Today's Menu

初心者でも簡単!
あじのさばき方(3枚おろし)
と保存のコツ

2022.05.25

あじといえば刺身や塩焼きをはじめ、フライ、南蛮漬け、なめろうなど、数多くの定番メニューが浮かびます。今回は包丁を使った基本的なさばき方を、下処理から写真付きでわかりやすく解説。教えてくれた料理家の江口恵子さんが「初めて魚をさばくならあじがおすすめ」と太鼓判!意外なくらい簡単なのでぜひチェックして。

あじをさばくのに
必要な材料は?

・包丁(牛刀、ペティナイフ、小出刃包丁など)
・まな板
・新聞紙などの不要な紙
・骨抜きピンセット(生食する場合)
Point

江口さん「魚をさばくときは、牛刀のように刃先が尖った包丁があると便利ですが、あじのように小型の魚の場合は小出刃包丁がおすすめ。ない場合はペティナイフで代用し、頭など固い部分を落とすときだけ三徳包丁など大きめの包丁を使うと良いでしょう。骨抜き用のピンセットは専用のものでなく、大きめの毛抜きでも代用できます。

新聞紙は、まな板の上に敷きます。こうすると、さばいたときの血でまな板が汚れにくくなるうえに、身から外した内臓などを包んで捨てられるので便利です」

さばき方の基本!
あじの3枚おろし

「ぜいご」をとる

1
水洗いをして新聞紙を敷いたまな板にのせ、ぜいご(尾の近くにあるかたい棘のようなうろこ)を包丁でそぐようにして取る。
2
包丁の刃先を尾側から頭側へすべらせて、うろこを取る。
3
あじを裏返し、(1)と(2)の工程を同様に行う。
Point

江口さん「内臓を外した後にすすぐので、(1)の水洗いはさっと流す程度で構いません。ぜいごはかたく尖っているので、指を切らないように注意しながら、尾の方から寝かせた包丁の刃先を入れてそぎ取ります。

包丁だけに集中しすぎると、左手(添えている方の手)に力が入りがち。つい強く押さえつけてしまい、あじの身をくずしてしまうので注意して」

頭を落とす

1
胸びれのつけ根から腹びれのつけ根の線上に包丁を入れ、頭を落とす。
Point

江口さん「胸びれのつけ根から、えらを含めて腹びれのつけ根まで、斜めに切り落とします。身がもったいないからと頭だけ落とすと、骨が残ってさばきにくくなるので、必ず写真のように腹びれのつけ根までを落とします」

腹に包丁を入れる

1
肛門から腹に向かって、軽く刃先を入れる。
2
身を開きながら刃先でていねいに内臓をかき出す。
3
中骨の下側にある血合いも、刃先でかき出す。
4
ボウルに入れた水、もしくは流水でさっと洗い、キッチンペーパーで水分を取り除く。
Point

江口さん「お腹に包丁を入れるときは浅く、皮を切るくらいのイメージで。刃を深く入れて内臓を傷付けると身に臭みが移りやすいのでていねいに行いましょう。新鮮な魚ならそれほど血が出ることはなく、内臓もきれいに取り出せます。

洗うときはやさしく。力を入れすぎず、親指ですべらせるように洗うと身がくずれず、骨に指を引っ掛けにくくもなるので安心です。中骨付近の血合いも残っていると臭みが出るので、きれいに落として。ただし、洗いすぎはうま味を逃してしまうので、短時間で終えるようにするのがポイントです」

まずは2枚におろす

1
尾から腹に向かって、腹びれの上側の皮を刃先で軽く切り、切れ目(ガイドライン)を入れる。
2
腹から中心にある太い骨まで包丁を入れ、(1)の切れ目に沿って切る。この時、包丁は中骨の上をはわせるようにすると良い。
3
あじの上下を入れ替えて背側を手前にし、背びれの上側に切れ目(ガイドライン)を入れる。
4
切れ目に沿って、頭側から背側に包丁を入れていく。
5
刃先が中心にある太い骨まで達したら、包丁を深く入れて貫通させる。
6
骨がある側とない側で切り離したら2枚おろしが完成。
Point

江口さん「包丁の刃をまな板と並行にしながら中骨に沿って切るのがポイント。常に刃の下側に中骨が当たっているのを感じながら切ると切りやすいです。慣れるまでは一気に切らずに少しずつ刃を進める感じで」

3枚におろす

1
骨が残っている方の背中側も、尾から頭の方向に切れ目(ガイドライン)を入れる。
2
切れ目に沿って包丁を入れ、中骨から切り離す。
3
3枚おろしが完成!
Point

江口さん「ガイドラインとして切れ目を入れるときは、包丁を持っていない方の手で身を軽くおさえるとやりやすくなります」

腹骨をそぎ落とす

1
内臓をおおっていた腹骨部分に包丁の刃を寝かし入れ、身ごとそぎ取る。

血合い骨(小骨)を抜く

1
身の中央に指をすべらせ、血合い骨を見つけたら、骨抜きなどで抜き取る。
Point

江口さん「身の中心にある血合い骨は、お刺身などをするときに取り除きます。煮魚や焼き魚にする場合は、箸でも取りやすくなるのでこの工程を省いても良いでしょう」

皮をひく

1
頭側から尾側に向かい、指で引っ張って皮をはぐ。
Point

江口さん「血合い骨と同様、料理によっては皮をひく必要があります。お刺身やなめろうにするときは取り除きましょう。むくときはグイッと引っ張るイメージで。新鮮なものならきれいにむけますよ」

レパートリー広がる!
あじの片開き

あじフライやあじの開きをつくるときは、3枚おろしではなく片開きにして使います。ぜいごと頭、内臓を取り除き、洗うところまでは3枚おろしの下処理と同様なので、ここではそれ以降の手順を紹介します。

中骨まで包丁を入れ、半分に開く

1
腹側に、中骨の上に刃を入れるための切れ目(ガイドライン)をつける。
2
切れ目に沿って、背びれの手前(太い中骨の奥)まで包丁を入れる。

中骨や腹骨を取り除く

1
中骨の途中部分に下から刃先を入れ、頭側、尾側の順に中骨をそいでいく。
2
尾びれの手前で中骨を切り落とす。
3
腹骨をそぎ落とす。
4
反対側の腹骨もそぎ落とし、血合い骨を抜いたら片開きの完成。
Point

江口さん「半分に開くときに刃が貫通しそうで心配かもしれませんが、少しずつ進めて行けば感触でわかると思います。中骨を外すときは端からだと包丁が入らないので、適当な位置で下から刃を入れます。刃の上側で中骨を感じながら、少しずつそいでいきましょう。

ちなみに、内臓などアラが苦手な場合は、魚屋さんやスーパーの鮮魚売り場などで下処理を頼むのも良いでしょう」

絶品!あじのおすすめレシピ
(あじの南蛮漬け、
あじのなめろう)

味が良いからこの名が付いた、とも言われるあじ。定番はやっぱり「南蛮漬け」や「なめろう」でしょう。下記リンクからつくり方をチェックして、ぜひ挑戦してみてください。

だしの味わいで品良く仕上げた『あじの南蛮漬け』

せん切りの野菜で彩りも良く。

Point

江口さん「だしを入れると、食べやすくやさしい味に。野菜は細く切るほど、調味料とよくなじんでおいしくなります」

漁師料理の定番『あじのなめろう』

お酒もごはんも進む一品。

Point

江口さん「失敗して身がボロボロになっても仕上がりに影響のないなめろうは、3枚おろし初心者におすすめ。あじのプリッとした感触を楽しみたいなら、あまりたたきすぎないようにしましょう。しそを巻いて食べるのもおいしいですよ」

鮮度を保つ!あじの保存方法
(冷蔵保存、冷凍保存)

魚は内臓から劣化します。冷蔵保存するなら、先に頭と内臓を取っておくと2日ほどもちます。それ以上保存したい場合は、3枚おろしなどにしてから冷凍保存を。

冷蔵保存は、購入後すぐに下処理してから

1
頭と内臓を取り除いたあじの両面に、ふたつまみほどの塩をふって指でなじませる。
2
真夏なら冷蔵庫で、それ以外は常温で15分~20分ほどおく。
3
水分が出てきたら、表面と腹の中をキッチンペーパーなどで軽くおさえる。
4
腹の中にキッチンペーパーをはさむ。
5
ラップでぴっちり包み、密閉袋に入れて冷蔵庫で保存する。
Point

江口さん「塩をふるのは、浸透圧のはたらきで染み出た水分といっしょに臭みをとるため。出た水分が残っていたり、お腹にペーパーを挟んだりしないと傷みやすくなるので気を付けましょう」

冷凍保存は、3枚おろしにしてから

1
3枚おろしにしたあじを、塩分3%の氷水でサッと洗う。
2
キッチンペーパーなどで軽くおさえ、水気を取り除く。
3
1枚ずつラップで包んで冷凍用保存袋に入れ、金属トレーに載せて冷凍庫で保存する。
Point

江口さん「3枚おろしにすれば、短時間で凍るので劣化が抑えられるほか、解凍時間も短縮できます。氷の入った冷たい塩水で表面の脂を洗い落とすのは酸化を抑えるため。新鮮なうちに冷凍保存すれば、後日お刺身でもおいしく食べられますよ」

知っておきたい!
おいしいあじの選び方

最後に、おいしいあじを見極めるコツを、江口さんに教えてもらいました。

新鮮なあじは目や皮に透明感がある

江口さん「一般的に、魚の鮮度は目でわかるもの。あじは近海ものが多いので大半が新鮮ですが、赤かったり白くにごっていたりしない、澄んだきれいな目かどうか確認しましょう。

また、鮮度が落ちて身がやわらかくなると皮に張りがなくなるので、皮が張っていて透明感があり、光っているものを選びましょう。扱われ方にもよりますが、新鮮なものはひれもきれいです。身が厚く、丸々としているのは脂が乗っていておいしいです」

ホームクッキング編集担当より

魚をさばく、というと身構えてしまうことも多いですよね。あじは比較的に扱いやすく、魚の扱いに慣れるのによい素材なだと思いました。先生のアドバイスの通り、小さめの包丁を使うとびっくりするくらいラクなので、道具選びも大事だと再認識。みなさんもぜひチャレンジしてみてください!なめろうはお酒のアテにしたら絶品です。(編集長S)

写真:江口恵子さん

教えてくれた人 江口恵子さん

料理家、フードスタイリスト、All About「家事」ガイド。雑誌や広告、Webなどでレシピ提案やスタイリングを行うほか、企業のレシピ開発など、幅広く活躍。料理教室「ナチュラルフードクッキング」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナー。著書に『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)などがある。

撮影/金田邦男