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本当においしい
ステーキの焼き方!
フライパンで簡単ジューシー、
上手に焼くコツと焼き加減を解説

肉料理の王道と言えば、やっぱりステーキ!数あるメニューの中でも「ごちそう感」が高い一皿なので、おいしく仕上がる焼き方を知りたいですよね。「いつも思った焼き加減にならない」、「毎回なんとなく焼いていた」……なんて人は必見です。教えてくれるのは、「食」を探求し続けるライター・編集者の松浦達也さん。ステーキの焼き方に詳しい松浦さんに、フライパンを使った家庭でできる簡単&おいしいステーキの焼き方をレクチャーしてもらいました。とてもユニークなこだわりの焼き方には、目からウロコのコツが満載です!

ステーキ肉の選び方
5つのポイント。
肉は厚ければ厚いほど
良し!

おいしいステーキの焼き方は、肉選びから始まります。「ステーキ用」と記載されたものを選べばいいと思いきや、松浦さんによれば、さらに厚さや部位がとても大事なポイントだそう。

厚さは2cm以上で!

松浦さん「肉は厚いほどゆっくり火が通るので、薄い肉にありがちな焼きすぎの失敗が減らせます。スーパーでは厚さ1cm~1.5cmの肉がステーキ用として売られていることもありますが、最低でも2cmは欲しいところ。もし、薄い肉しかない場合は、その中で1mmでも厚みのあるものを選んでください。厚さが3cm~4cmくらいあれば、焼きすぎる心配はほぼなくなりますよ。食べるときの気分が盛り上がるのも、分厚いステーキならでは。ステーキ肉は「面積よりも厚さ」だと覚えてください」

同じスーパーで売られているサーロインでも、厚さはさまざま。左から、約1.5cm(約200g)、約2cm(約320g)、約4cm(約500g)です。 

部位は柔らかいもので!

松浦さん「牛肉は体の上にある部位の肉ほど柔らかく、下へ行くほど固くなっていきます。焼くための肉は柔らかい方が好まれる傾向にあり、ステーキ用として一般的なサーロインやリブロースは牛の背中辺りにあるロースが総称。おしり周辺のランプ、イチボといった部位も柔らかくておすすめですね」

肉の色は小豆色がいい!

松浦さん「特に和牛や国産牛の場合、色は沈んだ赤色、小豆色のものがおすすめです。飼育期間が長い牛の肉は色素が沈着していて、その分味がしっかりしていることが多いんです。中には食感が固いものもありますが、基本的に味わい深くなっています。ハラミなどの内臓肉はもともとの色が深いためその限りではありませんが、サーロインなどを選ぶときは参考にしてください」

脂肪(サシ)はお好み、
筋(スジ)は少なめ!

松浦さん「赤身肉との間にある脂肪(サシ)の量はお好みで。厚めの肉で、焼き加減がミディアムレアやレアだと、脂身がきつく感じる場合もあります。なお、和牛やA5ランクの肉はステーキにするにはサシが多いですし、交雑牛や A4、A3ランクの肉を選んだ方が、価格の面からもお買い得でしょう。外側の脂肪(脂身)は、厚くないほうが焼きやすくなります。この脂肪と赤身の間にある筋(筋膜)は生だとかみ切りにくいので、この部分はできるだけきちんと熱を加えたい。そうすれば、筋もおいしく食べられるようになります」

松浦さんによれば、このくらいのサシの量ならレアでもそれほど重く感じることはないとのこと。

肉の水分量は少なめで!

松浦さん「ステーキの醍醐味は、肉表面のこんがりした焼き目とジューシーな内部のダイナミズム。水分が多い肉は肉表面温度が上がりにくいため、十分に焼き目がつくのに時間がかかってしまって焼き目がつく前に中まで火が通ってしまいかねません。できるだけ表面が濡れていないように見えるものを選びましょう。パックの中なら必要以上に乾燥することはないので、少し乾いているくらいに見えるものがおすすめです」

ステーキの焼き加減の種類。
味わいと食感に違いあり!

左から、レア、ミディアムレア、ミディアム、ウエルダン。

ステーキの焼き加減は、大きく分けて4種類。味わいや食感が変わるので、それぞれの特徴を知っておきましょう。お好みの焼き加減が決まっていないなら、一通り焼いて比べてみるのも楽しいですよ。

●レア
肉の表面はしっかり焼かれているのに中は赤い状態。ただし、芯まで熱は入っているので冷たくはありません。レアと生は違います。

●ミディアムレア
ミディアムとレアの中間の焼き加減。ジューシーな仕上がりで、特に人気があります。見た目上、筋繊維は収縮させずに肉の色も赤みは残したロゼ色に。

●ミディアム
肉全体に火が通っていて、筋繊維の食感が強くなりますが、ロゼ色はきっちり残す仕上がり。肉の旨みが凝縮されており、ほどよい弾力に仕上がっています。肉汁はやや少なめ。

●ウェルダン
肉の中まで十分に火が通った状態。全体の色は褐色に近く、肉汁はあまり感じませんが、弾力があり、歯ごたえもしっかり。

ステーキの焼き方
5つのポイント。
焼き加減の確認方法など
解説!

松浦さんが教えてくれた焼き方で、特に意識したいポイントは5つ。どれもおいしいステーキを焼くためには欠かせない要素です。

1 焼く前に肉を常温に戻す
必要はない

「『冷蔵庫から出したばかりの肉は、冷たくて火が中まで通りにくいから、常温に戻す』というのは、厚い肉を焼くときに時間を短縮するプロ料理人の知恵。家庭で使うステーキ肉は専門店の肉ほど厚くないので、表面にしっかり焼き目をつけようとするうちに、中まで熱が入りすぎるリスクが高くなるんです。

ステーキ肉は冷たいままで調理をスタートさせましょう。なお、肉は焼く前の日にパックから出し、網とトレイにのせて、ラップをせずに冷蔵庫で一晩おくのがベスト。肉の表面がほどよく乾くので、こんがりとした焼き目をつけやすくなります」

2 強火で肉の両面に
きっちり焼き色をつける

肉の表裏の両面に焼き色をつけるときには、科学的に言うところの「メイラード反応」が起き、複雑な香りが立ちます。これがステーキらしい「香ばしさ」のもとになるので、しっかり焼き上げて。1cmくらいの薄めのステーキの場合は、両面を焼くと中まで火が通りすぎる可能性があるので、片面だけきっちり焼くとよいです。

3 脂身のある側面も焼く

松浦さん「脂身のある側を焼くことで余計な脂が落ちるうえに、筋の旨みも引き出すことができます。この焼き方なら、事前の筋切りも必要ありません。ただし、薄い肉の場合は筋切りしないと、焼くうちに反り返ってしまいます。薄い肉を全体にムラなく焼きたいときに、筋切りをするのはひとつの方法です」

筋切りをする場合は、約3cmおきに包丁を入れていきます。赤身と脂身の間にある筋膜を意識して、赤身部分まで刃を入れるようにしましょう。

4 温かい場所で休ませ、
また焼く

「焼いては休ませる」を繰り返しながら、肉の中までじっくり火を通していくのが松浦さんの焼き方。熱を逃さずに中まで伝えるには、コンロ周りなど熱源の近くで休ませることが肝心です。

5 焼き加減はさわって
確かめる

焼き加減をチェックする際の目安となるのは、手で「OKサイン」を作ったときの親指付け根の固さです。人差し指と親指でサインを作ったときの固さと、指でさわった肉の固さが同じくらいなら、焼き加減はレアということ。中指とならミディアムレア、薬指とならミディアム、小指とならウェルダンといった形で、組み合わせる指を変えることでチェックできる焼き加減も変わります。

本当においしい
ステーキの焼き方。
人気のミディアムレアに焼く
松浦さん流メソッドを紹介!

それでは、いよいよ実際にステーキを焼く手順をご紹介しましょう!ここでは、人気のミディアムレアの焼き方を紹介します。

材料はオリーブオイルと塩だけでもいい!

オリーブオイル/フライパンの底にまんべんなく広がるくらい
下味用の塩/肉の重量に対して0.2~0.3%

松浦さん「焼くときの油は、鮮度の良いオリーブオイルや酸化しにくい太白ごま油、米油などを使うとよいです。オリーブオイルは香りがつくので好みが分かれるかもしれませんが、サラダ油よりも断然おすすめ。一般的に牛脂を使うこともありますが、牛脂はものによって品質にかなり差があるので、いい牛脂かどうかわからない場合は避けた方が良いと思います。

ソースで食べるときでも、肉に塩で下味をつけておきます。肉についた塩分がつなぎとなり、ソースとの絡みが良くなるので、焼く直前にふってください」

ステーキの焼き方の手順

できれば、牛肉をパックから出し、網とトレイに載せて冷蔵庫で一晩おく

Point

時間がないときは、一晩おかなくても大丈夫です。冷蔵庫から取り出したら、キッチンペーパーなどで表面を押さえ、余計な水分を取り除きましょう。

1
フライパンをしっかり熱し、オリーブオイル(もしくは太白ごま油など)を入れる。
Point

フライパンの底全体に行き渡るほどの量は多めに感じるかもしれませんが、少し揚げ焼きのように調理することでこんがりとした焼き目をつけられます。

2
肉の片面全体に、下味用の塩を半量ふる。
Point

高い位置からパパっとふると、むらなく塩がゆきわたりますが、肉の周辺に散ってしまいますよね。塩は多少かたよっても焼いているうちに広がるので、低い位置からふるので問題ありません。

3
熱したフライパンに、塩をふった面を下にして肉を入れ、強火で30秒焼く。火加減はとにかく強めで。油ハネが多くなりやすいので、フライパンの上にふんわりアルミホイルなどをかけてもいい。
4
塩をふってない面に残りの塩をふったら裏返し、そのまま30秒焼く。
5
弱火にして肉をトングで立てて、脂身のある側面を30秒焼く。肉の形によりますが、写真のような肉の場合は脂の厚い上と下の2辺それぞれ焼くようにする。
6
いったんフライパンから取り出し、コンロの横など温度が高めの場所で休ませる。その間、フライパンを弱火にかけておくと、2回目の焼きにスムーズに入ることができます。
Point

焼いた表面の熱が内部に伝わり、肉全体の温度がじわじわ上がっていく。休ませる際にアルミホイルで包むと、熱の逃げ場がなくなり、急に温度が高くなって肉が縮み、肉汁が逃げてしまうことも。肉の温度はあわてず、ゆっくりと上げていきましょう。

7
2分~3分経ったら指でさわって弾力をチェックする(上記の「指のOKサイン」を参考に)。熱くなければ再びフライパンに戻し、上下の面と脂の面を焼く工程を3~4回程度繰り返す(ミディアムレアの場合の目安)。 ※塩をふるのは初回のみ
8
指の「OKサイン」と比較して好みの焼き加減になったら、1~2cmの幅にカットして盛り付ける。
Point

「表面をさわって、熱くなければ焼いた熱が内側に移った証拠。こうやって「焼いて休ませ」を繰り返しながら、余熱によって徐々に中まで火を通していきます。繰り返すときは、少しずつ焼き時間を短くしていくと、火が通り過ぎるリスクはさらにダウンします。今回ミディアムレアを目指し、「焼いて休ませ」を4セット行ったステーキがこちら。表面はこんがり、内側はきれいなロゼ色に仕上がりましたね」

焼き方のおさらい

1.ステーキの両面を強火で焼く。焼き時間は30秒ずつで計1分。
2.ステーキの側面を弱火で焼く。焼き時間は30秒。
3.火を弱火にしたままのコンロ横で休ませる。休ませる時間は2~3分。
4.お肉を指でさわり固さと熱さをチェック。熱くなければまた焼く。(熱ければもう1分ほど待つ)
5.1~4を4回繰り返す(ミディアムレアの場合)
※理想の焼き加減にするために、上の繰り返す回数はあくまで目安として、できるだけ指でさわって確かめることが大切です

ステーキのつけ合わせ
おすすめ2選。
野菜を添えて栄養と
彩りをプラス!

お肉がドーン!とのったお皿もワクワクしますが、やはりアクセントになるものが欲しいところ。彩りや栄養の面でも、野菜を一緒に摂りたいですよね。そこで、おいしいつけ合わせを、松浦さんに教えてもらいました。

小松菜のポリヤル風

材料とつくり方

1
小松菜1束は洗い、約3cm長さに切る。
2
フライパンにオリーブオイル大さじ2、マスタードシード大さじ1を入れて弱めの中火にかける。
3
マスタードシードがはね出したら弱火にして小松菜を入れる。ときどき混ぜながら、じっくりと火を通す。
4
葉の色が濃い緑色になったら塩ひとつまみを入れて混ぜて出来上がり。

松浦さん「ポリヤルは、カレーのつけ合わせなどに使われるインド料理。インドではココナッツファインを使うことが多いのですが、ステーキに合わせるためによりシンプルな風味にしました。今回はステーキにソースを使うので、味つけは薄め。ポイントは、できる限り弱い火でじっくり火を入れていくこと。葉はしんなりしても茎のシャキッとした歯ごたえが残って、おいしく仕上がります。小松菜だけでなく、キャベツでつくるのもおすすめ」

ポテトのタイム風味

材料とつくり方

1
鍋に米油(サラダ油でもいい)の適量(ポテト全体がひたひたになるくらい)とタイム、にんにく(皮ごと)ひとかけを入れて中火にかける。
2
ハーブの香りが立ってきたら冷凍フライドポテトを入れて揚げる。
3
ボウルにざるを重ねておき、揚がったポテトを取り出して入れる。
4
塩を好みの量ふって全体が混ぜ合わさるようにざるをふったら出来上がり。

松浦さん「冷凍のフライドポテトもひと手間プラスするだけで、ステーキのつけ合わせらしいごちそう感を演出できます。最後にざるをふるだけで、ポテトの表面にハーブがまぶされてちょうどいい風味がつきます。タイムはクセがないハーブなので、苦手な人は少ないはず。お好みでローズマリーなどを使っても構いません。ザルでふることで、ハーブの葉が適度にポテトの表面に散ってくれます。家飲みのおつまみにもぴったりです!」

キッコーマンの
「ステーキしょうゆ」も
お試しあれ!

今回のステーキに添えたのは『キッコーマン ステーキしょうゆ』。オニオン&ガーリック、にんにく風味、あらびきおろしの3種類がそろった人気の専用ソース。肉との相性は抜群です。

ステーキのアレンジレシピ
おすすめ2選。
焼き方をマスターしたら
挑戦してみよう!

おいしいステーキの焼き方をマスターしたら、アレンジレシピにもぜひ挑戦を!ここでは、ホームクッキング人気のステーキレシピの中から2つを厳選してご紹介します。もちろん、今回の松浦さん流の焼き方でトライしてもOKです。ソースや仕上げの参考にしてください。

和風玉ねぎソースでいただく
『ビーフステーキ』

玉ねぎのうま味とにんにくの香りが効いた、食欲をかき立てるソースを添えて。

冬のあったか根菜ステーキ

こんがり焼いた根菜のつけ合わせが、ちょうどいい箸休めに。

ホームクッキング編集担当より

こだわりが随所にある、松浦さんのステーキメソッド。撮影現場で実際に焼いていただき本当に驚きでした。そして焼き上がりもばっちり。同じ料理といっても、いろんな調理の仕方があるものだとあらためて思った次第です。今日は「ステーキを焼くぞ」と気合を入れた特別なときは、ぜひ今回の焼き方をお試しください。自慢の一品になるはずです!(編集長・杉森)

写真:松浦達也さん

教えてくれた人 松浦達也さん

ライター、編集者、プランナー、フードアクティビスト。「調理の仕組みと科学」「大衆食文化」「食から見た地方論/メディア論」といった食まわりをテーマに、食専門誌や新聞、雑誌、Webなどで活躍中。著書に『教養としての「焼肉」大全』(扶桑社)、『大人の肉ドリル』(マガジンハウス)などがある。

撮影/金田邦男
公開:2023年2月22日

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