Today's Menu

栗のゆで方と皮のむき方を
詳しく解説!
基本の手順から時短・簡単な
方法と、人気のレシピ3選

栗のゆで方と皮のむき方を詳しく解説!基本の手順から時短・簡単な方法と、人気のレシピ3選

秋の味覚のひとつ、栗。やさしい甘さとほくほくとした食感で、出回る時期を楽しみにしている方も多いことでしょう。でも、いざ自分で調理するとなると、「固い皮をむくのが大変」「おいしくゆであげるのは難しそう」といった理由から、尻込みされることもありがちです。そこで今回は、家庭でできるおいしい栗のゆで方をご紹介!保存のコツや、栗を存分に味わえるレシピのポイントもあわせて解説します。

おいしくゆでるための
第一歩!
栗の選び方と下ごしらえ

ゆで方の前に、まずはおいしい栗を見極める方法と、下ごしらえの手順を知っておきましょう。

●選び方


鬼皮(外側の茶色くて固い皮)にハリとツヤがあるものは、中身がしっかり実った栗。形はふっくらとして、丸みのあるものが良いとされています。「座」と呼ばれるおしりの部分が白っぽかったり、黒ずんだりして汚れたものは傷んでいる可能性が。また、鬼皮に小さな穴が空いているものは、高確率で虫が入り込んでいるので、できるだけ避けてください。

写真:鬼皮に小さな穴が空いている栗

左の栗が、丸々とした形でハリとツヤのあるもの。中央は座が白っぽくなったもので、右の栗は虫が侵入したらしき穴が空いています。

写真:栗拾いで入手した栗の選別

栗拾いなどで入手した栗は状態の良くないものも混ざりがちなので、しっかり選別しましょう。

●下ごしらえ


栗の下ごしらえは、まず水につけておくことから始めます。アクが抜けるうえに、鬼皮がやわらかくなってむきやすくなるので、皮をむいてから冷凍保存をするときにも大助かり。虫に食われていたり、中身がやせていたりする栗は、水につけたときに浮いてくることが多いので、選別の目安にもなりますよ。

写真:栗を水にひたす
1
ボウルに栗と、栗が十分にひたる量の水を入れ、冷蔵庫で半日から一晩おく。
写真:栗の水気を切る
2
水を捨ててからザッと洗い、ザルにあげて水気を切る。
Point

江口さん「ゆでる前の栗は水分が抜けやすく、品質が日ごとに低下するため、入手したその日のうちに調理するのが望ましいです。すぐにゆでられないときは後述する方法で冷蔵保存、もしくは冷凍保存をしましょう。なお、水ではなく50〜60度のお湯を使うと、つけておく時間を2〜3時間に短縮できますよ」

栗のゆで方・ゆで時間は
どのくらい必要?
ゆで栗の皮をむく方法も解説

●栗のゆで方


栗をゆでるときは、基本的に鬼皮を付けたままの状態で。皮をむいてからだと水っぽくなります。

写真:直径20cmの鍋に、1リットルの水が入った状態
1
鍋に下ごしらえをした栗と、栗がかぶるほどたっぷりの水を入れる。写真は直径20cmの鍋に、1リットルの水が入った状態。
写真:栗が入った鍋に塩を入れる
2
水1リットルに対して、塩大さじ1/2強を加える。
写真:栗が入った鍋を沸騰させる
3
中火にかけ、沸騰したら弱火にして30分〜40分ゆでる。
写真:栗がやわらかくなったら余熱でじっくり火を通す。
4
栗がやわらかくなったら火を止めてそのまま置き、余熱でじっくり火を通す。
Point

江口さん「栗をゆでるときは、弱火でじっくりと。塩を入れてゆでると、栗の甘みを引き出すことができます。ゆで上がってからしばらくそのままおいておくのは、しっとりとした食感に仕上げるため。ゆで時間は栗の大きさなどによって多少の差が出るので、火を止める前に1つ取り包丁で半分に割って味見し、ゆで加減を確認してください。なお、ゆで栗は生の状態よりも包丁で切りやすくなります。手っ取り早く味わいたいときは半分にカットし、そのままスプーンですくっていただきましょう」

写真:ゆで栗を半分にカットした状態

ゆで栗を半分にカットした状態。固い鬼皮も、ゆでることで切りやすくなります。

●ゆで栗の皮のむき方

写真:ゆで栗の座を切り落とす
1
ゆで栗のおしり部分である座を切り落とす。
写真:ゆで栗の鬼皮をむく
2
切り落とした部分の鬼皮に包丁の刃元を入れ、鬼皮を引っ掛けてむく。下から上へ、引きはがすようにしてむくと良い。
写真:鬼皮をむき終わった状態
3
鬼皮をむき終わった状態。
写真:栗の渋皮をむく
4
渋皮(内側の薄い皮)をむく。りんごの皮むきの要領でむくと良い。
写真:渋皮がむけた状態
5
渋皮がむけた状態。
Point

江口さん「ゆでることで鬼皮はむきやすくなるものの、多少の力は必要です。あせらなくて良いので、無理せずにゆっくりむいていきましょう。包丁を持つ手の人差し指に背が当たって痛い場合は、軍手を着けるのがおすすめ。

鬼皮をむくときは座を切り落とさず、底の部分に包丁の刃元で切り込みを入れてから、そのまま引っ掛けてむく方法もあります。これだと栗をまるごとの状態でむけますが、切り込みを入れるときに少し力が必要。座を切り落とすと包丁を引っ掛けやすくなるという利点もあるので、自分でやりやすい方法を選んでください。

渋皮はしっかりゆでた栗なら手でぺろりとむけることもありますが、たいていは実の部分に密着しています。薄くむこうとしてむけるものではないので、少し厚めにむくと良いでしょう。また、渋皮はアクが強く、しっかり取り除けていないと渋味が残ってしまいます」

写真:座の中央に切り込みを入れた状態

座の中央に切り込みを入れた状態。切り落とすのがもったいないと思うなら、この方法もおすすめ。

味と手間はどう違う?
栗をゆでずに蒸す方法と
電子レンジで加熱する方法

栗はゆでるだけでなく、蒸したり電子レンジで加熱したりしても食べられます。それぞれの手順と、仕上がりについてもご紹介しましょう。

Point

江口さん「ゆでる以外の方法もあります。じっくり蒸して火を通すと、ホクホク感がより強い仕上がりに。甘みが引き出せるので、蒸し器を持っている場合はお好みで使い分けてみてください。電子レンジ加熱は、手軽で時短もできるのが一番の魅力。ゆでるほどではないですが、しっとり仕上がります。なお、甘みを引き出すために塩を使うのは、ゆでるときと電子レンジ加熱のときのみ。蒸気には塩分が含まれないので、蒸すときは加えなくてOKです。」

●蒸し器で蒸す

写真:蒸し器に下ごしらえした栗を入れる
1
蒸し器の上段に下ごしらえした栗を、下段に水を入れる。
写真:火を止め、余熱で火を通す
2
ふたをして45分~50分蒸したら火を止め、そのまま余熱でじっくり火を通す。
写真:蒸し上がった状態
3
蒸し上がった状態。半分に割って中身をくり抜いたり、皮をむいて食べる。

●電子レンジで加熱する(ゆで時間短縮)

写真:生栗の鬼皮をむく
1
生栗の鬼皮をむく。固いので座を切り落とすのが大変な場合は、座の中央に切り込みを入れる方法をとる。※ゆで栗の皮のむき方参照
写真:鬼皮をむいた栗、水、塩を入れ、電子レンジで加熱する
2
耐熱容器に鬼皮をむいた栗、栗がかぶる程度の水、塩ふたつまみを入れ、電子レンジの600Wで7〜8分加熱する。
※お手持ちの電子レンジによって時間は調整ください。
写真:粗熱が取れるまで余熱で火を通す
3
竹串を刺してスッと通るようになったら電子レンジから出し、粗熱が取れるまで余熱でじっくり火を通せば完成。

冷蔵・冷凍保存もできる栗。
おすすめの保存方法は?

江口さんの解説にもあったように、栗を入手してすぐに調理できないときは生のまま冷蔵、もしくは冷凍で保存を。ただし、冷蔵保存では1〜2日しか日持ちしないので、日持ちさせたいのなら約1か月保存しておける冷凍がおすすめです。

●皮付きのまま冷蔵保

写真:キッチンペーパーで水気を取り除く
1
栗をザッと洗い、キッチンペーパーなどで拭いて水気をしっかり取り除く。
写真:栗をキッチンペーパーで包み、ジッパー付き保存袋に入れる
2
栗をキッチンペーパーで包み、ジッパー付き保存袋に入れる。空気を抜き、口を閉じたら冷蔵庫のチルド室へ。
Point

江口さん「キッチンペーパーに包むことで乾燥が抑えられるのに加え、余分な湿気を吸収させられます。栗は低温でも変質しにくいので、より温度の低いチルド室での保存がおすすめ。下ごしらえをせずに冷蔵保存もできますが、水につけておくと皮がやわらかくなるメリットもあります。どちらにするかは、保存の前に下ごしらえをする余裕があるか、冷蔵庫から出してすぐに調理にかかりたいかなど、状況によって判断してください」

●皮付きのまま冷凍保存

写真:平らな状態で金属トレーにのせる
1
洗った栗の水気をしっかり拭き取り、ジッパー付き保存袋に入れる。空気を抜いて口を閉じ、平らな状態で金属トレーにのせて冷凍庫で保存する。
写真:常温で30分ほどおいて半解凍状態にする
2
調理するときは袋から出し、常温で30分ほどおいて半解凍状態にしてから皮をむく。
Point

江口さん「栗は生の状態でも、加熱したものでも冷凍保存が可能。食感はほとんど変わらないうえに、皮がむきやすくなるメリットもあります。ただ、完全に解凍すると栗がやわらかくなり、むしろ皮がむきにくくなることも。使うときは半解凍状態にしてからむくと良いでしょう」

●むき栗の冷凍保存

写真:むいた栗の色止めとアク抜きをする
1
生栗の鬼皮と渋皮をむく。むいた栗は色止めとアク抜きのため水にひたしておく。
写真:金属トレーにのせて冷凍庫で保存する
2
栗の水気を切ってしっかり拭き取り、ジッパー付き保存袋に入れる。空気を抜いて口を閉じ、平らな状態で金属トレーにのせて冷凍庫で保存する。
Point

江口さん「生の栗は水につけておいても加熱したものより固いので、座を切り落とすのは大変。そのため、鬼皮をむくときは、座の中央に切り込みを入れる方法をとりましょう。その後の手順は、ゆで栗の皮むきと同じ手順で行います。

冷凍したむき栗は、調理前の解凍が不要。冷凍庫から出してすぐに加熱調理できるので、余裕があるときは皮をむいてから冷凍するのがおすすめです。むいた栗はすぐに色が悪くなるので、むいたらすぐに水にひたしましょう。とはいえ、長時間ひたす必要はなく、皮をむく工程の間だけさっとひたすだけで構いません」

栗ならではのおいしさを
存分に味わえる!
おすすめレシピ3選

栗の魅力のひとつが、やさしい甘さ。そんな栗の持ち味を活かしたレシピを、王道から甘味まで全3品ピックアップしました!どれもシンプルな味付けだから、素朴で飾らない栗のおいしさが楽しめますよ。

ほんのり漂う塩味が、栗の甘さを引き立てる
『栗ご飯』

写真:栗ご飯

栗と調味料を入れて炊き込むだけ。シンプルかつ王道の1品です。

江口さん「栗は味付けせずにそのまま炊くので、栗が好きな人もきっと満足できるはず。お酒を少量入れることで香り良く炊き上げられるのもポイントです。シンプルな味わいだからこそ、香りは重要なもの。アルコール分は炊飯工程の中で飛んでいくので、少しの量だからと省かずにレシピ通りにつくりましょう」

手間が報われる贅沢なおいしさ
『栗渋皮煮』

写真:『栗渋皮煮』

口に入れるとほろりと崩れ、さらさらとした口当たりに。すっきりした甘さも心地良く感じられます。

江口さん「6〜8回、ゆでこぼす工程は、渋皮のアクを抜くのに不可欠。面倒に思うかもしれませんが、手を抜くと渋さが残ってしまうのできちんと行いましょう。手間のかかる渋皮むきの工程がないので、初めて栗を扱う人にもおすすめです。栗まるごとの状態でいただくものなので、大きいものを選ぶと見映えがしますよ。火にかけているとき、栗が踊るほど強火だとせっかくの姿はくずれてしまうので、火加減にはご注意を」

自然の色そのままの素朴な仕上がり
『栗きんとん』

写真:『栗きんとん』

ねっとりとして濃厚な味わい。栗のかけらが残っていると、プチッとした食感も楽しめます。

江口さん「生の状態で皮をむいてからゆでるレシピです。渋皮が残っているとでき上がりの色が悪くなるので、少しくらいと思わずていねいにむきましょう。栗をマッシュするときは、完全につぶすと口当たりがなめらかになりますが、栗のゴロッとした食感が残っていてもおいしいので、お好みで加減してみてください」

旬の味を逃さない
ゆで方&保存方法で、
栗をたっぷり楽しんで!

江口さん「栗はある意味、ハードルの高い食材。でも、手間と時間をかけた分、他にはないおいしさとよろこびが味わえるので、調理したことない人も今回の記事を参考にしながら、ぜひ挑戦していただきたいですね。旬の食材は、まさにそのときだけ楽しめるものなので、1シーズンに1〜2回はぜひ手に取って食べてみてください」

ホームクッキング編集担当より

栗、初心者にはハードルが高い食材だと思うのです。なので、料理書には甘栗を活用したアイデアレシピもたくさんあります。でも、旬の栗からつくった炊き込みごはんを味わったら、下ごしらえの手間が報われるというもの。ぜひ旬を味わう、楽しむという気持ちで、下ごしらえも楽しんでチャレンジしてみてください。(編集長・杉森)

写真:江口恵子さん

教えてくれた人 江口恵子さん

料理家、フードスタイリスト、 All About「家事」ガイド 。雑誌や広告、Webなどでレシピ提案やスタイリングを行うほか、企業のレシピ開発など、幅広く活躍。料理教室「 ナチュラルフードクッキング 」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナー。著書に『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)などがある。

撮影/金田邦男
公開:2023年9月27日

お知らせ

キッコーマン公式レシピアプリ

キッコーマン 今日の献立

●365日のおすすめ献立のほか、プロの料理家とキッコーマンレシピ開発担当による信頼のレシピをたくさん掲載
●ユーザー登録でお気に入り登録など、すべての機能が無料で使えます!

App Storeからダウンロード Google Playで手に入れよう