
栗の剥き方・下処理|鬼皮・渋皮を簡単にむく裏技を解説
秋の味覚のひとつ、栗。やさしい甘さとほくほくとした食感が魅力ですが、いざ調理するとなると「固い皮の剥き方がわからない」「下処理が大変そう」と尻込みしてしまう方も多いのではないでしょうか。栗の剥き方のポイントは、半日ほど水につける下処理をしてから、熱湯に5分ほどつけて鬼皮をやわらかくし、鬼皮→渋皮の順にむくこと。一晩冷凍してからむく裏技や、ゆでてから皮をむく方法なら、さらに手軽になります。この記事では、料理家の江口恵子さんに教わった栗の剥き方・下処理から、おいしいゆで方、保存のコツ、おすすめレシピまでを解説します。
栗の下処理は「半日水につける」だけ!
剥き方の第一歩
栗の下処理(下ごしらえ)は、たっぷりの水に半日から一晩つけておくだけです。アクが抜けるうえに鬼皮がやわらかくなり、皮がむきやすくなるので、皮をむいてから冷凍保存をするときにも大助かり。虫に食われていたり、中身がやせていたりする栗は、水につけたときに浮いてくることが多いので、選別の目安にもなりますよ。

- ボウルに栗と、栗が十分にひたる量の水を入れ、冷蔵庫で半日から一晩おく。

- 水を捨ててからザッと洗い、ザルにあげて水気を切る。
江口さん「ゆでる前の栗は水分が抜けやすく、品質が日ごとに低下するため、入手したその日のうちに調理するのが望ましいです。すぐにゆでられないときは後述する方法で冷蔵保存、もしくは冷凍保存をしましょう。なお、水ではなく50〜60度のお湯を使うと、つけておく時間を2〜3時間に短縮できますよ」
生栗の剥き方!
熱湯に5分つければ鬼皮・渋皮が簡単にむける
生の栗をむくときは、下処理のあとに熱湯へ5分ほどつけて、鬼皮をやわらかくしてからむくのが基本です。むく順番は、外側の鬼皮が先、内側の渋皮が後。手順を4つのステップで解説します。
栗の皮は「鬼皮」と「渋皮」の2種類
栗の皮は、外側の茶色くて固い「鬼皮」と、実に密着した内側の薄い「渋皮」の2種類です。固さの異なる2枚の皮を一度にむくのは難しいため、鬼皮→渋皮の順に、段階を踏んでむいていくのがきれいにむくコツです。
①下処理した栗を熱湯に5分ほどつける
ボウルに熱湯を注ぎ、下処理を済ませた栗を5分ほどつけます。鬼皮がやわらかくなり、包丁の刃が入りやすくなります。栗は冷めるとむきにくくなるので、湯から1個ずつ取り出して作業し、残りは湯につけたままにしておくのがポイント。栗が熱いので、軍手を着けて作業すると安心です。
②座(おしり部分)を切り落とし、鬼皮を下から上へむく
栗のおしりにあたる、ざらざらとした「座」を包丁で切り落とします。切り口の鬼皮に包丁の刃元を引っ掛け、下から上へ、引きはがすようにしてむきましょう。座を切り落とすのがもったいない場合は、座の中央に刃元で切り込みを入れ、そこから引っ掛けてむく方法もあります。生栗はゆで栗よりも固いので、あせらず、無理のない力でゆっくりむいてください。
③渋皮はりんごの皮むきの要領で、少し厚めにむく
鬼皮がむけたら、渋皮をりんごの皮むきの要領でむきます。生栗の渋皮は実に密着していて薄くむくのは難しいため、少し厚めにむくのがコツ。渋皮はアクが強く、残っていると渋味の原因になるので、ていねいに取り除きましょう。
④むいた栗はすぐに水につけて変色・アクを防ぐ
むき終わった栗は、そのままにしておくとすぐに色が悪くなります。むいたそばから水にひたして、色止めとアク抜きをしましょう。長時間さらす必要はなく、すべての栗をむき終わるまでの間、さっとひたしておくだけで構いません。
もっと簡単にむける!
栗の剥き方の裏技(冷凍・ゆでてからむく)
「固い生栗を力を入れてむくのは大変……」という方には、一晩冷凍してからむく方法と、ゆでてから皮をむく方法がおすすめです。それぞれのやり方を紹介します。
一晩冷凍して半解凍にすると、鬼皮がむきやすくなる
皮付きのまま冷凍した栗は、常温に30分ほどおいて半解凍の状態にすると、鬼皮がむきやすくなります。冷凍なら約1か月保存できるので、すぐに調理しない栗をまとめて冷凍しておき、使う分だけむいていくのもおすすめ。冷凍のやり方は、後述の「皮付きのまま冷凍保存」を参考にしてください。なお、完全に解凍すると実がやわらかくなり、かえってむきにくくなることがあるため、必ず半解凍の状態でむきましょう。
ゆでてからむけば力いらず!ゆで栗の皮のむき方

- ゆで栗のおしり部分である座を切り落とす。

- 切り落とした部分の鬼皮に包丁の刃元を入れ、鬼皮を引っ掛けてむく。下から上へ、引きはがすようにしてむくと良い。

- 鬼皮をむき終わった状態。

- 渋皮(内側の薄い皮)をむく。りんごの皮むきの要領でむくと良い。

- 渋皮がむけた状態。
江口さん「ゆでることで鬼皮はむきやすくなるものの、多少の力は必要です。あせらなくて良いので、無理せずにゆっくりむいていきましょう。包丁を持つ手の人差し指に背が当たって痛い場合は、軍手を着けるのがおすすめ。
鬼皮をむくときは座を切り落とさず、底の部分に包丁の刃元で切り込みを入れてから、そのまま引っ掛けてむく方法もあります。これだと栗をまるごとの状態でむけますが、切り込みを入れるときに少し力が必要。座を切り落とすと包丁を引っ掛けやすくなるという利点もあるので、自分でやりやすい方法を選んでください。
渋皮はしっかりゆでた栗なら手でぺろりとむけることもありますが、たいていは実の部分に密着しています。薄くむこうとしてむけるものではないので、少し厚めにむくと良いでしょう。また、渋皮はアクが強く、しっかり取り除けていないと渋味が残ってしまいます」
座の中央に切り込みを入れた状態。切り落とすのがもったいないと思うなら、この方法もおすすめ。
栗のゆで方!
塩を入れて弱火で30〜40分ゆでるのがコツ
栗をゆでるときは、鬼皮を付けたまま、水1リットルに対して塩大さじ1/2強を加え、弱火で30〜40分ゆでるのがコツです。皮をむいてからゆでると水っぽくなるため、基本は鬼皮付きのままゆでましょう。

- 鍋に下ごしらえをした栗と、栗がかぶるほどたっぷりの水を入れる。写真は直径20cmの鍋に、1リットルの水が入った状態。

- 水1リットルに対して、塩大さじ1/2強を加える。

- 中火にかけ、沸騰したら弱火にして30分〜40分ゆでる。

- 栗がやわらかくなったら火を止めてそのまま置き、余熱でじっくり火を通す。
江口さん「栗をゆでるときは、弱火でじっくりと。塩を入れてゆでると、栗の甘みを引き出すことができます。ゆで上がってからしばらくそのままおいておくのは、しっとりとした食感に仕上げるため。ゆで時間は栗の大きさなどによって多少の差が出るので、火を止める前に1つ取り包丁で半分に割って味見し、ゆで加減を確認してください。なお、ゆで栗は生の状態よりも包丁で切りやすくなります。手っ取り早く味わいたいときは半分にカットし、そのままスプーンですくっていただきましょう」
ゆで栗を半分にカットした状態。固い鬼皮も、ゆでることで切りやすくなります。
味と手間はどう違う?
栗をゆでずに蒸す方法と
電子レンジで加熱する方法
栗はゆでるだけでなく、蒸したり電子レンジで加熱したりしても食べられます。それぞれの手順と、仕上がりについてもご紹介しましょう。
江口さん「ゆでる以外の方法もあります。じっくり蒸して火を通すと、ホクホク感がより強い仕上がりに。甘みが引き出せるので、蒸し器を持っている場合はお好みで使い分けてみてください。電子レンジ加熱は、手軽で時短もできるのが一番の魅力。ゆでるほどではないですが、しっとり仕上がります。なお、甘みを引き出すために塩を使うのは、ゆでるときと電子レンジ加熱のときのみ。蒸気には塩分が含まれないので、蒸すときは加えなくてOKです。」
蒸し器で蒸す

- 蒸し器の上段に下ごしらえした栗を、下段に水を入れる。

- ふたをして45分~50分蒸したら火を止め、そのまま余熱でじっくり火を通す。

- 蒸し上がった状態。半分に割って中身をくり抜いたり、皮をむいて食べる。
電子レンジで加熱する(ゆで時間短縮)

- 生栗の鬼皮をむく。固いので座を切り落とすのが大変な場合は、座の中央に切り込みを入れる方法をとる。※ゆで栗の皮のむき方参照

-
耐熱容器に鬼皮をむいた栗、栗がかぶる程度の水、塩ふたつまみを入れ、電子レンジの600Wで7〜8分加熱する。
※お手持ちの電子レンジによって時間は調整ください。

- 竹串を刺してスッと通るようになったら電子レンジから出し、粗熱が取れるまで余熱でじっくり火を通せば完成。
栗の選び方
鬼皮(外側の茶色くて固い皮)にハリとツヤがあるものは、中身がしっかり実った栗。形はふっくらとして、丸みのあるものが良いとされています。「座」と呼ばれるおしりの部分が白っぽかったり、黒ずんだりして汚れたものは傷んでいる可能性が。また、鬼皮に小さな穴が空いているものは、高確率で虫が入り込んでいるので、できるだけ避けてください。
左の栗が、丸々とした形でハリとツヤのあるもの。中央は座が白っぽくなったもので、右の栗は虫が侵入したらしき穴が空いています。
栗拾いなどで入手した栗は状態の良くないものも混ざりがちなので、しっかり選別しましょう。
冷蔵・冷凍保存もできる栗。
おすすめの保存方法は?
江口さんの解説にもあったように、栗を入手してすぐに調理できないときは生のまま冷蔵、もしくは冷凍で保存を。ただし、冷蔵保存では1〜2日しか日持ちしないので、日持ちさせたいのなら約1か月保存しておける冷凍がおすすめです。
皮付きのまま冷蔵保存

- 栗をザッと洗い、キッチンペーパーなどで拭いて水気をしっかり取り除く。

- 栗をキッチンペーパーで包み、ジッパー付き保存袋に入れる。空気を抜き、口を閉じたら冷蔵庫のチルド室へ。
江口さん「キッチンペーパーに包むことで乾燥が抑えられるのに加え、余分な湿気を吸収させられます。栗は低温でも変質しにくいので、より温度の低いチルド室での保存がおすすめ。下ごしらえをせずに冷蔵保存もできますが、水につけておくと皮がやわらかくなるメリットもあります。どちらにするかは、保存の前に下ごしらえをする余裕があるか、冷蔵庫から出してすぐに調理にかかりたいかなど、状況によって判断してください」
皮付きのまま冷凍保存

- 洗った栗の水気をしっかり拭き取り、ジッパー付き保存袋に入れる。空気を抜いて口を閉じ、平らな状態で金属トレーにのせて冷凍庫で保存する。

- 調理するときは袋から出し、常温で30分ほどおいて半解凍状態にしてから皮をむく。
江口さん「栗は生の状態でも、加熱したものでも冷凍保存が可能。食感はほとんど変わらないうえに、皮がむきやすくなるメリットもあります。ただ、完全に解凍すると栗がやわらかくなり、むしろ皮がむきにくくなることも。使うときは半解凍状態にしてからむくと良いでしょう」
むき栗の冷凍保存

- 生栗の鬼皮と渋皮をむく。むいた栗は色止めとアク抜きのため水にひたしておく。

- 栗の水気を切ってしっかり拭き取り、ジッパー付き保存袋に入れる。空気を抜いて口を閉じ、平らな状態で金属トレーにのせて冷凍庫で保存する。
江口さん「生の栗は水につけておいても加熱したものより固いので、座を切り落とすのは大変。そのため、鬼皮をむくときは、座の中央に切り込みを入れる方法をとりましょう。その後の手順は、ゆで栗の皮むきと同じ手順で行います。
冷凍したむき栗は、調理前の解凍が不要。冷凍庫から出してすぐに加熱調理できるので、余裕があるときは皮をむいてから冷凍するのがおすすめです。むいた栗はすぐに色が悪くなるので、むいたらすぐに水にひたしましょう。とはいえ、長時間ひたす必要はなく、皮をむく工程の間だけさっとひたすだけで構いません」
栗の剥き方・下処理に関するよくある質問
Q.栗の皮を簡単にむく方法はありますか?
A. 半日ほど水につける下処理をしてから、熱湯に5分ほどつけて鬼皮をやわらかくするのが基本です。さらに手軽にしたい場合は、一晩冷凍して半解凍にしてからむく方法や、ゆでてから皮をむく方法がおすすめ。詳しい手順は、本記事の「生栗の剥き方」「栗の剥き方の裏技」で解説しています。
Q.栗は皮をむいてからゆでますか?ゆでてからむきますか?
A. 基本は鬼皮を付けたままゆでて、ゆで上がってから皮をむきます。皮をむいてからゆでると、水っぽい仕上がりになってしまうためです。ただし、栗きんとんや栗ご飯のように生の状態で皮をむいてから加熱するレシピもあるので、つくる料理に合わせて使い分けましょう。
Q.栗の下処理で水につける時間はどのくらいですか?
A. 冷蔵庫で半日から一晩が目安です。50〜60度のお湯を使えば、2〜3時間に短縮できます。水につけることでアクが抜けて鬼皮がやわらかくなり、むきやすくなるほか、虫食いの栗が浮いてくるので選別にも役立ちます。
Q.渋皮がうまくむけません。コツはありますか?
A. 渋皮は実に密着しているため、薄くむこうとせず、りんごの皮むきの要領で少し厚めにむくのがコツです。しっかりゆでた栗なら、手でぺろりとむけることもあります。渋皮はアクが強く、残っていると渋味が出るので、ていねいに取り除きましょう。なお、渋皮を活かして味わうなら、渋皮をむかずにつくる「栗の渋皮煮」もおすすめです。
Q.むいた栗の変色を防ぐにはどうすれば良いですか?
A. むいたそばから水にひたすことで、変色とアクがでるのを防げます。すぐに調理しない場合は、水気をしっかり拭き取ってジッパー付き保存袋に入れ、冷凍保存を。冷凍したむき栗は解凍不要で、冷凍庫から出してそのまま加熱調理に使えます。
栗ならではのおいしさを
存分に味わえる!
おすすめレシピ3選
栗の魅力のひとつが、やさしい甘さ。そんな栗の持ち味を活かしたレシピを、王道から甘味まで全3品ピックアップしました!どれもシンプルな味付けだから、素朴で飾らない栗のおいしさが楽しめますよ。
ほんのり漂う塩味が、栗の甘さを引き立てる
『栗ご飯』
栗と調味料を入れて炊き込むだけ。シンプルかつ王道の1品です。
江口さん「栗は味付けせずにそのまま炊くので、栗が好きな人もきっと満足できるはず。お酒を少量入れることで香り良く炊き上げられるのもポイントです。シンプルな味わいだからこそ、香りは重要なもの。アルコール分は炊飯工程の中で飛んでいくので、少しの量だからと省かずにレシピ通りにつくりましょう」
手間が報われる贅沢なおいしさ
『栗渋皮煮』
口に入れるとほろりと崩れ、さらさらとした口当たりに。すっきりした甘さも心地良く感じられます。
江口さん「6〜8回、ゆでこぼす工程は、渋皮のアクを抜くのに不可欠。面倒に思うかもしれませんが、手を抜くと渋さが残ってしまうのできちんと行いましょう。手間のかかる渋皮むきの工程がないので、初めて栗を扱う人にもおすすめです。栗まるごとの状態でいただくものなので、大きいものを選ぶと見映えがしますよ。火にかけているとき、栗が踊るほど強火だとせっかくの姿はくずれてしまうので、火加減にはご注意を」
自然の色そのままの素朴な仕上がり
『栗きんとん』
ねっとりとして濃厚な味わい。栗のかけらが残っていると、プチッとした食感も楽しめます。
江口さん「生の状態で皮をむいてからゆでるレシピです。渋皮が残っているとでき上がりの色が悪くなるので、少しくらいと思わずていねいにむきましょう。栗をマッシュするときは、完全につぶすと口当たりがなめらかになりますが、栗のゴロッとした食感が残っていてもおいしいので、お好みで加減してみてください」
正しい剥き方・下処理で、旬の栗をたっぷり楽しんで!
江口さん「栗はある意味、ハードルの高い食材。でも、手間と時間をかけた分、他にはないおいしさとよろこびが味わえるので、調理したことない人も今回の記事を参考にしながら、ぜひ挑戦していただきたいですね。旬の食材は、まさにそのときだけ楽しめるものなので、1シーズンに1〜2回はぜひ手に取って食べてみてください」
教えてくれた人 江口恵子さん
料理家、フードスタイリスト、 All About「家事」ガイド 。雑誌や広告、Webなどでレシピ提案やスタイリングを行うほか、企業のレシピ開発など、幅広く活躍。料理教室「 ナチュラルフードクッキング 」主宰、カフェ&デリ「ORIDO. 吉祥寺」オーナー。著書に『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)などがある。
撮影/金田邦男
公開:2023年9月27日 最終更新:2026年9月14日


ホームクッキング編集担当より
栗、初心者にはハードルが高い食材だと思うのです。なので、料理書には甘栗を活用したアイデアレシピもたくさんあります。でも、旬の栗からつくった炊き込みごはんを味わったら、下ごしらえの手間が報われるというもの。ぜひ旬を味わう、楽しむという気持ちで、下ごしらえも楽しんでチャレンジしてみてください。(編集長・杉森)