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脂質1日の摂取量目安は?
脂質の多い食べ物、
上手な摂り方を管理栄養士が
ていねいに解説!

脂質1日の摂取量目安は?脂質の多い食べ物、上手な摂り方を管理栄養士がていねいに解説!

「脂質」は、炭水化物・たんぱく質と並ぶ三大栄養素のひとつ。エネルギー源としてだけでなく、体の組織をつくるなど、私たちの健康を支える大切な役割を担っています。一方で、摂り方や量によっては栄養バランスに影響することも。そこで、毎日の食事の中で脂質とどのように付き合えばよいか、基本的な働きや摂取量の考え方、おすすめレシピなどとともに、管理栄養士で料理研究家の牧野直子さんに聞きました。

脂質の働きと種類について

脂質の主な働き

まずは脂質の主な働きを教えてもらいましょう。

牧野さん「脂質は、少ない摂取量で多くのエネルギーをつくり出す効率のいいエネルギー源。ホルモンや細胞膜をつくる材料となるほか、皮下脂肪として蓄えることもできます。皮下脂肪と聞くと良くないイメージがあるかもしれませんが、実際は体温を維持したり、内臓を守るクッションの役割を担ったりするので、決して悪いものではないんですよ」

画像:脂質の働き

さらに、脳の構成要素を占める割合が高いのも、脂質なのだとか。

牧野さん「脳は水分を除くとおよそ40%がたんぱく質で、残る60%ほどは脂質で構成されています。また、神経細胞などをつくるコレステロールや、スムーズな情報伝達に使われるDHAなども、脂質のひとつに含まれる重要な成分。“魚を食べると脳の働きに良い影響がある”と言われることがありますが、これは魚の脂質にDHAが多く含まれているからです」

そんな脂質を考えるうえで大切なのが「量と質」と、牧野さん。

牧野さん「効率のいいエネルギー源である脂質は、高齢者の方など、十分な量の食事をとりにくい人にとっても大切な栄養素。一方で、過剰になりやすく、体重増加につながる側面もあるので、適量を知ることと、質のいいものを摂ることが必要です」

脂質と糖質の違い

牧野さん「糖質も脂質も、エネルギーをつくる三大栄養素のひとつですが、糖質が1gにつき4kcalのエネルギーを生み出すのに対し、脂質は1gあたり9kcalと、より高効率。また、糖質がつくり出すエネルギーは体と脳で使われるのに対し、脂質は体だけのエネルギー源となります」

脂質にも種類がある

牧野さん「脂質を大きく分けると、“単純脂質”“複合脂質”“誘導脂質”の3つに分類されます。単純脂質に含まれる中性脂肪、誘導脂質に含まれるコレステロールや脂肪酸はよく耳にしますが、これらは摂りすぎると生活習慣病などのリスクを高めることがあるため、量や摂り方に気をつけたい栄養素です」

画像:脂質の種類

そして、先ほどのお話にもあった「脂質の質」に大きく関わるのが、脂肪酸なのだそう。

牧野さん「脂肪酸には、“飽和脂肪酸”と“不飽和脂肪酸”の2種類があります。このうちの飽和脂肪酸は、肉や魚、乳製品といった動物性の脂肪に比較的多く含まれており、動物である私たちの体にももともとある栄養素です。

肉や乳製品は手軽に食べられるので摂取しやすい一方で、エネルギーになりやすく、摂りすぎると悪玉コレステロールを増やしがちです。そのため、摂りすぎには注意したいところ。厚生労働省が定める“日本人の食事摂取基準(2025年版)”では、総エネルギー摂取量の7%以下が目標値とされています」

もうひとつの不飽和脂肪酸は、魚や植物の脂などに多く含まれる栄養素です。こちらはさらに、“多価不飽和脂肪酸”と“一価不飽和脂肪酸”のふたつに分かれるのだとか。

画像:脂肪酸の種類

牧野さん「多価不飽和脂肪酸は体内で合成できないため、食事から摂る必要がある栄養素。“必須脂肪酸”とも言われ、“n-3系脂肪酸”と“n-6系脂肪酸”に分けられます。前者にはさばやいわしといった青魚に多いDHAやEPAなどが含まれており、DHAは脳の活性化が、EPAは血液がサラサラになる働きが期待される注目の脂肪酸。えごま油、あまに油、なたね油などにも含まれているので、青魚が苦手な人はこちらから摂るのもよいでしょう。

また、n-6系脂肪酸には、リノール酸やアラキドン酸、γ-リノレン酸などがあります。これらは適切な量の摂取で悪玉コレステロールを上げにくくする働きをすることから、ひと昔前はたくさん摂ることが推奨されていましたが、現在はそれほど言われていません。

一方の一価不飽和脂肪酸は“n-9系脂肪酸”とも言われ、オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸などが知られています。体内でつくることが可能で、中性脂肪を増やしにくくしたり、善玉コレステロールを増やしやすくしたりといった働きがあります」

なお、不飽和脂肪酸の一種ながら、悪玉コレステロールを増やしかねないのが、トランス脂肪酸。こちらは主に液体の植物油を固形化したときに生まれるものです。

牧野さん「トランス脂肪酸はマーガリンや、お菓子に使われるショートニングに含まれていることがあります。日本ではそこまで規制されていないですが、WHO(世界保健機関)では大量摂取することで動脈硬化のリスクが高まると指摘しています。脂質に偏った食事をしがちな人は、気をつけたいですね」

脂質の1日の摂取量の目安

日本人の食事摂取基準
(男女・年代別の推奨量)

牧野さん「『日本人の食事摂取基準(2025年版)』で示されている脂質と飽和脂肪酸の目標量や、n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸の目安量は以下の表のとおり。具体的な量で考えると、意識したい脂質の摂取の目安は1日およそ50g〜60gといったところでしょう。そのうち、調理に使う油は1日約20g(小さじ5杯)を目安にしましょう」

画像:脂質の1日の目安摂取量の考え方(1)
画像:脂質の1日の目安摂取量の考え方(2)

脂質の摂取量を超えやすい食品例

牧野さん「肉や魚は種類や部位で、脂質の量は変わってきます。たとえば同じマグロでも、トロに含まれる脂質は赤身の30倍近くです。また、調理法にも気をつけたいところ。たとえばコース料理で、肉よりは魚のほうが脂質は低そうだからと選んだら、肉は焼いただけで魚はクリーム煮だった、なんてこともあり得ますよね。
また、意外と注意したいのがサンドイッチ。バターやマヨネース、ドレッシングなどを使っているものは脂質が高くなります。

いずれにせよ、調理に使う油の目安量を考えると、外食では脂質の摂取量を超えやすいものが大半。たとえばチェーン店なら、たいていはサイトやメニューに1食分の成分が掲載されているので、確認しながら選ぶのがよいと思います」

脂質を摂らないことによる懸念点は?

牧野さん「主に緑黄色野菜にβカロテンとして含まれる、ビタミンAをはじめとした脂溶性ビタミンは、脂質と一緒に摂ると体内で吸収されやすくなるため、脂質が足りていないと、こうした栄養素をせっかく摂ってもうまく吸収されない場合があります。また、極端に脂質を減らすと肌荒れの要因となることも。

このほか、脂質が極端に少ない食事って、腹持ちが悪いんです。油は小さい子どもの体に良くないからという理由であまり使わないお母さんから、“子どもがいつもおなかを空かせている”と聞くこともあるので、極端に控えるのはやめましょう」

脂質を摂りすぎると

牧野さん「脂質の摂取量が必要以上に多かったり、うまく分解されずに蓄積されたりすることで、肥満や生活習慣病のリスクが高まります。悪玉コレステロールの増加は動脈硬化の要因ともなるので、摂りすぎにはくれぐれも注意してください。日本人の食生活が変化し、動物性の食材や加工食品を多く食べるようになった昨今は、やはり脂質は摂りすぎる傾向にあるようです。特に若いうちは健康診断などで指摘されることが少ないせいか、控えようと意識する人も比較的少ないように感じますね」

脂質の多い食べ物・
少ない食べ物

脂質の多い食べ物

牧野さん「肉も魚も、脂肪分の多いものは脂質も高くなります。肉なら豚バラ肉や牛サーロイン、魚ならまぐろのトロやさんまなどが一例ですね。また、油揚げや厚揚げなどの加工品、ポテトチップスのようなスナック菓子も脂質が多い食べ物。カップラーメンはノンフライ麺だとしても、脂質はそれなりに多く含まれます。ナッツは体にいいイメージがありますが、少量で済ませられない場合はお皿に少し出すといった工夫をするといいでしょう」

脂質の少ない食べ物

牧野さん「脂質の少ない食品としては、鶏のささ身やたらなどの白身魚のほか、豆腐などが挙げられます。主食では、白いご飯なら脂質ゼロ。うどんやそばなどもほぼ含まれず、調理で油を使うことも少ない食べ物ですね。パスタも麺自体は脂質が少ないですが、ソースやオイルなどを使うことが多いメニューが多くなりがちです」

画像:脂質が多い・少ない食品
画像:食品100gあたりに含まれる脂質の量

脂質を上手に摂る方法と
調理で工夫できること

脂質の量と質を見直す

牧野さん「脂質=悪いものではなく、量と質に気をつける限りは必要な栄養素。多く含む食品などもお伝えしてきましたが、それだけにこだわらず、いろいろな食べ物から摂ることで、脂質以外の栄養素も摂取できます。また、動物性と植物性の食品をバランス良く摂ることも大切。たとえば、脂質の分解に重要な役割を果たすのはビタミンB2ですが、この栄養素は青魚に多く含まれているので一石二鳥です。ビタミンB2が多く含まれる食品には納豆や卵などがあるので、一緒に食べるのもおすすめ」

調理で脂質の量を調整

さらに、調理のときにちょっと工夫することでも、脂質の摂取量を調整可能なのだとか。

牧野さん「肉、魚は皮や余計な脂肪を取り除く、調理方法は揚げるよりもゆでる・焼くといったことで、脂質の量を抑えることができます。調理に使う油は1日約20gを守れるよう、きちんと計量しましょう。フッ素樹脂加工のフライパンを使えば、油の量はさらに抑えられます。また、マヨネーズやドレッシングを使うときに脂質の量をチェックし、えごま油やあまに油なども体に良いからといって使いすぎないように注意しましょう」

画像:脂質の上手な摂り方

脂質に関する疑問、
FAQでお答えします

脂質にまつわる疑問を、一問一答形式でまとめました。

Q.脂質はダイエット中でも必要?

A. 牧野さん「脂質の摂取量が少ないと、脂溶性ビタミンの吸収が悪くなったり、エネルギー不足になったりすることがあります。質の良い脂質を必要な分だけ摂るようにしてください」

Q.バターとマーガリン、どちらを選ぶべき?

A. 牧野さん「どちらかが悪いということはなく、必要な摂取量の範囲内で使うならどちらを選んでも大丈夫。製品には入っている成分や量が表示されているので、そちらを確認して好きなほうを選びましょう」

Q.中性脂肪と脂質は同じもの?

A. 牧野さん「同じというより、脂質の種類のひとつが中性脂肪。中性脂肪やコレステロール、脂肪酸などと同じ位置づけで、これらを総称したものが脂質となります」

Q.オリーブオイルやごま油は体にいいの?

A. 牧野さん「オリーブオイルはn-9系脂肪酸を、ごま油はn-6系脂肪酸を含む油。どちらも悪玉コレステロールを上げにくくする作用がありますが、使いすぎはよくありません。1gあたり9kcalであることに変わりはないので、適正量を心がけましょう」

Q.脂質を摂りすぎた日はどうリセットすればいい?

A. 牧野さん「脂質の代謝を促進するために、ビタミンB2を意識的に摂るのはひとつの方法です。また、脂質に限ったことではないですが、できることとしては、摂りすぎた日の翌日は控えるくらいでしょうか。昼に摂りすぎたら夜に控えるなど、できるだけ短いスパンで調整するのがおすすめです」

Q.脂質と糖質ってどっちが太りやすいの?

A. 一般的には脂質のほうが1gあたりのエネルギー量が多いため、同じ量を摂った場合は脂質のほうが太りやすいと言えます。しかし、人は余ったエネルギーを脂肪として蓄えるしくみになっているので、脂質ばかりでなく糖質を摂取しすぎたときにも、体脂肪は増加します。また、糖質は食べ方にもよりますが、血糖値が急激に上がるとインスリンホルモンにより脂肪が合成されるため、太りやすくなります。脂質、糖質のどちらも適量摂取であることが大事です。
なお、最近太った、またはすでに太り気味という人は、脂質と糖質のどちらを摂りすぎているか、まず見極める必要があります。そのうえで、摂りすぎているほうの量を減らすなど、摂り方を見直しましょう。

脂質が気になる人に
おすすめ、
脂質を控えるレシピを紹介!

揚げない酢豚

写真:揚げない酢豚

牧野さん「肉や野菜を揚げないことで、揚げたときに比べ調理油を3分の1の量に抑えられ、エネルギーも約110kcalほどカットできます。また、炒めることで、にんじんやピーマンに含まれる脂溶性ビタミンであるβカロテンが体内で吸収されやすくなります」

フライパンで簡単!
鶏とブロッコリーの旨だし蒸し

写真:フライパンで簡単!鶏とブロッコリーの旨だし蒸し
牧野さん「調理油を使いませんが、鶏肉の脂質のうまみで物足りなさを感じません。脂質の多い肉はその脂質を活かせば、調理油は不要です。ブロッコリーに豊富なβカロテンは脂溶性ビタミンなので、鶏肉の脂質が吸収を促します」

さわらときのこのホイル焼き

写真:さわらときのこのホイル焼き
牧野さん「油を一切使わないため、脂質もですが、エネルギーも抑えることができます。ホイル焼きなので、食材のうまみが閉じ込められ、蒸し状態になることで魚もふっくら仕上がり、さわらの良質な脂質もムダなく摂ることができます」

まとめ

牧野さん「悪者にされがちなことも多い脂質ですが、脳の成分だったり、ホルモンをつくったりと、体の中では欠かせない栄養素です。肌の乾燥に関わる栄養素でもあるので、極端に控えるのは避けたいですよね。大切なのは、質の良いものを適量摂ることなので、それを意識しながら上手に付き合っていきましょう」

ホームクッキング編集担当より

脂質はとりあえず控えていればいいんだよね……と決めつけてしまっていた自分の考えがリセットされた取材でした。次のステップは、自身がどれくらい脂質を摂取しているか把握してみること!無理せず夕食だけからスタートしてみたいと思います。ちなみにホームクッキングのレシピはどれもすべて脂質の量まで記載しているので、皆さんもご参考にしてみてくださいね♪(編集担当・市川)

写真:牧野直子さん

教えてくれた人 牧野直子さん

管理栄養士、料理研究家。「スタジオ食(くう)」主宰。女子栄養大学在学中より、栄養指導や食育活動に携わり、保健センターや小児科での栄養相談、食生活についてのアドバイスにも定評がある。つくりやすく、おいしくて元気になる料理が好評。雑誌、新聞、テレビ、料理教室や健康セミナーなどで幅広く活躍中。

撮影/金田邦男
公開:2026年2月26日

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