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コツをおさえて失敗しない!
あさりの砂抜きの
基本と時短をわかりやすく解説

春と秋に旬を迎えるあさりは、日本では古くから好んで食べられてきた貝類です。調理の際は砂抜きが必要となりますが、「塩水につける」というくらいは知っていても、なんとなく面倒だからと敬遠している方も多いのでは? そこで今回は、基本の砂抜きだけでなく時短でできる方法まで、料理研究家の江口恵子さんに教えてもらいました。時間をおくことなく砂が抜けるから、もう面倒に思うこともなくなるはず!

あさりの砂抜きに必要な材料
(基本編)

・ざる
・ボウル(大きめ)
・水
・塩
・アルミホイル(新聞紙でも可)
Point

江口さん「ボウルはあさりを洗ったり、塩水につけたりするときに使います。あさりをつける塩水が均一になるという点ではバットも良いのですが、ボウルの方があさりを洗いやすいというメリットもあります。バットより深い分、あさりが重なると砂が抜けにくくなるので、大きめのボウルに入れて、すき間をつくってあげることがポイントです。

砂抜き中はアルミホイルをかぶせておきます。これは、暗く静かにすることであさりが口を開き砂を出しやすくするためと、あさりがピュッと吐き出す水が周囲に飛び散るのを防ぐためです。かぶせておかないと飛び散った水が食材や食器にかかるなどで食中毒を起こすリスクもあるので、必ずかけて」

これが基本!
失敗しないあさりの砂抜き方法

まずは洗ってから、海水と同じ3%濃度の塩水につける

1
あさりを両手で持ち、殻同士をこするようにして洗う(流水でも可)。
2
ボウルをきれいにして、水と塩(水500mlに塩大さじ1の割合)を入れて溶かし、あさりがひたひたになる程度の塩水をつくる。
3
あさり同士が重なり過ぎないようにしてボウルに入れる。
Point

江口さん「あさりの殻にある細かな溝は汚れがたまりやすいので、水でこすり洗いをして落としましょう。それほど力を込める必要はありませんが、適当に洗うと臭みが残るので入念に。ちなみに、殻がよほど薄くない限り、ある程度の力を入れても割れることはないですね。

塩の種類は、食塩でも粗塩でも。水温も特に気にせず、水道から出した温度のままで大丈夫です(夏場は、冷暗所に置くと良いでしょう)。生息環境に合わせるため、塩水の塩分濃度は海水と同じ3%で。水500mlに対し、大さじ1の塩が目安です。濃すぎたり薄すぎたりすると、砂がしっかり抜けないなど失敗につながるので注意しましょう。

塩水の量は、あさりの上部が少し出るくらいで、1パック400gほどのあさりなら500mlもあれば十分です」

砂抜きは常温で30分程度置く

1
あさりを入れたボウルにアルミホイルをかけ、ふたをする。このとき密閉しすぎないようゆるめにふたをする。
2
常温のまま、静かな場所で30分ほど置いて砂抜きする。
Point

江口さん「水管を伸ばして水や酸素を吸いながら、砂を吐くあさり。刺激を与えると動きを止めてしまうので、振動などが伝わらない場所で放置しましょう。このとき、冷蔵庫に入れると冷えすぎて仮死状態となり、砂を吐かなくなってしまいます。あさりが活発に動く温度は水温20℃くらいと言われていますから、旬となる春と秋の室温なら傷むことはないので、冷暗所でなく常温の場所で大丈夫です。

砂抜きの時間は30分ほどで十分。それ以上の時間をかけても、余計に砂が出ることはほぼありません」

砂抜きを終えたら、塩水を捨ててざるにあげる

1
あさりをざるなどに移し替える。写真のように水がにごっていたら砂抜きされている状態。
2
ボウルの水をきれいな水に替えてかるくすすぐ(流水でも可)。

砂抜き後の水(左)と砂抜き前の水(右)

砂抜きすると、このように水がにごります。

Point

江口さん「砂抜きができたかどうかは、ボウルの中に見てとれますが、完全に砂が抜け切ったかどうかは、目で見るだけでは判別できないもの。それでも、塩水の濃度が異なったり、つけておく時間が大幅に少なかったりしなければ大丈夫」

あさりの砂抜きに必要な材料
(時短編)

・ざる
・ボウル(大きめ)
・水
・熱湯
・菜箸
Point

江口さん「塩水をつくったり、時間をおいたりすることなく、お湯を使ってパパッと砂抜きできる方法です。湯の温度は、それほど厳密ではありません。温度設定を50℃にした給湯器のお湯でもいいし、沸騰したお湯と水を同じ量混ぜるだけでもいいです。1回で使う湯の量は、「ひたひたより少し多めのあさり全体がつかるぐらい」で、お湯を替えるので計3回分の量が必要となります。菜箸は砂抜きする際に混ぜるため。素手だと熱いのでご注意ください」

時短&簡単!
お湯を使ったあさりの
砂抜き方法

洗ったら、約50℃のお湯と一緒に混ぜるだけ

1
ボウルにたっぷりの水を入れて、あさりを両手で持ち、殻同士をこするようにして洗い(流水でも可)、ザルに上げる。
2
ボウルをきれいにして、約50℃のお湯のお湯を注ぎ、あさりを入れる。
3
菜箸でグルグルと10回ほどかき混ぜる。お湯を替えて同様にする。この工程を3回繰り返す。
4
お湯がにごったことを確認する(中には口を開いたままのあさりもあるが大丈夫)。
5
お湯を替えてざるにあげ、きれいな水ですすぐ(流水でも可)。
Point

江口さん「火が完全に入らない温度のお湯の中であさりは仮死状態となり、グルグルと回された遠心力でどんどん砂を吐いてくれます。

手軽なだけでなく、磯くささが抜け、風味良くに仕上がるのもポイント。酒蒸しや潮汁のように、シンプルな味付けの料理にも最適です。なお、高温のお湯を使うので、かき混ぜる際は必ず菜箸などを使い、やけどに注意するようにしてください」

あさりのおすすめレシピ
(酒蒸し、潮汁)

定番メニュー『あさりの酒蒸し』

パパッとつくれる時短メニュー。香りもくせになる一品

Point

江口さん「バターひとかけ、もしくはオリーブオイルをひとふりすれば、洋風メニューにも。パセリを彩りに添えたり、菜の花やアスパラガスなど、ほろ苦い春野菜を加えたりしてもよく合います」

うま味を余さず味わえる『あさりの潮汁』

あさりのうま味と白だしの相乗効果

Point

江口さん「汁物でいうと、あさりの潮汁やみそ汁も人気のレシピ。だしに昆布を使うと、あさりのうま味がしっかり感じられるのでオススメ。仕上げにねぎなどを散らしてもいいですね」


江口さんによると、「殻が開いたらすぐに火を止めるのが、ふっくらジューシーに仕上げるコツ」だそう。

江口さん「殻が開いた時点で火は通っているので、それ以上加熱すると水分が抜けて身が固くなります。また、塩水で砂抜きをした場合は、あさりに塩分が残りがち。味付けはレシピよりも少し控えめにし、味見しながら足していくようにするのがオススメです。

一般的に貝類は、亜鉛や鉄分などの栄養素が他の食材より豊富で、うま味もたっぷり。メインにはなりにくくても、“何か一品”というときに大活躍します。特にあさりはカキなどに比べて安価で、身近な食材。時短の砂抜き方法なら手間も抑えられるので、ぜひトライしてみてください」

あさりのレシピ詳細へ

あさりの保存方法(冷凍保存)

あさりは時間が経つほど鮮度が落ちていきます。販売されているものは加工日と消費期限が記載されているので、期限までに使いきるようにしましょう。可能なら、買ったら翌日までに食べるのがオススメです。

江口さん「スーパーなどで冷蔵されたものを買って保存する際は、パックや袋のままで冷蔵庫へ。潮干狩りで穫ってきたものなら、洗ってボウルなどに入れ、乾燥や水の飛び散りを防ぐためにラップをかけてから冷蔵庫へ入れなるべく早く食べましょう。すぐに食べきれない場合は冷凍保存しても」

砂抜きをしてから冷凍保存

1
砂抜きをする。
2
キッチンペーパーなどで表面の水分を取り除く。
3
冷凍保存袋に入れ、平らな状態にして口を閉じる。
4
金属のトレーに載せ、冷凍庫で保存する。
Point

江口さん「砂抜き後に冷凍すると2週間から1か月程度、保存可能です。冷凍された状態で調理しても、火が通れば殻はちゃんと開きます。解凍せずにそのまま使えるので、常備しておくと便利ですね。

火を通してからだと味が落ちるので、冷凍するときは生のままで。水分が付いたままだと凍って霜となり、臭みの原因となるのでしっかり取り除きましょう。冷凍保存の際の共通事項ですが、平らにして金属のトレーに載せるとスピーディに冷凍でき、鮮度の劣化が抑えられるのでオススメです」

おいしいあさりの選び方

最後は江口さんから、おいしいあさりの見分け方をアドバイス。

よくよく見たり触ったりすると殻の厚みの違いがわかる

江口さん「一番は、なるべく大きくて厚みがあり、ぷっくりとした形状のもの。殻がしっかりしていて、できるだけ割れていないものを選びましょう。トレーや真空パック、水と一緒に袋詰めされたものなど、さまざまな状態で売られていますが、特に差はありません。砂抜き済をうたったものでも砂が残っている可能性はあるので、ご自身で砂抜きをする方が安心。くさみを取る意味でも、お湯での砂抜きをオススメします」

ホームクッキング編集担当より

「あさりの酒蒸し」はホームクッキングでもランキング上位に入ることのある人気メニューで、貝類の中ではあさりはダントツに人気です。今回教えていただいた時短の方法は大注目、これならもっと手軽に料理に使えますね! これからも食材扱い方、ホームクッキング通信でご紹介していきますのでお楽しみに!(編集長S)

写真:江口恵子さん

教えてくれた人 江口恵子さん

料理研究家、フードスタイリスト、All About「家事」ガイド。インテリア&フードスタイリスト。雑誌や広告、Webなどでレシピ提案やスタイリングを行うほか、企業のレシピ開発など、幅広く活躍。料理教室「ナチュラルフードクッキング」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナー。著書に『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)などがある。

撮影/金田邦男
公開:2022年4月27日

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