏もも肉とブロッコリー、にんじんのから揚げ

    小田さん「鶏もも肉の下味に使うのは砂糖と卵のみ。鶏もも肉の繊維の中に入り込み、肉をふくらませてやわらかくするので加熱しても固く締まらず、ふっくら揚がります。揚げたてのところに調味料をからめるのもポイント。しょうゆと酢の香りが立って香ばしさが増すほか、口の中に入れて最初に塩味を感じることもできます。ブロッコリーとにんじんはしっかり加熱すると甘みが増すので、少しの塩分でももの足りなくありません」

    豚肉と野菜の塩みりん炒め

    豚肉と野菜の塩みりん炒め

    小田さん「薄切り肉は、うま味が濃く、食感に変化のある肩ロースを使用。小麦粉をまぶし、少ない調味料でもよくからむようにします。豚肉の下味にしょうゆを、仕上げの調味に塩を使うことで味のメリハリもつきますね。肉と野菜を順に重ねて焼くことにより、肉は焼けたうま味とやわらかさ、野菜は蒸したような香りと適度な硬さを残して火を通すことができ、水っぽくなりません」

    野菜の辛味そぼろあん

    野菜の辛味そぼろあん

    小田さん「塩分をそれほど加えなくてもおいしく食べられるかぼちゃをメインに据え、なすを組み合わせました。油をからめて電子レンジで加熱することで、なすは炒めるよりもさらにトロトロの仕上がりに。パサパサしたものは噛む回数が増え、唾液が出て味が薄く感じられますが、この食感なら心配はありません。
    あんに使った豚ひき肉は炒める前に香味野菜と一緒に焼き、香ばしく仕上げることでくさみが抑えられます。あんは全体にからめず、塩味を感じやすい”まだらがけ”にしているのもポイント 」

    さばとじゃがいものトマトオイル煮
    【人気のヘルシー洋食】

    さばとじゃがいものトマトオイル煮

    小田さん「下ごしらえの際、さばに熱湯をかけてくさみや余計な水分を抜き、その部分を補うようにしょうゆとにんにくで下味をつけます。香ばしく焼いたじゃがいも、さらにトマトも使って……と、とにかくうま味を加えて減塩するレシピ。オリーブオイルを多めに加えて煮込むことで、香りやうま味が油に移り、より味を感じやすくなります。油を多く使う料理はこういった理由から、意外と減塩しやすいんです」

    鶏もも肉ときのこの豆乳クリーム煮

    鶏もも肉ときのこの豆乳クリーム煮

    小田さん「うま味成分の豊富なしいたけとしめじをたくさん使うことで、塩分が少なくても味を感じられます。きのこにしっかりと火を通し、香ばしさを出すのもコツ。また、コクと粘度があるクリーム仕立ては減塩しやすいメニュー。ここでは豆乳を使い、塩味を感じられる程度の少なめの塩で味つけすることでメリハリをつけています」

    鶏むね肉とピーマンとナッツのオイスター酢炒め

    鶏むね肉とピーマンとナッツのオイスター酢炒め

    小田さん「鶏むね肉はラップをかぶせ、たたくことで繊維を壊してやわらかな仕上がりに。ピーマンのシャキシャキとナッツのカリカリとやわらかい肉の食感でメリハリがつきます。鶏肉のほぐれた繊維の奥に下味のごま油が入り込み、さらに片栗粉が加わることで調味料がからみやすくなっているのもポイントです」

    【やわらかく仕上げて減塩メニュー】
    ブロッコリーの鶏チリあんかけ
    【鶏むね肉でヘルシー】

    ブロッコリーの鶏チリあんかけ

    小田さん「甘酸っぱい味つけで、ひと口食べるとまず甘みと酸味に意識が向くため、塩分控えめでも満足できる味わいに。外側にはっきりした塩味が感じられるよう、加熱後に塩水をからめています。鶏肉はそぎ切りにし、ごま油と片栗粉をまぶすことでやわらかく仕上がります。房の間に調味料が多く入り込むブロッコリーと一緒に食べることで、淡泊さも気になりません」

    豚肉とじゃがいものソース青のり炒め
    【スパイシーな人気味】

    豚肉とじゃがいものソース青のり炒め

    小田さん「うま味と香りを持つ、青のりを使っているのがポイント。全体に広がり、調味料の中濃ソースが流れ出ないようにしっかりキャッチしてくれます。食材によって味のからみ方が変わるため、全部同じような味になることもありません。甘くてしっかり味のじゃがいも、ピーマンの苦みといった味のコントラストも楽しめます」

    まぐろのパン粉焼き ほうれん草添え

    まぐろのパン粉焼き ほうれん草添え

    小田さん「ミニトマトとケチャップを混ぜ合わせたソースは主張が強く、口の中に入れるとうま味が広がります。別添えなので、塩分を自分でコントロールしたい人にもおすすめ。片面だけにつけたパセリ入りのパン粉は、カリッと焼くことで香ばしさが強調され、食感にメリハリがつけられます。まぐろはお刺身用なので、生焼けを気にして火を通しすぎることもありません」

    減塩・適塩、なぜ必要?

    厚生労働省の『令和元年 国民健康・栄養調査』によると、20歳以上の男女が1日に摂取する食塩の量は平均10.1g。年を経るにつれて右肩下がりとなっていますが、世界的に見れば塩分摂取量はまだ多めです。小田さんによると、この背景には日本人特有の食事情があるのだとか。

    小田さん「塩分の摂りすぎにはいくつかの理由が考えられます。ひとつは、1日3食の食事。この習慣がない国と比べれば食事の回数が多いため、摂取量が増える理由といえるでしょう。また、昨今は中食としての惣菜やリーズナブルな外食が充実してきていますが、これらの料理は多くの人にしっかりおいしいと感じてもらうために、冷めてもおいしく感じるよう濃い味つけになっているものが多いので、それも理由のひとつです」

    塩分摂取量の多さは、豊かな食文化の裏にあるもの。食事から摂る栄養素と同様、生きていくうえで不可欠なものですが、摂りすぎれば当然、体にダメージが与えられます。

    小田さん「塩分の摂り過ぎになりやすい国民性ということを認識し、食事をはじめとした生活習慣に気を配ることはとても大事。こうした習慣の見直しは、若いうちのほうが受け入れやすいので、気づいたときからはじめていきたいですね。減塩は、健康を保つ手立てのひとつ。ただ、減塩自体がストレスになればそれこそ健康を損ないますから、”適塩”くらいのイメージでやわらかく考えればいいと思います」

    小田さんとキッコーマン商品

    気になる疑問に
    小田さんが回答!
    減塩に関するFAQ

    減塩にまつわるさまざまな疑問を、小田さんに一問一答形式で答えてもらいました。あなたが気になっていたことも、ここで解消できるかも!

    Q.外食だとやっぱり塩分量多めになるの?

    A. 小田さん「外食の料理は、おいしさを感じさせるために甘みが強いものが多いですね。塩味はこうした甘さの下支えとなるので、使われる塩分量も必然的に多くなります。調理済みのお惣菜なども同様で、甘み、塩味、うま味で上手にまとまった味は、誰がつくってもおいしくなる味つけに設計されている一方、実は濃い目の味つけになっています」

    Q.調理時の減塩テクニック、もっと知りたい!

    A. 小田さん「卵と牛乳には微量にナトリウムが含まれています。これらを下ごしらえに使うと下味の代わりになり、塩を入れなくても何となく塩味がついているようにも感じられるもの。また、塩がのりやすくもなります。牛乳はから揚げなどのころもに使うと、香りがのりやすく香ばしさが生まれ、卵を鶏肉の下味に使うとやわらかくもなりますよ。

    また、魚のくさみ抜きと下味をつけるときに、粒状の塩ではなく塩水やしょうゆ水を使うと、味にむらが出たりすることがなくなります。目安は3%の塩水。しょうゆ水なら、小さじ1のしょうゆに小さじ3の水を加えてつくりましょう」

    Q.このほかにも、塩分摂取の観点で気をつけたいことや、先生のおすすめがあれば教えて!

    A. 小田さん「”今日は味つけが濃いかな”と思ったら翌日は薄めにしたり、和食が続いた後はクリーム煮、トマト煮といった塩分を控えやすいものにしたりと、数日で帳尻を合わせるのもひとつの方法です。また、品数が多いと塩分量も増えがちなので、次の食事は1品だけにするだけでも意外と差は出ますよ。このほか、麺類は麺に含まれる塩分のほか、つゆやスープに含まれる塩分により摂取量が増える傾向にあるので、1週間に1回だけにしてスープは飲み干さないようにするのもいいですね」

    無理のない減塩を
    はじめよう!

    小田さん「料理をつくるときは、がんばって全部おいしくしなければ、しっかりと味を決めなければ、と思いがちですが、楽に考えればよいと思います。味つけも、たとえば濃い部分と薄い部分があるなど、まだらでいろんな“味わい“があっていい。また、塩分を減らすことで、最初は気づきにくかった素材の持つ香りや甘み、酸味などを、だんだん感じられるようになったりもします。そんな“変化を楽しむ”一環として減塩に取り組んでみると習慣にしやすく、食卓ももっと豊かになるのではないでしょうか」

    ホームクッキング編集担当より

    減塩のテクニック、詳しく小田先生に教えていただきました。すでにホームクッキングで掲載している小田先生のレシピには自然とこの工夫が入っているものがたくさんあります。また、手軽な減塩対策といえば「減塩しょうゆ」ですよね。キッコーマンの 『減塩しょうゆ』 は、しょうゆのおいしさしっかりで塩分を控えめにしています。いつものしょうゆと同じように使えるので、好みの商品をぜひ取り入れてみてください!(編集長・杉森)

    キッコーマン 減塩しょうゆ
    写真:小田真規子さん

    教えてくれた人 小田真規子さん

    料理家・フードディレクター・栄養士。スタジオナッツを主宰し、徹底的な研究と試作による検証で、誰でもおいしくつくれる料理レシピを数多く生み出す。雑誌、テレビ、新聞などのメディアで活躍するかたわら、その信頼感から企業のメニュー開発などのアドバイスを依頼されることも多数。近著に『午前7時の朝ごはん研究所』(ポプラ社)、『元気なシニアの野菜たっぷり たんぱく質も 2品献立』(NHK出版)などがある。
    スタジオナッツ  http://studionuts.com
    インスタグラムID  studionutsnutsm パプリカマキコ foodshot_kusudama 料理フォトくすだま

    撮影/金田邦男 文/石川由紀子
    公開:2024年9月19日

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