
初めてでも簡単!
いかのさばき方をていねいに解説。
選び方・保存のコツ・おすすめレシピも
店頭で新鮮ないかを見つけたら、自分でさばくことに挑戦してみませんか?難しそうに感じるかもしれませんが、手順どおりに進めていけば、実は家庭でも簡単にさばくことができるんです。丸ごとのいかをさばければ、いろいろな料理に使えてレパートリーも広がるはず。そこで今回は、包丁とキッチンばさみを使ったさばき方のコツを詳しく紹介します。選び方や保存方法、おすすめレシピなど、いかをおいしく味わうための情報もまとめているので、料理初心者の方もぜひお試しを!
いかの部位の名称と
おすすめ料理
いかは部位によって、さまざまな味わいが楽しめます。向いている料理も変わってくるので、部位の名称と合わせて解説します。
胴:煮物や炒め物、揚げ物など、幅広い料理に使えるオールマイティーな部位。水分が多くて厚みがあり、弾力があるので食べ応えがある。
足(げそ):うまみが強い部位。しっかりとした食感を活かすために、足だけのフライや炒め物などに使われることも多い。
わた(内臓):墨袋も含めた部位で、水分が少なく濃厚なうまみをもつ。塩辛やわた炒めのほか、わたも含め丸ごと煮物にしたり、姿焼きにしたりするのもおすすめ。わたをアンチョビのように、トマトソースやペペロンチーノなどに入れることも。
エンペラ(耳):胴の両側にある三角形の部分で、水分が少なくコリコリした食感。単体で使われるよりも、姿造りや足と合わせた炒め物などで食べられることが多い。
軟骨(軟甲):胴の中にある、透明な板状の骨。
目:足と胴の間に位置する。
トンビ(くちばし):いかの口の部分。珍味として食べられることもある。
いかのさばき方
(初心者でも簡単!)
ここではするめいかを使って、包丁による基本的なさばき方と、キッチンばさみを使う方法の2通りをご紹介。キッチンばさみの場合は手軽なうえ、足とわたを引き抜く必要がないので、わたがつぶれにくいというメリットもあります。一方で、いか大根やいかリングのように胴を輪切りにする料理には使えないので、メニューに合わせて使い分けるのがおすすめです。
基本のさばき方
【1】
胴の中に指を入れ、軟骨とわたを引きはがす。
わたを手で軽く押さえ、もう片方の手で胴を上向きに引っ張るようにすると、軟骨とわたをつなぐ筋がスムーズに外れます。
【2】
エンペラと頭部分(目の上辺り)をそれぞれの手でつかみ、わたをゆっくりと引き出す。
引き出すときは、わたや墨袋がつぶれないようにそっと扱います。上から力がかからないように、平行移動させるようなイメージで行いましょう。なお、墨袋が破れて墨が広がってしまった場合は、洗い流します。
胴から、わた・足部分が引き出せました。
【3】
胴から軟骨を引き抜く。
【4】
胴に残ったわたの上部分は基本的に食べないため、取り除く。胴の内側に指を入れ、ボウルにためた水か流水で洗う。
【5】
わたに付いている墨袋の足側を指でつまみ、そっと引きはがす。
【6】
目の上の部分に包丁を入れ、わたと足を切り離す。身が小さいときは目の下に切れ目を入れてもよい。
【7】
目と目の間に包丁で切り込みを入れ、開く。
【8】
トンビ(くちばし)を指でつまみ、引っ張って取り除く。
【9】
ボウルにためた水の中で目をつまみ取り、周辺の薄皮も取り除く。
目は裏側にある薄皮をめくったら出てきます。目が潰れると水分が飛び出てくるので、水の中で行うのがおすすめ。
【10】
ボウルにためた水の中に入れたまま、足の吸盤の硬い部分を指でしごく。
サイズが小さいものやいかの種類によっては吸盤が付いたままでも気になりませんが、するめいかは食べると痛いくらいに硬い吸盤をもっているので取り除きましょう。包丁の背でこそげ取るよりも、水の中でしごいて取るほうが周囲に飛び散りにくいのでおすすめ。指だけで取れない場合は、キッチンばさみなどで切り落としても。
【11】
皮をむく場合は、胴とエンペラのつなぎ目に指を入れ、エンペラの先端へ向かって裂くようにして外す。指を入れる位置は、エンペラ先端から少し離れた辺り。
【12】
胴とのつなぎ目が外れたら先端を手で押さえ、もう片方の手でエンペラをつかんで、胴の方へ向かって引っ張りながら皮をむく。
【13】
キッチンペーパーなどを持った手で、残った皮をすべてむく。
残りの皮は、エンペラを外したときにむけた部分からむいていきます。皮をそのまま持つとすべりやすいので、キッチンペーパーをすべり止めに使いましょう。
【14】
エンペラの先端から皮をむく。
エンペラは胴から外したときにできた皮の裂け目をきっかけに、残りの皮をむいていきます。むきづらい場合は、エンペラの先端に包丁で切り込みを入れるのがおすすめ。
エンペラの切り込みを入れるときは、包丁の刃先を使って。
【15】
足の上にある硬い部分を切り落とす。
【16】
長い足を、他の足と同じ長さになるように切る。
10本ある足のうちの2本が長い足で、「触腕」と呼ばれています。なお、飲食店などでは足の先端を切り落とすことがありますが、これは仕上がりの姿をきれいに仕上げるため。
【17】
残りの足は調理しやすいよう、2本ずつに切り分ける。
すべての下処理を終えた状態。
キッチンばさみを使ったさばき方
【1】
軟骨がない側の胴を浮かせるように持ち上げ、キッチンばさみでカットする。
【2】
先端まで切ったら左右に開く。
【3】
目の辺りを持ち、わたを胴からはがしながら外す。
【4】
軟骨を外す。以降は包丁を使うときと同じように、足の処理や皮むきなどを行う。
生で食べるときにしておきたい下処理
胴の部分を刺身などにして生のまま食べるときは、硬い部分や薄皮なども取り除くのがおすすめ。口当たりが良くなるので、よりおいしく食べられます。
【1】
包丁でさばいたいかの胴は、軟骨のあった部分に足側から刃を入れて切りひらく。
【2】
キッチンペーパーを持った手で、内側の薄皮を取り除く。
【3】
足側にある2か所の突起を、包丁でそぎ取る。
【4】
足側の端を切り落とす。
足側の端の硬い部分はほんの数mmなので、ギリギリのところで切り落とせば十分。全体の形を整える効果意味もあります。
いかの保存方法
(冷蔵・冷凍)
冷蔵保存
買ってきた生のいかを当日中に食べない場合は、そのまま冷蔵庫に入れて保存を。丸ごと購入した場合でも、さばくと劣化が進みやすくなるので買ってきたままの状態で冷蔵庫に入れます。基本的には記載された消費期限を守りますが、2日以内に食べ切れないなら冷凍保存をするのがおすすめ。
冷凍保存
冷凍保存なら丸ごとの状態はもちろん、さばいてからでも保存期間は約1カ月まで伸ばせます。たくさん入手したときや時間がないときなどは丸ごと冷凍、次に使うときに手間を省きたいならさばいた状態で冷凍と、状況に応じて使い分けましょう。
さばいてから冷凍する手順
【1】
いかを部位ごとに分け、ラップに載せる。
【2】
胴と足はキッチンペーパーで上からやさしく押さえる。
【3】
胴と足を平らな状態にして、ラップでぴったり包む。量が多い場合はラップを二重にすると良い。
【4】
わたはラップでぴったり包む。
【5】
まとめて冷凍対応のジッパー付き保存袋に入れ、空気を抜いて口を閉じ、冷凍庫で保存する。保存期間は約1カ月。
部位ごとに保存しておけば、次に使うときに便利。片面だけにキッチンペーパーを当てることで水分がほどよく抜けながら凍っていくので、冷凍焼けしにくくなります。水分が少ないわたは、ラップだけで大丈夫。足も水分が少なくて冷凍焼けを起こしにくいので、キッチンペーパーは省いても構いません。
まるごと冷凍する手順
【1】
いかの足をたたんだ状態にして、ラップでぴったり包む。
【2】
冷凍対応のジッパー付き保存袋に入れ、空気を抜いて口を閉じ、冷凍庫で保存する。保存期間は約1カ月。
丸ごと冷凍は手軽なうえ、うまみが逃げにくいのもうメリット。次に使うときは丸ごとのままホイル焼きや蒸し焼きにしたり、わたごと輪切りにして調理したりできます。さばくときは半解凍の状態でキッチンばさみを使うとスムーズにできるのでおすすめ。
冷凍したいかの解凍方法
冷凍したいかは、ジッパー付き保存袋に入れたまま冷蔵庫に移す、あるいは水にさらして解凍を。どちらも約1時間程度で半解凍状態となり、調理に使えます。
水にさらす場合は、ボウルにためた水か流水で。なお、直接、水にさらすといかが水っぽくなるので、保存袋に入れたままで解凍しましょう。
新鮮ないかの選び方
せっかく自分でさばくなら、新鮮ないかを選びたいですよね。いかの鮮度を見分けるポイントのひとつが、体の色。水揚げされたばかりのいかは透き通るような色をしていますが、時間が経つにつれて茶褐色に近くなり、やがて不透明な白色へと変わっていきます。また、鮮度が落ちるとわた(内臓)の弾力が失われていくので、胴部分がふっくらとして張りのあるものがおすすめ。
向かって左から鮮度の高い順に並べたするめいか。いかは鮮度の落ちるスピードが速く、朝は褐色だったものが午後にはもう白くなっている、なんてこともあります。
最寄りのスーパーなどでできるだけ鮮度の高いいかを入手したいなら、午前中に買いに行くのがおすすめ。また、水揚げ直後に船内で急速冷凍したものは「船上凍結」や「船内凍結」と呼ばれ、高い鮮度を保っているので、それらが表示されているいかを選ぶのも良いでしょう。
いかの種類と特徴
一口でいかと言っても、種類はさまざま。中でも店先でよく見かけるいかをピックアップし、特徴をまとめました。
左上から時計回りに、やりいか、するめいか、ほたるいか。同じいかでも、大きさや形はここまで変わります。
やりいか:春と秋に旬を迎える種類で、わたが少なくて足は短め。甘みがあり、するめいかよりもたんぱく質の筋の繊維が細いため、軽くやわらかな食感です。一方で、水分が抜けやすいため、加熱しすぎると縮みやすくなることも。刺身や天ぷらのほか、軽い火入れのパスタなどに向きます。
するめいか:秋から冬が旬で、厚みがあって弾力が強く、甘みよりもうまみがある種類。しっかり火を通しても縮にくいため、加熱料理全般に向くほか、大きなわたは塩辛やわた炒めをつくるのにも適しています。比較的安価で入手しやすいのも特徴。
ほたるいか:兵庫県の日本海側や富山県が主な産地で、旬は春。店頭にはゆでたものが多く並びますが、事業者による冷凍処理などの寄生虫対策が適切に行われていれば、生で食べることもできます。ゆでたものを酢みそで和えたり、スパゲッティなどの具材に使われたりすることも。
剣先いか:夏が旬。やりいかとするめいかの間の性質をもっており、やりいかと比べると身が厚めで、食感はねっとりしてやわらかく、甘みやうまみも濃くなります。水分が出にくいため、焼き物、ソテーに向くほか、刺身、天ぷらなどにも。
※剣先いかは写真に含まれません
いかに関するFAQ
いかにまつわる疑問に、一問一答形式でお答えします。
Q.いかの皮はむくべき?
A.
使う料理やいかの種類によって、むくかむかないかが変わってきます。口当たりを良くしたい刺身や、煮汁を濁らせたくない煮物をつくるときは、皮をむいて使います。いかの皮はコリコリとした食感を残し、うまみが強いので、里芋や大根と一緒にしょうゆを効かせて煮る料理などには残したままで。また、やわらかいやりいかも、むく必要はありません。
Q.いかのわたの活用方法を教えて。
A.
塩辛やわた炒め、バターソテーのほか、煮物やソースに使うとコクが出ておいしく仕上がります。なお、わたには食中毒を引き起こすアニサキスの幼虫が生息している可能性が高いので、塩辛のように生で食べる料理は塩分濃度を高めるか、中心部が−20℃の状態で24時間以上冷凍したものしか使えません。また、加熱調理の場合も、中心部が70℃以上になるまで、あるいは60℃で1分以上の加熱が必要となります。さらに、アニサキスは身に生息することが多いので、調理の際に目でしっかり確認し、細かく切れ目を入れるか、十分に加熱するようにしましょう。
Q.煮物にすると、身が硬くなってしまう……。やわらかく煮るコツは?
A.
いかの身が硬くなるのは、加熱しすぎによるたんぱく質の収縮が原因。やわらかく仕上がるタイミングは煮始めてから10分程度までなので、いかだけ先に取り出して他の具材だけを煮込んだり、いかだけ後から入れたりするといいでしょう。
Q.いかの一夜干しって自宅でできる?
A.
家庭の冷蔵庫でも簡単にできます。使うのはいかの胴部分。まず、胴を開いて塩を軽くふるか、しょうゆ1:みりん1の漬け汁に10分ほど漬けまず。ざるなどにのせて水分を受けるバットをセットし、ラップをせずに冷蔵庫の上段で1〜2日保存すれば完成です。意外なほど水分が抜けてうまみが増すので、ただ焼いただけでもいつも以上においしくなりますよ。
さばいたいかを
存分に味わう!
いかを使った
おすすめレシピ3選
キッコーマンの人気レシピサイト『ホームクッキング』から、いかのうまみややわらかさを楽しめる3品をピックアップしました。おいしくつくるコツなどもまとめたので、ぜひお試しを!
いかのうまみを引き出しながら、やわらかな仕上がりに
『いか大根』
大根は甘みの強い上の部分を使うのがおすすめ。下ゆですることで、より味がしみしみに!
いかは煮る前に湯通しすることで、色や生ぐささが移りにくくなります。煮汁もにごらず、すっきりした味わいに。また、足を先に煮ることでうまみが引き出され、胴がやわらかく仕上がります。
お祭りの屋台で食べるあの味を家庭で再現!
『屋台のいか焼き』
おろししょうがを効かせた王道の味。香ばしい香りもごちそうです。
いか、肉、野菜のおいしさを一皿に!
『八宝菜』
野菜がたっぷり食べられる人気メニューは、いかの食感がアクセントに。
試してみれば意外と簡単!
いかのさばき方を
マスターしよう
今回、さばき方を教えてくれた料理家の小田真規子さんによると、「いかはそれほど手を掛けなくてもおいしく食べられるので、冷凍保存しておくと重宝する食材」。小田さんは胴を薄い輪切りにしてサッとゆで、しょうがやにんにくなどの薬味を載せてごま油+しょうゆで食べる『釜揚げ』が好きで、鮮度の良いものが手に入ったら、よくつくっているそうです。
「丸ごとの状態でホイル焼きや姿煮にすれば、食卓の主役になりますし、さばいた状態で冷凍しておけばいろいろな料理に使えて便利ですよね。いかをさばくのは難しそうと思われがちですが、実は高度な技術は必要ありません。魚のようにうろこを引いて、エラを取って、内臓を抜いて……といった工程はなく、何ならキッチンばさみ1本でも完結できます。意外とハードルが低いので、ぜひ一度、挑戦してみてください」
教えてくれた人 小田真規子さん
料理家・フードディレクター・栄養士。スタジオナッツを主宰し、徹底的な研究と試作による検証で、誰でもおいしくつくれる料理レシピを数多く生み出す。雑誌、テレビ、新聞などのメディアで活躍するかたわら、その信頼感から企業のメニュー開発などのアドバイスを依頼されることも多数。近著に『元気なシニアの野菜たっぷり たんぱく質も 2品献立』(NHK出版)、『キッコーマン特選 基本の和ごはん』(小学館)などがある。
スタジオナッツ http://studionuts.com
インスタグラムID studionutsnutsm パプリカマキコ / foodshot_kusudama 料理フォトくすだま
適材適味・小田真規子 https://www.odamakiko-recipe.com/
撮影/金田邦男
公開:2026年5月19日


ホームクッキング編集担当より
昨年、会社のメンバーとバーベキューに行った際、人生で初めていかをさばくことになり、かなり四苦八苦した記憶がよみがえりました(汗)。ただ、自分でさばけば達成感もひとしお!あの時、キッチンばさみでさばく方法を知っていれば……と思うほど、今回のやり方は目からウロコの簡単さで、もう1回挑戦してみたくなりました。みなさんもぜひ一度チャレンジしてみてください!(編集担当・賀来)