
ビーツの食べ方は
意外と簡単!
下ごしらえや
栄養を逃さない調理法
・人気レシピを紹介
鮮やかな赤紫色のビーツは、栄養価の高さもあって近年、注目を集めている野菜です。一方で、日本の食卓にはあまりなじみがないため、興味はあるものの「扱い方や食べ方がわからない」からと、手に取ったことがない方もいるはず。この記事では、そんなビーツの特徴や栄養素をはじめ、基本の下ごしらえやおいしい食べ方を紹介。選び方や保存方法、おすすめレシピなどもまとめたので、ぜひお役立てください!
ビーツはどんな野菜?
おいしい食べ方も
ビーツとは
かぶに似た形のビーツですが、実はてんさい糖(砂糖)の原料となるてんさい(砂糖大根)の仲間。国内の主な産地は北海道や長野県、茨城県などで、年に2回、6月~7月と11月~12月に旬を迎えます。
赤紫色の色素を含むのも特徴で、ウクライナ発祥の料理として知られるボルシチの赤色は、ビーツから溶け出したもの。この色素はゆでたり煮込んだりするだけでなく、切るだけでも流出しますが、すぐに洗えばまな板や手が赤く染まるのを防げます。
鮮やかな赤色は、ビーツの特徴のひとつ。
ビーツの味と食感
ビーツは生でも加熱しても食べられる野菜。生の状態だとシャキシャキした食感で、土のような独特な香りとほんのりした甘みが感じられます。一方、加熱したものはホクホクした食感。甘みがさらに増し、香りは控えめとなります。
ビーツのおいしい食べ方①生で食べる
小気味良い食感を活かすなら、生のままサラダに。酸味と甘みのある果物との相性がいいので、りんごやオレンジなどと組み合わせるのもおすすめです。このほか、バナナと合わせてスムージーにしても。
なお、栄養素の損失を抑えるなら生で食べるのが一番ですが、加熱してやわらかくなっているほうが量をとりやすくなります。皮を残して丸ごと加熱すれば損失量はそれほど多くないので、好きな食べ方で楽しみましょう。
ビーツのおいしい食べ方②加熱する
ゆでるなどの下ごしらえをしたビーツは、サラダや和え物にしてホクホクした食感を楽しみましょう。軽く焼いてメインディッシュのつけ合わせにしたり、ポタージュに使ったりするのもおすすめ。また、油とも好相性なので、揚げ物や炒め物にも適しています。
牧野直子さんおすすめのビーツ料理
お話を伺った牧野さんがおすすめするのは、『ビーツとりんごのサラダ』と『ビーツのフライ』です。ひとつめのサラダは、細切りにしたビーツを水にさらし、同じく細切りのりんご、刻んだくるみと一緒にバルサミコドレッシングやフレンチドレッシングで和えるだけ。お好みで、カッテージチーズを入れてもよいそうです。
ふたつめのフライは、カットしたビーツを多めの油で揚げ焼きしたもの。フライドポテトのようにくし形に切ればホクッと、スライサーでごく薄くカットすればサクッとした食感が楽しめるのだとか。食べるときは塩をふるか、サワークリームをディップします。また、かつおだし5:しょうゆ1:みりん1を合わせ、サッと煮立てたつゆに加え、揚げびたしにして食べてもおいしいとのこと。
ビーツの下ごしらえの方法
ビーツの下ごしらえは、生の場合と加熱する場合で少し変わってきます。生の場合、固い皮は厚めにむきますが、加熱する場合は栄養や色素の流出を抑えるために、「皮つきのまま・丸ごと」が基本。
なお、切ると赤紫色の色素が染み出すので、気になる場合はポリ手袋を着けたり、まな板の上にジュースなどの紙パックを開いたものを敷いたりするとよいでしょう。また、土がついたままの状態なら、最初にたわしやブラシを使って、流水でしっかり落としてください。
開いた紙パックの上で切れば、色素が流れ出ても後片づけがらく。
生で食べる場合
【1】
ビーツを洗う。
土が残っている場合は、手でこすって落とそうとすると時間がかかるため、たわしや野菜ブラシでこするのがおすすめ。
【2】
茎と根を切り落とす。
【3】
皮を厚めにむく。
ビーツの切り口を見たとき、色が濃い部分は固いので、皮と一緒にむきましょう。厚さの目安は2mm弱。なお、厚めにむく場合は、ピーラーよりも扱いやすい包丁がおすすめです。
【4】
食べやすい大きさに切る。写真はいちょう切り。
生のままだと土のような香りが強いですが、薄切りや細切りにするとそれほど気になりません。切った後で水にさらすのもひとつの方法。
ゆでる場合
【1】
洗って茎と根を切り落としたビーツ、かぶるほどの水、酢もしくはレモン汁を鍋に入れ、火にかける。
酢やレモン汁といった酸性のものと一緒にゆでると、ビーツの赤紫色がより鮮やかに仕上がります。入れる量は水1.5リットルに対し、大さじ1が目安。
【2】
沸騰したら弱火にし、湯が減ったら継ぎ足しながら30分~40分ゆでる。竹串を刺して、少し抵抗があるくらいのやわらかさになったら火を消し、ゆで汁に入れたまま冷ます。
ゆで汁につけたまま冷ますと、加熱中に流出した色素が戻り、色鮮やかな仕上がりに。冷ましている間も余熱で火が通るため、完全にやわらかくなる前に火を止めましょう。また、ゆで時間はビーツの大きさによって変わってきます。重さ250~300gくらいの、手のひらサイズのビーツなら30~40分が目安なので、大きさに合わせて加減してください。
【3】
粗熱が取れたら皮をむき、食べやすい大きさに切る。
ゆでて下ごしらえしたビーツは、生で食べるよりも甘みが増します。なお、加熱すると皮もやわらかくなっているので、厚めにむく必要はありません。皮のすぐ下に包丁の刃を入れ、少し持ち上げてから下に引くと薄くきれいにむくことができます。
オーブンで加熱する場合
【1】
ビーツを洗って茎と根を切り落とし、1個ずつアルミホイルで包む。
【2】
180℃に設定したオーブンで、30分~40分加熱する。竹串を刺してスッと通ったら加熱を終え、粗熱を取ってから皮をむき、食べやすい大きさに切る。
オーブンで加熱するとじんわり火が通り、味がギュッと凝縮されて香ばしさも出ます。ビーツの水分だけで調理するため、食感もよりホクホクとしたものに。なお、こちらの加熱時間もビーツの大きさによって加減しましょう。
電子レンジで丸ごと加熱する場合
【1】
ビーツを洗って茎と根を切り落とし、水で湿らせたキッチンペーパーで包む。
湿ったキッチンペーパーでは包みにくいと感じる場合は、乾いたキッチンペーパーで包んでから、流水でまんべんなくぬらす方法もあります。
【2】
ラップでふんわり包んだら耐熱容器に入れ、600Wに設定した電子レンジで1個につき4分加熱したら、上下を返して再び4分加熱する。竹串を刺し、スッと通ったら粗熱を取って皮をむき、食べやすい大きさに切る。
加熱する方法のうち、最も短時間で下ごしらえできる方法。ただし、ビーツの数が増えると加熱時間も長くなります。また、ビーツが大きいほど加熱する時間が必要になるので、上記の時間を目安に加減してください。
カットしたものを電子レンジで加熱する場合
【1】
カットしたビーツを耐熱容器に入れ、ラップをふんわりかける。
【2】
600Wに設定した電子レンジで加熱する。竹串を刺し、スッと通ったらそのまま冷ます。
余ったときや、つけ合わせに使うときなど、量が少ない場合はカットしてから電子レンジで下ごしらえをするのが手軽。加熱時間は重量×1.5分を目安にしましょう。
蒸す場合
【1】
洗って茎と根を切り落としたビーツを蒸し器、あるいは蒸し板つきの鍋に入れ、30~40分加熱する。
【2】
竹串を刺してスッと通ったら、火を消して冷ます。粗熱が取れたところで皮をむき、食べやすい大きさに切る。
水溶性の栄養素が流出するのを、少しでも抑えたいときに向いている方法。水につかっていない状態で加熱するので、葉酸やカリウムといった水溶性の栄養素を比較的多く残せます。
ビーツの主な栄養素と働き
その赤さから、血液をつくる鉄が豊富と思われることもあるビーツですが、実は鉄やビタミンCが特別多いわけではありません。実際に豊富なのはカリウムや葉酸。カリウムは汗と共に余計な塩分を排出する働きをもつ栄養素で、体内の水分バランスの維持に作用します。
一方の葉酸は、赤血球をつくるために必要な栄養素。貧血予防としてはもちろん、近年は脳の健康維持との関わりについても注目が集まっています。また、胎児の発育に欠かせないため、妊娠中の方にとっても大切な栄養素です。さらに、整腸作用のある食物繊維が大根やかぶよりも多いほか、ポリフェノールの一種で抗酸化作用のある色素のベタシアニン、持久力などの運動パフォーマンスに作用する硝酸塩なども注目されています。
ビーツを使った
おすすめレシピ3選
キッコーマンの数あるレシピの中から、おすすめしたいビーツのレシピをご紹介します。
しょうゆのうまみが隠し味に!
『ボルシチ』
ビーツと聞いてまず浮かぶのがこの料理!水溶性の栄養素も、スープで余さず摂ることができます。
ビーツをはじめ、キャベツや玉ねぎなど、たっぷりの野菜と牛肉を使った本格的な一皿。具材を切り、炒めて煮るだけの手軽さでつくれるのもうれしい!
実は和風の味つけとも好相性!
『ビーツのきんぴらしょうが風味』
定番の副菜をビーツで!しょうがを効かせて、いつもとはひと味違うおいしさです。
せん切りのしょうがを加え、ごま油で炒めることで香り高い仕上がりに。ビーツ特有の香りが苦手な人も、気にせずに食べられます。
鮮やかな色合いで、パッと明るい食卓に
『ビーツとレーズンのピクルス』
甘みと酸味のバランスが絶妙!サンドイッチやお弁当の彩り担当としても。
生に近いシャキシャキ食感が楽しめる副菜。ビーツはサッとゆでることで味が入りやすくなるうえ、独特の香りも抑えられています。
新鮮なビーツの選び方と
保存方法
新鮮なビーツの選び方
土が残ったままの状態で販売されていることが多いビーツ。そのままだと皮の状態などが確認しづらいですが、もし洗ってあるものなら表面につやとはりがあり、色が濃いものを選びましょう。大きさが味に影響することは少ないですが、手のひらに収まるぐらいのサイズが扱いやすいのでおすすめ。また、葉や茎が残っている場合は、葉先までピンとしているものが新鮮です。
手のひらサイズだと、重さはだいたい250g~300g前後。丸ごとの状態で扱うことが多いビーツは、あまり大きなものだと加熱時間が長くなるのに加え、大きな鍋が必要にもなります。
丸ごと冷蔵保存
【1】
茎を少し残して切り離す。
【2】
キッチンペーパーで包む。
【3】
ポリ袋に入れ、口を軽く縛って野菜室で保存する。保存期間は約1週間。
空気に触れる面が増えると傷みやすく、水分も抜けてしまうので、茎を少し残した状態で切り離し、根は切らずに残します。キッチンペーパーとポリ袋を使うのは、乾燥から守るため。冷蔵室は温度が低すぎるので、野菜室で保存するのがベストですが、室温が15℃以下の季節なら常温でも保存できます。
カットして冷蔵保存
使い切れずに余ったビーツを冷蔵保存する場合は、ラップで包んで野菜室に入れます。特に切り口はぴったり覆って、空気が入らないようにしましょう。保存期間は約3日が目安。
加熱後の冷蔵・冷凍保存と解凍方法
下ごしらえで加熱したビーツを冷蔵保存する場合は、保存容器に入れて冷蔵室へ。ゆで汁と一緒に保存すると乾燥が抑えられ、色戻りもするので、使い切れない可能性があるなら、ゆでる下ごしらえがおすすめです。なお、保存容器はプラスチック製だと色移りしやすいので、ガラス製やホーローのものが適しています。保存期間の目安は4~5日。
一方、加熱したものを冷凍保存する場合は、できるだけ早く凍るよう、食べやすい大きさに切ってから。一度に使い切れる量をラップで包み、ジッパーつき保存袋に入れたら空気を抜き、口を閉じて冷凍庫で保存しましょう。次に使うとき、生で食べるなら冷蔵庫で自然解凍を。スープや炒め物のように加熱する、あるいはスムージーに使う場合は、冷凍したままで調理できます。保存期間は約1カ月。
葉と茎の保存
ビーツの葉と茎は日持ちする長さが異なるため、別々に保存しましょう。葉と茎を分け、それぞれ湿らせたキッチンペーパーに包んだら、ポリ袋に入れて野菜室へ。葉は1日程度、茎は2~3日を目安に食べ切るようにしましょう。
ビーツに関するFAQ
ビーツにまつわる、よくある疑問に一問一答形式でお答えします。
Q.ビーツを食べた後、排せつ物が赤くなりました。体に問題はありますか?
A.
赤紫色の色素「ベタシアニン」は水溶性のため、体内で代謝しきれないと尿や便に混じって排出されます。初めて見るとびっくりしますが、健康に害はなく、1~2日で自然に収まるのでご安心を。ただし、頻繁に起こる場合は鉄の吸収に関わる体質的な要因も考えられるため、気になる方は医師にご相談ください。
Q.ビーツの独特な土っぽい香りが苦手です。和らげる方法はありますか?
A.
加熱して食べると香りが和らぎ、甘みが引き立ちます。生で食べるなら薄切りや細切りにして水にさらすほか、油やヨーグルト、サワークリームなどの乳製品、クミンやディルなどのスパイスと合わせると食べやすくなるのでお試しください。
Q.ビーツは生で食べても大丈夫?
A.
まったく問題ありません。生ならではのシャキシャキした食感や土の香り好きだからと、むしろ生で食べるのを好む人もいるようです。ごく薄く切ってカルパッチョに添える、すりおろしてドレッシングにするといった使い方も。また、細かく刻んでポテトサラダやタルタルソースに混ぜ込めば、ピンクの色味が楽しめます。
Q.ビーツの葉や茎も食べられますか?
A.
食べられます。葉は生のままサラダに、茎はきんぴらやおひたしのほか、かき揚げにするのもおすすめ。葉は日持ちませんが、茎は冷凍で約1カ月保存できるので、使い切れない場合は下ゆでして冷凍保存しましょう。
鮮やかな色で食欲アップ!
ビーツをもっと使いこなそう
初めて食べた缶詰の水煮が苦手で、長らくビーツを手に取ることがなかったという牧野さん。初めて生のビーツを食べたときは別格のおいしさに驚き、以来、すっかりファンになったのだそう。
「他の食材にはあまりない色合いで、おもてなしにもぴったり。葉酸や硝酸塩といった、今、注目の栄養素も含んでいるし、不足しがちな食物繊維も補えます。知らないと手を出しづらいですが、下ごしらえに難しい手順もないので、ぜひ食卓に取り入れてみてください。初めて使うなら、意外と簡単にできて見映えがするボルシチに挑戦するのもおすすめですよ」
教えてくれた人 牧野直子さん
管理栄養士、料理研究家。「スタジオ食(くう)」主宰。女子栄養大学在学中より、栄養指導や食育活動に携わり、保健センターや小児科での栄養相談、食生活についてのアドバイスにも定評がある。つくりやすく、おいしくて元気になる料理が好評。雑誌、新聞、テレビ、料理教室や健康セミナーなどで幅広く活躍中。
撮影/金田邦男
公開:2026年8月18日


ホームクッキング編集担当より
同僚が毎日お弁当に真っ赤な和え物を入れていて、シャキッと噛む音が何ともおいしそうだなと思っていたら、それがまさにビーツの和え物でした。スーパーでもちらほら見かけるようになり、あらゆる食材をホームクッキングとしては網羅したいという想いから今回のテーマに採用!調理のハードルが高いイメージはありましたが、栄養と彩りがたっぷりの大根と考えると、思わず食べてみたくなりますよね。ぜひビーツのレシピをつくってみてください♪(編集担当・市川)